お盆の週、後の土日に帰省。初盆。法事の後糸島周遊ドライブ。芥屋の大門から海沿い、塩プリンを売ってるとこへ。学生以来か、覚えてないが、久しぶりに夏らしい風情を海で感じた。
塩プリン美味かった。すごい人気らしい。
◼️ハーバート・ジョージ・ウェルズ
「タイムマシン」
明るい話ではないが、やっぱり胸踊る。
H・G・ウェルズは若い頃に「透明人間」を、最近になって「宇宙戦争」を読んだ。透明人間はちょっと児童向けっぽい色合いが強かった憶えがあるが、どちらもなかなかよく出来ていて、愉悦に浸りながら読んだ。今作は1895年に書かれたSFエンタメの嚆矢的作品。シャーロック・ホームズが後の探偵像を決定づけたように、現在に至るまでのモデルとなった意味合いがある。まあいずれ出てたかもとは考えちゃったけど。
「私」を含めた文化人数人を招き食事会を催した「タイムトラヴェラー」は皆の前に傷つき薄汚れた格好で現れる。自ら考案開発したタイムマシンで80万2701年の未来に行って来たと言い、その体験談を語りだす。未来に着いた早々何者かにタイムマシンを盗まれた彼は途方にくれる。出逢った未来人「イーロイ人」は極端に小柄で童顔、無邪気で男女の性差が少なく、廃墟のような建物に集団で住み、闇を恐れていた。やがて彼はウィーナという女性と仲良くなり、イーロイ人が恐れている獣のような存在、モーロックに気付くー。
ヒント出すから息子に何読んでるか当ててみ、と持ちかけた。ちょっと昔の外国の有名な作家、ジャンルはSF・・と少しずつ言うが当然まったくわからない。「タイトルの最初は『タ』で6文字、じゃあ大ヒント、ドラえもん、5秒以内!」
「タ、タ、タケコプター!」
まあそうなるよね^_^
この小説に出てくるタイムマシンは座席があって、レバーと計器があって、とドラえもんのタイムマシンを逆に想像させるものだった。
未来の現実はなかなか明るくない。
光の未来人、闇の未来人と書き分けるし、ワクワクする要素は充分すぎるほどあるのだが、「透明人間」「宇宙戦争」と違って明確なオチ、回答はない。続きをたくさん書けるよね、というところで終わっている。まあ長きにわたってあまりにもたくさんの物語のベースになる話は想像力を掻き立てるくらいのほうがいいのかも知れない。
ウィーナの行方の謎なんかまさにto be
continuedものなんだけど、ちょっと情が薄いというか。
さて、「タイムマシン」自体はそんなに長くない小説なのだが、この本には補説とかウェルズとは、この小説の位置付けとは、ウェルズ年表と盛りだくさんで全体的には小難しい説明が多かった。知識もたくさん。
亜光速で宇宙を飛んだとして中に乗っている人の時間の流れは地上よりも遅くなるから、元の地点に戻った搭乗者は時間が早く進んだ未来の姿を見ることになる。これを浦島効果もしくはリップ・ヴァン・ウィンクル効果という。近年ニュートリノが光よりわずかに速く進むという実験結果がニュースになった際、アインシュタインを父とする現代物理学は根底から揺らぎ、空想世界の時間旅行の手段であるタイムマシンもほんの少し現実味を帯びてくる、ということでこの小説が注目されたらしい。未来へ向かう時間旅行は理論的には可能とされているらしい。
「リップ・ヴァン・ウィンクルの花嫁」ってここから来てたんだ。それに、もちろんアインシュタインの理論は知っていたが、未来への時間旅行が理論的に可能とは知らなかった。。いろいろエウレカである。
ディストピアっぽい色合いのある話。何事も原点を知ると気持ちがいい。興味深い一篇だった。
◼️椹野道流
「最後の晩ごはん かけだし俳優と
ピザトースト」
毎度うまくペースに乗せられる。うーん、ハマってるわ。
元イケメンタレントの五十嵐海里は女優とのスキャンダルから芸能界を追放同然の身となり、いまは兵庫・芦屋市の「ばんめし屋」で住み込みの料理修行をしている。眼鏡の付喪神で英国紳士の姿に化けられるロイドと店長で師匠の夏神とともに充実した日々を送っていた。ある日、後輩の里中李英から、著名な大御所的俳優、ササクラサケルの神戸公演に急遽出ることが決まったから読み合わせを手伝って欲しいと頼まれた海里はカラオケボックスで練習に付き合うが、そこへ芝居が好きらしい幽霊が現れるー。
小説家、淡海から「役者の道には戻りたくないかい?」と訊かれた海里は、自分の心に問いかけることになる。
そこを起点として、微妙に揺れる海里の心、直球を突っ込むロイド、思いやる夏神、芝居好きの幽霊の背景をゆっくり描いていき、全てを昇華させる。
クライマックスを生むアクシデントは出来過ぎで、まあそこは物語ということでってなもんだが作品全体の持って行き方は上手だな、と感心してしまった。日本のラノベのレベルは実はかなり高いんじゃないかと勝手に思っている。文化である。
芦屋の竹園の肉、新神戸オリエンタル劇場、さんちか、など親しんでいるところもたくさん。ビフテキをはじめカルボナーラもどき、デザートのセミフレッドなど美味しい彩りも散らしてあって、満足なのでありました。
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