京都市役所を設計した武田五一は、近代建築の三大巨匠といわれ帝国ホテルを造ったフランク・ロイド・ライトと親交があったという。京都市役所は一見暗そうだなあ〜と思ったものの、言われてみればライト建築そっくり。武田は京都でいくつもの建築を手がけている。また武田のものでなくともライトの代名詞である大谷石があちこちに使われている。
一級建築士の友人の設計会社でアンケートをとったところ、好きな建築家トップ1はライトだったとか。もはやオールタイムベスト。当時も大いにウケていたんだなあと。西洋建築の焼き直しではなく、アジアアフリカのテイストも入れて造る。ライトの帝国ホテルは東洋人から見たら西洋的に、西洋人から見れば東洋的に見えたと言う。
このことを感じられて良かった。やはり建築はおもしろい。
◼️手塚治虫「火の鳥 望郷編」
久しぶりの火の鳥は・・手塚治虫はやっぱりすばらしい。映画とマンガと。
「火の鳥 望郷編」を原作とした新作アニメ映画「エデンの花」を観て、翌日マンガを買ってきて読み返す。手塚治虫は好きで、大作はほとんど読んでいる。火の鳥は全部読んだはずだが、忘れてしまっていたので再読。映画との相違点と、込められたものが分かった。
16歳のロミが暮らす島に来た大学生・丈二。2人は恋に堕ちた。地球は人口爆発状態となっており、すでに他の星を買って移住するものも出ていた。丈二は資金を盗み、ロケットで宇宙不動産屋が斡旋した星・エデン17へロミと2人だけで移住する。しかし星を大地震が襲い、丈二は死ぬ。
ロミは妊娠しており、男の子を産み落としてすぐにコールドスリープに入る。ロボットが育てた息子・カインと20年後の世界で結ばれ子供を産むが、男ばかりだった。
女の子がいないと人を増やせない。見かねた火の鳥はムーピーという、どんな環境でも生きることができ、自由に姿を変えられ、相手の種族の子供も産める、という生物を説得して、ロミの息子の1人と結婚させる。
再びゴールドスリープに入っていたロミが目覚めた時、エデン17は人口が増加し国が造られ、ロミは神のような存在となっていた。やがて老いたロミは地球へ帰りたいと願い、特殊な能力を持つエデン人・コムとともに旅立つのだったー。
まずもって物語の悠久性、長い巡りのあとの終わりがすごく手塚治虫らしい。映画を観ている時はけっこう冷静でいたけども、エンディングテーマが流れているとこにジワッ、ほろり、と思わずなってしまった。
不思議は不思議、でもそこにお話としてのファンタジー性がある。不可能を可能にする噛み合わせに、手塚治虫の場合は納得してしまう空気がある。やはり深遠なものを感じさせるのだ。人間の性質、営み、業、悪も善もあますところなく描写していて、主人公の姿が雄々しく美しい。
火の鳥は地球の破滅的な未来を描いたもの、歴史に材を取ったものがあって、どちらも非常にオリジナル性が強く、本当にすばらしい。いちばん話としてまとまっているのは、「太陽編」で、クチイヌの物語、大好きである。ノーベル文学賞を取れるんじゃないか?なんて思ってしまいます笑。
映画はあまり立体的な特徴が目立たない絵柄だったものの、手塚マンガによくマッチしていた。いわぶね、岩舟、磐余舟?の行先には悲劇の物語が待ち受けていた。とこしえの、ストーリーが。
充実の体験でした。
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