ノーベル賞作家による、大人のための童話。
まさに涙が全編の中心、核で、種類を分けるだけでなく、もうひとつ掘り込んでる、気がする。
昔のある村に"涙つぼ"と呼ばれている子がいた。感受性が強すぎ、人々が予測も理解もできないところで涙を流す。いつも泣いてばかりいた。ある日、涙を集めている、というおじさんが村に来て、その子のことを「特別な涙を持っている子」と言い、いろんな涙を見せてくれる。袖口からは翼と尻尾が青いウグイスが顔を出していた。これから涙を売りに行く、というおじさんに、涙つぼの子はついて行くと決心するー。
涙の結晶って魅惑的。涙が核なだけに後半は泣くシーンが長い。でもやはり泣いて泣いて、泣き尽くさないと、という気もする。そして多くの涙を流した時、なにが問題で、どこがブレイクスルーなのか見えてくるものがある、ということだろうか。
ハン・ガンといえば2024年、アジア人女性として、70年代生まれとして、史上初めてノーベル文学賞を受賞した。「すべての、白いものたちの」しか読んでいないが、その散文調は新鮮で、さすがやるな、と思ったものだ。この本は表紙挿絵が児童もの画家として大変人気のjunaidaでハン・ガンも彼のファンで日本版を喜んでいるのだとか。挿絵は物語に添いつつもどこか超越していて、いせひでこさんを思い起こさせる。
主人公の子は男の子か女の子か明らかにされていない。私は女の子と思い込んで読んでいた。ちょっと大人びすぎているところも気になったといえばそうかな。変わった設定と、途中から出てくる、ちょっと宮沢賢治のような想像性と、人生を深く観る姿勢とが併せられて、不思議ながらも納得感があったりする。
おじさんの相棒、桃色で羽と尾が青い「明け方の青い鳥」も、まるでジブリに何かと相棒の動物が出てくるようでいいアクセント。鳥といえば物語の成り行きはヘルマン・ヘッセの「デミアン」に似てるかな(確か😅)
影絵を使ったのもなかなか楽しい。たしかに大人に問いかける内容かもしれないな、と。まあふつうの人は泣き尽くす、というほどのことは日常ではまず無いし、ある程度悲しい、悔しい思いをしていてもそれを直接人前で表すことには慣れていない。ハン・ガンさんはその点意見をもっているようではある。
ふむふむ、という感じの作品だったかな。junaida私も好きですね〜。また展覧会ないかなあ。
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