最近花の写真を撮っては画像で花の名前を教えてくれるアプリで遊んでいる。精度は悪いな。画像のマッチングは難しい。前回がスイカズラ、その前がたぶんノイバラ。今回はオオキンケイギク。実はいま個人が栽培してはいけない。これは自生と思われるもの。生育力が非常に強く、ほかの植物の名前が育つ環境を奪ってしまうため、駆除対象ともなっているとか。
◼️長野まゆみ「夏至祭」
棠梨(ずみ)にびっくり。季節感が合った。
「らしい」ミニマムなファンタジック童話。先が気になる。
あっというまに暑くなり最高気温は30度超。夏至はもう少し先だが、読む気分は時節にマッチしている。
長野まゆみは、宮沢賢治風ともいえる寓話「少年アリス」で固定の読者を得たとどこかに書いてあった。今作は初期の作品で「アリス」っぽい。
中学生の月彦は学校の帰り道、まっくらな林の空き家に灯がともっているのを見る。近づいてみると少年が2人住んでいて、月彦をすぐに見つける。黒蜜糖と銀色という名の2人は、お祭りのようなある集会に参加するために来たが、必要な羅針盤をなくしてしまったと話す。月彦は、亡くなった祖父からもらった羅針盤付きの腕時計を持っていたー。
だいたい話のゆくえは予測がつくが、どんな風に展開されるのか、先が気になる。少年たちのふれあいや食事、お茶、果実酒、祖父の単を仕立て直した月彦のシャツ、不思議なお祖母ちゃんなどの演出が独特の世界を作り上げる。月彦はお祭りに参加、そして最後にはオチもつく。「アリス」より童話色が強い感じだ。
今回得意の鉱石はあまり出なかったが、満天星、芍薬、待宵草、疼取(いたどり)、野茉莉など植物がむずかしい読みと相まって物語の幻想度を盛り上げる。
そして、物語に重要な意味を持つズミ。先日犬の散歩の山道で鈴生りの白い花を見つけ、どうもズミらしい、とweb調べで分かった、ということがあったんで少しびっくりした。山に咲くバラ科リンゴ属の白い花。読む本と季節感を合わせたことが生んだ暗合だなと嬉しくなった。
長野まゆみはバラバラにしか読んでいない。「鳩の栖」「カンパネルラ」のような肉親の情のもの、より美少年色を強めた「天体議会」「夜間飛行」、さらに賞を取った葬儀もの「冥途あり」などその作風はさまざま。でもしっとりと築かれる独自の世界は築く好みの1つだ。
多作の、特徴ある作家さん。まだまだ楽しめそうだ。
◼️篠宮あすか
「あやかし屋台 なごみ亭2
金曜の夜は風のお祭り」
博多中洲の屋台が舞台のご当地ラノベ。今巻はかしわめしに感情移入でうるうる。
金曜日だけ開店する屋台、なごみ亭ー。27才の女店主・椎葉なごみ、客引きの狐のあやかし・コン、大学3年のアルバイト、木戸浩平で営んでいる。コンが連れてきたワケありの客の希望に応えてなごみが料理を作る。冷たい秋風が吹く日、黒い身体に赤い頰の小鳥、天狗神の眷属アカマルが訪れて、お子様ランチを作って欲しいと頼む。
季節は秋、アカマルのほか、カマイタチのスイ、精霊風のベニ、風狸のキン・ギン・ドウの3兄弟と風にちなんだあやかしが次々となごみ亭を訪れる。そして小さな女の子のために、命を救ってくれた女性のために、風邪をひかせた自分にお礼を言った少年のために、なごみに料理を注文する。ほのぼのとしたストーリー集。
そして「ハーブの園に、かしわめし」ではアカマルの主人の天狗神が、想い出の味のため、かしわのおにぎりを頼む。
ここ3カ月続けて福岡に帰って、いろんな写真を撮ってきたが、忘れたな、と思ったのはかしわおにぎり。福岡のうどん屋にはふつうにあって、この間よく食べただけになおさらだった。全国のコンビニでも、鶏五目ほか諸々の名称で似た感じのおにぎりを売っていると思う。かしわめしとは、鶏肉、刻んだごぼうその他を一緒に炊いた、しょうゆの炊き込みごはん。大好きである。
そこに天狗神の初恋の話が絡む。相手は秋月のハーブ園で出会った女性。美しく強く儚すぎる話。人生は一回きり。もはや過ぎ去って戻らないこと。ホロリときてしまった。
変わらずどうもテンポがずらされているような文調、主要登場人物たちの人間臭さが出てこない感じがある。コンは過ぎるほどにスーパーだし。今回は具体的な地名も出てきたし、ストーリーも仕掛けも少し工夫が見られてシリーズ初巻よりは好きになったかな。
「もし満足せんでも、変化させることはできると思うっちゃん」
「俺さ、こどもんときによく風邪ひきよったっちゃんねー」
「嫁にげなやらんばい!」
もはや博多弁はしゃべれないが、福岡に帰ると言葉が移る。関西や関東で暮らすと、いかに自分の土地の言葉が方言色が強かったかよく分かる。地方ラノベは方言ベタベタでOK。ちなみに福岡南部から熊本では「(わざわざ)〜する」というのを「しよらす」というが、しよらすとよ、なんて女性が使うと可愛らしい。誰が熊本のラノベも書かんかな、なんて。
まだシリーズ続きがあるようなんで読みたい。屋台行きたいな。
◼️長野まゆみ「夏至祭」
棠梨(ずみ)にびっくり。季節感が合った。
「らしい」ミニマムなファンタジック童話。先が気になる。
あっというまに暑くなり最高気温は30度超。夏至はもう少し先だが、読む気分は時節にマッチしている。
長野まゆみは、宮沢賢治風ともいえる寓話「少年アリス」で固定の読者を得たとどこかに書いてあった。今作は初期の作品で「アリス」っぽい。
中学生の月彦は学校の帰り道、まっくらな林の空き家に灯がともっているのを見る。近づいてみると少年が2人住んでいて、月彦をすぐに見つける。黒蜜糖と銀色という名の2人は、お祭りのようなある集会に参加するために来たが、必要な羅針盤をなくしてしまったと話す。月彦は、亡くなった祖父からもらった羅針盤付きの腕時計を持っていたー。
だいたい話のゆくえは予測がつくが、どんな風に展開されるのか、先が気になる。少年たちのふれあいや食事、お茶、果実酒、祖父の単を仕立て直した月彦のシャツ、不思議なお祖母ちゃんなどの演出が独特の世界を作り上げる。月彦はお祭りに参加、そして最後にはオチもつく。「アリス」より童話色が強い感じだ。
今回得意の鉱石はあまり出なかったが、満天星、芍薬、待宵草、疼取(いたどり)、野茉莉など植物がむずかしい読みと相まって物語の幻想度を盛り上げる。
そして、物語に重要な意味を持つズミ。先日犬の散歩の山道で鈴生りの白い花を見つけ、どうもズミらしい、とweb調べで分かった、ということがあったんで少しびっくりした。山に咲くバラ科リンゴ属の白い花。読む本と季節感を合わせたことが生んだ暗合だなと嬉しくなった。
長野まゆみはバラバラにしか読んでいない。「鳩の栖」「カンパネルラ」のような肉親の情のもの、より美少年色を強めた「天体議会」「夜間飛行」、さらに賞を取った葬儀もの「冥途あり」などその作風はさまざま。でもしっとりと築かれる独自の世界は築く好みの1つだ。
多作の、特徴ある作家さん。まだまだ楽しめそうだ。
◼️篠宮あすか
「あやかし屋台 なごみ亭2
金曜の夜は風のお祭り」
博多中洲の屋台が舞台のご当地ラノベ。今巻はかしわめしに感情移入でうるうる。
金曜日だけ開店する屋台、なごみ亭ー。27才の女店主・椎葉なごみ、客引きの狐のあやかし・コン、大学3年のアルバイト、木戸浩平で営んでいる。コンが連れてきたワケありの客の希望に応えてなごみが料理を作る。冷たい秋風が吹く日、黒い身体に赤い頰の小鳥、天狗神の眷属アカマルが訪れて、お子様ランチを作って欲しいと頼む。
季節は秋、アカマルのほか、カマイタチのスイ、精霊風のベニ、風狸のキン・ギン・ドウの3兄弟と風にちなんだあやかしが次々となごみ亭を訪れる。そして小さな女の子のために、命を救ってくれた女性のために、風邪をひかせた自分にお礼を言った少年のために、なごみに料理を注文する。ほのぼのとしたストーリー集。
そして「ハーブの園に、かしわめし」ではアカマルの主人の天狗神が、想い出の味のため、かしわのおにぎりを頼む。
ここ3カ月続けて福岡に帰って、いろんな写真を撮ってきたが、忘れたな、と思ったのはかしわおにぎり。福岡のうどん屋にはふつうにあって、この間よく食べただけになおさらだった。全国のコンビニでも、鶏五目ほか諸々の名称で似た感じのおにぎりを売っていると思う。かしわめしとは、鶏肉、刻んだごぼうその他を一緒に炊いた、しょうゆの炊き込みごはん。大好きである。
そこに天狗神の初恋の話が絡む。相手は秋月のハーブ園で出会った女性。美しく強く儚すぎる話。人生は一回きり。もはや過ぎ去って戻らないこと。ホロリときてしまった。
変わらずどうもテンポがずらされているような文調、主要登場人物たちの人間臭さが出てこない感じがある。コンは過ぎるほどにスーパーだし。今回は具体的な地名も出てきたし、ストーリーも仕掛けも少し工夫が見られてシリーズ初巻よりは好きになったかな。
「もし満足せんでも、変化させることはできると思うっちゃん」
「俺さ、こどもんときによく風邪ひきよったっちゃんねー」
「嫁にげなやらんばい!」
もはや博多弁はしゃべれないが、福岡に帰ると言葉が移る。関西や関東で暮らすと、いかに自分の土地の言葉が方言色が強かったかよく分かる。地方ラノベは方言ベタベタでOK。ちなみに福岡南部から熊本では「(わざわざ)〜する」というのを「しよらす」というが、しよらすとよ、なんて女性が使うと可愛らしい。誰が熊本のラノベも書かんかな、なんて。
まだシリーズ続きがあるようなんで読みたい。屋台行きたいな。
0 件のコメント:
コメントを投稿