2024年6月27日木曜日

6月書評の5

◼️ 赤染晶子「じゃむパンの日」

コミカルなエッセイ集。なんとも・・関西やなあ。ピン芸人みたいやわ。

書評で興味を持ちメモしてたらポール・オースター「幻影の書」を貸してた後輩が読みますか〜?と持ってきてくれた。持つべきものは読書友。クラシック好きと本読みは教えたがり貸したがり。たしかに自分が1回読むだけではなんかもったいないし、自分の感銘を人にも知って欲しい!というわけできょうも戻ってきたポール・オースターを別の者に、手持ちの青山美智子「木曜日はココアを」を同じフロアの同僚にせっせと貸したのでした。

著者は京都の方だそうだ。身近に起きたこと、また過去の体験を多少の、いやかなりの妄想を交えておもろかしく書く。55のエッセイと、こちらも翻訳者にしてウケの良いエッセイスト、岸本佐知子氏との爆笑交換日記を収録している。

表題作はなんかよくわからないデイドリームと自意識と変な隣人たちが交錯した結果、じつに関西らしい、もっと言えば関西女子らしいオチでキュッと締めている。

ププっと笑ったのが「流しそうめん?」と著者の祖父が自作の「飛び出しぼうや」を作って道路に置く「しょうちゃん」。どれもあったな、ありそうやな、もしくはないないない、なんやねんそれ、とか心の中で何かのリアクションをしてしまいそうなお話。いかにも関西女子でこんなかけ合いをしてそうだなあというのもある。嫌いではない。

筆がスラスラ、という感じでこれをどう物語に活かしているのか、芥川受賞作「乙女の密告」を読もうか、他にどんな作品が、1974年生まれ・・とプロフィール欄を見ていて動きが止まった。早逝されたのか。合掌。笑いを遺す人は独特の虚しさを読者に与える。

よけいに芸人エッセイストがストーリーテラーに変わる作品を読みたくなった。

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