悩める女性に効能豊か。サバトラ猫の魚料理。
例えるなら最後に元気がでるタイプの15分ドラマみたいだ。魚ってほんとニッポン人に訴えかけるなと。人生、生活で弱った心を抱く時、ネコシェフの世界へと誘われる女たち。
千晶は40歳の専業主婦。かつてアナウンサーを目指したが失敗、勤めた生花店の客だった涼太と結婚した。高校生になる娘・梨央もまたアナになりたいと母を喜ばせ、色々とアドバイスしている。ただ、最近涼太には明らかに浮気の兆候が見え、また同窓生の雛菊が今も独身でデザインの仕事をしているのを見て、社会に置いて行かれたような感覚を受けるー。
(ネコにも居場所)
千晶、梨央、千晶の母・比呂乃や雛菊、世代・年代がバラバラな、関係性のある女性たちそれぞれの目線から、その生活と鬱屈を描き、想い行き詰まったとき、主人公はネコシェフの店がある海辺の夢幻空間へと転移する。
鱈のプランタード、ホッキ貝のクラムチャウダー、鯛めし、潮汁、アジフライにタルタルソース、鰹ぶしの猫まんまと鰹のたたき、鯖寿司・・
品書きの鱈といふ字ぞうつくしや
目には青葉山郭公(ほともぎす)初鰹
海洋生物の解説と、なぜか俳句や和歌を必ずのたまうネコシェフの料理は実に美味そう。味わいたい気持ちがそそられる。じんわりと身体と心に沁みわたる擬似体験。何かを読むとよくあることではあるが、やっぱり心地よい。
読み物としてはライトな印象だけども、女性たちの、自分が拠って立つ人生上の成り行きや立場、その関係性も実にうまく考えられていると思い感心する。人は大なり小なり常に物事を考え感じている。セルフィッシュ、また自分でも嫌になるような感情を抱くことはよくあり、口や態度に出ることは極端に少ない。そんな、いわば生きにくさと付き合っていくのもふつう。今作のシチュエーションの作り方は共感というよりは読み手に考えさせる方向だったかなと。心が軽くなるくだりはまたちょっと考えちゃったとこはあったけども。
ネコシェフ、おもしろくて気持ち良い。けっこうこういうの好きです。伸びやかな発想もまたニッポンの底力、なんて思っちゃったりする。
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