1月は12.5作品(パムクは上巻だけだから笑)12冊。まあこんなもんかというスタート。ちょっとラノベ児童っぽい方向かな。まあまあ、でも楽しい月ではありました。
京都の中華サカイの冷麺はめちゃうまで我が家の定番になっている。月と火星が接近してきれいだった。
◼️ 天花寺さやか
「京都府警あやかし課の事件簿2」
京都修行中の身としてはめっちゃ参考になる。宇治に嵐山、祇園祭。
ちと事情があり2巻から。京都府警には人外特別警戒隊、通称「あやかし課」が置かれており、霊力を持ったメンバーが登用されている。
主人公の古賀大(まさる)は新人の課員でふだんは二十歳の女性。かんざしを抜くと剣士の男まさるの姿となる。あやかし課のエース坂本塔太郎は時に青龍となり、先輩の琴子は薙刀の名手に変身する。
この巻の最初のお話は、千年を生きている化け猫の月詠(つくよ)がずっと探していた鬼笛の音を聴きつけ、笛を入手した持ち主の若者・聡志の部屋へ長巻という武器を持った少女の姿となって乗り込み、夜な夜な吹けと迫る。聡志はたまたま出会ったあやかし課に相談した、というもの。さらに聡志には鬼笛を狙う別の魔の手が忍び寄っていたー。
笛の由来を考えるうち、在原業平が持っていたものと判明、当の業平も出演して、宇治の平等院鳳凰堂に納めるのが良いとアドバイスする。豪壮な太刀使いとなった敵、渡会が攻撃を仕掛け、月詠は毒矢で敵の手中に落ちる。鬼笛の吹き手を先祖に持つ聡志の身体には異変がー。宇治に向かう中、牛車と自動車のカーチェイスに激しい戦い、果たして鬼笛の行方はー。
朱雀門の鬼笛、は十訓抄などに出てくるらしい。私は確か坂東眞砂子「鬼に喰われた女」で読んだか、違ったか・・今回の物語の中心となる業平の笛は、朱雀門のものとは違うようだが、月詠に鬼笛のことを教えたのは朱雀門の笛、葉二(はふたつ)を吹いた浄蔵である。どちらにしても、月夜の笛、あやかし跳梁する古都の、栄華を誇る鳳凰堂、冴えざえとした音色を想像する。宇治の雰囲気を思い出す。
最初の話からかなり飛ばしている。在原業平、さらに霊いっぱい、ものすごい威力のあやかしがたくさん・・なんかハチャメチャぶりに気持ちよくなってしまうくらいだった。
2話めは一転、恋の話。嵐山、桂川に渡月橋、竹林に縁結びの野宮(ののみや)神社・・大は塔太郎への想いを募らせ、ラブコメ風の味わいも。
私は関西に住みながら長いこと京都シロートさんだった。行かなかったし、有名観光地がどこにあるかも知らず、たまに京博や国立近代美術館に展覧会を観に行ってすぐ帰るくらい。
それが、コロナ前のある年、親族と同窓会、2つの観光ガイドを頼まれてから研究したのがきっかけで、今は大好きになり、情報を集め修行中である。源氏物語も完読、感銘を受け、宇治や嵐山で源氏物語巡りをした。
本も、京都の本屋で、京都関連の小説紹介の本を買ってきて読んだり、中の名建築を訪ね歩いたり、何かと意識している。
今回の作品は、宇治にしても、嵐山にしても、八坂神社にしても、自分が巡り、思い出深かった情景が浮かぶ。題材としては観光地で、誰にもそうかも知れない。しかし読んだ中でも、その出し方が上手な感があった。行ってみようか、という場所もいくつも。嵐山の名刹という祇王寺、気にはなっていた神泉苑など、くすぐられる。
夏の祇園祭、たくさんの小説で触れた、京都の伝統。今回はそれに気概のようなものと、地元市民が自然に持つ思い入れのようなものを感じることができた。
冬の京都は寒いけど、観光客も少ないし、静かな風情があって好きやね。さてまた行こうかな。カフェから渓谷の眺めが素晴らしいという嵐山桂川近くの福田美術館に行きたいな。
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