手元にチケットがあった「すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合」が最終日で、中之島美術館とそのお隣の国立国際美術館へ。
入ってすぐのトイレから始まってて、黒テープと黒ペンでびっしりと模様や記号が😆
数式の概念?を取り入れ、きっちりとした線と模様を描く菅野聖子さんという方には惹かれるものがありました。残念ながら菅野さんの撮影可の作品はなかった。
中には何かを描こう、という意図が伝わってくる作品もあって、なかなか刺激を受けた展覧会でした。
◼️ 小野不由美「鬼談百景」
学校、独り暮らしの部屋、古い家屋にトンネル。
読者の体験談をもとに創作された話だそうだ。短い篇が、数えてないけどおそらく百。不思議系な話も多く、よくよく考えたり、自分がその身だったらゾクっ・・ときそうなものばかりだ。
夜の学校。そもそも学校というのは怪談の宝庫というか、自殺があったり先生の不祥事があったり、多くの人が、好奇心旺盛な時期に通過する場所で、七不思議や伝説に事欠かない。普段多くの生徒でにぎやかだから誰もいないと妙に不気味だったりするし。この本にもいくつも出てくる。小学校の宿泊訓練や天体観測、高校のブカツの合宿の感覚を思い出す。冒頭の「未来へ」「増える怪談」なんかはコワイなあ。放送委員だったこともあって「開かずの放送室」は懐かしく印象に残った。
男女ともにアパート・マンションの独居はなにかとありそうだ。自分は特に大人になってから、そのへん鈍かったのかあまり思い出はない。独り暮らしの阪神大震災はホントに怖かった、という感想だけ。本書を読んで、いまこれらの話を知ってたら怖かったかもーと思っている。女の幽霊?がドアノブをガチャガチャ鳴らす「来訪」なんかあったらやばそう。
逆に小さな頃は、夜枕もとに誰か立っていたとか鏡を覗くと後ろに何かが映っていたとかめっちゃ苦手の怖がりだった。福岡・柳川市にあった母の実家は昔の商家で広く、いとこ親戚が集まると楽しかった。けれども異質な環境というのもあり、皆と並んで蚊帳の中に寝て、夜1人起きたりすると周りを見るのがいやで、でも見てみたくて逡巡して枕もと、足元や鏡を見てみる、なんてしてたなと思い出す。昔の家には襖の上に必ずあった「欄間」の篇や風呂場の怪「髪あらい」なんか思い出す感覚がある。
トンネルといえば、映画「犬鳴村」にも出てきた犬鳴峠で深夜クルマを降りてライトを消し、旧道のトンネルを歩いたりした。怖楽しい体験、また地元には広く伝わるタクシーの怪談があり、タクシーも出てくる車関連の怪、「トンネル」は合わせ技のような篇だなと考えた。両方のコワイ感覚。でも自分の楽しいの構成要素だったりする。「電話ボックス」「廃病院」なんかいかにもな話。
体験談がベースであり、いかにも自分が成していた日常生活の中で、ちょっと踏み越えたら突き当たりそうなものばかり。なんとなく尻切れトンボなのは余韻を残し、意味がつかめないと逆にリアルだ。演出が少ない話は身に迫るぞくッ・・がよけい増幅される気がする。小野不由美の作品は先日まで読んだことがなく、いくつもある手管の、ひとつの形かなと直感する。
先に「残穢」を読んださい、関連本と承知していたが読むのが遅くなってしまい、繋がりをあまり思い出せなかった。残念。とっておいていつか続けて読むことにしよう。
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