チラシを見て気になっていた絵本の原画展@地元の美術館へ行ってきました。じもぴー市民は割引ありました。
ボローニャで行われる世界唯一の、こどもの本の見本市。イベントで行われる原画コンクールで入選した29カ国78人の作品を全て観ることができます。
各国の絵本を観るのは興味深い。ストーリーや色使いに特徴が表れるから。それに、なにより絵本は自由です。先日かちっとした美術展をハシゴしたから余計にそう思います。
画材にしても、水彩アクリルパステル色鉛筆コラージュはもちろん、刺繍なんてのもありました。そしてタッチと描きこむものもホントに多彩でした。抽象的なもの、日常の幾何学的な部分を取り上げたり、動物は描き方も画面での扱い方も縦横無尽だし、ユーモアやウィットも効きまくりです。
展示最終スペースにはテーブルと椅子、入選作の中で絵本になっているものが並べてあって、日本語訳で出版されているものも多く、貪り読みました😆
韓国の作家さんの、深夜の美術館でピカソのゲルニカに描かれている動物や人が動き出すのは想像が広がって良かった。また、2021年、ただ1人に与えられるSM出版賞受賞、台湾のチュオ・ペイシンさんがオスカー・ワイルド作の「漁夫とその魂」を絵本化した作品も感じるものがありました。
予想以上に楽しかった。喫茶ではアフォガート、ピスタチオアイスに熱いエスプレッソをかけて苦甘美味くいただいて、満足して帰りました。
この日は朝から録り溜めていた「バスケット☆FIVE」「名建築で昼食を 綿業会館編」「題名のない音楽会 反田恭平・ガジェヴ」「クレオパトラ特集」を一気に観た。どれも良かった。。
◼️ 梶尾真治「おもいでマシン」
かるっと楽しく読めます。ショート・ショート。
書評がおもしろそうだったので読んでみた。純粋なショート・ショートって久しぶり。極端かつ特異な設定に小気味良いユーモアや笑いが含まれる感じが良い。
著者は「黄泉がえり」などを書いた人。お初でした。40の作品が入っている。サクサクと読みながら作品によりあれこれと考えたりするのも魅力。やたら熊本や阿蘇が出てくるのでプロフィール欄を見たらやはり熊本出身でいいらした。
「大井川の奇蹟」
起承転結の転が意外で楽しかった。大井川だしね、とニヤリ。
「先輩がミャオ」
これくらい思い切ってくれるとバカバカしくて好ましい。もっといろいろ考えられるよね、と想像してしまう。
「伝説の食堂」
正直にしゃべってしまう店、出前の行き先は?オチが落語のようで秀逸です。
「完璧な殺し屋」
ドリフのコントみたい。話にいいスピード感があって笑える。
「おとぎ苑」
おとぎ話の主人公たちが集まる施設。やはり懐かしいその後もの。
「根子岳の猫屋敷」
根子岳って阿蘇五岳の1つの火山なんです。頂がギザギザで猫みたいだから根子岳らしいんですが、私的には、見るたびに鬼ヶ島とか魔物の山を想像します。根子岳の猫屋敷、抜け目のなさがポイント。郷土意識もプラスしてナイスでした。
「父を知る」
ホロっとさせるネタが琴線に触れる。これも「転」が最高。好きっすONI。
ちょっと感動するものはいくつか入っていて、
「母の日の思い出」はテクニカルで、
「ママのくるま」はもう最後にこんなの持ってくるのやめてよ泣いちゃうやんか、と思わせて上手に締める。
フンフン♪と機嫌よく読める本でした。梶尾氏がインスパイアされたのは星新一「人造美人」だそうで、こちらも読んでみたくなりました。
◼️ 鯨統一郎「文豪たちの怪しい宴」
最初は北村薫かなと。後で、でも違うかなと。
このシリーズの2作めに川端康成「雪国」が出てくると言うのでいずれ読もうと思っていたところ、図書館で1作めが目に入った。題材も読んだものばかりで興味もあり、手が伸びた。ちなみに最寄りの図書館にはシリーズ2はなくて市内の別の図書館蔵から取り寄せになる。
東京のバー「スリーバレー」。日本の文学研究界の重鎮・曽根原と20代後半とおぼしき宮田という男、そして美人で気の利くバーテンダーのミサキが、日本の代表的な小説を題材に議論を交わす。
「こころ」「走れメロス」「銀河鉄道の夜」「藪の中」の4つがテーマの連作短編。曽根原はいわば文学研究の常識、壁役。そして宮田が珍説・奇説だけれども根拠のある解釈を披露、その壁に当て、曽根原が時に心の中で、時に口に出して反論する。ミサキは話の促し役、良き合いの手を入れる立ち位置。
「こころ」は「百合小説」で「走れメロス」は「夢」である、などと滔々と宮田が、ちょっと挑発的な調子で話していく。作品に書いてあること、作家の人となりを掘り下げる内容でなかなか知的好奇心に響く。
「銀河鉄道の夜」はまあ常識的な線でてらいはないような。「藪の中」はミステリーで、今回は謎解きの1つですね。こちらはエキセントリックさという点では強くはないけども興味深さがそれを上回るかな。
最初、この文学探偵ぶり、書きようはまるで北村薫じゃん、鯨統一郎って覆面作家らしいけど実は?もとは覆面作家だった北村薫のさらなる覆面とか?とすこーし本気で疑った。共著もあるみたいですね。
しかし「藪の中」の後半あたりから、いや、やっぱ違うかな・・と思えてきた。なんかディテールにはズレがあるような。ちょっと粗っぽいかもと。
ともかくなかなか文学好きに楽しめる内容ではあった。次もいずれ借りてこよう。「雪国」はそもそもがとても不思議な作品。どんな論が待っているのか楽しみだ。
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