2012年4月28日土曜日
まあまあ
さて、無事東京の仕事も終わり、当面の課題は、始めたちばあきお論を書いてしまうことにある(笑)。
「キャプテン」は一大ブームを巻き起こした。東京・下町、庶民の家庭(谷口家は大工、イガラシ家はラーメン屋、近藤の父は、はっきりは分からないが自動車の町工場の社長。近藤家はやや裕福に見える)から公立中学校に通う子たちを主人公にした、猛練習、努力ものである。そこには才能は出て来るが、魔球も劇場性も、さらに少年ものには欠かせない、恋愛の要素も全くない。女子キャラ皆無である。せいぜい校内新聞の女子記者が1回出たくらいで、チアガールはイガラシ時代の終盤からしか登場しない。硬派そのものだが、野球という、どちらかというと出場人数が多めの競技にして、部員達のキャラは控えめながらも立っているし、会話も楽しい。親和度が抜群で、そんな部員達が野球の名門校に挑戦し、努力の結果が形になるところに頼もしささえ感じたのがヒットした原因なのではないか。野球が国技に近いくらいの人気スポーツだった時代にもマッチしていたと思う。歴代のどのキャプテンにも欠点があり、挫折を経験するところも、丁寧に、うまく波を付けていたと思う。なお、イガラシが「目的のためには手段を選ばない」は訂正させてもらって、イガラシ弟
の言葉(ニュアンスしか覚えてないが)によれば「彼は目的のためには犠牲を顧みない」とさせていただく。
また時代の連続性も面白い。野球の捉え方も丸井時代終盤〜イガラシ時代になってくると、専門的になってくるし、絵も上手になる。丸井は卒業してもOBとして見に来るし、兄と同じように才能あるイガラシ弟も登場する。相手も、青葉の監督、身体は小さいが物凄いスピードボールを投げる、プライド高きエース佐野、イガラシと小学校で野球をしていた剛腕、井口など、愛せるキャラがそこかしこに居るのである。
延長18回の死闘、ついに全国大会を勝ち抜いていくところあたりが一番好きである。
「プレイボール」は墨谷高校に進学した谷口の、いわば後日談だ。作者によれば、「次の作品を始めるまでのつなぎ」だったらしいが、人気を博して22巻まで続き(確か)谷口が3年生でエースでキャプテン、当初「ヒマつぶしのように」(谷口が1年時のキャプテン談)野球をしていた墨谷野球部は、シード権を獲得するほどになり、丸井もイガラシも井口も佐野も登場して、さあこれから夏の大会、というところで終わる。「キャプテン」と合わせて読むと本当に面白い。こちらも女子キャラ全く無く、さらには「キャプテン」にはあった全国大会も無い、あらゆる意味で野球のレベル、というものを考えさせられるストーリーになっている。甲子園が遠い、匂いすらもほぼしないからこそいいのかも知れない。
ひとつ思うのは、「キャプテン」も末になると、近藤以外に強いキャラが居なくなり、なじみの相手も無くなってきたところで終わり、というのは納得がまあいくのだが、「プレイボール」は戦力も充実してさあこれから、なので続編を読みたく渇望してしまう。そう思わせるのが名作なのであろうが、作者の完結の言葉にもあるように、大学生、はてはプロになった谷口くんも見てみたかった気もする。でもそれは、いまや永遠に叶わない。
「わが輩はノラ公」については別項で。ではきょうはこの辺で。
2012年4月27日金曜日
爆睡 間近?
ホテル着いてすぐ爆睡か〜と思いきや、飛び乗った新幹線で、身体の温度を落とさなければ、とじっとしている内に意識を失い、40分ほど深く眠って、名古屋で隣に人が来て起きた。また寝ようと思ったが、これが眠れず、今もさしてしんどくも眠くも無い。昔勤務中の15分ほどのうたた寝はかえって仕事の能率を上げる、という論があったが、それを地で行ってる感じだ。年齢もあり、そう長くは最近眠り続けることが出来ないし、あんまり長く寝ると逆に体調が整わないので、普段よりちょっとだけ早寝という感じにする。それにしても、深い睡眠の際、自分のいびきが聞こえていたような・・周りの方、失礼しました。
漫画の名作、というか自分が影響を受けた作品と言えば「キャプテン」「プレイボール」というちばあきおの中高生野球もの、それから、女性漫画家さんの少年漫画、「わが輩はノラ公」であろう。父と祖母を除く、母と姉弟4人全員が繰り返し読んでいて、母が機嫌が悪くても、新刊を読んでいる間は怒られなかった。
「キャプテン」は、野球の名門、青葉中学から公立の墨谷二中に転校してきた、元2軍の補欠である谷口くんが、周囲に誤解され大きな期待をかけられて、それに応えるために努力をしてついにはキャプテンとなり、チームを鍛え上げて、青葉と、東京都の決勝戦を戦う、というもの。
物語は続き、伝説のキャプテンとなった谷口は、自分を尊敬している丸井にキャプテンを託すが、丸井は情にもろく、すぐ感情に走り失敗を経験、しかしチームを立て直して、猛練習の末、また都の決勝で、前年のメンバーがほとんど残っている青葉と、延長18回の死闘を繰り広げる。
丸井がキャプテンを託したのは、1年生のときからのレギュラーにして良き僚友、イガラシ(作中も全てカタカナ表記)だった。イガラシは、頭脳もプレーも抜群だが、思いやりに欠け、目的のために手段を選ばないという欠点を持つ。昨年のレギュラーがほとんど抜けてしまったチームを前にしたイガラシは、部員に常軌を逸した猛練習を課す。新チームに短期間で全国優勝の力を付けさせるのが目的だったが、ケガ人が続出した特訓の模様が新聞に載ったことから大問題となってしまう。再スタートした野球部は夏の大会で都の決勝、そして全国大会を苦戦しながら勝ち上がる。
イガラシが新キャプテンに指名したのは、1年生から実質上エースだった関西人、近藤だった。恵まれた体格から中学生離れした重い豪速球を投げ込む近藤は、天才にありがちな、気分屋で自己中心的な性格。これではチームが崩壊してしまうと、元社会人野球の名選手だった近藤の父親が、後進を育てることに目を向けさせ、選手層の充実を図る・・。
という、全25巻(確か)のストーリーだ。人に優しく優柔不断、という谷口に始まって、歴代のキャプテンは何かしら欠点を持ち挫折を経験する。また前のチームに見えていた、ウイークポイントを修正していく、という流れで描かれている。谷口の高校生活を描いたのが「プレイボール」である。
ちばあきお2作品の魅力を語り尽くそうと思ったが、「キャプテン」のストーリーを書いただけでえっらい長くなったので、今夜はこの辺で。これから読むという方、ネタバレでごめんなさい。これでもかなり端折ってるのでこの上で読んでも面白いとは思います。では爆睡します。
2012年4月24日火曜日
象徴 of the sun
さて、きょうも、あちこちに飛ぶ駄文をひとつ。
JBLファイナルは、初戦最大19点差を大逆転で勝ったアイシン有利かと思われた。しかし、トヨタは慌てず、同じ方法論で臨み、同じように点差を広げた。第2戦も第3戦もアイシンは粘ったが、ひっくり返せずに1勝2敗。アイシンがこのまま引っ込む訳が無いとも思えたが、第4戦も同じ展開となり、アイシンはついに力尽きた。選手の出場時間を管理し、一握りの主力に頼らず、全員で激しいディフェンスとリバウンドを頑張ったトヨタが初優勝した。ガチの戦いで終盤の追い上げでは盛り上がり、見応えのあるファイナルだった。
きょうは久々の休みだった。息子と下の公園にサッカーしに行ったら、子供達が我も我もと寄って来て皆でサッカーとなった。そのうちに、どう見ても5、6年生の子も入れてと来て、こちらのチームは小さい子ばかりでバランス取れないので、腕自慢(脚自慢?)の上級生は、私が、ディフェンスで大人気なくカットして差し上げた。もちろん大した接触はなし。たまにこういうことがある。ここ数年、隣に男の子がいたりとそれなりに子供たちとプレーしたが、小学生までなら何とかかんとかついていける。でも暑かったし、ホンマにヒーハーだけど。息子は駒沢以来しばらくぶりの遊び試合だったからか、あまり触れなくても、それなりに楽しんでいたようだった。ま、もう少しドリブルとかパスを練習しなきゃな。
夜は、外で煙草を呑みながら星を見て、これが宇宙なんだなあ、街の光で藍色っぽく見えるけど、宇宙空間の色はどうなんだろう、明るさはどんな風なんだろうか、などと考えて振り返った瞬間、斜め前方3メートルくらい、かなり近い位置に大きなイノシシがいたのでギクリとした。私の帰る方向で、そのまま進むにはさらにやや距離が近くなるところを通らなければならない。一瞬走り抜けようとも思ったが、相手をびっくりさせる方がまずいと思い直し、「パパ通るよー、何にもしないからねー、こっち来ないでねー」となぜか穏やかに話し掛けながら(笑)出来るだけ平静を装って歩き抜けた。いつもイノシシがうろつく繁み方向を通るので、そちらに子供を残して来ていれば危険かも、と気は抜かなかった。まあ、それか、手に匂う食材を持ってない限り、普通イノシシの方から人間には近寄って来ない。無事通り抜けた時、車道の真ん中にいたイノシシが車のヘッドライトにパッと照らされた。「あー、危ないよー」となぜかまた声をかけてしまう私(笑)。イノシシはやや傍によけ車をやり過ごすが、運転手はびっくりしたようで、しばし車を停めて見入っていた。
「ファイブ」の後、流行りに乗せられ買った「宇宙小説」を軽く完読、いま恩田陸「劫尽童女」である。SFサスペンスで次は次はと面白く読んでしまっている。手塚治虫のようである。文芸好きの友人と話が合うのだが、恩田陸は本当に、やってみたい設定全部好きにやってる作家さん、というイメージだ。でも「ドミノ」で作風の変化を読み取って以来、やや肯定的に評価はしている。後半が楽しみだ。積ん読の書も溜まって来たし、出来る範囲で読もうっと。
2012年4月16日月曜日
徒然&Favorites
レイアップショットの時、私はいつも自分が「浮く」瞬間を感じ、そのほんの僅かな時間の感触を気に入っていた。中高とバスケ部だったが、中学の時には無かった感覚で、高校生になって丸1年したら体力が付き、ただ「飛ぶ」のではなくさらに最高到達点へ「浮く」感じが、自然と身に付いた。ダッシュからレイアップショットはウォーミングアップで毎日やるものだったから、この不思議なフィーリングに、自分の進歩、大袈裟に言えば体力の最高潮期の脆さ、さえ日々嗅ぎ取っていた。
我が家の近くには桜のトンネルがある。花散らしの雨も降って、いま、道の脇や側溝はピンクの絨毯が敷いてあるようだ。天然の桜色は本当に美しい。良く言われることだが、花の最盛期に散る特徴も珍しければ、散る姿がこんなに綺麗で心に残る植物も珍しい。梅が寒さの中咲く姿は、春への期待、桜は春満開の象徴と初夏への助走。どちらも、春に新年度が始まる我が国の伝統と密接に結びついているからこそこの気持ちが湧いて来る。就職して見知らぬ街で初めての独り暮らしを始めた頃、近くの公園で1人見た夜桜の幻想的な美しさは、淡い切ない想いとともに忘れ難い。国際標準に合わせて秋スタートにカレンダーを合わせようと言う人もいるし、大学などは一部実施しているようだ。でも私はやはりかなり違和感がある。
改装されてから初めて甲子園球場に行って来た。リニューアルからもう何年も経つが、東京に居たんだから仕方無い。うわあまあアメリカのボールパークみたくなって、綺麗になっちゃって、へー、ほーと言いっ放しだった。試合は完封負けだった。とほほ。
久々にブックオフに行ったら、半額デーでラッキー。でも、だからか、東野圭吾のコーナーは、荒されてるんちゃうか、というくらい本が無かった。「真夏の方程式」が欲しかったのに。北村薫「スキップ」「ターン」と恩田陸「劫尽童女」と、もう一つ本を買った。ここ最近としてはしばらくぶりに私読書的ホームに戻ってみた感じである。
男子バスケットはセミファイナルが終わり、ファイナルはアイシンとトヨタ自動車の対戦。名門同士のガチの勝負だ。上のレベルの戦いを見たり調べたりすると、折角の6年間自分ももっと頭を使って頑張っておけば良かった、たとえ補欠でも上下関係厳しくても、大学でもやっときゃ良かったかな・・などと思う。でもそれが出来る出来ないも、才能と、巡り会う環境なのだろう。
さて、「もう一つ」買った本、佐古賢一とアイシンを題材にしたスポーツノンフィクション、平山讓「ファイブ」を今読んでて、はまっている。NHKでドラマ化もされたそうだが、日本のバスケットボールファンからしたらこんなに面白い作品は無い。アイシンのバスケットを創り上げ、2002-2003シーズンに初優勝を勝ち取り、今なお監督の鈴木貴美一氏のことも載っていて興味深い。こんな本を読むと、月間バスケットボールとか読んでみたくなる。本屋で見てみよう。
私は、バスケットボールが、大好きだ。
2012年4月9日月曜日
2日で3回
毎年これくらいの土日は本当に、人でいっぱい。今年から露店の類が全面禁止になったので、逆に花見客のシートがはみ出し、整然となってない所もあったりして、2キロほど歩いて引き返すと、途中のなじみの回転寿司屋に突然息子がふらふらと入ろうとしたので、びっくりして止める。お腹すいてるの?と聞いてもなんか要領を得ない答えなので少し歩いて、これもなじみのドッグカフェでオムライスを頼むと、ガツガツーッ!とあんた親がご飯やって無いみたいやん、というくらいの勢いで食べ、水をぐーっと飲み干した。あとで自分で「一気過ぎたー」と言ってたが、まあチャン・イーモウ監督がベネツィア国際映画祭で2度目の金獅子賞を取った「あの子を探して」で、教え子を探しに行って街で迷い、保護された貧しい少女の教師ウェイが、警察で出されたお弁当を本当にものすごくがっついて、「これぞ空腹の子どものガツガツ!」というくらいの迫力で食べていたが、(長い例えだこと)それ以来のガツガツ度を感じましたわよ。東京時代に、あまりにおやつばかり食べてごはん食べないので、おやつ禁止にしたら、その夜の外食でやはりものすごいスピードで食べてたな、そういえば。
で、パパは土曜の夕方から仕事で深夜帰って来て、日曜午前遅くまで寝倒した。ママが熱が出て、前夜は軽い食事だったらしく、息子がベッドにお腹空いたよ〜と来た。犬たちも朝ごはんまだである。先にワンにフードやるとこれがまた、普段あまり食べないクッキーまでガツガツガツーッ。ウインナー炒めて、余熱でスクランブルエッグ作って、パンと牛乳といちご、息子がバクバクばくーっ!もうママ倒れると大変なんですから。次はシチューかカレー、また作ろう。翌日朝も楽だし。ウインナー炒めている途中に台所に息子が来て、熱々の1個頬張って、パパが卵にスクランブルかけてるのを見て、パパかっこいい〜、と言ってた。パパが料理したのあまり見たことないのは確かだが、まあきょうの場合は空腹がそう言わせたのだろう。ママを、栄養ちゃんと採りなさいと起こして、パパのブランチはママにあげたら、インスタントちゃんぽんを作ってくれた。食べて、後片づけに食器、食器洗いトレーを洗い、生ごみ片付けて、流しのゴミ受け網まで完璧に汚れを落とすパパであった。
で、すぐ、買い物。いつもの要素が濃い牛乳とかヨーグルトは息子の担当。もう2年生にもなるといろいろ手伝おうとするので面白い。買って、荷物3つ、その上大量のクリーニング引き取り、両手いっぱいのジョニー、は、小比類巻かおる、両手いっぱいの荷物に、周りはお花見ついでの人でいっぱい、いつもならスーパーで少し待っていればタクシーが来るがきょうはひょっとして、と暗澹たる気持ちに一瞬なったその時、鼻先にたまたま!タクシーが止まったので乗り込んで帰る。ああよかった。帰ってワンの散歩、ようやく40分くらい休んで、夕方また息子を連れてくだんの回転寿司屋へ。今度は息子あまり食べず。ママのおみやとアイス買ってやって帰る。
帰って風呂一緒に入ってアトピーの薬塗って髪乾かして、ハミガキの仕上げやってあげて寝かしつける。やっと1日の終わりだー。でも今週は息子と話すことが無かったから、2日で3回の外出は貴重な機会だったな。
明日は入学式。巡り会うときは花びらの中。去年を思い出すなぁ。
2012年4月5日木曜日
3月書評・・
昨夜は近くのJR駅から、遅い時刻に帰ろうとしたら、隣の駅で動かなくなった。しまいに大阪方面にお戻り下さいというアナウンスがあったので、最寄りの阪急の駅に行ったら、電車は定時に来て、タクシー乗り場行列だろうな〜と思ったら、全く並んでいなかった。
台風並みの強風が吹き荒れたためで、個人的には安全優先は嫌いではないし、待ってる間本はみっちり読めたしではあったのだが、この忙しい折に帰宅が1時間遅れたのは痛かった。早く判断すればよかった。
というわけで(笑)書評というか、先月も読んだのは4冊である。辻村深月「冷たい校舎の時は止まる」上下巻、む村上春樹「うずまき猫の見つけ方」そして山崎豊子「沈まぬ太陽」の1.2巻だ。
「冷たい」は、ミステリー的に感心したわけでも無く、何かに心から感じ入ったわけでも無いが、名作だった。恩田陸っぽいが、キャラクター付けには相当考えた節があり、多くの登場人物をマッチさせつつ、憧れさせるような学園生活を現出させているようだ。まあリアル感はまったくなくオチもそんなに驚かないのだが、仕掛けにはぞくぞくしたし、誰もいない校舎というのはまさに魅力的なステージだと思う。楽しく読んだ。
ハルキは、もひとつ。なあんか、ハイソだけど、この人も浮世離れしてるのね、という感じである。あまり前に出て欲しく無いような気も勝手ながらしている。
「沈まぬ太陽」は、この作家らしい、年代が移る一代記。すごい取材力だと思う。興味深く思える。いま御巣鷹山編だ。アフリカ編は善悪ひどかったが、御巣鷹山編は、問題を真っ向から捉えていて、面白い。先が楽しみだ。
夜道に桜がちらほら咲いていた。昨夜はアークツルスが綺麗だった。春本番も、すぐそこだ。