2018年5月27日日曜日

ガバガバ





普段は節制している。間食もしない。筋トレも毎日する。


だからなのかしかしなのか、飲み会の時はあまり気にせず呑んで食べることにしている。だって酒飲むときにそんなこと気にしたくないでしょ。飲み会自体、1ヶ月ない時もあれば週に2回のこともある。週2以上はまずない。その程度なので、うまくやるのも社会人。できるでしょ、という感じである。


先日、たまに地元で飲む先輩方とひさびさに宴。ガーガーしゃべる。笑う。この回の店はパンケーキが有名で教会の前で夜もイケるおしゃれなところ。あまり高くないコース飲み放題付きデザートにお茶パンケーキつきで予約した。


パンケーキ屋、おしゃれ、教会の前、楽しいおしゃべり。しかし・・ディナーの量があまりに多過ぎた。


前菜5種の中にオムレツ。ハチミツガーリックパン、その後パスタ、ピザ、メインディッシュ。ガバガバ食った3人のアラフィフはもうお腹パンパン。メインの肉とマッシュポテトは持ち帰りにしてもらう。なんとか西日本一と店がHPでふれこんでいるパンケーキに辿り着く。たしかにフワフワで甘く美味しい!胃のわずかな隙間に優しく入った。


早く寝ようとさっさと風呂入ってすぐ寝る。朝起きて胃もたれ。そりゃそうか。


1日置いて東京出張。半年ぶり。夜は中目黒で。東横線が副都心線と繋がってるのに初めて乗ったが、急行は人がキュウキュウ。日比谷線は空いてたけどな。聞くところによると田園都市線も人が増えたそうで、もうとても東京では暮らせないなと。


博多由来の店で店長としばし故郷話。またガーガーしゃべって食べて、ごまさばなどをガバガバ食って焼酎飲む。飲みすぎてちょい頭痛い。朝までに治りますように。外苑前のホテルへと変える。ひさびさに泊まったが、めっちゃ過ごしやすくていいホテル。シャワーが別蛇口というなかなか気付かれないグッドポイント。ベッドもきれいでフカフカ。夜中にはちょい頭痛あったが、朝には抜けた。朝ごはんも種類は少なめだが美味い。もう少しゆっくりしたかったな。でも経験あるが、出張で約束ないと本当にヒマかつ虚しいんだよな。また泊まりたい。


今読んでるのはミラン・クンデラ「存在の耐えられない軽さ」。ちょっと人生哲学的で特に最初のほうはサクサクと進まない。帰りの新幹線では慣れたのか少しペース上がった。東京より関西の方が涼しい。ホッとする。家ではグリーンピースのせご飯。やっぱ家のごはんだね。


1日で週2回呑み。2日連続の飲み会があった半年前以来の週2回筋トレ休み。今回は仕事的に集中力が必要だったからドッと疲れたけど筋トレやる。さっさと風呂入って寝る。


土曜日いつものように朝起きしてバス。半袖で今年初めて出かける。バスの冷房対策で薄いパーカーもバッグに入れていく。この作戦は当たり。図書館で森博嗣「彼女は一人で歩くのか?」返して武田百合子「犬が星見た」探すが見つからず。検索ではあるのにな・・。ふと目についた森博嗣「作家の収支」借りる。


ブックオフ行く。LINEでこの店と友達になるともらえる500円以上買って200円引きの期間限定クーポン使って知念実希人「黒猫の小夜曲」買う。これは「優しい死神の飼い方」で犬になった死神のシリーズで次は猫。戦略に乗せられている気もするがまあいいかと。鏑木蓮「イーハトーブ探偵Ⅱ」が欲しいなあ~。三宮あるかなあ。電車の定期を更新して帰る。


帰り道、赤い実を鈴なりに付けている樹木を発見。枝は細い。さくらんぼ系か。帰って調べたらユスラウメまたの名を桃梅、というようだ。暖かさが暑さに向かうこの時期は植物の生命力の強さを感じるな。


帰ってライオンズ戦とタイガース戦と並行で観ながら読書。「存在の耐えられない軽さ」読了。著者ミラン・クンデラはプラハの春を支えたことで、ソ連を中心としたワルシャワ条約機構軍の侵攻後は著書を発禁にされ国籍を剥奪された人。


軍事介入から10数年後に書かれていて、国民の成り行きを冷静な視点で構成している。濃縮度が高い。


妻子は部活の焼肉会で不在。ワンコの散歩に行く。誰もいない住宅街の道、薄暮の空の下に時折見える大阪平野の景色はいつもきれいだ、と思う。昼間の白から、銀の光を放ち始めた半月が見下ろしていた。「作家の収支」読み始める。


「イーハトーブ探偵Ⅱ」を探しに三宮のブックオフへ。ところが、ない。「月に吠えらんねえ」もない。スマホ片手に気になっていた本探すがひとつもない。ひとつ長い間探してるのを見つけたが高かった。


こうなるとなんとしても書いたくなり、ジュンク堂と紀伊国屋へ。ない。おいおい。なんで?売れてない?それとも売れすぎてる?いやそんなことはない。


帰ってきてネットで買う。こうすりゃ楽だと分かっちゃいたが・・。久々に本を原価で買った。午後はまた野球二元で観ながら読書。「作家の収支」読了。次は「黒猫の小夜曲」。期間限定Tポイントが今日まで。つい熊谷達也「まほろばの疾風」買ってしまう。期間限定Tポイントだけで買える本は少ないから、自然保有ポイントに食い込んでしまう。あかん、捨てる勇気もしくは、他の買い物を研究せねば。


ワンコの散歩行って夕食。自宅筋トレやって風呂入る。夜遅くなると涼風が吹いてまだ気持ちいい。湿度が上がるとこうもいかなくなる。ムシムシの季節はもうすぐだ。


2018年5月20日日曜日

アツアツと寒





山の自宅からバス停に向かう、田んぼぞいの坂道の脇に柿の木がある。先日一斉に若葉を繁らせていたのに目を引かれたが、今週、大きな葉の陰でうすいオレンジ色の花が咲いているのを見つけた。可愛らしい花。生まれて初めて見たかもしれない。


30度近い最高気温の週になった。最低は20度を切るくらいだが、深夜0時過ぎたくらいには涼しくなるので、相変わらず布団をかぶって寝ている。今は例年のことで、半袖にネクタイに上着。湿気が多くなってきて、帰りの坂道ではちょっとだけ暑いが、汗をかくほどではない。昼間は冷房の効いたからめったに出ず、あんまり最高気温の高さは感じない。


金曜の夜にどしゃ降りの雨。土曜朝から涼しくなった。午後からまた気温が下がり、日曜の最低気温予想は13度。月曜も14度。最低気温の水準も、季節に従い少しずつ上がっているし、普段着も夏に向かって薄くなっているから、というは分かっているが、冷たい風が吹くとああ寒い、と思う。北日本では雪が降るところもあるとか。


毎年6月からは上着を着ない半袖で過ごしている。でもこの、半袖上着の季節には出張があって、東京はムシムシして暑いなあ、とか感じたイメージが強い。今年も東京出張。うーむ涼しいことを祈ろう。


週の始めに発注していた「イーハトーブ探偵」「バルタザールの遍歴」が届く。ブックオフ図書館で探していたものがあっさり手に入ると不思議な感じがする。なんの義理もないけれど、Tポイントネットショッピングはいい印象。


今週は「キング・コング」と「紅蓮の女王 小説推古女帝」、いまブリタニー・カヴァッラーロ「女子高生探偵 シャーロット・ホームズの帰還 <消えた八月>事件」上・下を読んでいる。


相変わらず読者に遠慮せず、すぐには理解できない会話・文章が多いが、後から考えると、概要はちゃんとつかめている、という不思議な本である。ホームズとモリアーティ、ワトスンそれぞれの子孫たち。原作タイトルは「The  Last  of   August」で直訳すれは「八月の終わり」。つまり「女子高生探偵~」は分かりやすくするための翻案タイトルということ。まあ中身もラノベである。シャーロット・ホームズの言葉遣いは女性言葉ではなく、マンガにもよくある、言い切り型の秀才型少年風。日本的演出が出来てるなあ~と半ば感心。シリーズ2作め、ラノベだが、なんかスルーできず今回も入手してしまった。これが日本の作品なら見送っただろう。こんな分かりにくくしてないだろうし。


土曜日。妻が午前中外出したので午後から出る。昼メシはドデカ盛りのカップ焼きそば。最高は20度くらいだが、風が強くて冷たい。長袖にごく軽いパーカー。日が射すとむしろ暑さも感じるが、風が強烈で体感温度が低い。帽子を飛ばされそうになった。図書館で「かげろうの日記遺文」「キング・コング」返す。借りない。だって積ん読ありすぎるから。


で、ブックオフ行って「月に吠えらんねえ」3巻を買う。LINEで友達になるとクーポンもらえたので200円引きで買う。帰って読んだが、やっぱこれっていいかもね。1巻はサッパリわけわかめだったけど、24巻が良かった。今回は先の戦争に焦点を絞り、犀が硫黄島、サイパン島に飛ぶ。石川啄木が現代までタイムスリップする。


「ふるさとは 遠きにありて思ふもの

    そして悲しく歌ふもの

    ひとり都のゆふぐれに 

   ふるさとおもひ涙ぐむ  そのこころもて

   遠きみやこにかえらばや」


   室生犀星


「友がみな われよりえらく見ゆるひよ

    花を買ひ来て 妻としたしむ」


   石川啄木


いいねえ・・。


「シャーロット・ホームズ」読了。これはシリーズ2作めなのだが、1作めの筋書きをだいぶ引きずっている、つまりは続きなので、もうだいぶ前に読んだ身には思い出せない。で、今回はあからさまに「続く」になっている。シャーロットのシーズン1は、解説によれば三部作のようである。前は4巻までの構想ありとも書いてたので、シーズン2もあるかも。うーん、次の完結までは付き合わざるを得ないだろう。


Sherlockianものは、どこまで付き合うか、も大事。毎年けっこうな数生産されるから、全部買っていたのではお金も保存場所ももたない。私の場合、ハードカバーはほとんど買わない。だいたい長めに本屋にはおいてあるから、折りを見て買うときもある。ま、評判なんかも見ながら。文庫はまあだいたい買う。ただし特に日本の「とはもの」(ホームズとは、の略のつもり。ようはシャーロック・ホームズ大研究とか、ホームズの楽しみ方、とか)などはすでに何冊か持ってて、新しく買っても知ってることしか載ってないからいらない。


ラノベも多いし、マンガも多いし。だいたい軽過ぎてつまんないし。アイリーンものの「おやすみなさい、ホームズさん」は少女マンガ風の表紙絵に似合わず白眉の面白さだったけどね。


夜は久々に冷える。冬用布団がちょうどいい。平日みたく、630分に目がさめる。そこからうつらうつらとして8時すぎに起床。パンとおにぎり食べて歯磨いて、バスで図書館。きのう借りないと言っておきながら森博嗣「彼女は1人で歩くのか?」が返却されてたから思わず借りてきた。この日はお待ちかねの「イーハトーブ探偵」に取り掛かるが進まず。


午後帰ってきてからは松坂と若手の才木先発の中日ー阪神を見ていた。松坂は、だいぶ整ってきたように見える。阪神打線はカットボールに手こずっているように見えた。松坂は2勝め、プロ初のマルチ安打。よしよし。


阪神は、才木に合わせたかどうか知らないが、捕手も長坂がプロ初先発。プロ野球の常識は知らないが、これはおかしいなと思う。初回バタバタして実質勝負を決められてしまったのを見てもなあ・・。打線も元気ないどころか、重症どころか、って状態なんで。


西武もゼロ負けで元気なし。4月だけだったか?


ワンコの散歩に出たら、うろこ雲が日没方向に広がってて、綺麗だった。さて、ちょっと多忙な1週間スタート。

2018年5月13日日曜日

GW明け





GW明けたら忙しくなった。


昔シャーロック・ホームズを読んでいる時に、例えば誰それは、毎朝決まって8時に家を出て、カフェでお茶を飲んでから出勤し、帰りは5時に会社を出て525分に家に帰る、などと書いてあることがよくあり、こんな毎日同じような行動するわけないじゃん、しかも分単位で、なんて思っていた。


社会人の最初の仕事が、毎日スケジュールの違う仕事だったからかも知れない。


しかし最近は多少それに近づきつつある。毎朝8時前に家を出て、同じバスに乗り、道が混むと駅に着く時間が違う=たまに1本遅くなったりするのだが、まあほぼ同じ電車に乗り、会社に着いて、始業前は朝の煙草をのんで新聞読み、webでニュースを見たり前日の積み残し作業なんかをする。


昼休みは早めに食堂でヘルシー弁当もしくは麺ものにいなり。デザートは必ず食べて食後の一服。歯を磨き、残った時間本を読む。


帰りは同じ電車で同じバスに乗り同じ時間に家に着く。7時半くらいに帰着。着替えて晩御飯食べて本を読む。9時くらいから開脚柔軟、腹筋背筋。終わったら靴を磨く。ウォークインクローゼットは運動で火照った身体にちょうどよくヒンヤリとしている。風呂を沸かし直している間にフロス。風呂入って上がって、甘いアイスコーヒーをグラスにちょっとだけ飲んで歯を磨く。髭剃り後の顔や身体の傷があるところにオロナイン軟膏塗って、時間に余裕があれば本を読んで寝る。


朝は645分ごろ起きて天気予報見て顔洗い、寝ぐせ直しスプレーをして髪を粗く整える。スポーツコーナーを観てシェーバーでヒゲをあたってごはん。食べたら歯磨きして、整髪料で髪をキチッとしてトイレ。んで、着替えて薬飲んで定期入れをチェックして出掛ける。


てな具合。だいたい1日にやることは決まっていて、時間もそれなりにタイトだ。たまに誘われて呑みにいく。


筋トレのおかげでだいぶ痩せた。最近はトシとったせいか、我慢とか継続が出来るようになってきたなと感じる。


ヘルシー弁当は病院食みたいでこりゃ毎日食べ続ければ痩せるわ、てな具合だが慣れた。でもセットのごはん、米の飯は多め。ランチ以外にも炭水化物は減らしてない。だって好きだもの。だから食事を減らしている意識はない。腹いっぱい食べることが滅多にないだけだ。


村上春樹の小説に、毎朝ジョギングをするのは、終業後に美味しいお酒を飲むためだ、というのがあるが、筋トレするのもある意味そんな感じかなと。毎日美味しいご飯を食べるためにやっている。


デザート、甘いものは摂取するとイライラしない(笑)。ただし食事の時に食べることを心掛けている。間食はよろしくない。土日は3時のおやつを食べるけどね。


土曜日。息子さんは学校。ブックオフ行って図書館行ってと本ざんまい。ブックオフでは3冊。黒岩重吾「紅蓮の女王」下村敦史「闇に香る嘘」宮沢賢治「イーハトーボ農学校」。


黒岩氏は奈良飛鳥の小説が多いので手を染めてみようかと。推古天皇が主人公で、物部氏を駆逐する蘇我氏の時代の話だとか。下村敦史は評判のいい江戸川乱歩賞。安く買えた。8月のミステリー月間向けかなと思うが、その前に読んでも可。宮沢賢治はまあある限り読みたいな。


で、その後行った図書館、文庫の棚を初めてじっくり見たけれど、けっこうイケてる、という感想だ。ブックオフの100円コーナーにあるのはたいがいはあるという感想だ。もちろん限られているが、新しいのもあって飽きなさそう。室生犀星「かげろうの日記遺文」を借りてきた。"川端康成をして言語表現の妖魔と言わしめた"というキャッチコピーに惹かれた。


昼には帰って佐藤亜紀「天使」読了。この人の主要作品はけっこう前に出てるんだけど、私も後輩から勧められたり、書評サイトで絶賛されてたり、好きな人はすごく好きらしい。媚びない姿勢や表現力が特徴らしい。


私の感想は「少女マンガみたい」だった。うーん、それ言っちゃおしまい、だけど、何でも手を触れたり気配だけで読み取れたり、体力以外の力を使う戦いだったり、超能力を使うとストーリーが簡単になるな、と正直思ったな。


阪神もライオンズも大負け。

夕方ワンコを散歩に連れてくと、いつも通る公園の前の空き地いちめんに紫と白が見えていて、たそがれ時に映えていた。白はススキみたい。穂が柔らかそう。紫は、シロツメクサ、にしては大きいな、という感じ。調べたらムラサキツメクサとチガヤという植物らしい。ムラサキツメクサの通称はアカツメクサ。近辺の他のところでは見かけない。ちょっとした異空間だった。


日曜日は朝から大雨。でも出かける。図書館の奥の方の棚は児童向けだと思っていて、実際半分はその通りなのだが、大人が読める本もけっこうあり、宮沢賢治なども固めてある。おってなもんで寄っていくと、古事記や古今和歌集などのビギナーズシリーズも。「おくの細道」「雨月物語」もあったので、今度ぜひ借りてこよう。この日借りたのは「キングコング」。


こどものころは、父にゴジラとかキングギドラ、まんが祭りなんかに連れてってもらったけど、なんというか、姉弟が初めてみた子供向け以外の映画がこの「キングコング」だった。目の前にあって、そのことを思い出した。だから。その映画は、実際に巨大なキングコングロボットを作って動かした、と書いてあったな。


暗いところに入っていく。映画館のワクワク感。ウチの父は開始時間とかあまり気にしてなかったから、前半のどこかで入って、一回りして観てないとこまで観て出て行ってた。(笑)。島のコングの生息地が山深くて怪しかったなという印象が強い。


日中はずっと雨が強くて霧も出ていた。息子は練習試合が早く切り上がり、阪急電車が運転見合わせのためJRで早々に帰還。サンドイッチのお弁当が多くて余ったため、コーヒー入れてハイティーとしゃれこむ。うーんスコーンも欲しいかな。しばらくいっしょにライオンズの試合をTV観戦していたが、下の自室に行って寝てしまった。


「かげろうの日記遺文」読み込む。古典の「蜻蛉日記」に題材を取った、芥川で言えば王朝もののような作品。メインは女の情念である。藤原?兼家が第一夫人時姫と、第ニ夫人、才女の紫苑の上、さらに身分は低く財もなく、男に縋る身の上の冴野の間を渡り歩く。紫苑の上は才女でプライドは高いがおぼこっぽいところがあり、兼家がさらに妾を作ったと知るとツンケンしてしまう。一方冴野は身の上がなせる技か、媚びるわけではなく、兼家に対して自然で優しくはかなげだ。中盤、悲しさにまぎれ、冴野が紫苑の上を訪れ、決して上から目線ではない誠実な説教をするのが新鮮だ。


いわく、なぜ優しく迎えなさらない、それだけで男は安らぎを得るのだ。なぜ身体を見せない。愛している人に今見せずに、この先どこで見せるのだー。


時代の違いは、激しいものだという実感がある。私の子供の頃は、家の奥さんは「入り嫁」で、夫と姑のいじめを受けていた。文句を言わずに家事と子育てを独りでやり、皆の余りものをおかずに食事をするのが美徳とされた。


室生犀星は近代の男性である。この物語は多分に男目線で描かれているが、現代の目で斬るのは無粋だと思う。それよりも、冴野の説得力に注意を向けるべきかなと。少なくとも私ははっとして感心した。


数は少ないが、またYAHOOから期間限定Tポイントが来たので、送料無料を探して、中古の鏑木蓮「イーハトーブ探偵」と佐藤亜紀「バルタザールの遍歴」を発注。これねえ、単行本か文庫か書いてないので不安なところもあるがまあ楽しみに待っとこう。


ライオンズは榎田の7回無失点の好投で4連敗でストップ。打線の中軸に元気が無いのが気になるが、まあまた打ち出すだろう。榎田は安定感があって、あのコントロールと変化球の出し入れは打たれる気がしない。移籍が素晴らしい効果となっている。日本ではそもそも選手を活かす移籍が少ない印象があるから、観ていて明るい気分になる。


今週は暑いようだ。

2018年5月11日金曜日

奈良行







また奈良に行った。近鉄西大寺駅で降りてバスで数分、秋篠寺を訪ねた。門は風情があるが、こぢんまりとした寺。ただ緑のモミジをはじめ参道は深閑とした魅力がある。秋篠宮の由来となった秋篠の地。寺には伎芸天立像がある。日本唯一の伎芸天の古像。先日読んだ立原正秋「花のいのち」で取り挙げられていて、興味を持ったから来てみた。頭部は奈良時代、体部は鎌倉時代。表情が柔らかく、着衣の彩色を含め優雅な印象を受けた。


秋篠寺は朝一番で、しかも樹木が茂りひんやりしていたが、この日は最高気温が30度近くまで上がるとの予想。半袖の上に着ていたごく薄いパーカーをさっさと脱ぎバッグにしまう。帽子を被って歩く体制。バス通りのコンビニで水分補給。缶コーヒー飲んで、およそ2キロの道を歩いて平城宮へ。やはり暑い。しかしまだ真夏のようには照りつけないから歩ける。


ただ最近は仕事的にもひなたを歩き続けることはめったにない。熱中症に気をつけて、脚や視界が揺れていないか、身体や頭はしんどくないか、気を配る。次のコンビニでアクエリアス買い、道を確かめてまた歩く。休み休み行かなきゃね。


平城宮跡は、一言で言えばだだっ広かった。だからか、東西に歩く道には、日光を避けた屋根付き休憩所や木陰のベンチが多く設置してあった。まだ整備途中のように見える。いまお祭り期間で、この日は休み日だったからかも知れないが、売店もいまだテントが散在していて、敷地と何もない道があるイメージで、公園としてまだこれからかと思った。しばらく歩いて、南北の道、朱雀門と大極殿をつなぐところに着いた。おそらくここがメインの場所だろう。間には、何もない。土の土地だけ。故郷福岡の太宰府政庁跡と似たようなもんだ。たしか芥川龍之介にも出てくるな、朱雀門、と思ったが、次の訪問地が北の大極殿に近いし、建ったばかりで風情はないしと、大極殿眺めて平城宮跡を離脱した。大極殿前広場には、スケッチ授業の高校生や遠足の小学生がいた。


宮跡から草地の道を通って法華寺の方向へ歩く。こういうところを歩いたり、平地が続いているのを見ると、奈良、という感覚がする。実は暑い予想だし訪問地の間が遠いから秋篠寺だけ行って神戸に戻って映画見ようかなとも思っていたが、奈良の平野の緑を見たらそんな考えはふっとんでしまった。なぜこんなに好きなんだろう。


暑いがさほど汗もかかないし、歩ける。草地から路地に入り法華寺到着。コンパクトな寺だが権威は高い。目当ては、どこかの女流作家さんが官能的、エロい、と書いていた十一面観音像。これは別の仏像好きの先輩もいい、と言っていた。


聖武天皇の妻、光明皇后をモデルにしたと言われている観音像は、最高級の白檀を使ったとアナウンスで説明されていた。光明皇后は藤原不比等の娘。法華寺はその不比等の邸宅があったところ。聖武天皇御願の日本総国分寺が東大寺、光明皇后御願が、日本総国分尼寺の法華寺。


やや離れたところに座って見る鑑賞席があって、最初人がいたので脇から立って見ていた。噂に違わずというか、ピンク色にも見える木肌、豊かな髪が女性的で艶やか。人がいなくなったところで正面近くから見てみたら、目の印象がまるで違う。こちらを捉えているような眼。仏様というよりは人間的にも見える。確かに感じるものはある観音像だった。


法華寺を出て近くの海龍王寺へ。こちらではより仏像らしい十一面観音像を見る。


海龍王寺の真ん前にはバス停があった。ふと見ると、対面には人がちらほら集まっている。こりゃ来るかなと見ているとやはりバスが遠くに見えた。近鉄・JR奈良駅方面。ここから先のことはあまり考えてなかったが、歩き疲れたのもあって道を渡ってバスに乗った。


そもそも奈良探訪は2ルート行きたかった。この平城宮プラス小さな寺巡りと、東大寺の宝物やいまやっている春日大社のすべて展、興福寺とならまちを別ものと考えていたが、まだ正午くらいだし、と行ってみることにした。


久しぶりの近鉄奈良駅。近くに、テレビで観た果実園直営の店があるはずだ。狭い路地沿いの店が集まっているエリアを探し周り、最後は店に電話して行き着いた。


スッキリとした涼しい店内でクリームたっぷりのフルーツサンド。セットの飲み物はカリン入りのアイスティー。食べたかったものを美味しくいただいて、すぐ近くの興福寺へ。


少し前に話題になった「応仁の乱」を読んで、いかに興福寺が力を持っていたかを初めて知った。権力の地、という視点から見つつも、やはり目当ては宝物殿の阿修羅像。


西洋の美術展に比べれば良心的な入場料。しかしフツーは無料でくれるミニパンフが有料なのには閉口した。外は外国人観光客も含めて人が多かった。でも宝物殿では余裕を持って阿修羅像をよく見ることがができた。三面六臂、三つの顔に六本の腕。帝釈天の宿敵、戦闘神にして仏法の守護者。このクッキリしたアグレッシブな顔立ちが好まれるんだろうなあ。たしかに惹きつけられる。


興福寺を出て、猿沢池を横目に見てならまちを目指してみる。旧市街で、古い建物で演出していたがそこまでインパクトはなかったかな。もちいどの商店街の方が色々あって面白かった。


東大寺と春日大社はまたの楽しみにして帰ることにする。


近鉄奈良駅から乗ると多い。ギリで座れたが、遠足の小学生やお年寄りも多い。でも1時間ちょっとで西宮。さすがに陽に当たって顔は火照ってるし疲れたしでマンガ喫茶で落ち着く。脚は伸ばせるし、涼しいし充電できるし、サービスのアイスコーヒー飲みながらGIANTKILLING読んで極楽。至福。ジャイキリ、最近のものだけ読んだけどやっぱ面白い!また買おうかな。


てなわけで、今年も奈良紀行。あまり暑い時期に歩くものではない。春日大社展やってるからひょっとしてもう1回行くかもだが・・。また飛鳥にも行きたいな。吉野はまだ行ったことないし、本も読みたい。いつか、奈良ホテルにでも泊まりで堪能したいなと思ったのでした。

2018年5月7日月曜日

GWはイスラーム⑵





GWはイスラーム⑵


3日は野球を観に行って、夜同級生と呑む。

同窓会では会うけれど、いつもそうゆっくり話すわけでもないんで、半日一緒にいると色々な話ができた。彼は車メーカーの技術管理者。なかなか貴重な話を聞けた。十三の行ってみたかった餃子居酒屋。美味しかったし、サイドメニューもお茶漬けも楽しめたが、餃子はちょっと小さいな、と。また出てくるのも遅かったかな。


残りの日々、イスラーム映画祭。14時から2本で、整理券をもらうため12時前に行くがなんと32人め。大盛況らしい。


「エクスキューズ・マイ・フレンチ」


エジプト映画で、国内は90%がムスリムだが、コプトと呼ばれるキリスト教徒もいる。

裕福な家庭で、私立のミッションスクールに通っていた少年が、父の急死による経済的ひっ迫でムスリムの公立学校に転向する。母親は白人だが、どうも教会に対し忌避感があるようだ。


少年は荒っぽいムスリム少年たちの中で認められようと、ムスリムのふりをして頑張るが、やがてコプトであることがバレてしまい・・というお話。


ムスリムとコプトがテーマではある。しかし裕福と貧困、また父親が亡くなるという重い現実、少年の成長という永遠のテーマもしっかりと語られている。息子を持つ身としては少年が可哀想で、かなわなかった部分もあった。母はいつも、思春期、息子には父親が必要だと言う。しっかりしなくてはね。


「アブ・アダムの息子」


ロシアのタタールスタン共和国で催されている「カザン国際ムスリム映画祭」のグランプリ作品だそうで、場内は満席どころか立ち見もたくさん出た(実際には両脇の階段に腰掛けていた)。まあともかくキュウキュウである。


南インドの田舎に住む老夫婦がハッジ(メッカへの大巡礼)へ行くことにする。老体にむち打ち、コツコツ貯めた貯金を取り崩すなどして旅の資金を捻出し、順調に準備は進んだがしかし・・。


夫婦は仲が良く正直で、村人たちに尊敬されている。身内ではない人たちが何度も援助を申し出るのが印象的だ。旅への良くない暗示ともなる出来事、息子との断絶などの要素も散らされている。映像そのものは映画的な絵画的雰囲気を大事にしていて、美しい。


しかし、この救いのなさは何だろう。主人公の老人アブの、教義に関する正直さなどが良かったのか、どこかに心残りを抱えていたり、そうでなくとも神の意志により凶兆がある場合もある、ということなのか。


正直もうひとつ何か欲しかったな、という感じで私のイスラーム映画祭は終わった。今回スケジュールなどで必ずしも観たい3本のチョイスではなかったがまあ仕方ない。次を楽しみにしている。


土曜日は図書館に「ムーン・パレス」「デミアン」返却。で、文庫本コーナー見てると宮沢賢治「ビジテリアン大祭」というのがあったので思わず借りてきた。


日曜日はユニクロに安売りのオックスフォードシャツ買いに行く。どちらの日も早帰り。後は家でプロ野球観ながら読書。東郷和彦「北方領土交渉秘録」だ。やっぱり対露関係は面白い。


夕方から不穏な天候で雨。明日は日中大雨とか。久々の会社というのに、嫌だなあ。


GWは、映画3本、奈良とプロ野球観戦に行って、友だちと一杯呑んで、とそこそこ活動した。また来年!


GWはイスラーム⑴





4/28からGW。この日開幕のイスラーム映画祭に行ってきた。30分前に着いたらかなり並んでて結構な人。おいおいと並ぶと、41番とか。中には23人連れもいるから、一瞬座れるかな?と思ったが、いつも通り奥後ろの方の通路側に座れた。1人は身軽。隣にも人が来て(これ単館系には珍しいことです)、オープニング上映前に主催者簡単にあいさつ。拍手でオープニング作品「ラヤルの三千夜」スタート。パレスチナ女流監督の作品で、冒頭監督自身のメッセージ映像が流れた。


イスラエルの刑務所に入れられたパレスチナ人女性ラヤルが出産し子育てをしながら抵抗運動をする物語。


この刑務所にはイスラエル人犯罪者も収監されていて、アラブ人受刑者との対立なども描かれている。そして実際にあった事件をもとに、アラブ人たちの抵抗は盛り上がっていき・・。


男の子・ヌールが生まれると、同室の女性たちの表情が和らぐ。やはり子供は光で、色々なところに射しこみ明るく照らす。一方で子供は悩みで、母・ラヤルはここにいさせていいのだろうかと懊悩する。生まれてからずっと刑務所で過ごしてるわけだからね。ラヤルの心の揺れもテーマのひとつで行ったり来たりする。


イスラエル側は冷酷に描かれているが、子どもに対して酷いシーンが無くて良かった。やはり人道的な批判は恐れているのかとも感じたな。ところどころ見どころが意識されていて、ラストはいい場面のブレイク。多くを語る必要なし、だった。緊張感高い作品でした。まずまず満足。


ちょっと気になったのは、観客の年齢層がかなり高かったこと。まあ若者は観ないかな。中東問題は過去のことで、いまは朝鮮半島とアメリカなのかね。


日曜日は図書館へ。ポール・オースターの「ムーン・パレス」、ヘルマン・ヘッセの「デミアン」借りて来た。楽しみたのしみ。さっそくオースター読み始める。折しも夜は満月に近い?月が美しい。ちょっと風が強かったが、コーヒー沸かして上着着て、しばし月見読書。月を観ながら「ムーン・パレス」読み込みとしゃれこんだ。


昼は西武ー楽天を観て、ライオンズの強さを垣間見る。山川穂高11号。HR、打点ダントツトップ。2年めの楽天先発藤平を応援したいとこだったけど、もうひとつ足りないな。それ以上に、ソフトバンクから移籍のキャッチャー山下斐紹が、若いピッチャーの足を引っ張っていたのが良くなかった。盗塁に悪送球して3塁に進まれたり、ワイルドピッチの止められるやつを後ろに逸らしたりだった。


月祝、ブックオフで本を売る。もちろん買う。「月に吠えらんねえ」3巻あったけど560円もしたので敬遠。100円コーナー眺めたら4巻があった。どんな基準で振り分けてるのやら。新品同様。もちろん即購入。ほかは、サキ短編集で興味の出たO・ヘンリ短編集(一)と、書評サイトで見かけた八木沢里志「森崎書店の日々」というのを買ってきた。


野球、西武は相変わらず強い。榎田先発で2戦2勝。いいねえ。阪神はなんとかカープに3タテを逃れロサリオ延長10回勝ち越し2ランで連敗脱出。


4月終。息子がケガしたり、いろいろあったなあ。福岡帰省なんてはるか彼方。


1日、2日は世間的平日。


2018年5月4日金曜日

4月書評の6





4月書評、ようやく終わりでござる。17作品17冊(「月に吠えらんねえ」はマンガなので除く)。やはりちょっと古いのが多い。本読みとしては新しいのも挟んでいきたいんだけど、なかなかねえ。

写真は興福寺。ちと行ってきました〜!

宮部みゆき「荒神」


度重なる襲来。魔物の、パニックエンタテインメント。


奥州の小藩、香山藩の山里で、一夜にして村の逃散が起きた。生き残っている者はほとんどいない-。ほどなく藩主の嗣子が亡くなり、藩は不穏な雰囲気に包まれる。隣国の永津野藩主の腹心・曽谷弾正の妹である朱音は、行き倒れていた少年簑吉を見つけ、永津野で面倒を見ることにする。


グロテスクな怪物は何度も人を襲い、喰らう。「進撃の巨人」が爬虫類化したような強さ。奥州の山奥に立つ砦への襲撃、破壊は圧巻だ。不気味さから激しさ、変身と終局と、襲撃の描写も出し入れのバランスが考えられていると思う。


少しずつ怪物の特徴が分かり始め、そして終盤、怪物の成り立ちや主人公たちの秘密、また恋慕の感情や意外な事実が次々と明らかになり、最後の対決へと向かい、喪失が訪れるという流れがドトウのようだ。


怪物の迫力と、その獰猛さ、グロテスクさが際立って怖い。また怪物と香山、永津野両藩に亘る登場人物たちがパニックの中活躍し、最後は大きな問題を解決する方向のすがすがしいラストを迎える。


複雑な状況を設定して、道筋をつけ、大団円に向けるという、巧妙に設計した図案に沿って息もつかせぬ展開を組み立てるのはもはや巨匠の宮部みゆき氏の、熟練の筆致だろう。


時代劇、エンタメ、人智を超えるものへの恐れなどをうまくあやつっていると思う。また、文章の様々な部分に知識量が見え隠れする。NHKBSでドラマのPRを観て、こんな物語だったのかとちょっと驚いた。結局オンエアは観なかったんだけど(今、観たい!)想像が膨らんだ。


面白かったし、一気に読了した。


私は宮部みゆき氏は尊敬に値するし、それは多くの愛読者が証明していると思う。私の周りの読者友だちにも悪く言う人はいない。


ただ、私は、以前から宮部氏には違和感があって、今回もどうにもひっかかった部分がいくつかあった。ストーリーに設定を合わせているような感じ。既視感。今回も感じてしまった。他の作家さんではスルーしているとも思われるが、なぜか、てなもんである。


「小暮写真館」では感じなかったんだけどね。これも読み手のクセということで取り置いておこうかな。次に読む機会が、やっぱり楽しみだ。


エンサイクロネット編

「今さら他人には聞けない疑問650」


雑学好き。たまにこういうの読むと面白い。


「仕事」「金儲け」「外国」「日本」「食べ物」「スポーツ・芸能界」「身近なもの」等々の?を都合650も取り挙げ、解説したもの。短くまとめてる必要からか、多少おおざっぱだなと感じるものの、ふむふむ、となる。


興味深かったのは「女子学生は卒業式に袴をはく?」とか「新学期はなぜ四月に始まる?」で、理由そのものというよりは、そうなった経緯が面白かった。女子学生の袴は、価値観が逆転しているし、伝統的に思えた四月スタートも、明治の最初の方は違ったのが意外だった。


また満年齢はいつが基準なのか、とか、サイドのネタだったが、その針毛だけが注目される動物のヤマアラシってすごい害獣だった、というのが面白かった。


初版初刷が2002年であり、その頃からは常識も、社会通念も変わってるな、と思わせるところもあり、感じる部分もあった。