2020年3月2日月曜日

2月書評の5







お気に入りのパン。土日どっちかは食べちゃうなー。

世の中コロナ渦。ついに兵庫県でも私の住む自治体から感染者。休校の要請で学校は休み。期末テストも途中中止。図書館も人は少なめ。

Vリーグのファイナルは西田の活躍でジェイテクト初優勝。続けてドラえもんの映画テレビ放送を観ていた。

金土は寒く、この冬一番の厚着をした。なんとか早くコロナは終息して欲しいけど、検査を簡易にするというので感染者が増えるのは必至。うーん。かなわんな。

◼️島田荘司

「新しい十五匹のネズミのフライ」


シャーロッキアンもの。うーん・・エンタメとしては楽しめるかな。正直書きます。


「赤毛組合」はさらなる真相があった?さらに「四人の署名」のサディアス・ショルトーはワトスンとアフガニスタンで知り合っていた?ワトスンが戦争で受けた負傷箇所の食い違いは?また同氏の複数回結婚の謎は?


プロローグで質屋の主人と銀行頭取の不穏な会話からスタートし、ホームズとワトスンの出逢いである「緋色(ひいろ)の研究」をひもといてさらに複数の物語を絡めていく。

そしてバスカヴィル家の犬」の舞台、荒涼として不気味なダートムアで展開する活劇ドラマ。序盤は正直進まない。しかしさすがは大御所、活劇の部分はワトスン君、追い込まれまくり、大活躍、大恋愛。解説まで入れると660ページの大作なのだがサクサク読んでしまった。


シャーロッキアン的要素が随所に散らしてあり、相当好きな人が複雑な工夫を凝らして作ったエンタテインメント・パロディ、である。そこは間違いない。


ここから先は好みの問題。


私は島田氏のミステリはそれなりに読んでて、面白い推理小説は?と聞かれたら3つくらい挙げるうちに「斜め屋敷の犯罪」は必ず入る。御手洗潔は好きな探偵の1人。


しかし、実はホームズに対する島田氏の歪んだ愛情を含むパロディは笑い飛ばしてしまえない。


まあシャーロッキアンという言葉がある通り、学者を含む多くのファンがホームズ物語を分析するのみならず、多くの疑問を呈している。最もと頷ける指摘もたくさんあり、ドイルのルーズな部分も炙り出されている。それもまた大きな意味でシャーロック・ホームズの楽しみ方だ。



島田氏は著作等で、「まだらの紐」で蛇がミルクを飲むわけがない、精巧な耳などないのに口笛を合図に戻るなどあり得ない、などという指摘をちょっと過剰だな、と思えるくらい強めに書いているイメージがある。ホームズは麻薬中毒だった、という意識も強いようで、今作でホームズは完全におかしくなり精神病院で暴れ回る。それも楽しみではあるし、終盤救いはあるのだが。


正直今作でもまだらの紐、またか、麻薬中毒、またか、であった。ひつこい。とうの昔に世界中で言われてる。だからなんだ、そもそもホームズ物は推理小説というよりは物語だし、ホームズが世界中で愛されていることは揺るぎもしないし、私はそうではないが、常に「まだらの紐」は読者の人気No.1なんだから、と思います。今回「這う男」を駄作としている。確かに月日が経つごとに明らかにドイルのホームズ短編はパワーダウンするしネタも??の作品ではある。だけど、なんか、あまり有名じゃないけど、この短編はおかしいじゃないか、と言ってやりたいみたいな意図を感じるな。


ついでにもうひとつ。同氏、「緋色の研究」の「緋色」に「ひしょく」とルビをふっている。ホームズ関連翻訳の経験が長い日暮雅通氏は今作の解説で「ひいろ」とまたわざわざルビをうっている。対象の作品「A Study in Scarlet」は記念すべきホームズ初作ということもあって注目度も高いが、面白いもので、研究者の中には本来の意味を考えて「緋色の習作」とする人もいる。なにかと日本語的にいろいろあるのね、とクスッとなってしまう。


他の人は知らないし、この作品のタイトルについて話をしたことはない。私的には「ひいろのけんきゅう」がタイトルとして一番カッコいいと思っている。


こうして書くと、どうでもいいことも多いな(笑)。


ホームズ物語を繋げて大掛かりで面白いエンタメにしたのは見事。ただ、各作品の裏の物語のはずが表にも近くて、どうしたいのかよく分からない部分があったり、大ネタも、ちょっと、なんだ、感があって、腑に落ちなかったのでした。





◼️「文豪ナンバーワン決定戦」


文豪特集や文学史を読むほどに自分は読んでないなあ、なんて思う。また興味が湧いた!


幅広い層へのアンケートをもとに、1位から50位までを決めた本。上位は概ね有名な文豪が占めている。10位は坂口安吾、同点の6位に三島由紀夫と太宰治、5位は意外に大岡昇平、芥川は4位、3位はなるほど幅広くポピュラーな宮沢賢治、2位は夏目先生、では1位は?私的には少々のサプライズだったかな。「好きなんですよ〜」と私に語った方もいらした。


あまり幅のないのも多少の自省はするが、私淑する川端康成先生は15位。うーん、「伊豆の踊り子」、やっぱりの「雪国」、「古都」あたりまでは名高く、「片腕」や「眠れる美女」は好む方もいるが、広く一般的ではないかも。個人的には「美しさと哀しみと」のように完成度は高度でないが、恋情を切々と語る作品が好きだったりする。短編集「愛する人達」とか、なんつっても「山の音」とか。


その川端は美文ランキングでは1位。その他面白さランキング、思想性ランキング、独自性ランキング、読みやすさランキングなど総合評価以外の企画ものも面白い。恋多き人生、固い美学、エッセイの達人、若者に愛され度といったさらなるミニ企画もある。身勝手男1位は島崎藤村。トーソンさんひどい人だったのね・・。


自分でも作っちゃうグルメランク1位向田邦子の手料理味わってみたかった。ムリだけど。妹さんが出している「向田邦子の手料理」という本には興味ありあり。


幸田文や山本周五郎のエッセイ、獅子文六のおもしろ小説、林芙美子「風琴と魚の町」、門弟三千人の佐藤春夫「田園の憂鬱」、安部公房にもやっぱり少し惹かれるな。


大谷崎ももっと読みたい。1位だしー!

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