爆睡とはいかなかったが、余裕ある時間と、余裕ある睡眠とを過ごしたため、まずまずの気分だった。このところ2、3日続けて5時間以下しか寝てなかったりして、そろそろ身体がしんどかったのである。だから、ぴったり5時間眠ったところで一旦目が覚めたが、まあ問題ない。
さて、無事東京の仕事も終わり、当面の課題は、始めたちばあきお論を書いてしまうことにある(笑)。
「キャプテン」は一大ブームを巻き起こした。東京・下町、庶民の家庭(谷口家は大工、イガラシ家はラーメン屋、近藤の父は、はっきりは分からないが自動車の町工場の社長。近藤家はやや裕福に見える)から公立中学校に通う子たちを主人公にした、猛練習、努力ものである。そこには才能は出て来るが、魔球も劇場性も、さらに少年ものには欠かせない、恋愛の要素も全くない。女子キャラ皆無である。せいぜい校内新聞の女子記者が1回出たくらいで、チアガールはイガラシ時代の終盤からしか登場しない。硬派そのものだが、野球という、どちらかというと出場人数が多めの競技にして、部員達のキャラは控えめながらも立っているし、会話も楽しい。親和度が抜群で、そんな部員達が野球の名門校に挑戦し、努力の結果が形になるところに頼もしささえ感じたのがヒットした原因なのではないか。野球が国技に近いくらいの人気スポーツだった時代にもマッチしていたと思う。歴代のどのキャプテンにも欠点があり、挫折を経験するところも、丁寧に、うまく波を付けていたと思う。なお、イガラシが「目的のためには手段を選ばない」は訂正させてもらって、イガラシ弟
の言葉(ニュアンスしか覚えてないが)によれば「彼は目的のためには犠牲を顧みない」とさせていただく。
また時代の連続性も面白い。野球の捉え方も丸井時代終盤〜イガラシ時代になってくると、専門的になってくるし、絵も上手になる。丸井は卒業してもOBとして見に来るし、兄と同じように才能あるイガラシ弟も登場する。相手も、青葉の監督、身体は小さいが物凄いスピードボールを投げる、プライド高きエース佐野、イガラシと小学校で野球をしていた剛腕、井口など、愛せるキャラがそこかしこに居るのである。
延長18回の死闘、ついに全国大会を勝ち抜いていくところあたりが一番好きである。
「プレイボール」は墨谷高校に進学した谷口の、いわば後日談だ。作者によれば、「次の作品を始めるまでのつなぎ」だったらしいが、人気を博して22巻まで続き(確か)谷口が3年生でエースでキャプテン、当初「ヒマつぶしのように」(谷口が1年時のキャプテン談)野球をしていた墨谷野球部は、シード権を獲得するほどになり、丸井もイガラシも井口も佐野も登場して、さあこれから夏の大会、というところで終わる。「キャプテン」と合わせて読むと本当に面白い。こちらも女子キャラ全く無く、さらには「キャプテン」にはあった全国大会も無い、あらゆる意味で野球のレベル、というものを考えさせられるストーリーになっている。甲子園が遠い、匂いすらもほぼしないからこそいいのかも知れない。
ひとつ思うのは、「キャプテン」も末になると、近藤以外に強いキャラが居なくなり、なじみの相手も無くなってきたところで終わり、というのは納得がまあいくのだが、「プレイボール」は戦力も充実してさあこれから、なので続編を読みたく渇望してしまう。そう思わせるのが名作なのであろうが、作者の完結の言葉にもあるように、大学生、はてはプロになった谷口くんも見てみたかった気もする。でもそれは、いまや永遠に叶わない。
「わが輩はノラ公」については別項で。ではきょうはこの辺で。
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