2026年4月12日日曜日

4月書評の4

◼️ポール・オースター「幽霊たち」 再読。短めでさらっと読めて、小説的。オースター入門編には最適かもと今回思った。まあその、読後、「で?」というのは残るかも。 1947年、探偵事務所に勤める青年ブルーは、ホワイトという依頼者から、ブラックという男を見張る仕事を受ける。ホワイトはブラックの部屋に面したアパートを手配した。仕事にかかったブルーだが、あまりに事態が動かないことに疑念を抱き行動に出るー。 登場人物には色の名前が多いが、物語の大半はブルーとブラックの関係性。依頼人のホワイトへ報告書を出しながらも、いわば孤独を極める存在となったブルーの心情の描写が深まっていく。謎を解明しようと起こした行動により逆に謎は深まる。そして哲学的とも言える境地?に辿り着く。 解説にもあるが、色の名前をさまざま出しながらも、主要ドラマは闇の黒で展開のイメージはモノトーン。色彩が無い。120ページほどと長くはなく心理描写、ちょっとしたサスペンス小説のような成り行きが楽しめる。さらっと読めるものの、ちょいじっくりと考えるタイプの小説でもあった。 ネタははっきりと描くのがいいのかどうか考えさせる。そこも含めて小説ってものか。 設定には軽い面白さを感じるが、透明感のあるモノトーンを印象付ける黒さ、深さを生む感覚と技巧はとても興味深い。この作品を含む「ニューヨーク三部作」で1980年代末にポール・オースターは世界的な評価を得たとか。 時代とアメリカを感じたりする作品。

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