2014年10月27日月曜日

出張月

東京・関東出張月。これまでも書いているが、日帰り1回、1泊が1回、2泊が2回。およそ月の3分の1は東京にいる計算。実は来月もそうだったりする。

今回は雨が降って寒い日もあれば、日中暑くなったりで、ホテルにいても体温調節をしにくい感じだった。行動半径は狭かったので、その分は良かった。

忙しい時は、なるべく毎日を単調にする。残業でも、何時まで、と決めて、遅くまで残る日を出来るだけ作らないようにする。リズム良く忙しい日々を送る。というのがコツだと思っている。ストレスはたまらない訳ではないが、抜く余裕があるときに抜けばいいのだ。

先日は野球に詳しい方と晩御飯ご一緒した。酔っ払いながら好きなだけ野球談義をして・・いい息抜きになった。

ドラフト会議は、唯一の外れ外れ1位となった阪神だったが、結果的にいいドラフトをしたと思う。社会人3人の投手は、いずれも実力派。東都の強打者に、滋賀の高校生。即戦力候補を上手く使って、来年あたりは高校生の有望投手・野手かな。それにしても、日ハムはすごい。いい選手が集まっている。育てる自信も有るようだ。いいなあ。

東京六大学野球は、立教が久々の優勝に王手をかけ、今日は明治が意地の引き分け。後がない明治。しかし明日あさっては、明治優位な気もする。投手陣が分厚いし。

さて、体調を崩さないよう、早く寝よう。忙しい時は体調維持が最も大事。もうひと月、頑張るぞ。

2014年10月20日月曜日

テュリャテュリャ2

この2週間で、私の仕事はひとつのピークを迎える。だいたい毎年、2月にひとヤマ、春にひと山、夏に長めのひとヤマ、秋に一山から三ヤマで終了。ことしは秋は2つかな。

台風一過の月曜日、東京で会議。遅れを心配して早く行ったのだが、全く乱れは無かった。行きも帰りも寒い!台風過ぎて、季節が変わったようだ。これまで、最低気温18度、最高気温26度、といったところが、3度づつ低めになる感じ。着るもの悩むな。まだ20度超えるだけに。

火曜水曜木曜と朝から晩までぎゅう詰めに会社で仕事している間に阪神はファイナルステージ勝つ勝つ。こりゃ予想外の日本シリーズか?

金曜は朝から埼玉・浦和へ。移動中に東京で住んでいたところのすぐそばを通り感動。狭くて古かったスーパーのサミットがデカく新しい店舗に変わっていたからびっくり。埼玉は関東北部への入口、ってめちゃ寒い!今回寒暖差が激しそうだから、薄めの重ね着でちょっと暑いかな、と思っていたら夜寒い寒い。川沿いの外で、今季一番の冷えを体験した。遅めのごはん、赤羽駅前の大阪王将、餃子と炒飯食べてほっこりした。

翌土曜日は東京の西方、稲城市へ。昼間の仕事とあって暖かい。主に仕事する場所がガラス窓が天井まであるところで温室状態。外に出ると涼しい感じ。夜に東京在住時なぜか行ったことのなかったアメ横を初めて見た。

で、日曜日は朝4時半に起きて浦和に出動。寒さに慣れたので街中はさほどでもない。1日働いて、飛行機で大阪へ帰る。酷寒も経験して、なんか、長い間遠くに行ってたみたいな感覚に陥る。水曜からまた東京だ。まずは体力の温存から。早く寝よう。それが第一。

2014年10月13日月曜日

今度は19号

2週続けて台風の来襲となった。先週の強かった18号は暴風圏をかすめただけだったが、今回はど真ん中。ちょうど今ごろ、大阪市に上陸したはずだ。先ほどまでは雨だけだったが、かなり風が強くなってきた。

浦和と東京に出張して、3連休はきょうだこお休み。それが台風に当たる。まあ、家で家族と居ることができるのはありがたい。明日東京だけど、新幹線動くのかな。

この19号は、発生当初、900ヘクトパスカルまで中心付近の気圧が下がったため「スーパー台風」と言われ、宇宙からハッキリと台風の目が写っている写真が掲載され、一時瞬間最大風速は85mに達した。

しかし、ゆっくりと近付いて来ているうちに急速に勢力を落とした。いま20時30分ごろだが、19時のデータで980hp、中心付近最大風速は30m。淡路島付近に濃厚な雨雲があるそうで、先ほどまでは風は吹かず、強めの雨がずっと降り続いていた。

1回だけ、大きな稲光が走り、すぐ真上で家が震えるような雷鳴がしたけど、それっきりだった。あれはなんだろう?カミナリ様かな?

先週の台風は、雨は降らなかったものの、かすめたにしては、かなり風が強くて、大きなパワーを感じたものだった。今回はさほどでもない。でも台風の中心付近の通過は今年もう3度目。当たり年に過ぎる。

これを最後にしてくれよ、が正直である。以上きょうの記録終わり。写真は浦和のプラネタリウム。

2014年10月7日火曜日

台風記録

台風18号は、紀伊半島潮岬沖80キロを通過した後、やや勢力を落として浜松に上陸、神奈川東京を直撃した。

こちらは寝た後にかなり強い風が吹いていたようだ。暴風域の端に入った感じだった。でも直撃の前回の台風とはまたパワーの違いを感じた。今回台風の北側で、珍しいことに雨はほとんど振らず、風台風状態となった。

起きた時までは、暴風が荒れ狂い、こんな中学校も会社も行けんやろ、と思わせたが、朝8時に暴風域を脱するとやや弱まり、警報も注意報になったため息子出動。まだ強風域内で、小学生にはちょっと危ない。山だし。まあ本人はワクワクするのかさっさと出かけて行った。

私も出勤。山を降りて南側から見ると、山の方に低い、不思議な虹が出ていた。風は急速に収まり日中は暑さを感じるくらいだったが、帰りはまた、いわゆる吹き返しの風がチョー強くて台風本体並み。

街行く人に半袖はほぼいない。前日までは日中が暑いので、ポロシャツだけの人も多かったが、今日は厚めのパーカーを着ている人もいる。風が寒くて納得。

バス乗る駅前から道を渡ったダイエーまで広い歩道橋があるが、これが強風でぐわんぐわん揺れる。身の危険を感じて周りの人と走って渡った。帰りは地下道を通った。バス横転せんやろな、と本気で心配する風。帰りの山道も気をつけて登る。

きのう買ったチノパン裾直しを引き取って帰るが、タグ切って着てみると紺色の方の裾が思ったより絞れてなく、ちょっとショック。もひとつ買った濃い茶色は絞れてるのに。同じチノの色違い同じサイズでこんなこと有るんだねえ。

まいっか。夜中には風もようやく収まった。これでようやく台風一過かな。

2014年10月6日月曜日

買い物一考

朝までには過去10年最強クラスの台風18号が近畿に最も近づく。時折雨が降ったり、いやな風が吹いたりするものの、先ほどまでは、こんなに穏やかでいんだろか、くらいの天気だったが、 ぼちぼち強めの雨が来たようだ。取り急ぎ、この週末の報告をば。

土曜日。午前中から単独で外出。息子は塾。まず地元の無印良品に行って、チノパンを2つ購入。

仕事的に外で身体も使うので、パンツは消耗品。また、きれいなチノパンや黒のパンツだと、シャツと上着を着ればそれなりにも見える、ということも計算のうち。

消耗品イコール、あまり高いお金をかけないイコール、お手軽で安いユニクロが多くなる。

しかしながら、世の中にあまりにもユニクロ製品が出回り過ぎたために、最近では会社のタバコスペースで「それ、ユニクロでしょ。」と指摘されることもあり、またこちらが「あれ、ユニクロだ。」と分かることもあり、ちょっと変えてみようと、今回は無印(笑)。まあまず、ですな。人が少なくて良かったりする。

その後久々に三宮に行く。服の買い物目的で神戸に行くのはいつ以来だろう。どれほどユニクロに染まっていたかよく分かる(笑)。まあ東京はスーツだったしな。

まずはいつも行く、路地裏2階、ガラガラの店でナスベーコンピラフ。相変わらず味付けが粗っぽくて(笑)好きである。神戸に勤めていた独身の頃からのお気に入り。850円でサラダお茶デザート付き。東京のお店も見習ってほしい。

旧居留地、ちょっとおしゃれめの、以前よく行っていた店へ。今回は秋仕様で、はおるシャツ系もしくはごく薄い上衣を探しに行ったのだが、品のいい、きれいなシャツを気に入って値段を見たら、ユニクロ癖が・・。シャツ1枚に大枚は出せんなぁ〜。バナナリパブリックも回って、こちらは少し安かったが、もひとつだった。周辺の大きなタバコスペースが見事に消えてて愕然とする。

で、どうしようかと考えて、大丸の9階レストランフロアまで行ってタバコを吸い、トアウエスト&高架下巡りというステキな案を思い付く。

私は就職でこちらに来た頃、私服が大量に必要だったこともあり、ストレス発散もありで、休日に安物を沢山買い物して、両手に荷物を持って帰る、ということをよくやっていた。

トアウエスト、三宮から歩いてトアロードを少し上がり、左手に入ると、ごく狭い地域におしゃれな小店舗がいくつかある。飲食店あり、ファンシーショップや文房具店あり、そして服飾あり。私が若い頃に活況を呈した地域。よく立ち寄って、小さな店でセーターやシャツを買い、文房具店でヨーロッパ映画の絵葉書を買って帰ったりしていた。ちなみに奥さんとのファーストデートでもここのキャッシュオンデリバリーの店で晩御飯食べた。まだその店はあった。

ただ、地域が今も健在かというと、見る限り、底でもないが、活況ではないな、という感じ。今は海岸通りが旬というしね。今回は見学、と思ったし、目につく店も少なくて服は買わなかった。アニメのアドベンチャータイムのグッズがある店が目を惹いた。

そして、高架下。神戸は、三宮から、阪急JRが平行に走っている。その両方の高架下の細い通路に、あらゆる小店舗がたくさん入っている。帽子あり、靴あり、雑貨あり・・。値段の交渉も可能である。

会社に入ってしばらくしたら、残業も多くなり、必然的にお金が貯まった。社会人として余裕も出来てきて、遊び盛り。いいスーツも着たかったし、安物買い、特に高架下通いはすぐ終わった。

ぶらぶらと歩く。いかにも安物もあるが、基本やはり神戸はセンスがいい。やがて、七分袖のシャツに目が留まる。2800円。調子のいい店員さんが、2枚で5000円、とわざと声を低くしてささやく(笑)。乗ってやろう。オレンジと白で、30%麻。ただの長袖では暑い日が続いたのでいい解決案だし、この程度なら惜しくない。

これで勢いがついて、3軒隣ではグリーンベースのチェックのシャツが3900円。赤系は苦手意識があって、今回も買えなかった。でもはおり物欲しかったからまあ満足。ごく薄い上衣はスポーツ店に行ったほうが早いかな?

家に帰って読書。「ガリヴァ旅行記」ようやく読了。晩御飯は回転寿司。前は1時間待った店にすっと入れて不思議な感じ。夜は桃太郎SEASON6続き発動。取り急ぎガリヴァバージョンでリリパット、小人国での活躍。次のブロブディンナグ、大人国編に入ったところで息子夢の世界へ。

日曜日。ゆっくり寝た。息子は午前中からスイミングスクール振替。先日熱出したときの分だ。

犬たちとともにのんびりする。お昼はレタスチャーハンに餃子。お昼はなでしこリーグ中継を観る。日テレ対湯郷ベル。レギュラーシリーズ(10チーム総当たり)の1位湯郷、2位日テレ。始終強い雨の中の試合となったが、気迫のプレスと持ち前のつなぎのサッカーで湯郷ベルを圧倒した。前半から、湯郷と日本代表のダイナモ、宮間あやがボールを持てない。雨もあり、湯郷はチャンスもあって、決めれば流れも違ったが入らず。2-0で日テレの勝ちだった。

夕方ちょっと寝て、晩御飯食べて、息子が大好きな「逃走中」を観る。パパちょっと新たな本読書。桃太郎SEASON6ブロブディンナグ、巨人の国を脱出して、次のラピュタ編のアタマで就寝。余談だが、ガリヴァは不思議な国へ、望まずして辿り着くのだが、偶然去ることになったのは巨人の国だけだ。漂流の末救助されるが、その下りは面白いと思う。

で、いま台風情報を見ている。最接近まであと2時間半くらい。先ほどざっと強い雨が降ったが、いままた止み、時折風が吹くものの、まだ接近が信じられないくらい穏やかだ。

心配ではあるが、寝ることにしよう。

2014年10月5日日曜日

テュリャテュリャ

いつも週末記ぽくなってるので、たまには1週間を書いてみようと思い立った。

月曜日。新しく買ったダンガリー長袖にチノパンで会社。日中はかなり暑く、卓上扇風機回しっぱなし。しかし夕方からは涼しい感じに。室温の感じ方が微妙に変化している。

ランチはさわらの西京焼き定食。午後デスクワーク張り付き。私の場合退社時刻はバスの時間に密接に関係しているが、きょうはいつもの電車に遅れそうになる。

先週の月曜日の同窓会で、会社の近くに住んでいるという、初めて話した彼が「2週間以内に連絡するから〜」と酔っ払って言ってたが、やっぱり連絡は無い。あと1週間だなどと思う。(笑)

家でタイガースのサヨナラ勝ちを見て、夜は寝かし付けの際、桃太郎SEASON6発動。

桃太郎・・これまでホントに様々な話、外伝を考え、桃太郎一族は孫の代までキャラを作り出演させている。今回も先々は考えてないが、いまガリヴァ旅行記読んでるから、そんな展開にしよう。(笑)いつも行き当たりばったりだ。いつかまとめて本にしたいもんだ。

火曜日。前日が暑かったので、半袖シャツに麻のジャケットを着て行く。動くときは半袖でちょうどいい。

この日もデスク張り付き。昼ご飯は後輩に案内させたら、目当てのイタリアンが休みだったので、近くのよく行く餃子ランチしかない店へ。並が12個、大が18個。私並、後輩大。失敗したと言っていた。(笑)我々は読書男子同士で、ひとしきり本の話をした。

社内席替えがあるそうで、隣に人が来ることを提示されたが、その向こうの席も空いてるから、くっつくよりは、お互い広く座りましょうと言ったら、私のワガママでそうなったと触れ回る悪しき先輩たち。いじめだー(笑)。

日がな曇りで、過ごしやすい。帰ると息子が脚が痛い、と。小さな頃から頻繁にある脚痛、いわゆる成長痛。今回は正座のし過ぎだとか。もう1回風呂に入って温めながら揉みほぐせ、と指導。本当に良くなったとのこと。まあこれまでもこの傾向。頭寒足熱。この日はお話は無し。阪神負ける。あと1試合、勝つしかない。

水曜日。ポロシャツにジャケット。日中は日が照って暑い。ポロシャツ正解。この日はわさわさと動きがあったが前進せず。後、デスクワーク。急遽網走出張かも?と騒ぐ。可能性は数パーセントだろう。ランチは中華。麻婆豆腐と甘辛焼きそばと春巻きのワンプレートランチ。

色々な日程が決まってきて、書類仕事も多い。もひとつ乗れない日。

阪神最終戦に勝つ。なでしこアジア大会決勝で北朝鮮に負ける。攻めは教科書通りでバリエーションに欠け、守りは左サイドバッグのウラへカウンターを受け続ける。相手は左サイドバックの臼井の動きを見てそうしてるのか、新たに入ったメンバーだから、心理的なものも含めた作戦か。どちらにしろ正確なパスを出せる10番?が上手い。相手は国策でここ数十年女子サッカーを強化しているそうだ。まあ、来年のワールドカップに向けては、順当に優勝するよりは、危機感があった方がいい。世界の相手は今回の北朝鮮よりも強いんだから。デカい大会の前は苦戦したほうがいい、というのは、不思議ながら確率の高い法則だ。

寝かしつけて、少し夜更かし。「ガリヴァ旅行記」、楽しいが、理屈が多くて進まず。

木曜日。曇りで雨が降りそう。折り畳み傘持って行く。やはり半袖で十分。ポロシャツにカジュアルな上衣。ジーンズ。同じような日。網走出張なくなる。まあ残念半分だがちょっとホッとする。ランチは、鉄板焼き屋の美味しいハンバーグ。ソフトバンクとオリックスの決戦。途中まで見て帰る。バス降りる時、うっかり定期を落としてしまい、親切な人に拾ってもらう。

月について書きなさい、という宿題が出ていて、息子夏休みの自由研究を持って帰って来て写している。やっといて役に立ったな。最近はできるだけ早く寝るようにさせて、お話は無し。自分も爆睡。ソフトバンクが勝ったらしい。

金曜日。ポロシャツ、ジーンズ、麻のジャケット。昼はとんこつ極濃ラーメンと卵かけご飯というカロリー高めなメニュー。少しは動いたが、特に何もなしの日。帰りに週末用のお菓子を買う。ミックスナッツに、芋けんぴ。台風が近づいているという。ホンマに嫌だ。夜更かしして本読んでしまおうと思ったが、眠くて無理。一時期本当に毎日1時過ぎまで起きてて本読んだりネット見たりしていたが、最近は眠気に勝てない。

長くなったので、平日日記としてひとまずここまで。

2014年10月3日金曜日

9月書評の2

9月は気になっていた作品を読めた。「青い鳥」には心を揺さぶられた。

10月はまたランダムになりそう。11月はちょっとした企画を考えているが、うまくいくかどうか。1月はホームズ、8月は名作ミステリーと特集を張った。来年に向けて企画を考えよう。では後半!

西川美和「ゆれる」

いわゆる映画のノベライズである。「ゆれる」は映画に詳しい人たちがこぞって良かった、と言う作品。今回は、監督本人が小説として書き下したもの。ブックオフで通りがかりに見かけて、買ってみた。

母親の一周忌に、10年振りくらいに帰省した猛は、兄・稔が父親の後を継いで経営しているガソリンスタンドに寄る。そこで昔付き合っていた智恵子が働いていることを知り、誘って関係を持ってしまう。翌日、兄弟と智恵子は、連れ立って渓谷へ出掛ける。

各章、主人公の違う、独白で構成されている。猛、智恵子、父、伯父、そして兄・稔の独白が短く入る。この手法も最近実によくあるのだが、生な姿を晒せる上に、順番や数で仕掛けが出来る。

さて読んだ感想はというと、映画が見えない、ということだった。ものが動く時に、それを映像で表すのが映画で、そこには様々な映像音声的な仕掛けがあり、訴えたいものも違うのではと思う。原作の迫力は多少わかる気がするが、やはり見えないなー。

話としては、前に見た、小林政広監督の「歩く、人」によく似ているなと思った。あの作品は、逆に、造り酒屋を継いで父の面倒を見ている弟と飛び出した兄、という設定だったが。

映画は、脚色・演出の方法しだいという感じがする。小説としては、まあまず面白いが、その域を出るものではなかった。

北原尚彦
「ジョン、全裸連盟へ行く」

作者とタイトルで何か分かる方はなかなかの、作者名だけで分かる方はかなりの、シャーロック・ホームズファン。ここでは言ってなかったかもだけど、私はいわゆる「シャーロッキアン」です。

作者はホームズものをよく翻訳する方々のうちの1人。ジョンはワトスンのファーストネーム。全裸連盟、というのは赤毛連盟のもじり。

時代を現代に移した、ホームズとワトスンの冒険。短編それぞれが、原典を題材としていて、登場人物の設定や、話の筋をひねってあるとくれば、シャーロッキアンにはたまらないところだ。いちばん面白かったのは、「ジョンとまだらの綱」かな、やはり。「ジョンと三恐怖館へ行く」は少し本格的。

ホームズはスマートフォンを使いこなし、ワトスンはブログを書き、2人はタクシーに乗る。ガス燈、電報、移動は馬車、というのが原典なので、ほのかに違いを実感するが、メールがなんとなく電報を思い起こさせるから不思議だ。話の大方は少しふざけているし、意外な結末が多いし、シャーロッキアン的に笑えたりして楽しい。

この作品はシリーズになりそうなので、次回を楽しみに待つとしよう。いやーホームズ大好き。

ちなみに、このタイトルでクスッと来てしまうのがシャーロッキアン、ホームズ研究テーマのひとつになぜホームズとワトスンは長年一緒に暮らし活動しながら、ファーストネームでなく、ファミリーネームで呼び合っていたのか、というのがある。

当時の騎士道精神と大人のお付き合いを象徴している、と受け止める向きが多かったはずだが、個人的には、ファーストネームで呼び合うと、家族的、さらにはもっと進んだ関係を(苦笑)、呼び起こしてしまい、その歯止めになっているし、大事な構成要素とも言えると思っている。ただでさえ男二人暮らし。今回作品中で、少し辛らつ気味なハドソンさんも触れているが、ホモ疑惑は普通に言われているんだから。

毎年必ず、シャーロック・ホームズものは新たに市場に出て来る。最近特に、原典の新訳ブームだったり、日本でも「シャーロック・ホームズに愛を込めて」なんて発売されているので、需要があるんだろうなと思っていた。今回の短編は「ミステリ・マガジン」に掲載されたものがほとんどだが、同誌でホームズ特集をした回は発売即売切れだそうで、妙に納得した。

私はだいたい、常に4、5冊くらい積ん読しておくべく行動する。新刊を買ったり、ブックオフ行ったり、友人から借りたり。今月末までに読む本は揃ったな・・というところ飛び込んで来た感じの一冊。書店で発見した時は思わず「ほう」と声が出た。嬉しいハプニングだった。

舞城王太郎
「ビッチ・マグネット」

相変わらず高速思考、マシンガンのような文章。ただちょっとまとも?になってるのでびっくり。

芥川賞の選考かなにかで、石原慎太郎に酷評された、覆面作家舞城王太郎。今回は池澤夏樹氏絶賛の、新たな代表作と帯に書いてある。

香織里の父は浮気して家出、母はそれを気に病んで鬱状態。そんな中弟の友徳とは、高校生まで同じ布団で寝ている仲良し姉弟である。しかし友徳が、付き合う女の子絡みでトラブルに巻き込まれると、香緒里はクールに受け止めながらも、壊れ始める。

なんかこう書くと、弟を偏愛している姉の若干グロな物語?と誤解させてしまいそうだがそうではない。

人は確かに、場面場面では、ものすごいスピードで考え、心には色々な言葉が浮かんでは消え、さらに別な方面のことを「感じたり」するものだ。舞城王太郎の文章はそれを追ってたくさんの言葉を一気に連ねるから機関銃の連射のようになる。

これまで読んだ、「煙か土か食い物」などは身勝手で能力のある男が主人公で、同じような展開でバイオレンス感が目立ったが、今回は、普通気味の女の子が主人公で、別のテイストだ。

文章の展開は同じだが、行動は、いくつかを除けばあまり突飛すぎるものではなく、逆に恋愛や人生を定義したり、深く考えるものになっている。

あれ?もっと暴れる感じだったのに、と思い、またちょっと理屈が先に立つなという、ヘンな印象を受けた。ラストはなんかサガンの「悲しみよ、こんにちは」ぽいし。

東京出張の際に、しまった読む本忘れたと新大阪で買った本。薄いし、あっという間に読み終わった。それにしても恋愛論とは、印象が変わった。

高橋克彦「緋い記憶」

時を経て開く、記憶の扉。ファンタジー&ノスタルジックホラー。直木賞受賞作。

高橋克彦は、書評欄で、蝦夷の英雄と抵抗を描く「火怨」についての文章を読んで知った。その後、息子の寝かしつけに、様々な鬼ストーリーを思いつきで話してやっているうちに鬼に興味を持ち、「鬼」シリーズにはまった。

そしてミステリーを調べていくうちに浮世絵ものの「写楽殺人事件」を読んで、これは知識欲をくすぐるな、と次も読みたくなっている、という状況で、直木賞を取った作品にも興味が湧いた、という次第である。

そもそも私は、日ごろ「女子ものに近い小説愛好家」と自認していて、
サスペンスはともかく、ふだん警察小説やむごいもの、ドンパチものやチャンバラものはあまり好まない。

でも男臭さのある高橋克彦には不思議と惹かれるものを感じている。「火怨」や「炎立つ」や絵画ものは今後読んでみたいと思っている。

前置きが長くなったが、さて、「緋い記憶」。これは不思議なホラーもの。女性、少女をキーワードに
短編小説の主人公が過去の封印された記憶を思い出す、という、決して気持ちのいいものではない1991年の作品集だ。

もうひとつのキーワードは、作者の出身地である、岩手、盛岡などの東北の「みちのく」と呼ばれる地域。
他の受賞作に見られるように、ノッていた作者に直木賞を、という空気もあったのかも知れないが、ストーリーの流れがワンパターンであるにも拘わらず、明るくなく、ファンタジックな色もあるのに惹きつけられる部分がある。

あとがきでも触れられているが、女性、少女をキーワードとするのは、いい年をした男の本音の部分で
それを垣間見せていることが魅力のひとつなのかも。

ただ、シリーズ化されているらしいが、もう記憶ものはいいな、とは思った。

百田尚樹「海賊と呼ばれた男」(2)

本屋大賞。日本近代史的な向きもあり、面白かった。現代に繋がるな。

国岡鐵三は、小さな商社の丁稚から独立し、就業規則、出勤簿、定年の無い「国岡商店」という石油の小売店を立ち上げる。大東亜戦争を挟み、戦前、戦後の複雑な国際情勢を相手に、国岡は凄まじい勝負を仕掛ける。

戦前からメジャーと言われる石油会社がいかに市場を牛耳ろうとしたか、また国内の石油会社と官僚が、どのような事態を迎えたか、非常に興味深く読んだ。

当初のゲリラ販売から、外地への進出、戦後の苦しさ、そして次々と続く大勝負に優秀な参謀たち。ロマンあふれる大作で、実在の人物と会社を明らかにモデルにしていることから、余計に感嘆の度合いが増す。

途中ちょっとワンパターンになるし、片方の正義が余りに目立つ、まるでスーパーマンのようなエピソードばかりなので、どこに理があるのか複眼的な発想は持てない。

ただ、イギリスは中東に対し、かつて自国の利益誘導のために二枚舌を使った。アメリカも石油政策に関しては、きれいとはとても言えない手を使った。現在でも、最も米欧が神経を割くのが中東情勢で、それは原油があるからだと思う。

日章丸事件のくだりは痛快でドキドキする。スケールの大きな作品である事に変わりは無い。スカッとする感じだね。

重松清「青い鳥」

信じられない。最後の短編で泣いてしまった。これが計算されたものだとしたら、重松清は、戦略家もしくは、芸術家だ。

実を言うと重松清は、あまり読まない。既読は「季節風 春夏秋冬」の4冊と、「きみ去りしのち」だけ。現代で最も売れている作家の一人、という認識はあったが、「季節風」で、いい大人ツンツンさせる人、というイメージがあった。

あまり同じ手法もあざといし、「きみ去りしのち」はあんまりだったので、敬遠していた。

吃音の村内先生は、臨時の代用教員として短い間だけ学校に来る。それは寂しい生徒の、「そばにいる」ためだった。

今回人に勧められて読んでみたが、やられてしまった。何か、問題のある中学生の前に村内先生が登場し、解決していくハートフルな物語集。ちょっとニュース的な、都合良い感じにも見える場面を含みつつー。

実際最後の短編に差し掛かるまでは、好感は抱いていたものの、それほどでもなかった。それが、なぜか、なぜか、泣かされてしまった。「ふがいない僕は空をみた」のようだった。

ちなみに、8編の短編の中では、「静かな楽隊」が好きである。「進路は北へ」ほ小粋だ。それにしても、久々に、びっくりさせられた。

9月書評の1

書評上げるの忘れてた。今月は10作品11冊。作品的にも、まずまず面白かった。ではスタート!

白石一文「翼」

白石作品3作め。好みがどうこうは置いておいて、少し、分かって来たかな、という感じだ。

やはり恋愛、男女の話である。へっ?という感じから、深い感情に行き着く。えーそんなことあるわけないでしょ、から、はあー・・となる。落差を付けている設定が心憎い。舞台は、作者の出身県、福岡・.久留米と浜松と東京である。

光学メーカーのビジネスウーマン、里江子は、熱を出して訪れた病院で、10年振りに、友人である聖子の夫、エリート医師の岳志と出会う。

恋愛小説は、多くの我々世代の男性には、肌に合わない部分も多い。最初に読んだ作品「私という運命について」でも感じたが、相変わらず中盤はだらだらとした書き方だと思う。が、しかし、いくつかの言い回しが引っ掛かる。次第に明らかになるバランスの良いエピソードによって、結果的に、荒唐無稽とも言える論の展開を、そうなのかも、と考えさせるように持って行っている。

直木賞受賞作「ほかならぬ人へ」では抑えていた感があるが、おそらくこれが、本来の姿なのかも知れない。ちょっと春樹色もあるので、どこかで聞いたストーリー、とも思えるが。極端ながら、ミョーに心に残る読後感を覚える作品だ。人は孤独、というボトムは、やはり人を惹きつける仕掛けとして最適なのかも知れない。

2、3日の読書ものとしては最適かも。

京極夏彦「嗤う伊右衛門」

新解釈の四谷怪談。最後は迫力ありましたね。

京極夏彦は、デビューからしばらく人気で、薦められたこともあったが、当時は読まなかった。辛気臭そうで(笑)。でも、この作品がかなりポピュラーに売れたことは知っていた。京極夏彦にしては短いからか?(笑)

長屋に住み大工をしながら糊口を凌ぐ浪人、伊右衛門は、縁あって民谷家の娘、岩の婿になり、役の跡目を継ぐ。岩は病が元で、醜い面相となっていた。

四谷怪談に出てくる人々のキャラクターを、それまでとは全く違ったものにして、ストーリーの筋を通し、迫力を際立たせている。伊右衛門は、昔からの役回りは、道楽者であるが、今回は、融通のきかない、しかし仕事ができる真面目な男として出てくる。他の出演者も、この悲惨な物語においてもなお伸び伸びと、新しいキャラ付けを楽しんでいるかのようだ。

悪役がはっきりしているから展開が早いが、それが解決の恐ろしさを生む。悲惨な、狂気の、そして切ない物語。

このような発想を持ってるだけで、賞賛に値する。なかなか迫力に圧倒された作品だった。

筒井康隆「ロートレック荘事件」

名探偵が登場して、きれいなトリックがあって・・という形ではなく、叙述で、作者が騙しに来た作品。違和感は常にあるものの、フェアではない。しかし、作品に面白みを加える手段ではあるかも。

富豪、木内が、購入したロートレックの傑作を飾っている、巷間で「ロートレック荘」と呼ばれる別荘。集まった人々のうち、若い女性3人が次々と殺される。

けっこう夢中で読んでしまった。いわゆる「館もの」は、凝った作りだったり、内部の経路が複雑だったりするのだが、この作品は四角の建物で、全部の部屋を外側のバルコニーと内側の回廊が巡っているのでシンプルだ。

似たような物語を読んだ気もするが、ちょっとまあ、苦笑程度、テクニカルに過ぎるかな。また、動機が弱いというか、短慮である。だって、今は良くてもそりゃいつかは、と考えたことはいくらでもあるはずだし・・。あとは読んで下さい。

なかなか面白く、分かりやすい話ではあった。

道尾秀介「光媒の花」

道尾秀介ってどうなんですか?と聞かれた際、おおむね私は一言「暗い」と答える。暗いことに間違いは無い。それだけではないけれども。

山本周五郎賞受賞作品。笹の花、光、白い蝶、この連作短編集は、装丁も相まって、自然の明るさを感じさせることがほのかなテーマのようにも感じさせる。

最初のほうは、やはり、とりとめの内容に見える暗い話が続く。かと思うと、中盤以降は、道尾独特の暗さも無い重松清ばりの作品あり、どちらかというと明るいほうへ向かう。

もちろん各短編の中には、前に出てきた登場人物もいて、ちょっとよくある手法もあるが、読者の想像に任せる部分が多い。また、少しちぐはぐにも見える。

でも、暗くても、とりとめがなくても、なんか落ちるものを感じさせるのが道尾秀介。だから何冊も読むんだな。暗いけど。

柳広司「パラダイス・ロスト」

スパイの顔って、想像しづらい。意図的にそうしている、のだろう。おそらく。

今回も、面白かった人気シリーズ。日本陸軍で、「魔王」結城中佐によって率いられた諜報組織、「D機関」。異能を持ちズバ抜けて優秀な彼らの活躍を描く第3作。

時は第二次世界大戦、ドイツが快進撃し、日本がアメリカを攻撃する前夜のお話。ドイツ占領下のフランスで記憶を失ったスパイ、楽園と呼ばれたシンカポールに潜入したスパイ、日本に潜んだイギリス人スパイの逮捕劇、そして、ハワイに向かう客船で、イギリス人スパイをマークする日本のスパイ。

日英同盟が破棄され、イギリスははっきりと日本を敵と意識し、ドイツとアメリカとイギリスの微妙な関係性のベースに、緊張感のある物語が展開される。

知的であり、「死ぬな、殺すな」という旨のもと行動するスパイたちは007のごとく派手ではない。また、当然のごとく起きる誤算をも切り抜ける頭のキレ。さすがに超人的すぎてついていけないところもあるが、顔の見えないスパイたちの活躍は、ドキドキし、スカッとするから不思議である。