◼️「イクロ 私の宇宙(そら)」
インドネシア
【イントロダクション】
高名な天文学者を祖父に持ち、宇宙飛行士を夢見る少女・アキラ。宇宙をテーマにした動画コンテストがあり、優勝賞品は宇宙飛行士センターへの招待。アキラは女性宇宙飛行士で植物学者のスラヤ博士の存在を知り動画出演を頼み込むー。
★感想
バンドン工科大学が作った映画。インドネシアでは科学も宗教も同じように未知の領域を扱うものであり、積極的な推進策が取られているとのこと。
アキラはスラヤ博士の言葉で成長し、会話を宇宙での植物栽培に行き詰まっていたスラヤ博士もまた、アキラの熱意に打たれる。
アキラは恵まれた家の子。一方で、アキラに憎まれ口をきく男の子、ファウジは貧乏で、しかし優秀、家族思いのナイスガイ。奨学金を得て先の学校へ行くため試験に合格するが、自分のために都会で父親が苦労しているのを見て、学校に行くのをやめて田舎で商売を手伝う、と言い出す。実際お金のために父親は怪しいブツの運び屋となり逮捕され、アキラの父親の弁護士が釈放へ手を尽くす。
試験でコーランを美しい声で歌うファウジが印象的。
◼️「ハラール・ラブ(アンド・セックス)
レバノン=ドイツ
【イントロダクション】
3組の夫婦関係、オムニバス作品。
①やんちゃ盛りの2人の娘を持つアワーテは家事育児に疲れ気味。おまけに夫は毎晩求めてくる。アワーテははたと、第二夫人を迎えさせようと思いつき、若くきれいで従順なバルドーを連れてくる。
②親が決めた結婚、嫌な相手とようやく離婚したルブナーは、小さなブティックで働きながらの独り暮らし。さっそく意中の男と「一時婚」制度を利用して付き合う。さらに、オーストラリアに居る弟のもとで店を開くべくビザを申請していた。
③モフタールの夫バトゥールは、とんだヤキモチ焼きでキレ症。なにかと揉めてはすでに2回離婚している。2人は好き合っていてバトゥールのかんしゃくが収まるとすぐ元サヤとなる。イスラム社会では3回めの離婚はそう簡単に復縁できない。しかしまた嫉妬が原因で、ついに・・
★感想
①はコメディタッチ。第二夫人ボルドーは第一夫人の言うことに従順、決定権は自分にあり、アワーテは束の間の解放とマウント感を味わうが、すぐに危機感が忍び寄る。コーランでは第四夫人まで認められているが、充分に愛せない場合は一人にせよ、という意味の記述もあるそうで、それが意識されてそう。ただ、重心は家事育児すべて背負わされがちな妻、にあり、ここは万国共通かも。
「そんなに怒らなくても・・」
「怒ってないわよ!」
という会話もリアル^_^
②ブティックに勤める傍ら、いい男と付き合い、海外での将来も明るい展望が開けているルブナー。女優さんも妙齢の色気を発散し「いい女」を地で行っているが、やがてすべてが暗転する。「ハラール」は「合法」という意味のようで、母親から一時婚を責められたルブナーが「でも合法よ!」と言い返すときに発している。法を守っても社会的な白眼視があり、外国との関係性も微妙。ドラマに社会がほの見える。
③荒れ荒れだがやはりドタバタのコメディーと言えるでしょう。復縁するには元妻が一度他の男と結婚することが求められ、床入りしないと成立しない。バトゥールは金でダミー夫を用意するが、という話。バトゥールの言葉の端々に、コーランとイスラム社会の女性蔑視感がよく見える。
「イクロ」に比べると、ゆるゆるの作品。セリフも蠱惑的。夫婦関連の法律と社会をアダルト的にうまく演出していたかなと。
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