日曜日、台風17号が近畿近くを通過。我が家近辺でも、昼から夕方は雨風が強まった。タバコに外に行こうとしたが、道に出ようとした時、「ヒュウゥゥー!」という甲高い音が聞こえたため、反射的に玄関に駆け戻ったところ、目の前の道を激しい突風が通り抜けて行った。危険だった。
目の前の家は、雨除けのトタン屋根が飛ばされていた。風向きにも拠るが、マンションというのは、台風には強いと言える。家の中、ベランダともに平和であった。東京はテラスハウスだったから、台風のたびに自転車なんかが心配だった。
さて、嵐を呼ぶ今月書評?行ってみましょう。
藤波辰爾 長州力
「名勝負数え唄 俺たちの昭和プロレス」
私はかつてプロレスファンであった。社会人になって5年目くらいまでは観に行ってただろうか。しかしその後はさっぱりで今は特に興味が無い。
「ワールドプロレスリング」「全日本プロレス中継」をテレビで観てワクワクしていた世代には長州力の存在感は強烈で、入場曲「パワーホール」は耳に突き刺さった。そのライバル、猪木の後継者、藤波辰爾との対決を、かつて古館伊知郎は「名勝負数え唄」と呼んだのである。世は今から考えると信じられないくらいのプロレスブームだった。
エゴがぶつかり合う世界を40年生き抜いてきたライバルの2人が、自分の道と、当時の、史上空前のプロレスブームをそれぞれに語った一冊。今だから話せる多くの事が、ああそうだったのかと、思わせる。
北村薫「街の灯」
時は昭和7年の東京。良家の才気煥発な娘と、次の世代を育てたいと運転手になった別宮(べっく)女史が事件を解決していく。
第3弾「鷺と雪」が直木賞を受賞した「ベッキーさんシリーズ」の第1弾である。しかしまあ、その筆致で、北村薫は、いつも知的な世界に誘ってくれること。
時代考証とその設定、古き良きころの東京の、いわば写真的な描写や魅力的な登場人物と、心の動きは実に鮮烈だ。扱う謎は大も小ももひとつ感があるが、それをカバーして余りある緻密な筆の力。満足である。「私も自分を千里の馬を待てる器とは思えない」は、響くなあ。
北村薫「夜の蝉」
こちらは女子大生の「私」が主人公の、円紫さんシリーズで、推理作家協会賞受賞作。円紫さんは相変わらず神の視座に立ってる感が有るし、謎そのものも浅めな気がするが、事件が主題でなく、スパイスと思えば気にならない。女性と思われていた北村薫が正体を明かすきっかけとなった作品。
品が良く緻密で、底にあるテーマが響く。これ、推理作家協会賞というよりは、別の、通常の小説としての賞をあげたほうがいいのではないか。女子大生3人の関係も絶妙で清々しい。文学と落語がまた彩りと味を出している。好きな人ははまるだろう。私もはまりかけである。次はぜひ「空飛ぶ馬」も読んでみよう。
北村薫「玻璃の天」
もうここまでいくとキタムラ月か。ベッキーさんものは、ブックオフで、状態がいいのがあったので2冊とも購入した。シリーズ2冊目である。ベッキーさんの秘密も絡み、なかなかミステリーチックな、綺麗な出来となっていて、面白かった。戦前の日本を、殊更批判する気も無いが、明治維新からこの方、世相はなにかとあったんだなあ、という感じだ。
貫井徳郎「慟哭」
デビュー作である。1996年の作品。「ミハスの落日」の解説ページで、作品、経歴について詳述してあったことと、読書仲間が結構読んでいることが発覚し、読む気になった。
連続幼女誘拐殺人犯の話である。うーむ、貫井徳郎に独特の筆致があるのは認めるものの、ネタバレ感があるのと、どうも既存の警察小説のような臭さがあり、正直インパクトに欠けた。次は「乱反射」を探してみよう。
マンリー・W・ウェルマン&
ウェイド・ウェルマン
「シャーロック・ホームズの宇宙戦争」
地球上に降り立ち、人類に向かって、強烈な攻撃を仕掛けてきた異星人に、シャーロック・ホームズが立ち向かう!
1980年発行の、その筋では有名なパロディである。ずっと欲しかったが、絶版なのであきらめていたところ、神田神保町のミステリー専門書店にあったので、喜び勇んで買って来た。コレクションのひとつである、「シャーロック・ホームズ対ドラキュラ」が、なかなか面白かったこともあり(笑)、楽しみに読んだ。
結果は・・こちらも面白かった!ホームズが宇宙に飛び出すハチャメチャなパロディまで予想していたのだが、そうではなく、シャーロッキアンをゾクゾクさせる、渋い仕掛けがいくつもあり、ホームズは、論理と知識と勇気を以って異星人に立ち向かう。時代考証もしっかりしているし、聖典=原版との絡みのみならず、ドイルの「ロスト・ワールド」という別の小説の主人公、チャレンジャー教授が生き生きと描かれている。加えて、さらにはH・G・ウェルズの「宇宙戦争」も濃く意識している。
だいたいパロディはアイリーン・アドラーが艶やかに出て来て、マイクロフトが重々しく登壇し、聖典との絡みも浅薄さを感じさせるものも多いのだが、今回はまさに渋くて、新境地を見た思いだった。満足である。ここのところそれで良しとしながらも、いくつかのパスティーシュの内容には不満を覚えていたので、面白くて良かった。
東野圭吾「聖女の救済」
東野圭吾では、ガリレオシリーズだけ読んでいる。前作「ガリレオの苦悩」は苦言を呈させてもらった。
そしてこの「聖女の救済」。面白かった。テーマは完全犯罪、である。イメージから極めて狡猾な女が完全犯罪を目論んだ、と思っていたが、暑苦しくも無く、捜査をせせら笑うようなあざとさも無かった。そう心掛けたのだろう。
また、前回登場した女性刑事が、福山雅治の曲を聴いている場面も出て来て、東野圭吾はプロだな、とほくそ笑んだ。難を言えば、殺害された男の、子供を求める心がもう一つ分からないし、女性の心と行動が不自然にも思える。あまり言うとネタバレするから遠慮するが、最後の畳み掛け方は面白さを味わえるものの、都合良すぎ感もあり、完全犯罪を行うことに対する感じ方もうーんだし、偶然に任せている部分も見受けられた。
さらに言えば、ガリレオ独特の科学的手法・・やめておこう。一読めは面白い。筆力もある。それは確かだ。
松谷みよ子「アカネちゃんとなみだの海」
最初はただの児童書かと思ったが、離婚や離れて暮らす父の死というショッキングなテーマについて、児童文学の手法で表現されており、こりゃ成人文学か、と少々驚いた。作者自身の身に起こったことになぞらえている。
正直、複雑である。左ウイングな思想が露わなことよりも、いや、だからか、こうもストレートに表現することにびっくりする。児童書の在り方に逆行していて、離婚に伴う子供の心情、悲しみに対して自分を正当化している、自己満足だ、と断定する事も出来るだろう。作者自身、書く事で自分が自由になった、というような事をあとがきに記している。
しかし、シングルマザーがこれだけ多い世界で、この手法にトライした事は斬新である、と言わざるを得ない。だからむしろ、成人文学では、と思ってしまうのだ。そちらで評価されるのはむしろ必然かと思う。実体験を通した、心の叫びだ。正直、子を持つ親として、片方の親が居なくなると、少なくとも子供が傷付くのは否めず、そんなことは可哀想で考えたく無いのだが、だから、作品として胸に突き刺さるのもまた事実。大人にこそ、一読をお薦めします。はい。
ロバート・B・パーカー「晩秋」
人気ハードボイルド、スペンサーシリーズ。以前、「初秋」を読んだが、「晩秋」はその続編。10年前に父母に疎んじられた息子、ポールを引き取り、男としての生き方を教えたスペンサー、25歳に成長したポールに、またしても母親絡みの、深刻なトラブルが起きた・・。
スペンサーシリーズは20作品以上出ているが、「初秋」は中でも最も売れた作品だという。2冊セットにして読むと「晩秋」は、大した名作だと思える。ポール母子、そしてスペンサーの情、ギャング親子の情がうまく絡み合っていて、味わい深い。もちろんお馴染みのスーザンや相棒ホークといった登場人物の活躍も見ものである。いやー楽しめた。楽しく9月は9作品。
年間60作品が目標だが、ここまでで50を突破。あと3カ月の間に、なにかしら衝撃を受けたい今日この頃だ。
2012年9月30日日曜日
2012年9月29日土曜日
秋のイベント
ママ朝5時に起きてお弁当作る。パパ東京出張で歯を磨く。息子が起きたという6時、パパは品川発の新幹線に乗る。
ママがお弁当持って場所取り兼ねて、早めに家を出た時、パパは名古屋あたりで、ひたすら睡眠時間の補填に努める。
開会の9時を過ぎた頃駅に着いて、自宅に帰ったのが9時20分過ぎ、朝早くから取り残されたワン達がいつもより激しく飛びついてくる。
あやして、スーツを着替えて、あれこれやって、家を出たのが9時40分、学校は、近くはなく、しかもかなりの登り坂、暑い。ヒーヒー言いながら登ると、学校が見えたところでEXILEの曲が聞こえてくる。最後の、心臓破りの坂を登りながら、終わらないでくれ〜と祈るが、校門に着いた時にちょうど曲終了。3番目のプログラムのダンス、間に合わなかった。
バトンの代わりに小さなフープを持ってのリレー。カラーコーンまでまっすぐ走って往復する。トラックは、来年から。今年も第一走者。ビデオで追う。すると、1番で帰って来た。ほお、良かったなあ、で昼ごはん。場所取りシートの上で特製弁当を食べた。
去年も書いたが平和である。麓の駅近くの小学校は入りきれないくらい人が来て、お弁当、親子で一緒には食べられないんだとか。山の小学校はのんびりだ。高学年のリレーは抜きつ抜かれつで盛り上がるが、去年書いた理由で、抜かれるほうの子の、必死な顔を見て涙してしまうのでした。
今年は赤買って白負け、皆で帰って、シャワー浴びて寝る。夜はお弁当作ったときの残りご飯。今年も一大イベントは、無事終了したのでした。去年は半袖で寒いくらいだったけど、今年はえらい暑かった。ま、台風前に終わってめでたし、でした。
ママがお弁当持って場所取り兼ねて、早めに家を出た時、パパは名古屋あたりで、ひたすら睡眠時間の補填に努める。
開会の9時を過ぎた頃駅に着いて、自宅に帰ったのが9時20分過ぎ、朝早くから取り残されたワン達がいつもより激しく飛びついてくる。
あやして、スーツを着替えて、あれこれやって、家を出たのが9時40分、学校は、近くはなく、しかもかなりの登り坂、暑い。ヒーヒー言いながら登ると、学校が見えたところでEXILEの曲が聞こえてくる。最後の、心臓破りの坂を登りながら、終わらないでくれ〜と祈るが、校門に着いた時にちょうど曲終了。3番目のプログラムのダンス、間に合わなかった。
バトンの代わりに小さなフープを持ってのリレー。カラーコーンまでまっすぐ走って往復する。トラックは、来年から。今年も第一走者。ビデオで追う。すると、1番で帰って来た。ほお、良かったなあ、で昼ごはん。場所取りシートの上で特製弁当を食べた。
去年も書いたが平和である。麓の駅近くの小学校は入りきれないくらい人が来て、お弁当、親子で一緒には食べられないんだとか。山の小学校はのんびりだ。高学年のリレーは抜きつ抜かれつで盛り上がるが、去年書いた理由で、抜かれるほうの子の、必死な顔を見て涙してしまうのでした。
今年は赤買って白負け、皆で帰って、シャワー浴びて寝る。夜はお弁当作ったときの残りご飯。今年も一大イベントは、無事終了したのでした。去年は半袖で寒いくらいだったけど、今年はえらい暑かった。ま、台風前に終わってめでたし、でした。
2012年9月23日日曜日
秋の気配
あれがあなたの好きな場所・・。
朝晩だいぶ涼しくなった。ようやく気配だけ感じるが、まだ最高気温が30度という予想の日もあって、油断はできない。
金土と東京、きょうはご用事と、ちと多忙。パパ誕生日週なので、晩ご飯、ステーキディナーを食べました。この週は地元のお祭りで、昼は息子と一緒に神社のもち撒きに参戦、夜も、山車を見に行った。
去年は単身赴任中で、誕生日に台風が来て、帰宅難民になりかけた。えらい差である。
今月も読書は好調で、すでに既読8冊。買っても買ってもすぐ読んでしまう循環だったが、友人に借りたり、安く購入したりと対策もとったため、いまどちらかというと積ん読状態である。
私を待つのはロバート・B・パーカー「晩秋」、窪美澄「晴天の迷いクジラ」、有川浩「クジラの彼」、宮本輝「葡萄と郷愁」、浅田次郎「珍妃の井戸」などなど。会社の抽斗にも「心霊探偵八雲」や伊坂幸太郎が眠っている。ここから先はこれらを減らしていくべし、だ。クジラ多いな。金曜の文芸仲間宴会は、クジラ料理だったな、そういえば。
そんな中、松谷みよ子「アカネちゃんとなみだの海」にちょっとした衝撃を受けた。う〜む。詳細は定例書評に譲るが、子を持つ親として、考える、深く入り込まれた気がする。
東野圭吾「聖女の救済」もまずまず面白かったし、シャーロックホームズのパロディも読んだし、楽しみながら読めている、読書の初秋、なのでした〜。
朝晩だいぶ涼しくなった。ようやく気配だけ感じるが、まだ最高気温が30度という予想の日もあって、油断はできない。
金土と東京、きょうはご用事と、ちと多忙。パパ誕生日週なので、晩ご飯、ステーキディナーを食べました。この週は地元のお祭りで、昼は息子と一緒に神社のもち撒きに参戦、夜も、山車を見に行った。
去年は単身赴任中で、誕生日に台風が来て、帰宅難民になりかけた。えらい差である。
今月も読書は好調で、すでに既読8冊。買っても買ってもすぐ読んでしまう循環だったが、友人に借りたり、安く購入したりと対策もとったため、いまどちらかというと積ん読状態である。
私を待つのはロバート・B・パーカー「晩秋」、窪美澄「晴天の迷いクジラ」、有川浩「クジラの彼」、宮本輝「葡萄と郷愁」、浅田次郎「珍妃の井戸」などなど。会社の抽斗にも「心霊探偵八雲」や伊坂幸太郎が眠っている。ここから先はこれらを減らしていくべし、だ。クジラ多いな。金曜の文芸仲間宴会は、クジラ料理だったな、そういえば。
そんな中、松谷みよ子「アカネちゃんとなみだの海」にちょっとした衝撃を受けた。う〜む。詳細は定例書評に譲るが、子を持つ親として、考える、深く入り込まれた気がする。
東野圭吾「聖女の救済」もまずまず面白かったし、シャーロックホームズのパロディも読んだし、楽しみながら読めている、読書の初秋、なのでした〜。
2012年9月17日月曜日
晩夏・・
土日と外仕事。確か生まれて初めて、神鉄、神戸電鉄に乗る。有馬温泉方面など、山間部を走る鉄道だ。手塚治虫の漫画「アドルフに告ぐ」で、戦前の描写の中に出てくるので、その歴史は意外と?古いのだろう。
さてそんな土地での外仕事、太陽が雲に隠れていればいいのだが、出ているとかなり暑い。終わった瞬間自販機で缶コーヒーとスポーツ飲料のペットボトルを買って立て続けにガブ飲みした。ここまで汗かくとトイレも行かない。
休みのきょうは、北千里へ。大阪府は地図で見ると南北に細長いのだが、その上の方の部分、大阪市より北の地域を北摂(ほくせつ)と呼ぶのだが、千里はその北摂、大阪市の北隣の吹田市(すいたし)にある。イナズマイレブンGoのバトルスタジアムのメモリーカードを売っているところが少なく、いちばん近いのがここだった。東京都下でも、なんと1ヶ所、なのだから驚きである。西宮とは言わないから、三宮とか、せめて大阪駅周辺であって欲しいもんだ。そないに大それた遠隔地では無いが、通常千里は用が無い限り行かない。
阪急北千里の駅に着いて、駅前のイオンの中。なんとか目的達成。最近ゲームばかりだなあ、次は少し身体を動かさななあ・・。などと思いながら、また帰る。それにしても、また夏は大型スーパーばかり行ったなあ。
駅前の本屋さんでは、古書コーナーがあって、といってもふつうの古本だが、そこで東野圭吾「聖女の救済」を安く買った。キャンペーン中だったから特に安く買えたのだが、ブックオフより安かった。これからの本屋さんは、こうなっていくのかも知れないなあ。新刊も古本も買えるとなると、使い分けが出来るし。
帰りは川沿いをずーっと歩いて帰る。時々遊びながら約1時間。もう幼児ではないが、少しは疲れさせないと、いつまでも寝ない。思惑はあるものの、やはりこちらも汗みずく。3日続けてだいぶ水分を使ったのでした。終わり
さてそんな土地での外仕事、太陽が雲に隠れていればいいのだが、出ているとかなり暑い。終わった瞬間自販機で缶コーヒーとスポーツ飲料のペットボトルを買って立て続けにガブ飲みした。ここまで汗かくとトイレも行かない。
休みのきょうは、北千里へ。大阪府は地図で見ると南北に細長いのだが、その上の方の部分、大阪市より北の地域を北摂(ほくせつ)と呼ぶのだが、千里はその北摂、大阪市の北隣の吹田市(すいたし)にある。イナズマイレブンGoのバトルスタジアムのメモリーカードを売っているところが少なく、いちばん近いのがここだった。東京都下でも、なんと1ヶ所、なのだから驚きである。西宮とは言わないから、三宮とか、せめて大阪駅周辺であって欲しいもんだ。そないに大それた遠隔地では無いが、通常千里は用が無い限り行かない。
阪急北千里の駅に着いて、駅前のイオンの中。なんとか目的達成。最近ゲームばかりだなあ、次は少し身体を動かさななあ・・。などと思いながら、また帰る。それにしても、また夏は大型スーパーばかり行ったなあ。
駅前の本屋さんでは、古書コーナーがあって、といってもふつうの古本だが、そこで東野圭吾「聖女の救済」を安く買った。キャンペーン中だったから特に安く買えたのだが、ブックオフより安かった。これからの本屋さんは、こうなっていくのかも知れないなあ。新刊も古本も買えるとなると、使い分けが出来るし。
帰りは川沿いをずーっと歩いて帰る。時々遊びながら約1時間。もう幼児ではないが、少しは疲れさせないと、いつまでも寝ない。思惑はあるものの、やはりこちらも汗みずく。3日続けてだいぶ水分を使ったのでした。終わり
2012年9月10日月曜日
オータムは遥か・・
金土と東京。新幹線の中は、もう上着を着てちょうどくらいのなのだが、外はまだまだ暑い。秋は気配だけで未だ実体なし。確かおととしが酷暑で、去年も猛暑、どちらも、9月20日くらいに台風が来て、劇的に秋の空気に入れ替わった気がするのでもうすぐか。台風は来て欲しくないけどねー。去年は帰宅難民になりかけたし。
渋谷で時間があったので、久々にタワーレコードでクラシックを見て試聴していた。グレン・グールドのゴルドベルク変奏曲と、内田光子のモーツァルトピアノ協奏曲24番弾き振り。どちらも素晴らしかった。バッハは敬遠していたが、なんか好きになれそうな気配。内田光子のは最近録音されたもので、持ち前の柔らかさが際立った感じに思えた。タワーレコードは次の日から9月いっぱい改装でクラシックフロアーもしばらくクローズ。いま思えば、バッハだけでも買っておけば良かった。だって関西ではあんなに安く種類豊富には売ってないからなあ多分。
帰りの新幹線の中では、webで、横光利一の「旅愁」を読破しようとして失敗する。未完らしいが、それなりに長かった。これ、確か中学だが高校だかの現国の問題集に載っていて、気になっていたのだ。以来真紀子、と聞いただけで思い出す。読書かぶれのこの時期にトライしてみたが、webの横書きもまた読みにくかった。ちゃんといつか本を買おう。
土曜帰って来て、日曜日は昼前まで睡眠。ここ数日あまり眠れてなかったので調整睡眠(笑)。朝が涼しくなってきたこともあるか。よく眠れて良かった。
で、午後はお出掛けでハーバーランド。だったが、息子は新しいサンダルで靴ずれしまくってまともに歩けなくなり、イナズマイレブンのゲームがあるはずのゲームセンターは春で無くなってしまっていたという踏んだり蹴ったり状態だった。
息子はげんなりしていたが、昼ごはん、お子様オムライスセットを食べると多少元気になる。ポートタワーと海洋博物館が向こうに見える港を見て、イナズマイレブンが有ることが分かっているダイエーへ、電車で向かう。何とか目的達成。おみやげ発注のママに、新しいケーキ屋でミルフィーユとプリンア・ラ・モード買って、おしゃれなパン屋でパンと牛乳買って、足痛い息子とタクシー乗って帰った。
写真はちなみに、夏のパパバッグ。息子が2才にならない頃から使っている。ディズニーランドへも持ってってた。今でも、タオルにウエットテイッシュに、もしもの時の携帯トイレまで入っている。さすがに替えパンツは入れるのやめたが。夏はペットボトルを持つことも多いし、買ったものも入るから便利で、また肩掛けは両手が自由になるのである。コンビニなどのビニール袋も入れておくと意外と有効だ。まあ、思い出も入っていると綺麗に言っておきましょう(笑)。
月曜日代休。午前中は爆睡。午後ママと昼ご飯兼買い出しに行って息子を迎える。夕方はすごい雷&雨。今回は雷雲の動きが早かったらしく、ほどなく止んだ。おかげで涼しい。ただ天気予報によると、しばらくは残暑大変に厳しいらしい。いやー秋は遥か彼方?やれやれ。
渋谷で時間があったので、久々にタワーレコードでクラシックを見て試聴していた。グレン・グールドのゴルドベルク変奏曲と、内田光子のモーツァルトピアノ協奏曲24番弾き振り。どちらも素晴らしかった。バッハは敬遠していたが、なんか好きになれそうな気配。内田光子のは最近録音されたもので、持ち前の柔らかさが際立った感じに思えた。タワーレコードは次の日から9月いっぱい改装でクラシックフロアーもしばらくクローズ。いま思えば、バッハだけでも買っておけば良かった。だって関西ではあんなに安く種類豊富には売ってないからなあ多分。
帰りの新幹線の中では、webで、横光利一の「旅愁」を読破しようとして失敗する。未完らしいが、それなりに長かった。これ、確か中学だが高校だかの現国の問題集に載っていて、気になっていたのだ。以来真紀子、と聞いただけで思い出す。読書かぶれのこの時期にトライしてみたが、webの横書きもまた読みにくかった。ちゃんといつか本を買おう。
土曜帰って来て、日曜日は昼前まで睡眠。ここ数日あまり眠れてなかったので調整睡眠(笑)。朝が涼しくなってきたこともあるか。よく眠れて良かった。
で、午後はお出掛けでハーバーランド。だったが、息子は新しいサンダルで靴ずれしまくってまともに歩けなくなり、イナズマイレブンのゲームがあるはずのゲームセンターは春で無くなってしまっていたという踏んだり蹴ったり状態だった。
息子はげんなりしていたが、昼ごはん、お子様オムライスセットを食べると多少元気になる。ポートタワーと海洋博物館が向こうに見える港を見て、イナズマイレブンが有ることが分かっているダイエーへ、電車で向かう。何とか目的達成。おみやげ発注のママに、新しいケーキ屋でミルフィーユとプリンア・ラ・モード買って、おしゃれなパン屋でパンと牛乳買って、足痛い息子とタクシー乗って帰った。
写真はちなみに、夏のパパバッグ。息子が2才にならない頃から使っている。ディズニーランドへも持ってってた。今でも、タオルにウエットテイッシュに、もしもの時の携帯トイレまで入っている。さすがに替えパンツは入れるのやめたが。夏はペットボトルを持つことも多いし、買ったものも入るから便利で、また肩掛けは両手が自由になるのである。コンビニなどのビニール袋も入れておくと意外と有効だ。まあ、思い出も入っていると綺麗に言っておきましょう(笑)。
月曜日代休。午前中は爆睡。午後ママと昼ご飯兼買い出しに行って息子を迎える。夕方はすごい雷&雨。今回は雷雲の動きが早かったらしく、ほどなく止んだ。おかげで涼しい。ただ天気予報によると、しばらくは残暑大変に厳しいらしい。いやー秋は遥か彼方?やれやれ。
2012年9月3日月曜日
食欲と小ネタ
週明け多くの仕事に見舞われたせいか、仕事酔いで食欲が無く、晩ご飯のカレーを半分しか食べられなかった。これもサザエさん病の一種なのだろうか。
ともかく、このワタクシがママの作ったごはんを完食出来ないなぞ、何年に1度の大事件である。息子の寝かし付けはいいから、休んでなさいと言われる。ふうむ、東日本大震災直後、気分の問題で食欲が無く昼ご飯を残したことはあったが、その時もママの晩ご飯は食べていた。小難しいことを考えすぎているような気もするので、少しクスッと笑えるお笑いネタでも。笑えないかな〜自信は無いなー。
以前スポーツニュースのタイトルで
「ベッカム、息子をFBに」
というのがあった。私は、さすがイングランドはラグビー発祥発展の国。シャーロックホームズにも「スリー・クォーターの失踪」という物語があり、その中でホームズを訪ねて来たケンブリッジのラガーマンが、ラグビー・フットボールの事情を全く知らないホームズに呆れびっくりする場面が出て来る。彼は、失踪した有名なスリー・クォーターの名を挙げ、「このイングランドで知らない人が居るとは思わなかった。いまの今まで、一体どちらにいらしたんです?」とまで言うのである。ちなみに、この物語で私は、新聞表記で、ラグビーのセンターは「CTB」ウイングは「WTB」と略すホントの意味を知った。「センター・スリー・クォーター・バックス」ですよね。
ともかく、昔から彼の国ではそれほど人気があるスポーツということだが、パパのベッカムはサッカーの有名選手でも、息子は
『フルバックかあ〜』
と思ってしまったのでした。
正解はもちろんFacebookに息子の写真を公開した、というものでした。ちーん。
またもニュースネタで、こちらはいささか不謹慎。
「北島、急死のライバルを語る」
私はなぜか、尾崎紀世彦を思い浮かべてしまい、そうかー知らんかった〜、
『尾崎紀世彦って、サブちゃんのライバルだったんだ〜』
などと思ってしまったのでした・・。もちろん、競泳の北島康介選手が、先に亡くなった金メダル争いのライバル、ノルウェーのアレクサンデル・ダーレオーエン選手を悼むコメントをした、というニュースだったのでした。
高校野球が終わったら少し涼しくなったが、少し前までは熱帯夜の連続だった。またマンションのどこかにスズメバチの巣があるらしく、夜廊下の照明にたかってたこともあった。加えて、隣の神社を根城にしているイノシシとはこれまで平和的互恵共存関係でやってきたのだが、最近私の存在にイライラしている様子。悪意ある所作で、追い払うようにこちらへ寄って来たりする。夜にタバコに外に出るのも楽じゃない。
さて、先日の昼間同僚から電話がかかってきた。「きゅういちろうくんについて、○○さんが訊きたいことがあるらしいので替わりますねー」私は瞬間的に、きゅういちろうくん、とは誰の事だろうと考えた。
警察ものの小説を読んでいたせいか、その時は、私は小さな子供を殺した容疑で、いまから刑事に尋問されるのではないか、実はこの平和な世界は虚構で、そういった立場こそが真の現実なのではないか、などと悪い想像をした。もちろんクロである。きゅういちろうくんはきっと被害者なのだろう、可哀想に。
電話を替わった刑事がまた聞き取りにくい早口で喋る。「ああ、どうもお疲れ様です。きゅういちろうくんの事なんですけどねー、○▲※☆・・」いまに厳しい追及が始まると思われるが、何言ってるかさっぱり聞き取れない。それとも耳がきつい質問を拒絶しているのだろうか。おそらく最初はソフトに入って、こちらの話で不自然な所に、鋭い質問をしてきて、私が動揺してじどろもどろになった所をたたみかけてきて、罪を認めさせてしまうのだろう。きゅういちろうくん、というのは九一郎、とでも書くのだろうか。それともボールで球一郎、だろうか。
一瞬呆然としたが、それでも聞き取れないのだから仕方が無い、「はいはい?えーっと、きゅういちろうくん、ですよね?」「そう、きゅういちろうくんなんですよ」取り敢えず、おうむ返しにすると、相手も、聞き取れなかったと考えてか、もう一度同じ説明をする構えだ。いやいやこれも、とぼけている、という刑事独特の掴み方なのかもしれない。私は追い込まれたような気分になり、もう一度繰り返した。
ところが、場面は一瞬にして「きゅういちろうくん・・9/16・・はそのシフトでいいですよー」日常に戻った。先ほど聞き取れなかった部分もあっさり理解できた。刑事は、取引先の人になった。
デイドリームにもほどがある、という現実のお話でした。
まあこんなもんで。ちょっとおなかがすいてきたので、カレーの残りを、食べようっと!
ともかく、このワタクシがママの作ったごはんを完食出来ないなぞ、何年に1度の大事件である。息子の寝かし付けはいいから、休んでなさいと言われる。ふうむ、東日本大震災直後、気分の問題で食欲が無く昼ご飯を残したことはあったが、その時もママの晩ご飯は食べていた。小難しいことを考えすぎているような気もするので、少しクスッと笑えるお笑いネタでも。笑えないかな〜自信は無いなー。
以前スポーツニュースのタイトルで
「ベッカム、息子をFBに」
というのがあった。私は、さすがイングランドはラグビー発祥発展の国。シャーロックホームズにも「スリー・クォーターの失踪」という物語があり、その中でホームズを訪ねて来たケンブリッジのラガーマンが、ラグビー・フットボールの事情を全く知らないホームズに呆れびっくりする場面が出て来る。彼は、失踪した有名なスリー・クォーターの名を挙げ、「このイングランドで知らない人が居るとは思わなかった。いまの今まで、一体どちらにいらしたんです?」とまで言うのである。ちなみに、この物語で私は、新聞表記で、ラグビーのセンターは「CTB」ウイングは「WTB」と略すホントの意味を知った。「センター・スリー・クォーター・バックス」ですよね。
ともかく、昔から彼の国ではそれほど人気があるスポーツということだが、パパのベッカムはサッカーの有名選手でも、息子は
『フルバックかあ〜』
と思ってしまったのでした。
正解はもちろんFacebookに息子の写真を公開した、というものでした。ちーん。
またもニュースネタで、こちらはいささか不謹慎。
「北島、急死のライバルを語る」
私はなぜか、尾崎紀世彦を思い浮かべてしまい、そうかー知らんかった〜、
『尾崎紀世彦って、サブちゃんのライバルだったんだ〜』
などと思ってしまったのでした・・。もちろん、競泳の北島康介選手が、先に亡くなった金メダル争いのライバル、ノルウェーのアレクサンデル・ダーレオーエン選手を悼むコメントをした、というニュースだったのでした。
高校野球が終わったら少し涼しくなったが、少し前までは熱帯夜の連続だった。またマンションのどこかにスズメバチの巣があるらしく、夜廊下の照明にたかってたこともあった。加えて、隣の神社を根城にしているイノシシとはこれまで平和的互恵共存関係でやってきたのだが、最近私の存在にイライラしている様子。悪意ある所作で、追い払うようにこちらへ寄って来たりする。夜にタバコに外に出るのも楽じゃない。
さて、先日の昼間同僚から電話がかかってきた。「きゅういちろうくんについて、○○さんが訊きたいことがあるらしいので替わりますねー」私は瞬間的に、きゅういちろうくん、とは誰の事だろうと考えた。
警察ものの小説を読んでいたせいか、その時は、私は小さな子供を殺した容疑で、いまから刑事に尋問されるのではないか、実はこの平和な世界は虚構で、そういった立場こそが真の現実なのではないか、などと悪い想像をした。もちろんクロである。きゅういちろうくんはきっと被害者なのだろう、可哀想に。
電話を替わった刑事がまた聞き取りにくい早口で喋る。「ああ、どうもお疲れ様です。きゅういちろうくんの事なんですけどねー、○▲※☆・・」いまに厳しい追及が始まると思われるが、何言ってるかさっぱり聞き取れない。それとも耳がきつい質問を拒絶しているのだろうか。おそらく最初はソフトに入って、こちらの話で不自然な所に、鋭い質問をしてきて、私が動揺してじどろもどろになった所をたたみかけてきて、罪を認めさせてしまうのだろう。きゅういちろうくん、というのは九一郎、とでも書くのだろうか。それともボールで球一郎、だろうか。
一瞬呆然としたが、それでも聞き取れないのだから仕方が無い、「はいはい?えーっと、きゅういちろうくん、ですよね?」「そう、きゅういちろうくんなんですよ」取り敢えず、おうむ返しにすると、相手も、聞き取れなかったと考えてか、もう一度同じ説明をする構えだ。いやいやこれも、とぼけている、という刑事独特の掴み方なのかもしれない。私は追い込まれたような気分になり、もう一度繰り返した。
ところが、場面は一瞬にして「きゅういちろうくん・・9/16・・はそのシフトでいいですよー」日常に戻った。先ほど聞き取れなかった部分もあっさり理解できた。刑事は、取引先の人になった。
デイドリームにもほどがある、という現実のお話でした。
まあこんなもんで。ちょっとおなかがすいてきたので、カレーの残りを、食べようっと!
2012年9月1日土曜日
8月書評
7月に続き、8月も好調だった。10冊プラスα!
隆慶一郎「一夢庵風流記」
傾奇もの前田慶次郎の一代記で、漫画「花の慶次」の原作本である。もちろん命がけなのではあるが、こんなに痛快な人生、というのは読んでても気持ちいいものだ。
福本豊「走らんかい!」
世界の盗塁王、福本豊さんの著書。「自分の勲章は、通算208本のホームラン」という通り、決して走るだけの選手ではなかった。あんなに小さいのに、ホントに大したものだ。野村監督が福本対策で、日本で初めて投手にクイックモーションを練習させた、とか、日本シリーズでも堀内からは走れなかった、とか、昔の野球好きが唸るエピソード満載。
村上春樹「ノルウェイの森」
さあこれをどう評価すればいいのか?という感じである。読みやすく、上下巻あっという間に読める。目立たない主人公が、うそのようにモテるし、女性はセックスに異様に積極的だし、どうもリアリティというよりは、ファンタジックな物語、と捉えるのがいいような気がする。
誉田哲也「武士道シックスティーン」
ほぼ1日で読んだ。すぐ映画のDVD借りて観た。まずは原作の方だが、よく対象を研究し、彩り深い作品になっている、と思う。キャラクターは、特に香織は、かなり極端で、展開し易いように設定してある感じ、また、一方早苗は、どこかつかみどころが無いような気もした。読み込みが甘いのかも、だけれど、なぜここで、香織の「大きな歯車が狂った」のかがもう一つ読み取れなかったし、もう少しかみ合わせれば、2人の関係性がより鮮明になったのに、とも思う。
DVDは、原作を読んだ後では、時間の関係でディテールを省いたり変更したりしているので、正直不完全燃焼だった。早苗の、不思議な間合いの理由も分からないし、バイプレーヤーたちも、設定が浅いとしか言いようがない。成海璃子は良かったが、早苗が北乃きいというのがちょっと・・だった。
でも、心象はやはり表情で、後半は惹きつけられて観ていた。心の動きも、不思議と小説より映画の方が分かる気がした。たくさん意見を書くのは、面白かったからである。「セブンティーン」も「エイティーン」もあるとのことで、楽しみにしている。
桜庭一樹「私の男」
近親相姦もの、である。直木賞受賞作品。なぜ、を全て書いてある訳では無い。読みながら考え、またそういったケースもあるのだろうか、と思うしかない。
もちろん発覚する訳だが、主人公よりも、周りの人が言うことの方がよほど真っ当に聞こえる、というのは珍しい事だ。近親相姦、というタブーに踏み込むことで、センセーションを呼ぶ計算、もしくは踏み込む好奇心がほの見える。
最近気にしていることに「筆致」「筆力」というものがある。極端に言えば、理詰めでなくとも、緻密で無くとも、例え訴えるものがはっきりしてなくたって、文章から迫り来る力、迫力、といったものがあれば名作なのではないか、とも思う。
「私の男」は、境界線を超えることで逆になにかを問うている作品かも知れない。当たり前だが読者である私には受け入れられないし、理由も薄弱に見える。ただ、筆力はある作品、なのは間違いない。
江國香織「きらきらひかる」
1991年の作品である。ホモと、精神不安定な女の物語。私には、「ノルウェイの森」の気分はわかんないが、この作品の気分は分かる。バブル末期で満たされた気分の中、世界は激動していた時代。時代は平成に変わり、旧共産圏諸国の独裁政権が次々と倒れ、ソ連は無くなった。
日本の人々は、世相を感じながらも、まだ切羽詰まらずに、新しい価値観を、ぬるく探していた。こんなんがあってもいいんじゃない?的なノリであった。
バブルが崩壊、金融破綻、大災害、大規模テロ、徹底的なリストラを経て、舞台設定として、ひたすら悲しみ、不幸なベースを創り出そうとする現在の文芸界とはエラい違いである。
当時はヨーロッパの映画にもホモセクシャルものは実に多かったが、個人的には、その系統に入る平和な小説だと思う。中身的にも、平和でおしゃれな生活だなあ、という感想だ。
道尾秀介「ソロモンの犬」
最近文芸カフェになりつつある、行きつけのドッグカフェで読み始めてしまい、結局買って帰って一晩で読破した作品。
読みやすいが、正直何とも浅いような気がしている。主人公は愛せる性格をしている。なぜ、がもう一つ解消されない。ミステリー?
貫井徳郎「ミハスの落日」
スペイン、スウェーデン、サンフランシスコ、ジャカルタ、カイロでの物語。それぞれ主人公は現地人だ。どんでん返しに人間模様が絡む短編集である。男が哀しい話が多い。
「ストックホルムの埋み火」が最も親しみ易かっただろうか。救いが有るのは「サンフランシスコの深い闇」だけで、「ジャカルタの黎明」は、先が読めた。
いろいろと工夫が凝らしてあり、退屈はさせないのだが、ミステリー的フェアの観点から言うとちょいと違い、やはり物語だなと思う。短編集、ということもあって軽い感じもする。ただ、どこか独特の、好感が持てる雰囲気はある。「慟哭」や「乱反射」はそのうち読んでみよう。
東野圭吾「ガリレオの苦悩」
ガリレオシリーズはすでに7作目が出ている。「探偵ガリレオ」に始まり「予知夢」、そして直木賞受賞作「容疑者Xの献身」それからこの「ガリレオの苦悩」。文庫になったばかりの「聖女の救済」を経て「真夏の方程式」があり、最近単行本で「虚像の道化師」が出て、第8作「禁断の魔術」が刊行予定だそうだ。
「苦悩」には、ついに、テレビドラマに気を遣ってか女性刑事が登場した。草薙に替わりあっさりガリレオの最も近くにいる役となった。まあ別に良い。私が気になるのは少々パワーダウンしているのが気になる。
前作「容疑者Xの献身」は、設定こそありきたりだったが、トリックはシンプルかつ単純かつ的を得ていた。作業としては古典的ながらも、人物も魅力的で、受賞も納得がいった気がした。ただ、ガリレオならではの、科学実験も、その筋のトリックも出てこないのが異様であった。
それが意識されているのか、今回は、科学的なトリックは必ず出てくるのだが、どうも必然性が無いように思える。設定と、動機が弱い気がしてならない。筆力を感じないのである。以上。「聖女」に期待する。
畠中恵「いっちばん」
「しゃばけ」シリーズの第?弾である。どうにも気楽なものが読みたくて、借りてきた。江戸の商家の若だんなとその周囲に集う様々な妖(あやかし)が巻き起こす騒動。面白おかしく、調子の良い文体で、親近感を抱く物語となっている。
さらさら読めるし、絵が頭に浮かぶ。人気なのも、分かる気がする。
8月は、これに加えて「はじめてのオーケストラ・スコア」や、息子の「ピーターラビット」シリーズも読み、なかなか充実した読書月であった。
ただ、これだけ読むと、ブックオフなどで買っても追いつかない。借りれるものは借りようっと。
隆慶一郎「一夢庵風流記」
傾奇もの前田慶次郎の一代記で、漫画「花の慶次」の原作本である。もちろん命がけなのではあるが、こんなに痛快な人生、というのは読んでても気持ちいいものだ。
福本豊「走らんかい!」
世界の盗塁王、福本豊さんの著書。「自分の勲章は、通算208本のホームラン」という通り、決して走るだけの選手ではなかった。あんなに小さいのに、ホントに大したものだ。野村監督が福本対策で、日本で初めて投手にクイックモーションを練習させた、とか、日本シリーズでも堀内からは走れなかった、とか、昔の野球好きが唸るエピソード満載。
村上春樹「ノルウェイの森」
さあこれをどう評価すればいいのか?という感じである。読みやすく、上下巻あっという間に読める。目立たない主人公が、うそのようにモテるし、女性はセックスに異様に積極的だし、どうもリアリティというよりは、ファンタジックな物語、と捉えるのがいいような気がする。
誉田哲也「武士道シックスティーン」
ほぼ1日で読んだ。すぐ映画のDVD借りて観た。まずは原作の方だが、よく対象を研究し、彩り深い作品になっている、と思う。キャラクターは、特に香織は、かなり極端で、展開し易いように設定してある感じ、また、一方早苗は、どこかつかみどころが無いような気もした。読み込みが甘いのかも、だけれど、なぜここで、香織の「大きな歯車が狂った」のかがもう一つ読み取れなかったし、もう少しかみ合わせれば、2人の関係性がより鮮明になったのに、とも思う。
DVDは、原作を読んだ後では、時間の関係でディテールを省いたり変更したりしているので、正直不完全燃焼だった。早苗の、不思議な間合いの理由も分からないし、バイプレーヤーたちも、設定が浅いとしか言いようがない。成海璃子は良かったが、早苗が北乃きいというのがちょっと・・だった。
でも、心象はやはり表情で、後半は惹きつけられて観ていた。心の動きも、不思議と小説より映画の方が分かる気がした。たくさん意見を書くのは、面白かったからである。「セブンティーン」も「エイティーン」もあるとのことで、楽しみにしている。
桜庭一樹「私の男」
近親相姦もの、である。直木賞受賞作品。なぜ、を全て書いてある訳では無い。読みながら考え、またそういったケースもあるのだろうか、と思うしかない。
もちろん発覚する訳だが、主人公よりも、周りの人が言うことの方がよほど真っ当に聞こえる、というのは珍しい事だ。近親相姦、というタブーに踏み込むことで、センセーションを呼ぶ計算、もしくは踏み込む好奇心がほの見える。
最近気にしていることに「筆致」「筆力」というものがある。極端に言えば、理詰めでなくとも、緻密で無くとも、例え訴えるものがはっきりしてなくたって、文章から迫り来る力、迫力、といったものがあれば名作なのではないか、とも思う。
「私の男」は、境界線を超えることで逆になにかを問うている作品かも知れない。当たり前だが読者である私には受け入れられないし、理由も薄弱に見える。ただ、筆力はある作品、なのは間違いない。
江國香織「きらきらひかる」
1991年の作品である。ホモと、精神不安定な女の物語。私には、「ノルウェイの森」の気分はわかんないが、この作品の気分は分かる。バブル末期で満たされた気分の中、世界は激動していた時代。時代は平成に変わり、旧共産圏諸国の独裁政権が次々と倒れ、ソ連は無くなった。
日本の人々は、世相を感じながらも、まだ切羽詰まらずに、新しい価値観を、ぬるく探していた。こんなんがあってもいいんじゃない?的なノリであった。
バブルが崩壊、金融破綻、大災害、大規模テロ、徹底的なリストラを経て、舞台設定として、ひたすら悲しみ、不幸なベースを創り出そうとする現在の文芸界とはエラい違いである。
当時はヨーロッパの映画にもホモセクシャルものは実に多かったが、個人的には、その系統に入る平和な小説だと思う。中身的にも、平和でおしゃれな生活だなあ、という感想だ。
道尾秀介「ソロモンの犬」
最近文芸カフェになりつつある、行きつけのドッグカフェで読み始めてしまい、結局買って帰って一晩で読破した作品。
読みやすいが、正直何とも浅いような気がしている。主人公は愛せる性格をしている。なぜ、がもう一つ解消されない。ミステリー?
貫井徳郎「ミハスの落日」
スペイン、スウェーデン、サンフランシスコ、ジャカルタ、カイロでの物語。それぞれ主人公は現地人だ。どんでん返しに人間模様が絡む短編集である。男が哀しい話が多い。
「ストックホルムの埋み火」が最も親しみ易かっただろうか。救いが有るのは「サンフランシスコの深い闇」だけで、「ジャカルタの黎明」は、先が読めた。
いろいろと工夫が凝らしてあり、退屈はさせないのだが、ミステリー的フェアの観点から言うとちょいと違い、やはり物語だなと思う。短編集、ということもあって軽い感じもする。ただ、どこか独特の、好感が持てる雰囲気はある。「慟哭」や「乱反射」はそのうち読んでみよう。
東野圭吾「ガリレオの苦悩」
ガリレオシリーズはすでに7作目が出ている。「探偵ガリレオ」に始まり「予知夢」、そして直木賞受賞作「容疑者Xの献身」それからこの「ガリレオの苦悩」。文庫になったばかりの「聖女の救済」を経て「真夏の方程式」があり、最近単行本で「虚像の道化師」が出て、第8作「禁断の魔術」が刊行予定だそうだ。
「苦悩」には、ついに、テレビドラマに気を遣ってか女性刑事が登場した。草薙に替わりあっさりガリレオの最も近くにいる役となった。まあ別に良い。私が気になるのは少々パワーダウンしているのが気になる。
前作「容疑者Xの献身」は、設定こそありきたりだったが、トリックはシンプルかつ単純かつ的を得ていた。作業としては古典的ながらも、人物も魅力的で、受賞も納得がいった気がした。ただ、ガリレオならではの、科学実験も、その筋のトリックも出てこないのが異様であった。
それが意識されているのか、今回は、科学的なトリックは必ず出てくるのだが、どうも必然性が無いように思える。設定と、動機が弱い気がしてならない。筆力を感じないのである。以上。「聖女」に期待する。
畠中恵「いっちばん」
「しゃばけ」シリーズの第?弾である。どうにも気楽なものが読みたくて、借りてきた。江戸の商家の若だんなとその周囲に集う様々な妖(あやかし)が巻き起こす騒動。面白おかしく、調子の良い文体で、親近感を抱く物語となっている。
さらさら読めるし、絵が頭に浮かぶ。人気なのも、分かる気がする。
8月は、これに加えて「はじめてのオーケストラ・スコア」や、息子の「ピーターラビット」シリーズも読み、なかなか充実した読書月であった。
ただ、これだけ読むと、ブックオフなどで買っても追いつかない。借りれるものは借りようっと。
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