ピア大好きな私は奈良・飛鳥サイクリングの時道の駅で買ったラフランスの追熟を待ちきれず切ってしまい、当然美味しくなく、WEBで調べてコンポートすることに。砂糖と水で煮詰めて、アツアツほこほこは格別の味。やや甘すぎたかな😎冷蔵庫冷やして、朝ひとつまみ、夜デザート。しかしデコレーションは果てしなく下手なのでした😵💫美味しかったからいいかっ🤗
その次の朝ごはん、焼いた食パンに載せました😆
◼️ 吉村昭「高熱隧道」
黒部渓谷のトンネル工事に挑んだ者たち。記録をもとにした生々しいドラマ。微妙な作風の違い。
黒部第三発電所は黒部川の上流にダムを造り、貯水湖の水を落下させて発電する計画だった。そのため峨々たる山塊に、水路と工事のための軌道トンネルの掘鑿が行われた。
工事は難航に次ぐ難航だった。初めにトンネルを掘る道具を掘削現場へ運ばなければならないが、崖に張り付いた僅か60cmの隘路からは人夫の転落が相次いだ。ようやく工事を始めて1年めの冬は撤収、2年以降は越冬する。
高熱の岩盤のため坑内の温度は上昇し続け最後には岩盤温度が166度にもなる。技師たちの工夫で黒部川の水を放水したり扇風機で熱気を外に出したりするがそれでも過酷すぎる環境に倒れる者が続出、ついにはダイナマイトが自然発火し多くの犠牲者が出てしまう。
加えて、黒部渓谷の冬の自然は、世界的にも稀な、猛烈な現象を引き起こし、3階までが鉄筋コンクリートで頑丈な6階建ての宿舎が600m近くも「飛ばされる」。
工事現場には実際の作業に携わることのない建設会社の技師たちと、高額の賃金を目当てに働く多数の人夫がいる。後ほど医師や看護師も常駐するが、命をかけて熾烈な作業に当たる者たちと指令、管理する者たちとの間には時に不穏な空気が漂う。
以前「鉄道とトンネル」という本を読んだ。九州と本州を結ぶ関門トンネルも戦時下で国家的に完成を急がせた突貫工事だった。今回の隧道の掘鑿も多数の犠牲者のため富山県警からいったん中止を命じられながら、ほどなく再開となっている。
ただ背景はともかく、猛烈に高い温度の中、時には熱湯に浸かりながら、ホースを持った「かけ屋」から黒部川の水を裸身に浴びせられ掘削する人夫、そして転落、熱水噴出、自然の猛威による宿舎崩壊、大火事などで多くの人命喪失と遺族の悲しみに向き合った技師たちには国の事情などは関係のない、なにか超越したものが貼り付いている。描写されている技師たちの長はダイナマイトでバラバラとなった遺体を手で回収し並べ、遺族に引き渡す前には自ら縫合して繋ぎ合わせた。すぐそこに死がある、自分たちの責任下でバタバタと人が亡くなって行く中でのトンネル屋としての矜持。
吉村昭は「戦艦武蔵」「プリズンの満月」「アメリカ彦蔵」「漂流」「羆嵐」「破獄」など読んできた。いずれも過剰に淡々として、できるだけ事実に近い部分を冷静に描く人だと思っていた。しかし本書ではところどころになにか感情がこもっているような描写が多い。ちょっと意外だった。
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