2024年1月21日日曜日

1月書評の8

ウッディ・アレンの新作「サン・セバスチャンへようこそ」を観に行く。まあその、ウッディ・アレンらしいラブコメで、途中名作映画、「男と女」「勝手にしやがれ」等々の場面を再現挿入してあったりと好きな人には楽しめるかも。

ウッディ・アレンは「ウッディ・アレンの愛と死」「アニー・ホール」「マンハッタン」「アリス」このへんは懐かしい大毎地下🥰「ラジオ・デイズ」は福岡の学生時代に映研の友人に連れて行かれた、「ウッディ・アレンの影と霧」はマドンナ出てるから、と会社の同僚数人を誘って行ったら慣れてない人には殊更わけわからん系の作りで不興を買ったなと😎あとは「夫たち、妻たち」かな。今回の作品はスペインのサン・セバスチャンロケで「それでも恋するバルセロナ」に似てるかと。特集ないかな〜。ダイアン・キートンもミア・ファローも懐かしい。

まあともかく、御年89歳、今回もらしさを感じられた、のは良かったけど、俳優陣がかなり高齢なのは正直びっくり。いつ撮ったの?である。主演の1人、妻の多忙さ冷たさのためサン・セバスチャンの女医に恋する中年男は今年81歳。映画会社のバリバリの広報ウーマンの妖艶な妻は62歳。びっくり。

パンフに作中取り上げた名画一覧とアレンのフィルモグラフィーが掲載してある。ああ、ヌーヴェルバーグもウッディ・アレンも勉強不足&記憶の彼方。トリュフォーとジャンヌ・モローの「突然炎のごとく」はもう一度観たいな。


◼️ 長野まゆみ「雪花童子」

乱れる。まあこうなるのも自然の流れかとも思うが・・苦笑。なぶられまぐわう美少年。

長野まゆみは少年を主人公に、宮沢賢治風味を現代風に発展させたような童話風の作品、むつかしい漢字、植物、鉱物などを多用して、時にSF風に独特の美しい少年を築いた話、また少年同士の葛藤を描いたジュブナイル的ナラティブと、独自の世界観の物語群が好ましい。

もちろんこの作風は著者の持つ手管のほんの一部であって、中には語り口がどこか講談風でもあるような、さらさらと流れる昭和風の物語もあり「45°」のような長野まゆみ+星新一?というような短編集もある。


今作は比較的初期の作品のようだが、まあその、美少年を描いていれば、こっちにいくのもまあうなずけるかなというような、魔夜峰央をずっと進めたような男色もの(男女も女性同士もあるが)だ。まぐわい、まくるし笑


それだけではなく、月白の身体、きれいな顔に辰砂の唇、がさんざんに痛めつけられ、弄ばれ、責め苛まれる。SMっ気も、痛みに震えながら耐える少年独特の美しさも、白皙に流れる赤い血というやや狂気を含んだ色彩の美もあるわけだ。おまけにゲテもの食い、アレまで食べ、さらには日本三大有毒植物の実を口にする。

将軍、武士が出てきて、しかも男子は水干指貫を着ていて御所もあり、どの時代か読みにくい物語3篇。明らかに京都近くなので室町か?なんて思う。巻頭の「白薇童子」は人をだまして身ぐるみはがす年増狐や夜叉が出てくる異界の話。

次の「鬼茨」は雪白の肌に丹朱の唇、「新芽を思わせる清爽な萌葱色の水干姿で、肩から袖にかけて少しずつぼかした淡黄色の雲母びき綸子に、白山吹の花を散りばめた小袖を着て」登場した申楽の家の息子・小凛が将軍のヤバいドラ息子に折檻を受け・・というなにやら耽美、倒錯的な世界。

表現の美しさ、多彩さでエロで刺激的、さしつさされつ、官能をくすぐる物語を展開する作品といえる。このテイストで何作くらい書いてるんだろ。作家の多くの引き出し、数ある変化球を見て認識を新たにするにやぶさかではないし、ゲージツ的、耽美、倒錯、表現、持ち味のよいマッチングは分かる気がする。

男色も歴史的には珍しくなかったし、中世オスマントルコの皇帝は少年の身体が大好きだった。私にはなにかを否定する気はさらさらない。でも、好みかと言われれば明確に違うなと思う。

初期のイメージが強く、そのテイストを求めて長野まゆみの少年もの作品を読む。今回は逸脱の例かな。次だね次つぎっ。

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