2024年1月21日日曜日

1月書評の5

◼️ 青山美智子「木曜日にはココアを」

著者さん2冊め。ここまでの感想は、オーストラリアと、色。ドラマで観たいね。この形で。

青山美智子は、「青と赤のエスキース」の単行本がきれいで、京都は平安神宮近くの蔦屋書店で、たまってたTポイントで買ったなと。

繋がりのある短編集で、美術が絡み、一部の話の舞台がオーストラリアだった。

「木曜日にはココアを」川沿いの桜並木が終わるあたり、小さな人気店「マーブルカフェ」の若い店長ワタルは、毎週木曜日には店に来てエアメールを読んだり書いたりする「ココアさん」に恋をしている。

まあこの人気の本、多くの方が書評を書いておられるので詳細はカット。物語に出てくる人から繋がりつながってオーストラリアに行って帰ってくる短編集。各話に象徴的な色が設定されている。

オレンジと、やっぱり緑の絵を描く女性の話がいいかなと。

いい話、幸せな話ばかりだ。キュートに、可愛らしく、明るくHappy。ワタルもココアさんもバリバリの働くママも髪の薄いおじさんも、魔法使いも老夫婦も。ちょびっとの塩味はしても、喜びを際立たせる重すぎる哀しみも不幸も生きづらさもほとんどない。

しかしこのテイストの連続で、我々読み手は著者のワールドに取り込まれる。もっと幸せな話を読みたい、ほっこりしたい、喜びの顔が、ハッピーエンドが見てみたい、包まれたいと思ってしまうのだ。

兎角設定に暗いものが多い小説群、そして最近1つのジャンルを成してきているような生きづらさを感じる主人公の話。人の世はけっこうキッツいことが多くて言う人はずけずけ文句やグチを言い、傷つく人、心が増える。自然災害も国際情勢も。暗いニュースが多い。

その中で福々しい、心に美味しい、微笑ましく読めるエピソードたち。苦しい話と同じくらい、せめて楽しい、嬉しい話はあるはずで、このテイストで押し切ることで新たな好ましいものがフワッと構築されている。

朗読劇などでだいぶ活用されているようだけど、このミニドラマを連なる形、1回実写ドラマでやってみて欲しいな。ワタルは鈴鹿央士かなあ。

これが青山美智子の筆致か。他はどうかな、もう少し読んでみよう。

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