年越しは毎年テラスに出て、遠くの夜景の中にあるUSJの花火を見るのですが、今年は上がりませんでした。
◆表紙賞
オルハン・パムク「赤い髪の女」
眼を見せないのが無理っぽくも感じるけれど、博多の書店でこの本を見て感じた引力は忘れ得ない。「父性」という珍しいものがテーマ。ストーリー的にもひとつのような気もするが、パムクらしく、トルコ的で、時代を交差させ、テーマを浮かび上がらせたところはさすがだった。
◆めっちゃ啓発されました賞
・トム・ラス、ドナルド・O・クリフトン
「心の中の幸福のバケツ」
今年この理論と出逢えたことは幸福だった。苦労もすれど、人への接し方で自分への評価や風当たりは変わる、かもしれない。ひさびさに、救われた気分になりました。
・菅谷明子「未来をつくる図書館
ーニューヨークからの報告ー」
ニューヨークの図書館は企業するためのツールが揃い、また災害時には情報発信基地にもなるとか。日本ののんびりした図書館も好きだけど、目線はあってもいい、と新鮮な発想を見たような気分です。
◆美術賞
・中野京子
「名画で読み解く ロマノフ家 12の物語」
今年は思うように美術展も行けませんでした。思いっきり楽しんだのはバンクシー展くらいかなと。その分というわけではないですが、見返すと美術関連の本は多い。それぞれ印象深かった。
池上英洋 荒井咲紀「美少女美術史」
谷崎潤一郎「陰翳礼讃」
砥上裕將「線は、僕を描く」
大久保純一「北斎 HOKUSAI」
櫻部由美子「フェルメールの街」
「クリムト:世紀末の美」
榊莫山「書のこころ」
原田マハ「ゴッホのあしあと」
原田マハ「デトロイト美術館の奇跡」
原田マハ「太陽の棘」
原田マハ「異邦人」
西岡文彦「簡単すぎる名画鑑賞術」
その中で、ロシアの美術史ってあんまりなじみないけど大丈夫かな、と呼んだらロシア・ヨーロッパ史と絡んでだいぶ面白かった。特に女帝が。忘れないように賞。
◆文豪短編小説賞
・菊池寛「身投げ救助業」
出勤停止期間中には、変化をつけようといろんな作品を読んだ。青空文庫の短編も読んでみた。菊池寛の作風が良い方に意外だったのがこの話。成り行きとオチが上手で人の世の矛盾を感じさせた。
・芥川龍之介「南京の基督」
読み逃していた短編。これも話の展開が寓話のようで、それでいて芥川らしく黒く、信じるものが救われて終わる。まとまった話で心に残った。
◆古典賞
・「史記」
苦手だった三国志を去年克服し、今年は史記で項羽と劉邦をやっと理解。それにしても「史記」は故事の宝庫だねー。
・菅原孝標女「更級日記」
後輩からいいですよ、と聞いてはいた。ハデではないものの、人生の成り行きとして心に染みる。物語好きの少女は荒波に揉まれ、自分の人生を後悔して見つめる。でもどこかコミカル。
図書館の利用制限もあり、また今年は海外の小粋な短編集を指向し、あまり古典は読まなかったかな。
来年は詩経とか、未読の方丈記、紫式部日記あたりを読みたい。ホームズの原作英語読みにも挑戦したい。
また読むぞ楽しい本読み。
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