2017年3月5日日曜日

2月書評の3





たまの東京出張は久々に日の出に出た。早めの行動だったが、神戸のトンネルで煙が出て(後に水蒸気と判明)、新幹線のダイヤ乱れるわ、予定外にバタバタするわでキュウキュウ感があった。翌日、そのまた翌日とめいっぱい感ありで、土曜日に体調を崩したのは金曜日の酒だけが原因ではないと思う。まあ1日で治ったけど。やっぱ頑丈だな、わし。

さて、2月は12作品12冊。ホームズあり、女子系あり、児童小説あり、ノーベル賞あり仕事本あり芥川賞あってさらにビブリア完結編と、バラエティに富んでいた。月が長い感覚もあったな。昨年はほとんど読めなかったが、安定感が戻って来た。

池澤夏樹「南の島のティオ」


児童文学。ミクロネシアの島を舞台に、ファンタジーのような、少し不思議な話が10篇。いい雰囲気の本だと思った。


ティオは父の経営する、南の島のホテルの男の子。かつては日本軍も来た島だった。ティオと父は、見た人は絶対観光に来るから、という絵はがき作りの男に、ホテルの絵はがきを作らないか、と持ちかけられる。(「絵はがき屋さん」)


不思議な絵はがき作りの男、アスファルト舗装をした十字路に穴が空くというミステリーめいた話、不思議な女の子の話、神の使いのようなお婆さんが出て来る話、悲恋の話がなど、不思議な雰囲気のストーリーが詰め込んである。


話は、ミクロネシアのある島で、作者が本当に島の少年から聞き込んだものらしい。


それぞれの話は、不思議だけれどあまり捻りはなく、島を訪れ、魅せられて帰る人たち、また島の置かれた環境や歴史、その雰囲気を、すいも甘いもうまく脚色している。


さる先輩に、一番好きな作家を聞いたら池澤夏樹、と言われたので、目についたのを1冊買って来た。これが初めての児童小説とのことなので、次は大人の話を読んでみたいな。


川村眞一「現代の実践的内部監査」


自己啓発。さすがに日にちがかかった。


神田秀樹「会社法入門新版」


ここのところ、勉強が多いのでその流れに乗って通読。会社法の変遷を取り扱っている。こちらのレベルが足りてないのかもだが、平易めの書き方にしては、なんかもひとつかな、だった。


もともと2005年に新しい会社法が制定された際に出版され、最近の一部改正、またコーポレートガバナンス・コードに対応している。ここのところ、金融商品取引法とともに、注目されており、その制定改正は、世界の流れと日本の証券市場と切り離せない。


株式会社の機関、資金調達、設立、再編、事業再生等について述べてあり、最新の判例も盛り込まれている。まあ勉強の一環。


三上延「ビブリア古書堂の事件手帖7

                〜栞子さんと果てない舞台〜」


ついに完結。やっと出た最終巻はシェイクスピア。白眉の大団円と言っていいだろう。パチパチ。面白かった。


ビブリア古書堂の若き店主、篠川栞子は、恋人にして店員の五浦大輔が大けがをした事件に絡み、太宰治の初版本を入手すべく業者に連絡を取ったが、現れたのは悪徳にして古書に執着を抱いていた久我山尚大の弟子、吉原だった。吉原は法外な金額を提示し呑ませた後、礼だと言って古いシェイクスピアの訳本を差し出す。


長きに渡って続いて来た超ヒット作、本好きの友のようなシリーズも本編はこれで完結。それにしても「次の巻で完結」と予告してから長かったな。


今回は・・ケタ違いの超高額な稀覯本が焦点だ。このシリーズは中だるみしたかな、と感じた際にも、先に手を打つように、江戸川乱歩や手塚治虫といった、興味を引く題材を持って来ていたが、最後も大いに気になるテーマ。それにしても、最後にして、絵画ミステリーみたい(笑)。


シャーロック・ホームズもシェイクスピアを多用していたし、今回また興味が刺激され、読みたくなった。


最終巻は、なにせ終わりをつけなければならないのて、一般的にどこか強引なもので、今回もそれが見え隠れする。また人物造形も動機も、ちょっと大げさな部分もあるが、シリーズ全体を完結するミステリーとして鮮やかだったと思うし、少々ホームズ的でもあったかな。


まあ、好きに書かせてもらえば、ネタはブルーピカソとか8枚目のひまわりで、謎はフランシス・カーファックス姫の失踪」だな。


アニメ化・実写映画化されるそうだし、今後はスピンオフ小説も考えているそうなので、何かと楽しみだ。


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