2016年10月31日月曜日

意外





意外に日本シリーズめっちゃ面白かった。先週土曜の開幕戦も息子とTVにかじりついて大谷のピッチング&バッティングを見ていたが、火曜日の第3戦も延長最後まで見てしまった。

先に2勝を許した北海道日本ハム。この試合でもエルドレッドに3戦連発となる逆転ホームランを浴びてしまう。しかし8回ウラ、ツーアウトランナー2塁でバッター3番DH大谷。広島は大谷を敬遠。札幌ドームのブーイング高まる。

4番中田翔はスライダーを引っ掛けてしまい、打球はフラフラとレフトの前に上がった。しかし下がっていた松山は届かず、しかも後逸。これで日ハムが逆転した。

1点差の9回表、広島は先頭の鈴木誠也がスリーベース。日ハム谷元にエルドレッド、松山と怖い2人を打ち取られるが、7番安部にライト前への同点タイムリー。試合は延長へ。

延長10回ウラ、カープのピッチャー大瀬良。1アウトから西川フォアボール、陽は三振、打席に大谷。ここは勝負。西川が盗塁。カウント1ボール2ストライク。

歩かせてもいい場面で、カウントも絶対ボール球でよかった。大瀬良はボールを投げて、それを打たれてしまった。サヨナラタイムリー。

第4戦はレアードが8回に勝ち越しホームラン、第5戦は西川がなんとサヨナラ満塁ホームラン。投手がいいだけに、大量得点の試合が少ない。また日ハムのアグレッシブな姿勢が目立つ。シーズンの躍進を支えた広島リリーフ陣は、これまでもときおりのぞかせたメンタル面の弱気が見て取れる。

土曜日は冬もののスーツを買いに行った。Aokiで2着。すすめ上手な店員さんに従った。この日に限っては、チョロいお客さん化だっただろう。聞けば横浜店からの応援だという。へ〜。売れるのには、理由がある、か?私が単純なのか。(笑)

本屋に寄って梶村啓二「野いばら」を買う。どこかで紹介されていた、日経小説大賞受賞作。ほくほく。ここまでは順調だったが、クリーニングに出していたYシャツ引き取るのを忘れてバスに乗ってしまい、一駅で気がついて降りるも、歩いて引き返すのに時間がかかった。45分後のバスまで超速攻で行って帰って、なんとか間に合った。

当初時間の余裕を見て行動してたから、忘れなければ、1時間早く帰れた。ちょっと反省。

日ハム王手で迎えた第6戦は大谷先発、ではなかったが、中盤ファイターズは突き放し、優勝が決まってしまう大勢が見えた。第7戦まで延びて、大谷vs黒田も見たかったけど、ホームで流れをつかんだ日ハムが押し切った。結果的に広島は、大谷のサヨナラタイムリーをきっかけにずるずると連敗してしまった。

夜、息子を遅く寝かして、深夜風呂に入って、本を読む。ブリタニー・カヴァッラーロ「女子高生探偵 シャーロット・ホームズの冒険」。いやーページが進み、230ページくらいの上巻を1日で読んでしまった。ちょっと夜更かし。

日曜日は秋晴れのいい天気。どこか行こうかと思ったが、息子やや体調不良気味で家で過ごす。ワンコたちと、よくある休日化。のんびりした。まあビニールボールで息子とやーやー遊んだりもしたが・・シャーロット下巻も完読した。

この週は最低気温が10度を切って寒いという。どんなものかな。昼間はあたたかそうだし。はや11月だ。

2016年10月24日月曜日

なにかと





特段なにもなさそうで、やはり色々とあった週。前半は暑かったが、後半から朝晩涼しいに戻った。朝晩は長袖シャツに夏用スーツの上着を着てても寒いな、と思うが、日中は暑い。休みの日は、家にいると昼でも冷えるが、外に出ると長袖シャツだけでも暑い。不思議な気候。

写真は、朝方近畿南部にだけ大雨警報が出ていた日、山から南を見渡すと、対岸の景色、海と陸と山のあわいがよく見えない感じを受けた、ひとつ不思議な風景。

ちなみに23日日曜日は最低16度最高22度。月曜は最低が13度と予想されてるからかなり夜から気温が下がりそうだ。

今週仕事では、やや大物があった。たくさん調べものしたし疲れた。ボスに焼き鳥で労っていただいた。

木曜日、ランチに4人で行って、私が勘定を最初に済ませて外に出た。会社の近くだったので、ある先輩が通りかかった。声をかけて二言三言話をしていると、横でガタ、という音がした。そちらを向くと、柴犬くらいの大きさの白い犬が、物凄い勢いでこちらへ走って来た。明らかに怯えた様子である。という観察も一瞬のことで、バビュン、と私の横をすり抜け逃げていった。次の瞬間、向こうずねに激しい衝撃が。脚が痺れていて痛く、うずくまって押さえていた。 

なんだなんだ、だいじょぶか?と私のランチ仲間たち。何があった?私は何があったかは分かっていて、説明しようとするが、やはり動転もしてたのだろう、うまく言い表せない。

立ってみたりやはり痛くてまたしゃがんだりしているうちに、飼い主らしきおばさまが、青い顔をして、犬が逃げていった方向に走って行った。一部始終を見ていた先輩は、飼い主に、1人痛んでるで、と言ってくださったが、飼い主は、何が起きたか分からなかったのだろう。そのまま行ってしまった。

犬が走ってきた方向にはスーパーがあった。簡単な旗ののぼりが倒れて残されていた。ようは、飼い主は犬を、のぼりの長い棒が差し込まれてあるプラスチックの土台、台形の立方体の箱に繋いでいたが、土台はさして重くなかったから、犬が動いているうちに傾いて、倒れてしまった。ビックリした犬は、リードが繋がれている土台を引きずって逃走した。それが私の向こうずねにぶつかったという訳だ。

先述したように、最初に犬が走って来るのを見た瞬間、私は何が起きたかは分かってしまった。ただ、通り過ぎようとする犬に神経を取られ、落ち着かせるような仕草を中途半端にした。だから、後から土台が来るのは分かってたのに、とっさに避けることが出来なかった。自分の判断と反射神経も鈍ったものだ、とちょっと落胆した。土台とはいえプラスチックだったから大きなケガは無かったが、3日経った今でもまだ触ると右の向こうずねと左のひざが痛い。

金曜日は、鳥取を震源とする地震が来た。免震構造のビルの14階にいて、一斉に皆のスマホが鳴ったと思ったら揺れが来た。ユラユラ揺れる時間が長くていやだった。小学校では窓ガラスが軋んだ音がやばかった、と息子が言っていた。

土曜は所用で街に降りてすぐ戻って来た。
日曜は昼から福岡の高校の関西支部同窓会総会。

関西で140名も出席したが、内訳はビジターが4割だそうだ。まあそれでも福岡の高校で地元80名強は大した数だと思う。去年幹事学年の我々の代は出席数が多くて驚かれた。一つ上はゼロなのに。まあ、ノリのいいにぎやかしの学年だからね。(笑)いいもんだと思っている。

昼から飲んで、3次会で失礼。それでも10時過ぎに自宅着。いまも身体中をアルコールが駆け巡っている。

そんな感じで、月曜日は、ダルい身体と頭を抱えての出社となったのでした。完。

2016年10月17日月曜日

だるおも





朝晩半袖ではもう寒くなって、先週まで半袖シャツ1枚だったのが、長袖シャツに、上着。これでも帰りの山道は寒い感じがする、のだが、どうも生活全般に寒暖が影響してしまう。

会社に行くと上着を脱ぐが、日中は室内でも外でも、半袖でも構わないくらい暑い。帰りの電車は上着を着てて暑め、しかし夜の外は寒めである。会社の女子には、ダウン着てる人もいる。でも朝晩の寒さに、なんか分かる。

寝ている時も、締め切って、温かめの毛布布団で寝ると夜中は暑い。朝方は寒い。そんなこんなで身体が振り回されて、ボーッとしている。お腹もなんか調子悪い。まあ、すぐ慣れるんだろうけど、慣れてきた頃に寒波が来るんだろうけど。

また、ここ2年くらいは、夜10時には眠気が来ることが多かった。それで夜中に何回も目が覚めていたのだが、最近は眠くならない。一旦眠りに入ったら、以前より長めに寝ているようだ。睡眠時間が総体として少なくなって、結果よく寝ることが出来ている。身体にいいのか悪いのか。

火曜日はさっさと帰って、オーストラリア戦の終盤を見た。

水曜日、なんかないかと本屋に寄ったら、高田崇史のQEDシリーズにホームズものが出ていたからあっさりと買った。で、厚くも無かったが、理屈っぽい本の割にはかなりスラスラと読めてあっという間に読了。巻末にはQEDシリーズのガイドが付いていた。理屈っぽいけど、勉強にはなるな、と。今後気が向いた時に読もう。プロ野球のファイナルステージ、大谷すごすぎる。もはやプロ野球界は、大谷時代だ。

木曜日、夜8時ごろの速報スーパー、ノーベル文学賞にボブ・ディラン氏、は、まちがえてテストの文面が出ちゃったかと、けっこう真剣に思った。

金曜日にこの話をした。もう来年のノーベル文学賞は、ビートルズかビリー・ジョエルなんじゃないかと冗談で言っていた。世界の文壇からは文句も出てるとか。私は今回の思い切りを、面白く受け止めたが、逆に、音楽関係のジャンルを新設したら、ノーベル賞もより身近となり権威が増すかも。音楽だけでなくて芸術賞でもおおいにOK。興味ある。

土曜日は、午後、かかとがすり減った靴を修理に出した後、髪を切りに行った。靴は、また革靴を頻繁に履く職場になった時改めて見たら、軒並みかかとのすり減り方がレッドゾーン手前だと再認識、これで3つめだ。あとひとつの雨用の靴も持っていかなきゃだ。

よく思うが、靴の修理はお金がかかる。決して安くはない。高い靴でも何度も修理していると、新しく買った方がいいかもと思える。これは、間違ってはいないだろう。私は、茶色の靴はお気に入りだから何度もいろんな部分を直しているが、黒はボチボチ買い替えるつもりでいる、てなとこ。それでも、8年ぶりくらいだ。そこそこ靴に愛着はあるほうだ。周囲には、ABCマートで安い靴をまとめ買いして手入れせず、ダメになったら履き替えるという者もいるが、今の私はこちらのタイプではない。

床屋でいつも私の髪を切るお兄ちゃんは、サッカー好きで、私が行くといつもサッカーの話。今回やはり不満を抱えてたようなので、上↑、先のコラムで書いたようなことを話した。なんか最近、またサッカーの話が増えてきた。職場の同じフロアにも好きな者がいるし。

日曜は、あわよくば早起きして京都の太秦寺でも行って半跏思惟像見て、メアリー・カサット展でも行こうかなと思ったが、妻の方が京都に行く日だと前々から予定言ってたでしょ、でお留守番。

外に出ると暑いが、家の2階のリビングは風も吹いて大変に気持ちいい。延長ケーブルとCDプレイヤーを持ち出して、オールディーズとボブ・ディランとドリス・デイとムラヴィンスキーのチャイコフスキーを聴きながら読書に耽る。オールディーズは直木賞作品の「青春デンデケデケデケ」の影響、ボブ・ディランはもちろん、ノーベル文学賞記念である。ちなみに「デケデケ」にもボブ・ディランの「ミスター・タンブリンマン」は名曲として出てくる。他は特に意味なし。好きなだけ。

聴きながら読む本は、少年耽美派、長野まゆみ「天体議会 プラネット・ブルー」ベースは魔夜峰央か萩尾望都の世界で、BLにも見えつつ、やたら小難しい漢字と、未来とレトロがまぜこぜになった不思議な設定や小道具で、独自の確固とした世界を切り開いている。いや、確かに、この人のは芸だ、と感心することしきり。宮沢賢治に少女マンガが混ざっている感じである。文壇での評価は難しいかもだが、なんかの賞取らせてあげてよ、です。

気持ちいい気候と環境に、音楽と読書。おやつに六花亭のバターサンド。これも人生の洗濯さ、なんてカッコつけてたのでした。

ちょっと頭が痛く、あまり体調良くない。休み過ぎ、という説あり。(笑)

2016年10月16日日曜日

たまにはサッカー





サッカー日本代表は、ホームでイラクを劇的に破った後、11日にはアウェーで宿敵オーストラリア戦だった。結果は、引き分けだった。しかし、引いて守るという戦法に出て、やや采配に明瞭さが無かったこともあって、ハリルホジッチ監督は袋叩き。おそらくは関係の悪いメディアがこれまでのうっぷんもあって、猛烈に叩いているように見える。やれ予選突破が目標ではなく、W杯ベスト8を達成したいチームのサッカーじゃないだろう、ほれ守備的なのにトップ下は香川か?清武調子良かったのに、やれ選手交代が遅すぎだ、疲れてるのに。

私はここ最近の代表の強化には疎めだし、オーストラリア戦は最後の方しか見てないのだが、ダイジェスト観戦と、新聞のコメントをもとに、経験則で語ってみようと思う。

まず結果は、私的には全然OKだ。グループ首位に、しかもこれまでWC予選で勝ったことのないオーストラリアにアウェーで1-1のドローは妥当だと思う。ハリル側に立って、考えてみる。

グループ最強の相手アウェーで引いて守るのは、常識的な戦術だ。これまでの予選で、オーストラリアの強さを肌で感じてきただけになるほど、と思う。また、私はW杯で日本が勝ち進むには守ってカウンターという戦術を柔軟に取れるようになるべきだと思ってきた。だから前進と見ている。なにせこの試合負けたら、出場権が大きく遠のいてしまう。間違っても負けるわけにはいかないのだ。ハリルは、今回負けることを最も怖れたのだと思う。さらに上を目指すチームがうんぬんのライターには、安直だと感じる。

2つめの、メンバー。私も清武起用の方に賛成ではあるが、コメントを見るに、ヨーロッパで揉まれた香川に肝心な部分で「違い」を作ることを期待したのだろう。勝負をかける監督のカン、だと思う。清武はファイトするが、香川に比べれば、プレーがスタンダードな印象があり、イラク戦もギリギリまで勝ち越し点を奪えなかったのだから。しかし結果的に機能しなかったから、これはハリルの失点。

もひとつ、交代は・・負けるわけにはいかない、拮抗しているところでは、指揮官は動けなくなってしまうこともあるものだ。古いがトゥルシエ監督の時の、シドニーオリンピック準々決勝アメリカ戦、あの時もなんで本山や平瀬を投入しなかったのか、とトゥルシエはだいぶ責められたが、あの時コーチだった山本昌邦は、後に「この点私はトゥルシエに同情的だ。試合は拮抗していて、本山や平瀬のポジションの選手は好調だった」という意味合いのことを著書で書いている。過度のプレッシャーが、ハリルを動けなくしたのだろう。後半、オーストラリアは温存していたサイドの選手を投入し、効果的なセンタリングが上がるようになっていたし、セットプレーも脅威だった。1点取られてしまったら、日本に取り返す力は無い。ここはライターも認めなければならないだろう。だから、均衡を重んじた、新しく入った選手のなじめない中でのミスを怖れた。

もちろん、相手の状況を見て、プランを変える、強気に勝ちに行く交代をする能力も監督には必要だろうと思う。万能ならばいいけれど、負けないための戦いをした、ということか。

問題はむしろオーストラリアの側にあって前半、思ったよりもヘナチョコだったこと。また早い時間帯に得点できたことで、観ている方に「いけるんじゃないか」という感じが生まれたことに、なぜ?と周囲が思ってしまった原因がある。でも、これって、裏を返せば、引いてカウンター狙いの戦法が当たったから、いける、となった、ということだろう。

さて、難しい局面だった。ハリル自身も終わった直後には勝ち点2を失った気分、と言い、会見では、交代は早く出来たかも知れない、と反省した。

確かに、チグハグな印象はある。しかしそれは、メディアの側にも、どっか加熱し過ぎな所があると感じるし、なんかどこか甘い。

ちょっと毒を吐くと、理想のサッカーとは何か?かつてのバルサのようなサッカーか。出来るわけないだろう。W杯ベスト8に見合うサッカー?ブラジルW杯で「自分たちのサッカー」はあっさりと敗れた。南アフリカでは超守備的で、しかし勝ったから賞賛された。ドイツでは自由なサッカーで負けた。日韓ではホームで守備的なサッカーをして勝って大フィーバーが起きた。この現実をどう思うのか。フランスW杯以降もう20年、次で出場6回に達そうとする歩みだ。日本は弱い。攻撃的なサッカーで、日本は結果を出したことがない。それでもと望むなら、負けても負けても攻撃的なサッカーで、というのを許容する度量が必要だ。

勝つにはしたたかさが絶対必要であるし、海外でプレーする選手には、日本は召集、コンディションの問題を抱えている。やみくもに攻撃的なサッカーをすりゃいいとは思わないし、先に解決すべき問題はまだ多い。

私は諦めろ、と言っているわけではない。「ひどく困難だ」と言っている。一足飛びに出来ることではなく、本当の強さを手に入れるには、時間がかかるのだ。その過程で、1回守備的な戦いをしたからといって何だ、と思う。

まあ次、11月のホームサウジアラビア戦には、絶対勝たなきゃならないけどね。乾坤一擲の試合は、チームには是非とも必要。グループ首位となったサウジは強いだろうが、アウェー戦のためにも叩かなければならない。

今回の。ヒステリックな論調は、ブレイクスルーが生まれない世相と日本代表を重ねてるんだろか、と思ったりもしたな。

2016年10月11日火曜日

また





また台風が通り過ぎて行った。台風18号は、当初まるで大阪湾の凹み、大阪城に向かって来ているかのような進路予想だったが、太平洋高気圧の張り出しにより、進路は北側に変わり、日本海沿岸に沿って進み、勢力が衰えた頃日本を横切った、のか途中で温低日本を変わったのか忘れた。

我が家付近は暴風警報が出たため、学校は昼で終わり、塾は休み。とはいえ台風の中心からは近くはなかったから、ほぼ時間通りに動いたJRとバスに乗って帰ってきた。山は少し風が強かったが、冬場なんかもっとなのであまり気にならなかった。

金曜日はセミナーのようなものに出て、気の合う先輩と軽くビール。2人とも昔とは立場が違ってしまって、新しい職場の話が合うのが面白かった。

土曜日は、息子を塾まで送ってったが・・家にいる分にはフツーに涼しいが、外は、暑かった。一気にバテた。いい時間のバスがなく、早めに出て本屋に行って「ドラベース」を買った。

塾の間は、パパはブックオフでじっくりと本選び。
阿部智里「烏に単は似合わない」
芦原すなお「青春デンデケデケデケ」
長野まゆみ「天体議会」

を購入。最近は、100円コーナーで、きれいな出物を探している。あとは、外書文庫コーナーを丹念に探す。まあ、今回どれも、これしかない、的な感じだった。楽しみだ。

一時熱中症も心配したくらいで、夕方には少し涼しくなったとはいえ、汗みどろで帰宅。この日はママが遅くなる外出のため、買ったシューマイとコロッケとポテトサラダで晩ごはん。シューマイは大きいのを6個入りが10個入りか迷って、多いかなあ、と思いつつ10個にしたが、息子はペロリとたいらげていた。さすがの点心好き。

翌日曜日は、家族ぐるみの付き合いをしているママが我が家に。赤ちゃんの頃抱っこした娘さんももう大学受験。久しぶりに会いたいなあ。

この日から一段気温が下がり、もう涼しいというよりは寒い。部屋着も衣替え。まだ薄めだが、長いズボンに、トレーナー。ひがな1日読書。

月曜日は午後から外へ。芦屋浜へと向かったが、イベント中らしく、駐車場に入れず、取って返して甲山森林公園へ。初めて行ったが、広く山深い。人が多く、キャッチボール出来ず、犬を散歩させて帰る。近くの公園でキャッチボール再開。

夏草ぼうぼうでボールがたびたび行方不明に。探しに入ると、くっつき虫がジーンズと靴にビッシリ!少しずつ取り続けて帰る頃にはなんとかきれいに。

晩ごはん時にはみなぐったり。特に運動嫌いなクッキーは疲れたのか寝込む。家に居ても肌寒く、毛布出して寝かせる。

暑かったから外遊びはしなかった夏は終わり、久々の運動で、パパは足腰痛いのでした。阿部智里「烏に単は似合わない」読了。

寒いぞ。やれやれ。

2016年10月2日日曜日

9月書評の3




山の上の小学校も毎年恒例の運動会。雨が心配され、昼食は子供と別々となった。これが最後と思うと、不思議な気がする。

今月は12作品13冊。冊数は年間累計100となった。月日とともに、読書はある。


星新一「ブランコのむこうで」

たまたま見かけて、へー、星新一って長編もあるんだ、と買った作品。児童向けだが、んー、と考えさせられるかも。

ある日、学校から帰る途中、自分によく似た少年を見かけて、後を追い掛けたぼくは、少年にとある家のドアの中へ誘い込まれてしまう。閉じ込められ、ふと後ろを振り向くと、そこには草原が広がっていた。ぼくは、その世界で、亡くなった祖父に出会う。

人の、夢から夢へと、少年が次々と旅をしていくファンタジーである。その数も多いし、色々な教訓的、SF的なシチュエーションがあって面白いが、全体としてなかなかその世界から抜け出せないという、抑圧的なものも感じてしまった。

ベースとなる童話的な設定にもへえ、と思うが、もしこういう世界ならばこんなものも、あんなこともあるだろう、という発想が、楽しんで創っているようで、読んでいてもワクワクするような気分になる。ラストは予定調和だ。

昭和46年の作品。私は断片的に読んでいるが、長編というのは星新一的にどうなのか、誰か解説してください。

最近児童向け多めだな。ま、それなりに楽しいけど。

坂東眞砂子「旅涯ての地」

重厚かつ様々な技巧が織り込まれたドラマ。オチには、坂東眞砂子らしいなあ、と思った。

マルコ・ポーロ一族の奴隷で宋と日本の混血である夏桂(カケイ)は、一族の館のあるヴェネツィアで、盗みの罪を押し付けられて牢獄に入れられる。しかし、夏桂が放浪の楽士から手に入れたイコンに執着する謎の女たちの手引きで、夏桂は脱獄し逃亡する。

中世イタリアの話。マルコ・ポーロ一族は、元のクビライ・ハンに客人として留め置かれていたが、ペルシアのイル・ハン国の王が、妻に迎える姫君を送り届けて欲しい、と言ってきたのを幸いとして、姫君と共に西方へ向かい、24年ぶりにヴェネツィアへ帰国出来たところから話は始まる。

最初はこの夏桂という奴隷の、容貌も、年齢もよく見えないが、所々断片的に鮮烈な記憶が語られることによって、だんだん分かってくるようになっている。

ヴェネツィアでのやや平穏な毎日から、盗み、発覚、逮捕、脱獄と物語は激しく動く。そこから時代はかなり先へと飛び、夏桂たちを追うマルコの古い手紙で、追跡劇が描かれる。下巻では、夏桂たちが辿り着いた隠れ里での生活をある意味のんびりと述べつつ、目線を夏桂側に替えて、逃亡劇が語られる。大きなうねりの中、夏桂のモノローグが続くから、上巻の最後は手紙にしてあるのだろう。

読みながら、塩野七生や、坂東眞砂子のイタリア紀行ものを読んでおいて多少はよかった、と思った。少しでも、作家が描きたい世界にアプローチ出来ているような気がしたからだ。参考文献を眺めてみると塩野七生があった。

さて、日常と、宗教と描きながら、物語を進めていくので、ちょっと重苦しくて長く、なかなか日本人には肌感覚として難しいかな、と読みながら考えていた。

西方世界とキリスト教を、西欧から見てファーイーストの夏桂が直観している、ということや、ポーロ一族が手紙の中で振り返っている流浪の人生、西の涯てに来た夏桂の人生、また坂東眞砂子らしい男女の生の世界がぎゅっと詰まった大河ドラマだと思う。

ある意味すごく大胆なオチだった。

真瀬もと「ベイカー街少年探偵団ジャーナルI
キューピッドの涙盗難事件」

私はアマチュアシャーロッキアン。前から読みたいな〜と思っていた。面白い特徴がある。

貧民街、イーストエンドに暮らすリアムは、シャーロック・ホームズが組織する浮浪児部隊、「ベイカー・ストリート・イレギュラーズ」の一員の少年。父はスリのマイケル、隣には娼婦の娘で盲目のイヴが住んでいる。ホームズの事件への助力に絡み、ベイカー街へ向かう途中で、リアムは爆弾事件に遭遇する。現場近くで見かけた父のような人影も気になっていた。

ベイカー街不正規隊、ベイカー・ストリート・イレギュラーズは、シャーロック・ホームズもの最初の長編「緋色の研究」に、登場する。ホームズは、ロンドン界隈の浮浪児たちを組織して、ある馬車の御者を探させる。子供なら怪しまれず、どこにでももぐりこめるからだ。

ドイルが書いたホームズものは、長編4つと、56の短篇であるが、この、他に追随を許さない人気探偵が活躍する贋作、いわゆるパスティーシュ、またパロディは現在でも世界中で書かれ、出版されている。ホームズものに出てくるクセのあるバイプレイヤーたちをみな登場させる楽しい話も多く、イレギュラーズもよく出るキャラクターである。

どちらかというと、日本人が書いたパロディ・パスティーシュは読まないのだが、今回は女性作家が描いた主人公リアムや周囲の人々の心理描写がそれなりに細やかで、ほお、と思わせるものもあった。

事件は分かるよな分からんよな部分もあった印象だが、アイルランド絡みの爆弾事件をあつかうことで時代感が出ていると思う。巻末に紹介されていた「マイケル・コリンズ」をはじめ、私はアイルランドものの映画を好んで見ていたというのもあって、雰囲気にはしっくりとなじめた。

さて、もちろん、教授も、オペラ歌手も、レストレイドも話には出てくるが、パスティーシュではおおむね好意的な役で、異国でホームズと再会し子を成した、とかいう設定も珍しくないアイリーン・アドラーの役どころが面白い気がする。私もアマチュアシャーロッキアンだが、確か見たことないような・・。ちょっと興味深い。

てか、めっちゃいいところで次巻に続く、だって。こりゃシリーズ全部(3巻)早く買わなきゃいかんな〜。

最後に一つ。劇中の神父さんの言葉。

「リアム、きみはまだ子どもで、大人ほどは力がない。経験も知恵も大人に劣るかもしれない。でも未来に向かっての可能性だけは、大人たちよりもずっとたくさんもっているんです。」

私が尊敬する読者女子が、「たまに天から降ってくるような言葉に出会うことがある。」と言っておられたが・・。こんな言葉に感動するなんて、私もトシをとったのかな。


瀬川深「チューバはうたうーmit  Tuba」

新聞の広告に出てて興味を持った。リクツっぽいけど、いいまとまりをしている、太宰治賞受賞作。音楽ものはいいね。

「私」は26歳独身のOL、チューバ吹き。なぜ私はチューバを吹くのか?それは、うまく説明出来ない。休日、いつものように河川敷で、独りでチューバを吹いている時、「私」は黒い帽子の男に声をかけられる。男は、クラリネット吹きだった。

理屈っぽさは、何度も繰り返される、なぜチューバを吹くのか、から既存の音楽に対する強烈なアンチテーゼにまで及ぶ。一文が長いな〜と感じることもある。一瞬、哲学の本っぽいな、文調も芥川賞ものか?とか思ったし。

ただ、チューバに対する気持ち、それはフツウの恋愛生活においても、フツウの会社員生活においても、強烈に浮かび上がる。

クライマックスは、音楽の洪水で、ここまで理屈っぽく来たものが、一気に弾けまくっていて、一文も短い。このバランスがいいと思う。

私はクラシックが好きだし、楽器もの、音楽ものの小説は基本的に気になるジャンルだ。私は楽器を弾かないから余計その興味が強い。また、音楽もの小説は、やはり想像力を刺激し、特殊な気持ちになれる気がする。

それにしても、文章そのものではなくタッチが誰かに似てるなあ、と思った。ラストシーンにはなぜか、子供の絵本「ベッドの下にだれがいる?」を思い出し、黒い帽子の男のキャラにあっては、桜庭一樹の直木賞作品、「私の男」を想起した。んーほかにも、誰かに似てるよね、と思う。

次にこの作家の作品に出逢うのが、ちょっとだけ楽しみだ。

9月書評の2





9月は、誕生月。おおむね7〜8年前の東京時代から読み出したから、まあまあの読書生活だと思う。買いたいなあ、と手を出すのは、シャーロッキアンものを含めて、推理・探偵小説が多い傾向の最近。やっぱ近くに、女子もの貸してくれる人がいないと困るな。環境変わったからな。

北村薫「野球の国のアリス」

子供向けの話、なんだろうと思う。鏡を通り抜けて異世界へ辿り着いた、野球少女アリス。北村氏の野球に対する愛が分かる。

小学6年生のアリスは、知り合いの新聞記者、宇佐木(うさぎ)さんが「大変だ、大変だ」と走っているのに出会う。思わず後を追うと、宇佐木さんは、商店街の、時計屋の壁に貼られている大きな鏡の中に入って行ったー。

なかなか面白い仕掛けの子供向けのファンタジーである。鏡の向こうの世界は、様々なものが違ったり、さかさまだったりする。また、鏡のこちらと向こうを上手く使って変化もつけている。普段の北村薫の作品からは遠い感じもするが、くだけた文体からも遊び心が読み取れる。

北村氏は「1950年のバックトス」というなかなかマニアックなネタの短編も書いているが、今回も、野球に関して専門的な考え方も含んでいて、好きなんだなあ、というのが伝わる。

野球は、いいね。

米原万里「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」

これは・・私的にめちゃめちゃ面白かった。素晴らしい。エクセレント。大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。2001年の作品。

マリは、共産党員だった父親の赴任に従い、9歳から14歳まで(1960年から1964年まで)、チェコのプラハにあった、在プラハ・ソビエト学校に通っていた。そこにはおよそ50カ国の少年少女が集まっていて、マリはクラス一のおませさんでギリシャ人のリッツァ、嘘つきだが人情味の厚いルーマニア人のアーニャ、優等生のユーゴスラビア人、ヤスミンカと仲良くしていた。日本に帰国し長じたマリは激動の東欧で音信を絶ったかつての友を捜しに行く。

米原万里は、昨年「オリガ・モリソヴナの反語法」で感心させてもらったが、この作品にも非常に感銘を受けた。

1960年代の微妙な国際情勢。それがチェコのソビエト学校の生徒たちにも影響を及ぼす。一方で、子供たちは多感な時期をやんちゃでおませで元気いっぱいに過ごしている。彼女らは大人になる過程で父母ともども時代に翻弄され、複雑な感情を抱くようになる。

三者三様の、友人の子供時代といま、さらに両親の世代のことを描き出すことで時代の変化とその特殊性、国際情勢が庶民に及ぼす影響を、バランスよく、興味深く描いている。さらに、彼女らを捜索している過程で出会う光景や、東欧独特の考え方、祖国を離れた者たちの気持ちの有り様まで分析していて、大変興味深い。

私は学生の時国際政治学を専攻していて、ちょうどその頃、東欧、ソ連の体制崩壊が起きたから、印象深いし、惹かれてしまう。

ところで、本には、キスミントの包み紙が、栞代わりに挟んであった。これまで多くの古本を手にしたが、たまにあることだ。名前の記入や、買ったところのレシートが挟まっていたこともある。こういった作品は、多くの人の手に渡ればいいな、と思ったりした。

ピーター・ラヴゼイ「苦い林檎酒」

古典のサスペンス・ミステリー。絶版になっていて探していた。テンポが良く、なかなか楽しめた。

大学講師で片脚が不自由なセオ・シンクレアは、19歳のアメリカ人、アリス・アッシェンフェルターの訪問を受ける。セオが子どもの頃、戦時中の疎開先で遭遇した殺人事件で絞首刑になった米兵の娘だという。

私が社会人になりたてのころ、ハヤカワ海外ミステリベスト100という企画があって、若い私はランク入り作品を読み漁った。1位の「幻の女」とか2位の「深夜プラス1」とか。ラヴゼイは「偽のデュー警部」というのが6位に入っていて、この作品は57位。いずれ読みたいと思っているうちに絶版になっていた。

ラヴゼイは時代ものの名手だという。この作品も、戦争と、その20年後の1960年代が舞台となっている。ちなみに1986年の著作である。あの時代にあったこと、を雰囲気も含めてうまく醸し出しているとされる。

さて、外国小説は、入りの部分が難解なことも多く、停滞することがあるが、次々と動きがあるためテンポが良く、後半のクライマックスまですいすいと読めた。一読には面白いサスペンスかと思う。

ラヴゼイで、苦い林檎酒で、サスペンスで、とちょっと昔風にカッコいいラインだな、なんて考えた。探し当てて良かった。

塩野七生「レパントの海戦」

キリスト教勢力対イスラム・トルコ3部作ラストの戦い。面白かったから、ちょっと寂しいかも。

1569年、ヴェネツィア共和国の勢力圏であるキプロスには、オスマン・トルコの脅威が迫っていた。ヴェネツィアは自国と法王庁、スペインに十字軍として連合艦隊の組織化を働きかけるが・・。

ここまで「コンスタンティノープルの陥落」で東ローマ帝国の滅亡、「ロードス島攻防紀」で聖ヨハネ騎士団の敗北と、領土拡張欲を前面に押し出した隆盛期のトルコに、キリスト教勢力が敗れるのを見てきた。そして1571年キリスト教連合艦隊とトルコの激突である。

レパントの戦いを境に、オスマン・トルコが衰退期に入った、というのは必ずしも正しくないらしい。しかしこの戦い以降、ヨーロッパ史の中心が東地中海・アドリア海から西ヨーロッパに移った、という流れのようだ。

さて、3部作が進むごとに、作品が整備された、というか、登場人物のキャラ付けも分かりやすくなり、見やすい地図が付き、パターンも分かってきた。

今回は、戦いそのものは5時間くらいで終わったために、海戦に至るまでの、政治的な駆け引きの部分が長くなっている。もちろん実際の戦闘の状況も、だいぶ詳しく描かれてはいるが、前の2作品が籠城戦だったから、すぐ終わってしまった印象だ。それも含めて、相変わらず史料が豊富そうだな、と読んでて思う。

隆盛を誇った海運国家ヴェネツィアも、そして最強トルコもやがて衰退する。やはりこの後も読みたい気はする。この、転換点とそれ以後を描いている作品が、どこかにないかな。

9月書評の1




9月は、よく読んだかな。読みたい本を予定通りに読めたし、見つけた意外な作品を読んだり、大作もあったから、充実してたかな。

重松清「赤ヘル1975」

やっぱ広島カープ4半世紀ぶりの優勝か、という今年、今のうちに読まなんね、と購入。上手いな、と思った。

中学1年のマナブは、仕事がいつも上手くいかない父と暮らし、転校を繰り返す身の上だ。1975年の夏、東京から広島市内に引っ越してきたマナブは、酒屋の息子で野球が上手くやんちゃなヤスと、将来はスポーツ新聞記者志望だが国語が苦手なユキオという、筋金入りのカープファン2人と仲良くなる。広島はまた、原爆投下から30年めの夏を迎えていた。

広島カープ初優勝の年の物語。かつてカープは弱く、セ・リーグのお荷物とか、3強、2弱、1番外地とか言われたこともあったという。私は、ちょうどこの年からプロ野球を見た記憶が始まっているので、その感覚は分からない。

重松清らしく、少年の物語を、家族と地域のことを上手く捉え、原爆のこと、この時代のことに向き合い、しかしバランスよく描いていると思う。雑多な出来事も考え方もあり。哀しさも、笑いも、ドラマならではのエピソードもあり。淡い恋のことも。

この年、広島カープはついにセ・リーグで初優勝し、日本シリーズでは阪急に敗れたが、赤ヘル軍団は一気に全国区になった。長嶋監督を迎えた巨人はなすすべもなく負け続け、球団創設以来初の最下位に沈んだ。

あの時代の野球の雰囲気も、世相の感覚も肌感覚でマッチするものがあって、上手い作品だと思う。

600ページ超の作品で、ちょっと骨が折れたのも確か。ミステリー特集からなんかページ数が多い本が増えてるな。女子系を読みたい気分だ。

垣谷美雨 「結婚相手は抽選で」

「女子による女子のための文庫フェア」の一冊。作家的には極端な仮定の世界を作り出す方のイメージが強いが、んー、やっぱ女子ジョシしてたな。

少子化を防ぐため、抽選お見合い結婚法案が可決された。25歳から35歳までの独身男女は、国が抽選により決めた相手とお見合いしなければならない。3回断ったら、テロ撲滅隊に、強制入隊させられる。31歳でモテない看護師の好美、ラジオ局に勤める、美人の奈々、彼女いない歴27年の龍彦は、それぞれに、辛い現実を噛みしめる。

上にも書いたが、そもそものアプローチは違っていて、ある、女子から面白い、と聞いたのが始まり。「七十歳死亡法案、可決」とか面白かった、と聞いたので、仮定の形で社会的な話を進める人かなと思っていた。で、どこかの書評で、この作品と、次の「禁煙小説」がまずまず面白い、と読んだから、軽めの作品から試してみようと買ったのだった。

感想は、うーん、こういう法律の仮定のでは、まあコミカルな成り行きになるなと、おそらく普通は思うし、またバランスよく配置した複数のキャラのオムニバス的な感じかな、と予想した。

出てきたのは、意外に、似通ったようにも見える形だった。どうやら女子2人は、別テーマも同時進行させているようだ。

それぞれに、重荷や欠点やコンプレックスを抱え、厳しい現実に向き合う。コミカルで予定調和な感じもするけれど、そこはまあ、そもそもマンガ的な仮定なんだし。男性キャラはやはり、女子が書く男の子、という感じで結構予想通りだったけど、女子2人には、ふーむ、と思ったりもした。

抽選お見合い結婚法、の成り行きも、それなりに面白いものはあった。まあ、ただ、もう少し別の展開も織り込めたのかも、と思う。

この作家さん、というのは、まだまだ見えない。もう少し読んでもいいかも、だな。

森見登美彦「ペンギン・ハイウェイ」

子供ファンタジー。なんちゅーか、想像力に感心してしまった。日本SF大賞受賞作。

研究が好きな小学4年生のぼく・アオヤマはよく友達のウチダ君と一緒に、探検に出かけ、「海辺のカフェ」では歯医者に勤めるお姉さんとチェスをする。ある日、歯医者の隣の空き地に大量のペンギンが現れ、いずこかへと去る。ぼくは、バスターミナルで、お姉さんが缶コーラをペンギンに変えるのを目撃する。近くの森ではクラスメイトのハマモトさんが、正体不明の物体、「海」の観察・研究をしていた。

萩尾望都氏も解説で書いているが、ふつう少年ファンタジーは、やんちゃか、気弱な少年が主人公だったりするので、アオヤマ君のようなカシコイしっかりものは珍しかったりする。そのへんウチダ君に預けているようだ。

わけ分からん系の、でも奥に大きなものを感じさせるような不思議な、謎の現象を設定して、アオヤマ君と取り巻く人々のハートウォーミングでちょっと切ないストーリーである。理屈も分かったようなわからんような解決だが、読後感じが抜群にいい。我々世代の、探検の体験も思い起こさせてくれるものだ。ジュブナイルと言えなくもない。

森見登美彦は、「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話体系」を読んで、興味はあったものの、しばらく読んでなかった。私の周囲ではけっこう好きな人が多かったが、同じ京大卒の、万城目学のほうが合うような気がして、見送っていた。

意外に、これまでとは作風が違って、好感を残した。こんな話、けっこう好きである。

久住四季「星読島に星は流れた」

ふむ。スマートなミステリー。設定も知的好奇心をくすぐる。探偵役はナイスガイ&美女2人。

天文学者サラ・ローウェル博士が所有するボストン港近くの小島ー星読島は、数年に一度、隕石が落ちてくるという不思議な島。毎年数人を招待し、もし隕石が落ちたら参加者の1人にプレゼントされる催しが行われる。招待を受けたアメリカ国籍の医師、加藤盤は同じ招待客の、隕石を売買するプロ、マッカーシーや、18歳にして博士号を得ている天才少女・美宙と出会う。

評判の良い推理小説ということで、文庫化を待っていた。読み終わった感は、まあ、一読面白く気持ち良い物語、というものだ。

隕石、宇宙、星、天文学者という材料がまず興味を惹く。また、島とくればミステリー好きにはやはり、孤立した状況での連続殺人、が自然と思い描かれる。ここは期待を裏切らない。

物語の仕立ては、探偵役のナイスガイを中心に、それぞれ役割を与えられた、薄すぎもせず濃すぎない個性的なキャラたちが気持ちよく物語を織り成す感じで、総体としてやはりスマートだ。

推理小説としては、最近はやりの形である。ゲームでもよくあるボスキャラ系はあまりにもよく目にするから食傷気味ではある。またネタは、理解はできるのだが、表現的になんか想像力がついていかなかった。

久住四季は34歳。この本が初めての単行本だとか。果たして、加藤盤はシリーズ化されるのか、今回のキャラたちはまた活躍するのか、ちょっと楽しみかな。