2018年7月8日日曜日

歴史的





木曜日、夜。大雨が降り続いている。梅雨前線は西日本の真上にあってざんざん降り。朝行くときから傘さしてても靴の中とズボンの裾はびしょ濡れ。はやばやとJR宝塚から三田の間が終日運休となり、有馬の山越えバスはストップ。行きも帰りもなんとか電車バスとも時間通りに来たけれど、帰りのバスは山越えが止まったのでその分人が多く、迎え車で道が混んで遅れた。バス停からはまあ慣れてるが嵐の中傘を支えて山道を辿り着く。


「歴史的豪雨」だそうだ。かなわんな。いろんなことがありすぎる。地震にスーパー豪雨。天災は容赦なく来る。もう勘弁してほしい。交通の混乱がかなわん。規則正しい生活を送りたいわー。


サッカー日本代表はラウンド16で散った。後半アタマに2点リードしたときは勝った、本当にベスト8だ、という気持ちでいっぱいになったが、なんと後半だけで3点を取り返され逆転負け。決勝ゴールはアディショナルタイムぎりぎりのスーパーカウンター。衝撃的だった。


現代表の旅の終わり。いつもの虚脱感に浸っている。よくやった。今のメンバーのこのサッカーをずっと見ていたかった。


あれこれと報道があり、概ね言いたいことは出ている。2002年のラウンド16はボーナスで勝つ気が薄かった。2010年は超守備的なサッカーだった。今回は、このスタイルが日本のサッカーではないか、日本人の特性を生かす戦い方だ、というのを示すことができた大会だったと思う。この意義は物凄くでかい。グループリーグを抜けるだけでも激闘の連続。分かっていたが改めて簡単ではない。しかし次は2大会連続での決勝トーナメントを目指すべきだ。


世代交代は進み、メンバーは大幅に切り替わることだろう。でも私は楽観的だ。中田英寿や中村俊輔がドイツで負けたとき、この先どうなるんだろうと暗澹たる気持ちだったが、ちゃんと本田や長友が出てきたじゃない。


悔しいのが嬉しい。次の4年間に新たな灯火が見えた。


金曜日はJRは電車を減らした。どうなることかと思ったが最初の1本はぎゅうぎゅう。見送って、すぐ次が来た。楽な場所に立てた。着く直前はちょっと混み混み。でも楽な方。


午後から続々と電車が止まり始めたので会社からおふれが出て早々に退社。バスの時間に余裕を持って着くべく出たが、帰り着くまでいつもの2倍の時間がかかった。電車はひと駅ずつしばらくストップ、バスは30分も来なかった。


土曜日、もう雨は激しくはない。どうしようかと思ったが朝から出かけた。図書館とブックオフ。目当ての本見つからず。山越えバスはまだ運行停止。バスも電車も外出してる人自体が少ない。夜、また降り出したと息子が言う。不安が兆しているようだ。親はなるべく何事もないように振る舞う。


日曜日は朝から晴れ、ひさびさに傘を持たず出掛ける。土曜日と同パターン。ハイキューーの新刊買って、ブレンディのブラック買って、ブックオフでは1000円以上買ったら500円引きクーポンを利用して買い物。


カズオ・イシグロ「忘れられた巨人」

西岡文彦「ピカソは本当に偉いのか?」

芥川龍之介「羅生門・鼻」


でほぼ1000円。カズオ・イシグロの新刊文庫は当面価値下がんないだろうからこの機会に。まあまずの感じかな。


「万引き家族」観た。


カンヌ映画祭パルムドール。これまで観たパルムドールは「愛の風景」「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「パルプ・フィクション」「永遠と一日」「息子の部屋」「麦の穂を揺らす風」「オール・ザット・ジャズ」「地獄の黙示録」「シェルブールの雨傘」てなとこ。


「万引き家族」はこのどれにもない、ズゥン、と重いものを私の心に残した。


ネタバレです。これから観る方は読まない方がと思います。


立ち退きを勧められている一軒家に、夫婦と妻の妹、年老いた母、そして少年が住んでいる。ろくに働かない夫は少年に万引きをさせていた。妻もパートのクリーニング店でネクタイピンを盗んだり、老母もパチンコ店で他人の玉を使ったりと皆良くない手グセの大人たち。若い妹は女子高生ライト風俗に勤めている。そして夫と少年は凍える寒さの中いつもマンションのベランダに締め出されている少女を家に連れ帰る。少女の身体には虐待と思われる傷があり、一度は送り届けようとするが、室内から両親が酷く争う声がしたため帰すのをやめ、一緒に暮らすことにする。


一家は貧しいながらも楽しく暮らしていた。少女も次第に笑顔を浮かべ楽しそうに笑うようになった。


やがて少女が行方不明としてテレビで報道される。少年は少女に万引きを手伝わせたことを老店主にたしなめられたことから居心地のいい現実に疑問を抱くようになり、わざと万引きを見つかって走って逃げるー。


善と悪が混ざった異世界。夫婦はかつて妻の元夫を殺した前科(正当防衛)があるため名前を変えている。暮らしは老母の年金が頼りで一緒に生活していることは隠し、寄生している。少年は幼少の頃拐ってきていて学校には行かせていない。少女の家庭では夫が妻に暴力を振るい、なかば育児放棄している母親は少女を虐待している。


断片的な会話や、色香の使い方、犯罪、庶民としての人間の描き方など、これは日本の作りではないと思った。構成的に、よく私が観る各地の単館系作品の作りである。説明も多い日本人の人情的ドラマではない。ラストの尋問のカット続きもテレビとはかけ離れている。


さまざまな矛盾の混在と、きれいでなくかつ人間的な場面の作り方をカンヌが認めたのかなと思う。が、どこか重い物を残すといった価値はあれど、もう一度観たいとは思わなかった。


雨は止んだが、広島、岡山で甚大な被害。死者行方不明者合わせて100人を越すなんて。何かが刺さったまま近畿も梅雨明けか。


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