2023年3月5日日曜日

3月書評の4

天気の良かった土日、Bリーグもないし、ゆっくり本を読みたくて午後はのんびりと、だいたい思い通りに書いたり読んだりできた。

読んだ単行本がやや細めの珍しい形で、ミュシャの展覧会リーフレットを折ってブックカバー作ったら図柄がうまく表裏ともハマって気分がいい。まあこの本にしか使えないんだけど。

積読解消のため図書館では本借りず。

気温は上がれどまだ風が冷たく朝晩寒い、
中を薄めにして上着はダウン。今週さらに最高気温が上がるというけど、どうなるかな。

◼️町屋良平
「ショパンゾンビ・コンテスタント」

ショパンとショパン・コンクールへの概念と知識をベースに描かれるコミカルな青春群像劇。

ブルース・リウのリサイタルに行ったし、ショパンつながりで?古書店で見かけて即入手。2015大会出場者のほか、ショパンコンクールの歴史と現状にも多少触れてある。

音大を半年で辞めたぼくは、家に居づらくなり独り暮らしをしている。音大時代の友人で才能ある源元(げんげん)がよく部屋に寝に来る。ぼくは小説を書こうとしているがなかなか進まない。そして源元の彼女の潮里に熱烈に恋していて両方の前で口にしている。潮里とぼくはファミレスの深夜バイト。同僚の小柄な関西人、裕福な寺田の提案で3人は福井へ旅に出るー。

ぼくのモノローグで話は進む。時は2015ショパンコンクールの時期でぼくと源元は、エリック・ルーやトニー・ヤン、ケイト・リウといった上位入賞者の演奏を聴いていて、3人が、2021大会も席巻したダン・タイ・ソン門下生であることを紹介している。その他ショパンの日記なども紹介され、ショパンの音楽を演奏することに対して、哲学的な思索的試行が繰り返される。まあしつこいくらい。それがぼくの鬱屈を表している。

で、潮里ちゃんがまた、ぼくの気持ちを知った上でめっちゃ小悪魔的に、ちょっと過剰めな言動をぼくに仕掛けてくるところがまたぼくの苦悩を深めている。寺田くんもよきアクセントのキャラだ。そして3人と、最後は源元も含めた4人は何度か旅をする。読んでてもなんで?という感じで可笑しい。

そしてクライマックスはアジアのショパンコンクールファイナルでの、源元のピアノ協奏曲1番。こうきたかー、さてどう描くのか?どう落とすのか。

私はピアニストで文筆家、青柳いづみこさんが2015大会を取材・分析・解説した「ショパン・コンクール」を読んでハマり、2021大会も大いに楽しんだ。

で、古書店でこの本を見かけ、パラパラめくったら2015の出場者が実名で挙げてある。芥川賞作家の町屋良平ということもあり読むことにした。

純文学とコメディの中間的作品。しかし、アルゲリッチが天才とこだわったポゴリレチを1次で落選させたとき審査をボイコットした話とかまあ盛り込んでるけども、ショパンとコンクール、このマニアックな書き方くさ(書き方と言ったらまあ、くらいの意味)、と博多弁でくすくす笑いながら読み終えたのでした。

ちなみに単行本としてはちょっとだけ細く、ためにミュシャの展覧会のリーフレットでブックカバーを作ったらこれがわれながら上手くできて、でもこの本以外には使えず、となってしまった。

ミュシャのブックカバーかけて、音楽ジャンルの棚の保存版にしときます^_^

0 件のコメント:

コメントを投稿