写真は東京の定宿のひとつ、学士会館ホテルの朝ごはん。
このところ細かい仕事が積もってて時の経つのが早い。まったくサボってないとは言わないが特にこの週末は東京出張のためスピードを上げる。
いつも通りリュックひとつで1泊。スペースにあまり空きがないのが気になるが、まあいいかといつものように。東京は天気いいようだし折りたたみ傘は置いていく。
行きの新幹線で熊谷達也「まほろばの疾風」読み終わる。以前著者の「荒蝦夷」という作品を読んだ。東北蝦夷のヒーロー、アテルイの前、反乱を起こしたの呰麻呂(アザマロ)の話。これが権謀術数に優れ、残虐なこともいとわずのリーダーなのだが、面白かった。「まほろばの疾風」は呰麻呂のあと出てきたアテルイの話。呰麻呂の息子という設定になっている。
書かれたのは「まほろば」が先で続いて書いたわけではないが、セット、続きみたいな感覚がして、探して買った。さて、このアテルイものは、若き主人公がピュアに悩むものだった。正直甘っちょろい。まあまあ、対になってるな、と思いつつ読み終わり。
アテルイものは高橋克彦「火怨」上下巻ですべて描き尽くされているし、ことさら得るものはなかった。でもまたこのモチーフのものは買うだろうな。好きだから。
宵は昔の文芸仲間と席を持つ。やっぱめっちゃ面白い。こたえられない。作品に対しての意見の違いなんかとてもいい。詩を読む人もいて、多角的。文芸の夜、大いに楽しんだ。
ホテルに帰ってワールドカップのポーランド戦。スタメン6人入れ替えにびっくり。試合は裏カードのコロンビアーセネガルをにらみつつ、最後は負けている状態でボールを回し時間切れを待って終了。コロンビアがセネガルを破り勝ち点6で1位抜け。同勝ち点4の日本とセネガルはイエローカードなどで換算したフェアプレーポイントの差で日本が2位となった。裏カードでセネガルが追いついたら敗退だったからリスキーだったが、うまく結果が伴った。
批判もあるようだが、ドイツが落ち、アルゼンチンもギリギリの危機にさらされたグループリーグでこの状況では、中途半端な指示が最も危ない。それを西野監督は分かっていたのではないか。それよりもこの試合に臨んだ日本チーム、采配への意見を書いてみたい。
スタメン変更を聞いた時二兎ならぬ「三兎を追った」と思った。①主要メンバーの一部を休ませる②守備的な布陣で引き分けに持ち込みグループリーグを突破する。③サブメンバーを大会に慣れさせあわよくば自信をつける、という三兎。
①はやはり日程が厳しいから。第3戦は2試合同時キックオフで合計4試合を行うことから中3日となったが、これはプレイヤーズファーストではないだろう。間の日にちが動くとコンディション調整は難しくなる。しかも気温は異常に高いボルゴグラード。2位抜けとなったらまた中3日。日本は首位に立っていた。これが優位な状況でなければここまで大幅な変更はなかっただろう。グレードの高い大会では選手起用はデリケートな問題で、いきなり入って強い相手にすぐいいプレーができるものではない。思い切った起用だが、変えた枚数が多すぎたと思う。
②は、4-4-2として、なおかつ右のハーフに酒井高徳を置いたこと。攻撃時、ゴール前にクロスを上げても跳ね返される。となると2トップの狙いは前線から追い回す守備を想定していると思う。中盤1枚をサイドバック本職の選手にしたのはやはり守備に力点を置いていると言える。柴崎から狙うポイントを増やして、宇佐美が絡んで、という形を期待したのかも知れないが、実戦で試していない攻撃は機能しなかった。もちろん攻撃陣は張り切って動き回ったが、時間が経つにつれ迫力は薄れ、得点の匂いは最後まで感じられなかった。
うまくいかなかったから後半から大迫を早めに投入したが状況は変わらず。次のカードは乾。乾が左サイドで組んできた長友はいたが、ここまで中盤から攻撃を組み立ててきた香川と逆サイドの原口がいない中、単独で投入するのはどうかと、瞬間的に思った。パスをさばく柴崎はいるが、攻撃のディテールをコーディネートする選手がいなかったのだ。香川を休ませたいなら、なぜ本田でなかったのかと思う。どちらも休ませるのはちとぜいたくだ。
ポーランドの先制点は崩されたものではないが、これで相手は調子に乗ってしまった。日本が敗退に怖気づいているという心理につけ込んできたようにも見えた。日本は追い込まれる。裏カードがスコアレスドローに終わった場合は敗退となるからだ。もちろんポーランドのカウンターでもう1点取られたらジ・エンド。このメンバーでは得点は取れない。
結果は先に書いたとおり。薄氷だった。形は問わないしはっきりした指示は認めるべきもの。別に文句はない。なにせ突破しないと、6人を休ませた意味がなくなるから監督も必死だった。ただ先発メンバーから試合の采配については書いたとおり、いいとは言えなかったと思う。
でも、結果的に①は達成できた。大きなプラスである。マネジメントはよくなかったが、薄氷を踏んだ甲斐はあった。ただ、これまで通り主導権を持ってボールを保持しないと優位には立てないこと、使える選手は限られてくるというのがよく分かる試合だった。
次は縁を感じるベルギー。強い。しかし、6枚のスタメン変更は、ノックアウトステージを意識してこそのものだ。この意味は大きい。フルパワーで出し惜しみなくプレーして、ベスト8を勝ち取って欲しい。
東京はかなり早い梅雨明けとかで暑かった。宿の冷房は寒かった。でも切るとすぐ暑くなる。調整難しい。学士会館ホテルはトイレとお風呂が別で好ましい。昔のクラブ風のレトロな建物で、朝食がまたきれい。
帰り、名古屋を過ぎたら突然車窓の外が大嵐になった。午前は関西が暴風雨というのをテレビで見ていた。新幹線止まるなよ、帰り雨降るなよ、傘持ってきてないのにと思っていた。幸い京都を過ぎたら雨はやんだ。
東京よりも多少はましだが、湿度が高くて気持ちはよくない。帰りの山道はヒンヤリした風も吹いて、山に住んでてよかったと思った。