2024年1月21日日曜日

1月書評の1

新年のご挨拶、遅れましたが、やはり能登の地震による災害に気持ちがザワザワしていました。被災地の方々に心よりお見舞い申し上げます。阪神大震災も1月の、寒い日の発生でした。

画像はUSJ、ユニバーサルスタジオジャパンの新年のお祝い花火です。毎年もの。今年は新年の一斉汽笛は聴こえませんでした。

大変な年明けとなりました。ともかく2024年もよろしくお願いいたします。

◼️宮部みゆき
「あやかし草子 三島屋変調百物語五之続」

変わり百物語、ますます充実。やっぱり宮部みゆきは、上手すぎる。2話め「もんも声」がサイコー。

ゆるゆると続いてきた変わり百物語も5巻め。叔父の袋物商い、三島屋に身を寄せているおちかが市井の人々の不思議な妖し物語を聞くというお話。聞いて聞き捨て、語って語り捨て。

今回はシリーズに大きな転機が訪れる。

最初の頃はかなりシリアス、またちょい完璧主義っぽくて読み終えるのに少し骨が折れたりした。途中から可愛い系、怪物暴走系笑、そして本当に恐ろしく、また人間臭い話など、多彩でなおかつキレが増してきた気がする。

今巻「開けずの間」の行き逢い神は間違っても出会いたくないもの。しかし語り手はうっかりの血筋でコミカルだ。2話め「だんまり姫」のもんも声は年配の女性の方言や語る物腰が大変好ましくおもしろい。深刻めな境遇、出来事はあるものの、キャラクターに中和される感じで、成り行きも可愛らしい。名語りの1つと言えると思う。

「面の家」「あやかし草子」「金目の猫」ひと続きのような話である。面はああこれも時代劇、と思い出させるような定番のお家騒動、草子は6人夫が変わった老婆の話、猫は、こどものころ誰しも出会ったことのある不思議な現象、のような気がして、その風味がまた小憎らしい。

そして、おちかは逆プロポーズで貸本屋の勘一と夫婦になる。さて、黒白の間、次なる聞き手は、おちかとともに聞いた話を絵に描く、三島屋の次男、グルメでよく口の回るいかにも商人の若い富次郎。さてどうなるやら。

このシリーズは、宮部みゆき氏がとてものびのびと、著者の好きな世界を書き連ねていて、読む方もふむふむと、まるで聞き手になったかのように読んでしまう。少々分厚いけれど、読み始めたら早い本。殊にここ何作かは柔らかくて読みやすくなった感じである。

また読めるかな。

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