◼️砂田弘「坂本竜馬」
どのレベルで何度読んでも、爽快だ。
児童向け伝記。子供の部屋で見つけて手に取った。身体も気も弱くて、勉強もダメだった竜馬。しかし姉の乙女に鍛えられ、やがて東京の剣術道場でも免許皆伝の腕前となる。
時は幕末、ペリー率いる黒船が現れ、攘夷派武市半平太の土佐勤王党、公武合体派に開国派と国論が割れきなくさくなった世相の中、土佐を脱藩するー。
紙で読むのはずいぶん前の、黒鉄ヒロシ「坂本龍馬」以来。当然なのだが、ほぼ同じエピソードをなぞっていて、思い出しながら読んだ。もちろん大河ドラマは見ていた。
川田小竜との会見、斬ろうと思って訪ねた勝海舟への弟子入り、西郷との出逢いと付き合い、高杉晋作からもらった銃、亀山社中、外国→薩摩藩→長州藩の武器購入、長州から薩摩への米のお返し、薩長同盟、寺田屋で襲われた際、風呂に入っていたおりょうが裸で知らせに来たこと。おりょうとの新婚旅行。
そして海援隊の結成から、いろは丸事件、船中八策、大政奉還、そして近江屋での・・。
近年の研究の結果、龍馬の立場が違ったとか、そんなに大活躍はしていない、という論もあるらしい。黒鉄ヒロシ氏はヒーローはヒーローのままでいい、というようなことを確か書いてたが、まあ賛成かな。
幕末は好きで、関連本を読み込んだ時期があった。たまには読み返すのもいいものだ。車で四国一周をした時、桂浜で龍馬のポスターを買って長らく自室に貼っていたのを思い出した。
◼️椹野道流
「最後の晩ごはん 黒猫と揚げたてドーナツ」
ペットがらみはやっぱ感涙。
今月2冊めのこのシリーズ。たまたま本屋に未読のものがあったから続けて買った。
兵庫・芦屋市の「ばんめし屋」で料理修行中の五十嵐海里は店長の夏神、眼鏡の付喪神の相棒、イギリス紳士姿のロイドと京都へ旅行する。帰った海里は後輩に頼まれ、店の休みに遺品整理のバイトを手伝うが、部屋の主人が飼っていたらしい黒猫の幽霊がついてきたー。
霊になるということは未練を残しているということ。海里、ロイド、夏神、そして常連客の小説家・淡海も一緒になって解決策を考える。
やっぱりペットと飼い主の絆は泣けてしまう。私も物心ついたころからずっと犬を飼い、死を見てきたからなおさら。
読みながら、ひょっとして昔飼っていた犬の霊がすぐ近くにいるのかも、なんて考えた。
月日の流れは早い。想い出は強い。生き物であるペットは人の心に忘れられない印象を残す。思い出す時、去り行き積み重なった月日の遠さを、人は悟るのではないだろうか。
ドーナツも、たくさんの人に自家製のものを食べた記憶があると思う。売っているフカフカのやつではなくて、固い油っ気のあるもの。途中出てくるそぼろ弁当や海里のお手製テキトー(笑)サンドイッチも面白い。くすぐられるものがある。
霊を待つ場所も、住んでるとこの近場だけあって想像できた。ちょっとしたトリックも興味深い。
料理、幽霊の謎、動物への情にバラエティに富んだ登場人物たちの個性が絡み、すらすら読めて満足させる地元もの。いい感じのラノベ。
まだ読んでない巻に出会うのが楽しみだ。でも楽しい時が長くなり、そろそろ終わりそうな予感もする。
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