2014年6月30日月曜日

妖怪三昧

土曜日は外出せず、気持ち良く日がな一日「村上海賊の娘」を読んでいた。深夜にブラジルーチリを観始めたが、ねむねむで、延長戦になったところで寝た。南米勢同士の対決は、いつも予選でやり慣れているというのもあるのか、臆しない個人技の戦いとなって面白い。次はブラジルーコロンビア。これも本当に楽しみだ。

さて、もはやTVでも雑誌でも取り上げられ、無視できない大ヒット作になって来ている妖怪ウォッチ。我が息子も大好きである。

金曜は東京出張で時間があったので、ビッグカメラに寄って、妖怪ウォッチ絆創膏セットと折り紙セットをおみやげに買って帰る。奥のゲーム機では、メダルを手に入れようと、親御さんたちが列を作っていた。

地元のショッピングモールやその近くのエディオンではグッズなど全て売り切れらしい。一方で帰りの駅のコープではノートとか売っている。

きょうもお出掛けして、地元では、予約をも断られたDSのソフトを、発売日以降いつ入荷するか分からないが、の条件付きで予約できた。また地元ではまったく手に入らないカードセットを買えて、息子はほくほく。あるところには少しはあるもので、偏りもあるようだ。

それにしても、ちょっと間に合ってない期間が長過ぎる。メーカーは頑張ってほしい。こんだけ需要が有るんだから、余ってもいいじゃない。国民的人気、とまで銘打ってるんだから。普通に手に入るようにして欲しいもんだ。

12月には初の映画もあるそうだ。アンパンマンから始まって、レンジャーにウルトラマンに仮面ライダー、イナズマイレブン、ベイブレード、ポケモンと来て、まだまだ狂想曲のただ中のようである。

まあこんなことも、やがていい思い出になるのか。息子と2人、あれこれするのは慣れてるし、いつもドタバタ喜劇のようで面白い。

夜がだんだん気温が上がって来たかな。もう7月だ。

2014年6月27日金曜日

旅の終わり

長友は、インタビューの途中、笑顔で中座を願い出て、泣きに行っていた。

コロンビアに負け、2分1敗で、日本のワールドカップは終わった。私はコロンビアに3点めが入ってから、4年間の旅が終わりに向かっていくのを茫然と見つめていた。

ワールドカップまでの道のりを「旅」と表現したのはトゥルシエだったか。先のワールドカップで敗退した時も感じたが、深い寂しさを感じるとともに、やはり幸せだったのだろうと思う。

私なりに感想をば。

だいぶ以前に書いたこと。アジアカップや親善試合の結果は、ワールドカップには繋がらない。アウェーでヨーロッパの強豪に善戦しても同じ。あえて言えばアフリカ、南米アウェーを多少増やせは、とも思うが。

前回も綴ったことだが、大きな大会では、「入り」を間違えないことが非常に大事。なぜかはくどくど言う必要は無いだろう。初戦は双方硬くなるもの。まずまず力が出せて、引分け以上ならOK。

しかし、ワールドカップレベルの大会で初戦に絶対負けない、ということは今後も無いだろう。初戦を負けても、2戦めで取り返すことは出来る。あまり騒ぎすぎるのもどうかと思う。今回負け引分けでもグループリーグ突破の可能性は最後まで残った事だし。

それを踏まえて現実を見ると、今回の日本の戦いはやはり最初の2試合に集約されるかと思う。

コートジボワールは強いから、と大変心配していたが、相手は硬かったし本調子ではなく、勝てる、もしくは引分けることができるゲームだったと思う。

ギリシャにも、勝つチャンスは充分にあった。初戦負けてもギリシャに勝てば、自力突破の可能性が大きく開けた状況だった。

そのどちらも日本は勝てなかったが、彼我の差は、さほど大きくなかった。勝つチャンスは、あった。それを逃がした、ということを忘れてはならない。選手の責任も大きいと思う。しかし勝つチャンスがあったということは、進歩でもある。

今回は、史上初めて、日本が攻撃的なサッカーにシフトして臨んだ大会だった。点の取り合いを望んだ。数人の評論家が「全敗も有り得る」と言っていた。その状況が訪れた、ということだ。

直前の強化試合うんぬんの議論もあるが、ドイツでは上手くいかなかったことだし、あまり私としては気にならない。

まあその、いくつか不安を持って見守っていた部分はあったし、ワールドカップで見えてきた部分もあったし、批判したいこともある。

ひとつは、自分たちのサッカーがハマった時にはスコア上も強いが、そうでない時は脆く、これまでの試合の結果を見ても非常に不安定だったということ。

もうひとつ、守備の議論が、やはりおろそかになっていたのでは、ということ。親善試合から結果を見れば明らかだ。

さらにはスカウティング。今回のコートジボワールが右サイドバックを張り出させるのは予測出来なかったのか、ということ。そんなことはないはずだ。また、そうなったら、という仮定もしておくべきだっただろう。対応手が無いはずもないし、選手も監督にも、是非とも必要な柔軟性だと思う。

もう少し細かく見て行くと、ひとつ気が付いたのは、ドリブラーは必要だということだ。大久保は点を取って欲しかったが、それでも起用の効果はあった。スピードと球持ちと推進力。ペナルティエリア前で倒されて、いい位置でフリーキックを貰える。以前から、ザックがドリブラーを起用しようとしないのを不自然に感じていたが、ひとつの現実が現れたと思う。

結果が出たから言うのだが、大会へのアプローチが上手かったのはトゥルシエだったと思う。彼もよく選手の入れ替えをしたが、初戦のスタメンは、読みやすいメンバーだった。名著「山本昌邦備忘録」によれば、試合直前にゴールキーパーを替えないか、とスタッフに相談したそうだが、これは周囲が、うまく止めた。ただでさえ、不安の大きな大会ではスタメンは固定したほうが、選手の信頼感、安心感が違う。ようし、となりやすい。

南アフリカの岡田監督は、大会直前にメンバーと戦い方を変える、という賭けに出たが、ここには明確な路線があった。今回も路線はあったが、上に述べたように不安定なもので、大久保のサプライズも含め、時間が足りない部分もあった。攻撃サッカーであれば、芯を担う選手は出来るだけ変えてはならないと思う。

試合の采配部分については、トゥルシエも、初戦先制点を奪われた(奪ったのは今回ベルギー監督のウィルモッツ)際には度を失って「3人交代だ!」と喚いたらしいし、ヒディンクや今回のコートジボワールのラムシのように、これだ、という采配は出来にくいものだ。だから初戦の混乱も、無いのがベストだが、殊更責めようとも思わない。しかし3戦通じて、相手に合わせた感がある。パワープレーについては、もはや小さなことだ。「小さな日本」という発想は面白い、と今でも思う。ただ、何か目に見えやすい、頼る部分は持っておくべきだったと思う。ワールドカップの試合は、重層的な展開を見せる。また、この最高の舞台では、相手もさまざまな武器を持っている。

前回も書いたが、史上最強のメンバーでも、上手く行かないこともある。今回は、アプローチの点で甘さがあった。自分たちのサッカーは何で、その欠点はどこで、ワールドカップという大きな大会で本当に機能させて勝つためには何が必要か、という部分が見えにくかった。

最後に、曖昧なことを。初戦をコントロールするメンタル、負けてもチャンスを生かすメンタルは足りなかったと思う。本当にしょんぼりして、前回みたいに身体を張る姿勢も見えなかった。頼りがいのある、任せておけ、くらいの心持ちが欲しい。相手の戦術で、困ったことになっても、おっと、ちょっと大変な感じになったけど、何とかできる、そう簡単にさせやしないぜ!くらいの頼もしさが欲しい。

さて、今回はこれまでの反動で攻撃に傾倒したサッカーとなった。柔軟性も、結果として足りなかった。でも、それなりの一歩を踏み出した。ザックの功績は言うまでもない。この痛い、痛い体験を踏まえて、また4年の旅が始まる。私は楽観的だ。

フランスワールドカップ後は、それで、これから日本のサッカーをどうするんだよ、となった。ドイツの後も、ではどんなサッカーを目指すのか、となった。しかしどちらも、暗闇の海を照らす人は現れた。監督、選手両方に。今回は、攻撃サッカーの端緒につけた。歩みは遅々としているが、私は進歩していると信じている。

日本代表、おつかれさま。負けてこそ、成長できる。迷い子にならず、4年後に、闘志を燃やせー。

2014年6月23日月曜日

祈りの2

ギリシャ戦引分けの金曜日。タイムアップの笛即家を出て、バスに飛び乗った。いつもより1本遅いバスは満席。9時を過ぎたら通勤時間帯は終了と見なすのか、次のバスは50分後ということもあって、いつも少なくはないのだが、同じようにギリシャ戦を観てた人が多かったのか、満席は久しぶりに見た。もう1本15分後に出さないかな。

コートジボワール戦に負けた時も会社でワールドカップの話は出なかったが、今回の引分けで、世間の関心は急激に引いていってるみたいである。

日本は最終戦に勝たなければならない。そして裏カード、コートジボワール対ギリシャの結果しだい。

裏カードが引分けかコートジボワールの負けの2パターンが考えられるが、引き分けだと同勝ち点で得失点差を争うコートジボワールはいま0だから、いま−1の日本が上回るにはコロンビア相手に2点差以上が必要となる。現在−3のギリシャが勝ってくれれば、多分そんなに点差は開かないから、日本が有利。

もちろん、グループ最強のコロンビアに日本が勝つとして、また今大会まだ1点も取っていないギリシャが、コートジボワールに勝つか引き分けるかするとして、の話だ。

さて、初戦の負けに、2006年のドイツワールドカップを思い出した。あの時は、終盤まで勝っていたが、あっという間に逆転された。

先制して、守るのか攻めるのかその微妙さかげんに統一感がなく、選手交代の意図が伝わらず拍車をかけた。監督は試合後、泣いているような声で「望んでいた結果ではなかった。」と言った。今回と共通する部分もほの見える。そして、その後どうなったか。

ほとんどは遠藤保仁の著書と、新聞等を読んだ記憶だが、監督は「練習からガツガツ行かなきゃダメだ。」と言い出した。試合間の対人練習は、削り合いと化した。

周囲の評価も、大会前は楽観的な観測だったのが、急に厳しく、過敏になった。練習中にリフティングしている選手を見て、ある評論家は「試合で使わないことをするなよ。」と吐き捨てたと言う。また選手間にも揉め事があったと言われている。

その時は、2戦めはクロアチアにスコアレスドロー、最終戦はロナウドのいたブラジルだった。1戦めのオーストラリアに勝てなかったことで、「どうするんだよ!」という空気が、選手間にも、周囲にも流れて収集がつかなかったのではないかと思う。

だから、今回はまたヒステリックにならないよう、と思っていた。やはり厳しい見出しが新聞に並んだし、やたらと批判口がキツい人もいて、多少混乱気味にもとれた。

でも、今回は意外に、ちょっと冷静だな、と思うこともある。コートジボワールは強いから、負けもあり、と踏んでいた人もやはりいたようだ。ギリシャと引分けても、関心がないようでいて、落ち着いた態度もそれなりに目にする。

さて、ギリシャ戦、大久保は頑張っていた。やはり機動力のある選手が入ると違う。PA近くのいいところでフリーキックが取れる。ただ、合わせる期間が短かったことが、少々ここに来て痛手となっている感がある。

なにかと話題になるパワープレーだが、私は初戦は支持した。どうにもこうにも手詰まりだったからで、打開しようとする努力を買った。しかし、ギリシャ戦は、ちょっと事情が違った。

もともと守りを固めるのが得意で、上背もはるかにある相手。終盤は持たせてくれることもあり、やたらクロスを上げていたが、バリエーションが無いと対応はしやすくなる。そこへパワープレーを持って来ても・・だった。ここでこそ、培って来たものにこだわるべきだったと思った。

ただ、うまく行かないのも、サッカーであり、ワールドカップだ。あんなに強かったスペインも敗退が決まった。イングランドも敗退。かつてはフランスも、優勝した後の日韓大会では1点も取れずにグループリーグ敗退、その時はアルゼンチンも苦杯をなめ、先の南アフリカではイタリアも早々に大会を去った。

5大会連続出場中の日本も、例え十分な力を備えていたとしても、思うように力を出せないことは大いにあり得ることだ。ワールドカップはラグビーと違い、グループリーグが3試合と少なく、修正する時間が短いため、このようなことが起きがちだ。

巷には怒りの声もたくさん聞かれるが、まだまだ冷静の内。幸い、チームも崩壊はしていない。確率は低いが、コロンビアは強いとはいえ、ロナウドのいたブラジルではない。ギリシャも、本領を出せばコートジボワールを完封出来る力を持っている。

今度こそ、日本らしい姿で、複数ゴールを取って、出来れば勝って欲しいものだ。私なりに感じることはあるが、それは大会後に書くことにする。なにより、いまは、コロンビア戦を応援するだけだ。

日曜の夜は、心斎橋へブラジル料理を食べに行き、シュラスコほか肉をたくさん食べた。焼きパイナップルも美味だった。さあ、精をつけて、コロンビア戦!

日本の力を、見せつけよ。がんばれ、がんばれ、頑張れ、日本。

2014年6月19日木曜日

祈り

初戦負けて、あっという間に明日朝はギリシャ戦。

色々書くのは終わってからにして、4年間で一番祈ろうと思う。

ワールドカップは親善試合とは違う、戦いの場。勇敢な姿を期待する。香川のゴールで勝つっ!

日本の力を、見せつけよ。頑張れ、がんばれ、日本。

2014年6月15日日曜日

試練

負けてしまった。自分たちのサッカーも出来なかった。

ボールの失い方がとても悪かった。それでもある程度の失点は覚悟していたはず。問題は攻撃で、ダメな時のループに入ってしまっていたと思う。

前回大会は、なにをさておいても初戦に勝てた事が、あらゆる良い効果をもたらした。

初戦に負けてしまうと、次に引き分け以下だとまずグループリーグを突破出来ないので精神的に追い込まれる。2006年、ドイツワールドカップの日本は、監督も含めてメンタルが耐えられなかった。

本田、遠藤、長谷部、長友といったチームの主軸は2回目以上のワールドカップ。この試練に耐えなければならない。ここでも進歩の度合いは試される。

2006年は、周囲も含めてだいぶヒステリックになってしまったと思う。我々も、進歩して、チームがこの現状を乗り越えるのを、応援したい。

前夜の2

木金は出張。今回田町に用があったのだが、喫煙所が見つけやすい場所にたくさんあって珍しく、助かった。金曜朝は、自然に目が覚めて、ホテルでワールドカップ開幕戦、ブラジルークロアチアを見た。早々にブラジルのオウンゴールというのも開幕戦ぽい。クロアチアは健闘したが、力負けだった。

PKについては、判定として全く問題無いと思う。例えば同じ場面で審判100人が全員取るとは思わないが、PKの判断は、全くおかしなものではない。PKの判定とはそういうものだ。なんかヨーロッパの元レフリー達はやたらと厳しい見解を示すのだが、うーむと思う。

私は審判もやったこたないし、ちょっと多めに試合を観てるだけの者だが、およそ20年の観戦経験から言ってそうだ。例え審判が日本人がアメリカ人でも、マレーシア人でも、例えPKを取られたのが日本でも同じ事を言う。

シドニーオリンピックのアメリカ戦、日本のDF酒井友之は走り込んで来たアメリカ人選手の肩に手で触れただけで、明らかにわざと倒れたのにPKを取られたし、今大会のアジア最終予選のアウェーオーストラリア戦で内田がPKを取られたジャッジメントも、試合後、敵の監督までが「ウチダはファウルをしていない」とあえて言うほどの判定だった。ちなみにオーストラリアの監督はJリーグで監督経験もある人だった。

今回ビデオを見ても、PK取られることもある、というプレー。それを世界は大きなミスを目撃したの、バスケの試合だの言うのは間違い。公正に見ても次の試合、監督ベンチ入り停止を言い渡されてもおかしくない言動だ、と思う。

行き帰りで荻原浩「コールドゲーム」を読み終われればと思っていたら面白く読み進んで帰り新幹線読むものが無くなったので、品川で乙一「箱庭図書館」という短編集を買った。

こういう時は、概ねスパッと決まるもので、買う本が、向こうから呼んでいるような気になることがある。迷うなら買わない、がモットーである。今回も乙一に呼ばれてしまった。

土曜は朝起きてスペインーオランダ。でもほとんど眠ってしまった(笑)ので講評なし。スペインは前回も初戦負けているが、今回はダメージが深いかも。午前散髪。帰って来野球の大学選手権の準決勝見て、乙一読書、読了。乙一は、名作「暗いところで待ち合わせ」以来と随分久しぶりだが、なかなか面白かった。

さあいよいよ日本戦だ。その前にコロンビアーギリシャを観てスカウティングしよっと(笑)。

少なくとも大会の入りに失敗しませんように。

日本の力を見せつけよ。頑張れ、日本。

2014年6月9日月曜日

前夜

木曜日、本屋に立ち寄ると、自転車ロードレース小説の「サクリファイス」「エデン」の続編「サヴァイヴ」が出ているのを見つけ、即購入。金曜日の夜には読んでしまった。

土曜日は朝からサッカー日本代表のザンビア戦。ザンビアがアフリカネーションズカップ優勝とは知らなかった。思ったより強く、いい練習試合にはなったかな。たくさん点が入って、ラスト勝越し。面白い試合だったが、守備は不安になった。コートジボワール戦に向け、いい教訓になっただろう。

雨が降ったので犬の散歩も公園もお休み。そこまで暑くもなくのんびりのお休み日。

日がな一日お休みで朝井まかての直木賞作品、「恋歌」を読んでいた。幕末は好きだが、水戸天狗党はよく知らなかった。面白かった。つい夜遅くまで読んでしまって寝不足。

日曜日は日中お仕事。帰ってすぐに「公園に行こう!」と声がかかった。右足肉離れを起こしたのが2週間前の日曜。先週末はまだ痛みの残る足とキャリーケースを引きずって出張。ここ1週間でだいぶマシになった。ムリは禁物だが、ぼちぼち動かしたほうがいいだろうと公園へ。

キャッチボールとサッカー。足のことがあるからね、暴投なしよ、と言って遊ぶ。サッカーはやむなくボールが散ることもあったがまあまあ無難に終わる。

前夜の寝不足で息子寝かしつけてそのまま朝までグースカ。起きて風呂入って出たらもう出勤時間間近。やば、と急いで出て、行きの車中で「不思議の国のアリス」読み終わる。小学校の図書室にはないそうでちょっとびっくりしたが、まあ教訓も理屈もない話だしそうなのかな、と思ったりした。

いよいよ今週末からワールドカップだ。熱狂的だった1998年や2002年に比べれば前回同様熱は冷めぎみだが、本番になると盛り上がるだろう。このなんかザワザワした雰囲気が好きでもある。

対戦国は、日本の守備は弱い、と見るだろう。コートジボワールは選手もいいし、スピードもパワーもあるので心配している。前回のカメルーンとは違う。バテてきた後半勝負かも、と思うが、向こうも本番ではそうは落ちないかも知れない。苦戦は必至だ。

グループリーグ最後が、名将ペケルマン率いるコロンビアと考えれば、先の2試合で1勝1分けは欲しい。緒戦は両方が硬くなるものだが、大会への上手い入り方をしたい。まあここまで来たら、信じて応援するだけだ。

日本の力を、見せつけよ。頑張れ、日本。

2014年6月3日火曜日

5月書評の2

城平京「名探偵に薔薇を」

本格ミステリ。集中して読めた。

98年刊行の作品で、鮎川哲也賞候補作だそうだ。二部構成で、全く別の事件が同じ毒薬、登場人物、舞台で繋がる作品。出だしがグロで猟奇的だったのだが、展開の派手さを名探偵がきれいに畳んでしまう。第一部の締めは華麗とも言えるだろう。二部はより人間ぽい、探偵の苦悩の物語である。

家庭教師として会社社長の藤田家にに出入りしている大学院生、三橋は、ある日駅で見知らぬ人物に「小人地獄」という言葉を告げられる。やがて、藤田家の社長夫人が猟奇的に殺される。さらに第二の殺人、恐喝が・・。三橋は名探偵として有名な大学の後輩、瀬川みゆきに事件の解決を依頼する。

先に触れたように、第一部の流れは、物証という点では気にかかるが、見事だ。第一部のラストから第二部で、名探偵の苦悩があぶり出されることになる。瀬川みゆきは、どこか北森鴻の蓮杖那智を想起させるが、充分に魅力的で、より退廃的、人間的である。

手掛かりが示されるとはいえ、名探偵の推理はかなり直感的であり、その点が物足りない。派手さと内容が噛み合ってない気もする。しかしま、毒薬といい構成、舞台装置といい、全体の雰囲気といい、いわゆる本格派に浸るのもたまにはいいものだ。

近藤史恵「タルト・タタンの夢」

オシャレ軽いミステリの一種か。行きつけのビストロ持ちたいなあ、なんて考えちゃったりして。やはり料理は大事な要素。美味しい作品です。

ビストロ・パ・マルは、シェフの三舟、相棒の志村、女ソムリエの金子、新米ギャルソンの高築と、従業員が4人しかいない下町の小さなフレンチレストラン。シェフ三舟は無口だが、抜群の料理の腕とともに鋭い推理の才覚を持ち、お客にまつわる不可解な出来事を解き明かしていく。

美味しそうで、明るくて、スマートで、ほっこりする。30〜40ページくらいの連作短編集で読みやすく、そこかしこにフランス料理言葉と、もちろん美味しそうな料理が並ぶ。

テーマになっている料理だけ挙げても、タルト・タタン、ロニョン・ド・ヴォー、ガレット・デ・ロワ、オッソ・イラティ、カスレ、ボンボン・オ・ショコラ、そしてヴァン・ショー。全部分かった方はかなりの食通では?私はサッパリだった。(笑)。

本格推理ではなく、北村薫や最近の柚木麻子のように、身近なことを紐解いていくストーリー。解説にあるように、作家本人も、軽妙でキャラが立っている作品が好きと言っている。その通りの出来だと思う。

「サクリファイス」「エデン」という本格ものも面白かった近藤史恵。この作品はまた、すでに続編も刊行されているようで、また、ハマっちゃいそうなものに出会いました。

アサヒグラフ特別取材班
「ドキュメント 横浜vsPL学園」

自分が観た高校野球の試合でも、凄い、素晴らしい試合だと思う。ピッチャー松坂大輔は、延長17回を投げ抜いた。

1998年夏の甲子園。春夏連覇を狙う横浜は、準々決勝でPL学園と対決した。3回戦まで全試合先発完投、失点わずかに1の松坂は、序盤、PL打線に3点を奪われる。5対5で延長に突入した後、2度リードを許したPLは、執念の粘りで2度とも追い付く。死闘とも言える試合は、延長17回、横浜・常盤の2ランホームランで決着した。

リードし、追い付き、勝ち越し、また追い付き・・というシーソーゲームというばかりでなく、延長17回という長さだけでなく、この高校野球界の強豪同士の対戦には、野球技術の高度な戦い、そして運命のあやとも言える試合の流れがある。取材班のつぶさな取材で、選手の人間的、心理的な部分まで解き明かされていて、とても面白い。

1998年の12月に刊行の作品で当時買い求め、折に触れ読んでいたので再に×5となるくらいの再読だが、何回読んでも、やっぱり興奮する。映像的にも、心に残るシーンが多かった、まさにドラマの連続の試合だった。これだから、高校野球はやめられない。

宮部みゆき「小暮写真館」(2)

宮部みゆきの現代もの。時折クスリと笑いながら、切なく読める。

花菱家は寂れた商店街の、古い写真館をお店部分もそのままに買い取り、移り住む。建物の縁で、高校1年の長男、花菱英一のもとには、心霊写真のようなものが持ち込まれ、英一は調べてみることにする。

これだけでは語れない。基本は家族と友人の物語。男友達のテンコ、女子コゲパン、小学生の優秀な弟、ピカ、不動産屋の謎の女、垣本らと織り成す、青春小説であり、軽いミステリ風味の家族小説である。

宮部みゆきは「火車」「理由」以外読んだことがなかった。世間の評と反対に、私の嗜好とは合わなくて、重いサスペンスと時代劇、というイメージで敬遠していた。

設定が変わっていてちょっと都合の良い部分も多いが、このように軽快で楽しく、しかもボトムの部分で重くて切ない、さらにミステリ仕立ての小説を描くとは、さすがなんだな、と思った。

登場人物が活き活きしていて、関係性が楽しくて微笑ましく、ずっと読んでいたくなる。上下合わせて1000ページ近くあり、途中ちょっと冗長かなとも思ったが、イメージ良く読了出来た。

今後は少しトライする気になってきた。「名もなき毒」「楽園」も読みたいな。

三崎亜記「失われた町」

今回はSFに飛びすぎてるかな。

デビュー作「となり町戦争」が直木賞候補となった三崎亜記。この作品も直木賞候補に推された。

町が意思を持ち、住民が町ごと「消滅」する世界。住民の痕跡を消すために消滅した町、月ヶ瀬へ回収員として派遣されていた茜は、消滅により妻子を失った中西、恋人を失い月ヶ瀬の絵を描き続けている和宏と出会う。

三崎亜記は、デビュー作に好感を持ち、若いな、などと思いながらも次回作を読んでみたい、と純粋に興味を持っていた。今回も「町」というものにこだわる独特の姿勢は続いていると見受けるが、冒頭記したように、ちとSFに飛び過ぎていて、言葉も設定も凝り過ぎて、もうひとつだった。

解明されない、大いなる意思、ということで言えば、なんとなく恩田陸の「月の裏側」を思い出す。

エピローグ、そしてプロローグという章を前後に挟み、7章から成って、少しづつ皆が出会う連作短編のような形。人物もまず魅力的だし、次は何が、というドキドキ感はあるが、特殊過ぎる設定と、答えが用意されなさ過ぎ、というのがあってハマりきれない。

ただ、読ませるものは持っているので、出会えば、次を読みたい気もする。

はらだみずき「スパイクを買いに」

ホッとする、草サッカー物語。

2人の子持ち、40歳の岡村は、人事異動で経験のない営業部へ飛ばされ、アルコールに逃げていた。そんな折、息子の陽平が、好きだったサッカー部を辞めたと聞く。理由を知りたくて、息子のいない中学校のグラウンドに出掛けてみたところ、かつて陽平が所属した小学生クラブのコーチ、真田と会う。真田からおじさんチームでサッカーをやらないか、と誘われた岡村は、行ってみることにする。

草サッカーを通じて、いい出会いをした主人公の中で変化が起き、再生、成長していく物語。万事うまく行かなかった物事が、後半に転がり出す、というもので、まあ予定調和なのだが、その筆致は丁寧で、好感を持った。

おじさん方のキャラも、クセのあるものではないが、普通でなかなか魅力的。いいなあ、草サッカー、という気にさせる。何せもうすぐワールドカップ。サッカーで楽しまなくちゃね読書でした。

5月書評の1

週末は東京埼玉へ出張。友人宅に泊まり、大いに語らった。ここのところのストレスも、吐き出してきた。友たちよ、ありがとう。

少し遅くなったけど今月もスタート!

藤田宜永「愛の領分」

直木賞シリーズ、2001年の作品。大人の恋愛もの、しかも結構入り組んでいる、という予感通りの内容だった。

仕立て屋の淳蔵のもとを、かつての悪友、昌平が28年振りに訪れる。昌平の妻、美保子は、かつて淳蔵が恋い焦がれた女だった。昌平の家に絵の家庭教師として出入りする佳世に、淳蔵は惹かれるものを感じる。

先日亡くなった、渡辺淳一氏が解説を書いている。世は「失楽園」など不倫ブームが続いていた頃だったと思う。

物語は、ドロドロだが、分かりやすい。描写も、露骨なところも有るが、それほどとは思わない。ある程度の年齢に達すると過去の恋愛を振り返り、人生に意義付けしたくなるのかも知れない。

淳蔵の息子、昌平・美保子の娘、佳世の父親、確実に迫る老いと病気、などがバランス良く描かれている。分かる気はするが、どうも婉曲で、かつ実感に迫ったり、新たなパワー、というのは見出しにくいなあ、と思う。

ここのところ同じような評価が続いているが、またもうーむ、という感じだった。

柚木麻子「あまからカルテット」

この作家の作品は、マンガみたいではあるけれど、それだけでは無い、面白みもあると思う。

咲子、薫子、由香子、麻里子の4人は、女子中からの仲良し4人組。アラサーの彼女たちは、友人が抱える問題をチームワークと体当たりで解決して行く。

「ランチのアッコちゃん」がベストセラーとなった柚木麻子。テイストはアッコちゃん風でなかなか勢いのある、女子友情解決もの。

料理、食べ物が抜群の存在感を放つ。長すぎずこだわりすぎずもいい感じる 。また、この人は、東京の描写が非常に上手だ。今回もマンガ風で、ラストはハチャメチャに走るけど、それなりにうまく収まっていて明るい。

この路線も好きではあるが、個人的には「フォーゲットミー、ノットブルー」に見られたような、繊細な部分の煌めきを期待したい。そろそろ大作、心に響く作品を描く頃合いだと思う。

有川浩「レインツリーの国」

まだ端緒、といった感じで、もっといけるのにな、となぜか思ったりした。ネタバレするので、もしも今から読む人が居たら、スルーして下さい。

ネット上で出会い、メール交換で盛り上がった伸とひとみ。伸はようやくひとみと会うことに成功したが、彼女の言動はどこかおかしく、伸は、つい怒ってしまう。しかしそれには、理由があった。

以下ネタバレ。

有川浩には、テーマがある。これも、最初はネットの出会いの話に尽きるのかと思っていた。難聴の女性の実態、詳しい状況には、取材の後が見える。大事な台詞を使った章立てもいい味を出している。全体に、女性作家の有川浩の男性感、理想が見える気もする。

うまくいかない部分をだいぶ描いていて、まどろっこしい感がよく出ていると思う。それも狙いだろう。もっと掘り下げることも出来るのにな、とかいう感じの気持ちがあるが、そこは文庫本の最後に、ご本人が、何かを訴える本ではない、と書いている。

思うに、いわゆるページ数も少ないラノベ、は手に取りやすく理解を深めるのに役立つ類のもの、というのを領分として意識している、気がする。

有川浩は、「海の底」「空の中」「クジラの彼」を読んだが、いずれも傑作だった。特に「海の底」は巨大人食いザリガニが横須賀を襲う、というトンデモ設定だが、騙されたと思って読んでみて、と人には言っている。

ふむ、有川浩には、なにかある、という感覚を深めたいい機会だった。善悪とか登場人物の「中間」のところにちょっと興味がある。もっと積極的に読んでみようかな。

掛布雅之「若虎よ!」

エネルギッシュで、興味深い一冊。

元ミスタータイガース、掛布雅之氏による阪神論。GM付育成&打撃コーディネーターに就任し、秋季キャンプから若手選手を鍛えている。

秋季キャンプで若手選手とコミュニケーションを図ったその内容は、とても面白く、コーチングも詳細で興味深かった。阪神という球団の品格についても触れられている。

折に触れ語られる、現役時代のウラ話も、オールドファンとしては唸らせられるものがあった。

私は父の影響で、巨人ファン、江川ファンだった。大観衆の掛布コールの中、チャンスに必ず打つ掛布氏がいかに特別嫌な存在だったか。偉大なスラッガーは野球に対しても、タイガースにも、まっすぐで熱い。

芯が通っていて、野球ファンには実に良い本だった。

NHK「ポスト恐竜」プロジェクト編著
「恐竜絶滅 ほ乳類の戦い」

迫力のある、ワクワクするジャンル。

1億5000万年に渡って大繁栄を誇った恐竜、ディノサウリアは、いまから6550万年前、直径10キロの巨大隕石が、秒速20キロ、つまり時速7万2000キロのスピードでユカタン半島付近に激突した影響で突如絶滅した。

これまで恐竜の陰で細々と生きていた小型生物の哺乳類は、恐竜絶滅後の世界を生き延び、大型に進化、現在に至っている。恐竜絶滅、という幸運が無ければ、我々人類も存在してなかっただろう。

この本は、NHKスペシャルから派生した一冊で、綿密な取材で、恐竜と哺乳類の歴史、恐竜絶滅の際の現象シミュレーションと、その後の哺乳類の、ワニや巨大肉食鳥類との戦い、さらには哺乳類同士の戦い、人類の誕生までを描いている。

そもそも隕石衝突で一気に恐竜が消えてしまった、という地球生物史上の大事件からして凄くワクワクする。

これだけ無数の星が有るのだから、宇宙人は必ず居る、というのは、天文好きがあまねく抱く考えだろう。しかし、人類が高度な文化を持つ、というのは、あまりにも多くの偶然が積み重なっている結果である。だから地球外知的生命体と出会える確率など本当に小さなものだ、という論もある。

後者はロマンが無いが、この作品を読むと、ますます人類の誕生が幸運に恵まれたことがよく分かる気がする。

東京時代、六本木ヒルズに、恐竜展観に行った時に買った一冊。4年も置いといてしまったが、うまく読みたいタイミングでじっくり、面白く読めた。

奥田英朗「イン・ザ・プール」

このシリーズは、ホッとする度が大きい。

精神科医伊良部一郎シリーズの第一作。第二作の「空中ブランコ」が直木賞を受賞している、連作短編集。

トドのような体型をし、発想もわがままな子供のよう、人が注射されてるところを見ることに異常な興味を示す伊良部の元には、おかしな患者が集まる。プール依存症の男、ストーカーの視線が異常に気になるコンパニオン、ケイタイ依存症の高校生・・。伊良部は毎度ハチャメチャな行動に出るが、これは治療なのか?

読んでいると、意外に普遍的な部分があるので、自分もそんなとこあるよな、とかこんなのあるある、とか思ってしまう。そしてムチャな行動の末、うまく収まる。伊良部が変人だから、治療を受けるほうが常識的。だから余計に、患者がおかしくなっている部分がよく見える構成になっている。

なんというか、ストーリーもあまりに強引な成り行きではあるが、きちんと落ちるから、ホッとする。これはこれで名作なのかも、と思わせる。「空中ブランコ」のほうがよりブラッシュアップされている感じだ。2作とも軽く楽しめます。はい。