2023年3月19日日曜日

3月書評の7

帰省時いただいた川端ぜんざいと、アリタセラで買った佐賀名物小城ようかん。食後のテーブルがにぎやか。きのう土曜はちょっと寒い日でホコホコあまうま。

◼️ 青柳碧人
「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」

誰もが知る童話を土台にしたミステリー。トリックというよりは、心をつかまれるタイミングが興味深かった。

ミステリー好きでシャーロッキアンの先輩にパスティーシュ・パロディの本を貸し、コレを含む3冊を借り受けるという、2人で本の交換会。1回読んだ本を読み返す、というのは稀にしかしないのでイイ感じ。

「シンデレラ」「ヘンゼルとグレーテル」「眠り姫」「マッチ売りの少女」をモチーフにした推理もの連作短編。主人公の赤ずきんの物語ももちろん挟まれる。


赤ずきんがシンデレラとともに魔法でメタモルフォーゼ、ネズミとカボチャの馬車に乗って舞踏会へ向かう途中、炭焼き職人の死体が・・次の話ではお菓子の家で魔女と継母の死体が見つかるー。

赤ずきんは見事に事件を解決、犯人を捕え、物語を掘り、複雑な人間関係を露わにする。やがて赤ずきんがバスケットを持ってシュペンハーゲンへと向かう真の理由が明らかになる。

そもそもが入りやすいエンタテインメント・ミステリーでページが進む本。しかし、このパターンが4話続くのかな・・と階段で言えば踊り場的な、ひと息ついて残りにやや読み疲れ感を抱いたところで、主人公の赤ずきんにまつわる謎が提示され、結末へさらなる期待感を持つ。このタイミングが絶妙で、読むスピードが加速する。赤ずきんのくだりは、別の童話を連想させるように作っている。

ラストで連作短編らしい終局。収まりは上手くほどよく虚無感が残る。童話がベースだけに子どもらしい発想もにじみ、少々強引かな・・という感もあるけども、一気読みさせる面白さに加え構成の妙は発見だった。

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