2023年1月22日日曜日

1月書評の8

建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ屈指の名作と言われる国の重要文化財、神戸女学院の一般見学会(事前申込)に行ってきました。前から観に行きたかったのでテンション上がりまくりです。

この図書館の天井化粧、素晴らしいですね。窓が大きく、ベランダから中庭と3方の建築が見渡せます。テーブルや卓上のライトも当時のものだとか。また図書館の閲覧室の側面上にあるフロアはロビー&廊下のようになっていて、おしゃれで座り心地の良さそうな椅子がありゆったりしていました。

ため息が出ますねえ😉椅子は座り心地良かった。。

◼️ ボニー・マクバード
「シャーロック・ホームズの事件録
           悪魔の取り立て」

パスティーシュ・シリーズ3作め。いちばん楽しめたかな。ボロボロになっていくホームズ。

ハリウッドの脚本家、プロデューサーの才女ボニー・マクマードによるシリーズ3作め。休む暇なく繰り出される犯罪、ホームズの操作。相変わらず活力にあふれ、読み進むのが早くなる作品だ。

現在は慈善活動をしているが、過去には何か悪行をなした裕福なセレブたち。ロンドンにはルミナリアンクラブという緩いつながりがあるという。

その構成員たちが変わった手口で殺されてゆく。ベッドで死体が見つかった新聞王の男が溺死していたり、床屋チェーンで材を成した人物は自分の店の椅子でのどをかき切られて死んでいた。犠牲者の名字のアルファベットを追って行われているかのような凶悪な連続殺人。いくつかの犯罪現場にタロットカードが残されていた。

折しも新しい警視総監はホームズを敵視し、妙なゴシップ記者がやたらとホームズを悪魔の化身のように攻撃していた。フランスのアナーキストも活発に活動している。混沌とした状況の中、ホームズは旧知のレストレードの協力で捜査を続けていたが、ある日行きあった警視総監ビリングスは特殊な手錠でホームズをひどく傷つける。

このシリーズはホームズに余裕がなくなるよう仕向けている。兄のマイクロフトの諫言も含め、反発するような出来事も多い。フランス人アナーキストも危険な爆弾を持って活動している。ボロボロになりながら捜査を続ける。へフィという格闘術と捜査能力に長けた少女がホームズファミリーに加わり、相談を持ち込んできた女学校の経営者である妖艶な夫人がホームズに擦り寄る。果たして真相はー。

前作に比べスケール的には小さくなったかも。またあまり本格推理、パスティーシュっぷりを楽しむものではない。しかし矢継ぎ早の展開でおもしろさにページが進む。それは3作に共通にしている。そして今作は、なんだかなあ、という部分もあったシリーズのストーリーが少々単純化されている。誰が味方か、敵かー、そして真犯人はー。

余裕のないホームズはモルヒネ投与後にコカインを注射するなどムチャをする。また、原典ではクールでやや無口なホームズが甲高い声でわめくことが多いのは、シリーズの特徴か。

大変楽しく読みました。

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