◼️村上春樹「パン屋再襲撃」
前に読んだ「東京奇譚集」などで短編集には好感を持っていた。「ノルウェイの森」直前に出た短編集。んー若い色、って感じかな。
*「パン屋再襲撃」
wikiで見ると「パン屋襲撃」という作品もあるらしいが私は知らない。若い夫婦が夜中に猛烈な空腹感に襲われ、パン屋?を文字通り襲撃する。オマージュ的には味わえなかったがアニメのようなトンデモ成り行きで、なんで?という誰もが持つ疑問も計算でしょう。
*「象の消滅」
町で飼っていた象が忽然と消えた。ミステリ的に見ると魅力的なネタと進行だけれども、ミステリではない。ふーむ。
*「ファミリー・アフェア」
下ネタを猛然と言い合う同居の兄妹。妹が結婚相手として考えている男に会ったずぼらな兄は・・これもオチのようなものはないが、どこか微笑ましい。
*「双子と沈んだ大陸」
たぶん「1973年のピンボール」で主人公が同居していた双子の姉妹を見かけた話。喪失感が主題なんだろうな、と思う。事務所の隣の歯医者の受付の、のののの、笠原メイが気さくでキュート。
*「ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界」
長いタイトルの一つ一つは劇中の平和な日曜日、電話からする風の音、メリル・ストリープの映画から想像している。家で日記をつけている男。ラストのガールフレンドとの会話がいいオチだなと。
*「ねじまき鳥と火曜日の女たち」
失業中の男、妻は働きに出ている。家でスパゲティーをゆでている最中、知らない女から変な電話がかかってくる。「十分間時間を欲しいの。」
これは夫婦関係の微妙さが主題のようでもあるが、男の社会的な意味、というのを考えているような気もする。本文中にあるように、女がらみの出来事が次から次へと起きた「出鱈目な一日」。前の作品と違ってあまり楽しいラストではない。
以前、舞城王太郎を読んだときにも感じたことだが、人はちょっとした出来事にも好きな曲を想い出したり、過去をフラッシュバックさせたり、変な印象を抱いたり、それこそ一瞬にして色々なことを考える。それを言葉にしたような向きもある。
それにしても、よくこんな設定と変わったストーリーを考えるもんだと妙に感心してしまった。なんてことない一日に、ちょっと普通ではないことが起きる。音楽や酒のテイストはいつもの感覚で、微妙に効く要素を撒いているようにも見えるが、あまり深く考えなくていいのかもしれない。なんというか、「小説らしい」遊びの心がある、とでもいう感想だ。
面白いか、と言われれば興味深くはある、というところかな。
◼️中条省平「世界一簡単なフランス語の本」
たしかに、すこーし分かるようになったかな。
かつてフランス映画をたくさん観ていながら、パリにも旅行に行きながら、そういえばフランス語そのものにはあまりにも関心がなかった。しかも映画も旅行もだいぶ前のことになっていたからもうホントに真っ白な紙、おろしたてのスポンジ状態、って微妙にいい方向に持ってったりして^_^
大学の第2外国語もドイツ語だったし、ともかくエクスキュゼモワとアンカルネシルブプレしか覚えてない状態で読み始めた。
まずは読みの基本。語尾の単独の子音とeは発音しない。eは音節の切れ目でも発音しない、uはユ、ouもeuもウ、ai、eiはエ、au、eauはオ、oiはワ。
このへんは覚えやすいのでそれなりに例文読めるように。まあ読ませるための例文なんだけど、文法より前に読みというのは気分がいい構成。
mersi beaucoupでメルスィ・ボク。
Europeはウロプ、通貨euroもウロ。
toilleteはトゥワレトゥ。
ふむふむ。あまり詳しく書くとだいぶ長くなる。
読みを長めにやった後、噂に聞く男性名詞、女性名詞、定冠詞、不定冠詞、部分冠詞、形容詞の男性形、女性形、動詞などへと入っていって最終的には過去形、未来形まで行くが、著者が言うようにフランス語は論理的な文法で、整理されている、という印象は受けた。なんというか、必要なことをギュッとつめてシンプルに書いてあるし。
シャーロックホームズにはペル=メル街というロンドンのストリート名がよく出てくるが、ペルは父、メルは母とわかりちょっと感動。知らんかった。
各章の最後に、出てきた文章が羅列してあって復習。出典のページを書いてあるのでやりやすかった。結構まじめに見直しました。
最後の方はやはりダダダっと詰め込み感があるんで、読んでる時は分かるんだけど覚えているかといえばついて行けず。はい。
ただコンプレックスというか、フランス語に対する特別感、敷居の高さはクリアできたかな、いやそりゃそう簡単なものではないだろうけど、いい勉強だった。
フランス語講座の本でも買ってみようかな。
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