タイトルの答えは、夏休みの宿題である。
今年は、パパ監修、宇宙スペシャル。それで、久々に神戸はポートアイランドの科学館に行って来た。午前中に着いて、惑星コーナー行って、その後天体望遠鏡での太陽観測。パパも久々に黒点やプロミネンスを観測できて満足。
その後向かいにあるIKEAでお昼ごはん。出来たころは心配するくらいガラガラだったのに、今はすごく人が多い。レストランが混雑してて席を取るのに手間取る。なんか、阪神地区家族連れの定番のコースになりつつあるIKEAランチ。きょうもミートボールにカツカレーにポテトとドリンクバー。我が家も2ヶ月に一度くらいの定番。(笑)
この頃から雨が振り出す。科学館に戻って小1時間遊ぶ。1年生の頃から通ってるので、最近はあそこ面白くない、とか言うくせに、行くと大いに楽しむセガレ。宇宙のほか、環境や発電、人間の身体などの展示があって、ミニ実験コーナーもたくさんあるからまあ面白い。最近は漢字や、書いてあることが少しずつ分かって来たから面白いのかな。
余談だが、IKEAの喫煙コーナーが、屋根とベンチの無い、離れた所へ移動していた。この厳しくなる一方の喫煙環境の中、神戸の科学館は表のベンチ全般、地下の休憩コーナーの外と緩やかである。ただ、外観からいかにももう建て替え時期と思える。建て替えとなれば灰皿撤去だろうな。
帰り山沿いは大雨。ホンマにきょう太陽の観測したんかいなと思うくらい。バスがちょうど来てたので、あータクシー・・まあいいか、でバスで帰ったら、帰りの山道、ちょっと怖いくらいの強雨。2人で1本の傘で全身ずぶ濡れになって帰り着く。息子は楽しそうだった。そのままお風呂に入って人心地。
さあ、きょう撮って来た写真をプリントして、あとは息子の筆力に期待。メモもとらせたし。
高校野球、いよいよ明日決勝!
2014年8月24日日曜日
2014年8月17日日曜日
ワンコと雷と高校野球
我が家のワンコ2頭は、最近、オスのレオンが軽度のヘルニアの手術を、メスのクッキーが不妊手術をしてきた。
両方とも傷口を舐めないよう、エリマキトカゲのように首に巻く、ネッカーを付けてしばらく過ごした。ネッカーは大きなものなので、引っ掛ってしばらくは階段やソファにも登りにくそうで、こちらも、身体を動かした時にネッカーにガツンと当たってしまったり、かわいそうなくらい不便さをかこっていた。
また、ネッカーを付けた2頭と一緒には寝れないと、クッキーはしばらくパパ・息子部屋。うーん、犬のあいてをしながら子供を寝かしつけるのは、少し大変。
きょうからクッキーはネッカーを取ったのでちょっとのびのびしていた。
それにしても、前の週末は台風直撃だったんだな。もうだいぶ前に思える。今週末も天気が悪く、雷も鳴った。なので前週に続き、今週もお家である。まあ、いまは高校野球を日がな一日観てるから退屈はしない。
ここまで印象に残っているのは、東海大四、山形中央、富山商業、盛岡大付属あたりかな。北の方が多い。
東海大四はエース西嶋をはじめハツラツとしている印象。山形中央は本当によく走るし、打力もある。富山商業の森田は、2試合完投で、1失点。大型左腕でコントロールもまずまず良く、これくらい投げたらプロがほっとかないだろう。北信越勢はいまだ全勝。面白いな。
盛岡大付属は、初戦東海大相模で、どうなることかと思ったが、エース松本がうまくリラックス出来ていて良かった。打線も好球必打で逆転できた。岩手は、最近花巻東が甲子園でも好成績を収めていて、レベルが上がっている印象。山形も、去年は日大山形が初のベスト4に入っていて、強豪に勝たなければ出られない、という状況が出来つつあると見た。
きょうは、第1試合の沖縄尚学ー作新学院に注目していた。ここ数年甲子園で好成績ばかりの作新と、山城大智との対決。山城は素晴らしいピッチングで、一筋縄ではいかないはずの作新打線を抑え込んだ。見応えのある試合だった。
今週も高校野球ウィークだ〜。
両方とも傷口を舐めないよう、エリマキトカゲのように首に巻く、ネッカーを付けてしばらく過ごした。ネッカーは大きなものなので、引っ掛ってしばらくは階段やソファにも登りにくそうで、こちらも、身体を動かした時にネッカーにガツンと当たってしまったり、かわいそうなくらい不便さをかこっていた。
また、ネッカーを付けた2頭と一緒には寝れないと、クッキーはしばらくパパ・息子部屋。うーん、犬のあいてをしながら子供を寝かしつけるのは、少し大変。
きょうからクッキーはネッカーを取ったのでちょっとのびのびしていた。
それにしても、前の週末は台風直撃だったんだな。もうだいぶ前に思える。今週末も天気が悪く、雷も鳴った。なので前週に続き、今週もお家である。まあ、いまは高校野球を日がな一日観てるから退屈はしない。
ここまで印象に残っているのは、東海大四、山形中央、富山商業、盛岡大付属あたりかな。北の方が多い。
東海大四はエース西嶋をはじめハツラツとしている印象。山形中央は本当によく走るし、打力もある。富山商業の森田は、2試合完投で、1失点。大型左腕でコントロールもまずまず良く、これくらい投げたらプロがほっとかないだろう。北信越勢はいまだ全勝。面白いな。
盛岡大付属は、初戦東海大相模で、どうなることかと思ったが、エース松本がうまくリラックス出来ていて良かった。打線も好球必打で逆転できた。岩手は、最近花巻東が甲子園でも好成績を収めていて、レベルが上がっている印象。山形も、去年は日大山形が初のベスト4に入っていて、強豪に勝たなければ出られない、という状況が出来つつあると見た。
きょうは、第1試合の沖縄尚学ー作新学院に注目していた。ここ数年甲子園で好成績ばかりの作新と、山城大智との対決。山城は素晴らしいピッチングで、一筋縄ではいかないはずの作新打線を抑え込んだ。見応えのある試合だった。
今週も高校野球ウィークだ〜。
2014年8月10日日曜日
すぐそば通過
台風一過のスーパームーン。
台風11号は、結果的にすぐそばを通って行った。いや我が地域は、暴風域の真ん中付近にあった。台風の中心がこんなに近いのも珍しい。
土曜日はまだ九州の南海上にあったが、こちらは朝から強い雨が降っていた。昼頃雨は止んで、陽が射したが、そこからは降ったり止んだり。湿った空気に、風がざわついて、雰囲気はあったが、夜もさほど吹き降りはなかったようだった。
日曜日は午前中に暴風域に入り、雨が強くなったが、風はあまり吹かなかった。台風は午前10時に兵庫県赤穂市付近、神戸より70キロほど西に再上陸。来たあ〜。岡山あたりかと思ったら兵庫。確かに赤穂は、そうあの赤穂浪士の赤穂です。赤穂は、兵庫県と岡山県の県境付近の都市だが、予報ではもっと岡山寄りになってたぞ。
進路予想では暴風域をかすめるくらいの筈が、中心付近にどどんと、入っている。去年ひと晩荒れた台風の時は、中心は和歌山あたり。これが普通のコース。瀬戸内横断は珍しいし、台風の中心の東側にいるのも珍しい。そもそも、こんなに中心近くだなんて、初めて?765ヘクトパスカル、最大風速35メートルがまともに来る。
台風の中心は、赤穂から相生を通って丹波篠山から舞鶴へ。11時ごろから風も強まる。12時〜13時くらいがピークで外は嵐でごうごうと風がうなる。14時くらいには弱くなり、やがておさまった。ピークは確かに激しかったが、暴風は吹き続けるというよりはやや強い突風が時折うなる感じで、なんというか、予想したよりは弱く感じた。
今回は、自転車置き場の布ルーフが飛ばないよう針金で補強したくらいで、自転車は外に置いておいたが倒れなかった。
また、いつも悩む屋上ルーフテラスの木製テーブル椅子セットは、今回もほとんど位置を動いてもいなかった。テラスは東西の壁が切り立った形になっているので、そこが強風を止めて、テラスの床付近への風を防いでくれるのである。テーブルも見かけと違ってやや重い。去年の台風で無事だったので、今回も大丈夫だろうとそのままにしておいた。もちろんなめてはいけないと思うし、飛んで行って事故になってからでは遅いし、次買うときは折りたたみのしまえるようなものを買おうと思うが。
台風一過で、夜空にはスーパームーン。最も近いところにある月だそうで、おととし見たときも、でかっ、と思ったけれど、やっぱりデカい。月は月だけれども、地球を回っている巨大な星と考えると立体的に見える。台風の名残の飛ぶ雲と風の中、これも季節の風情かと思う今夜でした。
台風11号は、結果的にすぐそばを通って行った。いや我が地域は、暴風域の真ん中付近にあった。台風の中心がこんなに近いのも珍しい。
土曜日はまだ九州の南海上にあったが、こちらは朝から強い雨が降っていた。昼頃雨は止んで、陽が射したが、そこからは降ったり止んだり。湿った空気に、風がざわついて、雰囲気はあったが、夜もさほど吹き降りはなかったようだった。
日曜日は午前中に暴風域に入り、雨が強くなったが、風はあまり吹かなかった。台風は午前10時に兵庫県赤穂市付近、神戸より70キロほど西に再上陸。来たあ〜。岡山あたりかと思ったら兵庫。確かに赤穂は、そうあの赤穂浪士の赤穂です。赤穂は、兵庫県と岡山県の県境付近の都市だが、予報ではもっと岡山寄りになってたぞ。
進路予想では暴風域をかすめるくらいの筈が、中心付近にどどんと、入っている。去年ひと晩荒れた台風の時は、中心は和歌山あたり。これが普通のコース。瀬戸内横断は珍しいし、台風の中心の東側にいるのも珍しい。そもそも、こんなに中心近くだなんて、初めて?765ヘクトパスカル、最大風速35メートルがまともに来る。
台風の中心は、赤穂から相生を通って丹波篠山から舞鶴へ。11時ごろから風も強まる。12時〜13時くらいがピークで外は嵐でごうごうと風がうなる。14時くらいには弱くなり、やがておさまった。ピークは確かに激しかったが、暴風は吹き続けるというよりはやや強い突風が時折うなる感じで、なんというか、予想したよりは弱く感じた。
今回は、自転車置き場の布ルーフが飛ばないよう針金で補強したくらいで、自転車は外に置いておいたが倒れなかった。
また、いつも悩む屋上ルーフテラスの木製テーブル椅子セットは、今回もほとんど位置を動いてもいなかった。テラスは東西の壁が切り立った形になっているので、そこが強風を止めて、テラスの床付近への風を防いでくれるのである。テーブルも見かけと違ってやや重い。去年の台風で無事だったので、今回も大丈夫だろうとそのままにしておいた。もちろんなめてはいけないと思うし、飛んで行って事故になってからでは遅いし、次買うときは折りたたみのしまえるようなものを買おうと思うが。
台風一過で、夜空にはスーパームーン。最も近いところにある月だそうで、おととし見たときも、でかっ、と思ったけれど、やっぱりデカい。月は月だけれども、地球を回っている巨大な星と考えると立体的に見える。台風の名残の飛ぶ雲と風の中、これも季節の風情かと思う今夜でした。
2014年8月1日金曜日
7月書評の2
7月は、毛色の変わった作品をよく読んだような気もする。来月は、すべてはそうならないが、夏の名作ミステリー特集にしようかな〜と思っている。では後半。
浅田次郎「地下鉄に乗って」
うむ。なかなか味わい深いファンタジーだった。
浅田次郎は、「日輪の遺産」「鉄道員」に続いて3作目。大作は読んでないが、いずれもそれなりに心に残る作品だった。今回は、まったく予備知識なく読み始めたのだが、決して見ることの出来ない、家族と自分の過去に邂逅する、というのはありそうでいて、あまり読んだことがない。
婦人肌着のセールスマン、真次は、地下鉄で移動する時、何度もタイムトリップし、巨大産業を築き上げた父や自殺した兄の過去の場面に出会う。
もちろんラストには全てが繋がって行くのだが、戦後戦中の情景とキャラクター設定、地下鉄をキーワードとした東京の描写は、物語に深みを与えていて、引き込まれる。
ちょっとテレビドラマのような感じは否めないが、喪失と前向きな感情、ラストのバランスが良く、読後感がいい作品だと思う。ちょっとお父さん可哀想かな。
若き日のアムールのイメージが、吉本新喜劇の某氏にしか思えず、苦笑しながら読んでいた。
梨木香歩「冬虫夏草」
待望の続編。
「家守綺譚」では、京都?の山中、亡くなった親友から譲り受けた家に住む、新米文士・綿貫征四郎が様々な不思議のことを経験する話で、ひとつの独自の世界を存分に表現した梨木香歩。今回は、行方不明の飼い犬ゴローを探して、またイワナ夫婦の宿、というのに非常な興味を感じた征四郎が、鈴鹿の山中を駆け巡る。
「家守綺譚」もそうだが、この不思議な小説のモチーフは自然であり、伝承の世界。古式ゆかしいファンタジーの連続に、どこからどこまで伝承なのか、梨木オリジナルなのかが分からないくらいである。その奇妙な現象を、綿貫征四郎ばかりでなく登場人物たちが普通に受け入れているから、コミカルな味わいも増す。
続編読みたかったので、出て良かった。それにしても、北村薫には、これは北村薫にしか書けない、というテイストの作品も多いと思うが、綿貫征四郎シリーズは、梨木香歩にしか描けないな。
柳広司
「吾輩はシャーロック・ホームズである」
「ジョーカー・ゲーム」でブレイクした形の作者の、ホームズ・パロディ。若き日の夏目漱石が、ワトスンを連れて、ロンドン狭しと駆け回る!
ワトスンの所へ、自分がシャーロック・ホームズであるという妄想に取り憑かれた日本人・ナツメが預けられる。当のホームズは事件で出張中。降霊会に招かれたワトスンらは、あのアイリーン・アドラーの妹・キャスリーンと出逢うが、会の最中に霊媒師が毒殺される。
私の、そんなに本格的ではないホームズ・コレクションのうちの一冊で、再読である。しかし、ストーリーは全くもって忘却の彼方だったから楽しめた。(笑)
作者はホームズと夏目漱石に私淑しているのが読み取れる。ロンドン留学時代の夏目漱石をホームズと邂逅させた長編パロディはもうひとつ、島田荘司「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」というのがあるが、こちらの方はホームズの方が少々おかしくなっているから面白い。
ロンドン塔の歴史や、シェイクスピア、幻想、アイリーン・アドラー、自転車というキーワード、スタンフォド、ドイルも多用した植民地の話、また最後の台詞など、時代とロンドンを反映させ、ホームズものとして気の利いた内容になっている。夏目漱石をコミカルに扱いつつも彼の苦悩を描いてミックスさせている。脱線ぶりも面白い。ただ、犯罪トリックは正直もうひとつだった。
中田永一「百瀬、こっちを向いて」
なかなかツンツンする高校生ラブストーリー集。目立たない男女、がキーワードだ。
中田永一は、覆面作家とのこと。短編4作中のひとつにも、覆面作家のネタがある。これは名前からも、かつての北村薫を意識してると分かって、ちょっとニヤリとしてしまう。
映画にもなった「百瀬、こっちを向いて」は、福岡、久留米が舞台で、よく遊びに行った筑後川が出てくることもあり、親近感をもって読んだミニなラブストーリー。
クラスでも目立たないノボルは、幼なじみでバスケ部の宮崎先輩から、百瀬陽という同学年の女子を紹介され、つき合うことになる。しかしそれは、モテる先輩の偽装工作だった。
短編それぞれに、ミステリー風味を加えてある。「百瀬、こっちを向いて」も良かったが、「なみうちぎわ」も微妙なところに突っ込んでいる。どれかというと少女マンガ風味が強いが、「小梅が通る」も捨てがたい。さわやかで、ほろ酸っぱい作品集だ。
浅田次郎「地下鉄に乗って」
うむ。なかなか味わい深いファンタジーだった。
浅田次郎は、「日輪の遺産」「鉄道員」に続いて3作目。大作は読んでないが、いずれもそれなりに心に残る作品だった。今回は、まったく予備知識なく読み始めたのだが、決して見ることの出来ない、家族と自分の過去に邂逅する、というのはありそうでいて、あまり読んだことがない。
婦人肌着のセールスマン、真次は、地下鉄で移動する時、何度もタイムトリップし、巨大産業を築き上げた父や自殺した兄の過去の場面に出会う。
もちろんラストには全てが繋がって行くのだが、戦後戦中の情景とキャラクター設定、地下鉄をキーワードとした東京の描写は、物語に深みを与えていて、引き込まれる。
ちょっとテレビドラマのような感じは否めないが、喪失と前向きな感情、ラストのバランスが良く、読後感がいい作品だと思う。ちょっとお父さん可哀想かな。
若き日のアムールのイメージが、吉本新喜劇の某氏にしか思えず、苦笑しながら読んでいた。
梨木香歩「冬虫夏草」
待望の続編。
「家守綺譚」では、京都?の山中、亡くなった親友から譲り受けた家に住む、新米文士・綿貫征四郎が様々な不思議のことを経験する話で、ひとつの独自の世界を存分に表現した梨木香歩。今回は、行方不明の飼い犬ゴローを探して、またイワナ夫婦の宿、というのに非常な興味を感じた征四郎が、鈴鹿の山中を駆け巡る。
「家守綺譚」もそうだが、この不思議な小説のモチーフは自然であり、伝承の世界。古式ゆかしいファンタジーの連続に、どこからどこまで伝承なのか、梨木オリジナルなのかが分からないくらいである。その奇妙な現象を、綿貫征四郎ばかりでなく登場人物たちが普通に受け入れているから、コミカルな味わいも増す。
続編読みたかったので、出て良かった。それにしても、北村薫には、これは北村薫にしか書けない、というテイストの作品も多いと思うが、綿貫征四郎シリーズは、梨木香歩にしか描けないな。
柳広司
「吾輩はシャーロック・ホームズである」
「ジョーカー・ゲーム」でブレイクした形の作者の、ホームズ・パロディ。若き日の夏目漱石が、ワトスンを連れて、ロンドン狭しと駆け回る!
ワトスンの所へ、自分がシャーロック・ホームズであるという妄想に取り憑かれた日本人・ナツメが預けられる。当のホームズは事件で出張中。降霊会に招かれたワトスンらは、あのアイリーン・アドラーの妹・キャスリーンと出逢うが、会の最中に霊媒師が毒殺される。
私の、そんなに本格的ではないホームズ・コレクションのうちの一冊で、再読である。しかし、ストーリーは全くもって忘却の彼方だったから楽しめた。(笑)
作者はホームズと夏目漱石に私淑しているのが読み取れる。ロンドン留学時代の夏目漱石をホームズと邂逅させた長編パロディはもうひとつ、島田荘司「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」というのがあるが、こちらの方はホームズの方が少々おかしくなっているから面白い。
ロンドン塔の歴史や、シェイクスピア、幻想、アイリーン・アドラー、自転車というキーワード、スタンフォド、ドイルも多用した植民地の話、また最後の台詞など、時代とロンドンを反映させ、ホームズものとして気の利いた内容になっている。夏目漱石をコミカルに扱いつつも彼の苦悩を描いてミックスさせている。脱線ぶりも面白い。ただ、犯罪トリックは正直もうひとつだった。
中田永一「百瀬、こっちを向いて」
なかなかツンツンする高校生ラブストーリー集。目立たない男女、がキーワードだ。
中田永一は、覆面作家とのこと。短編4作中のひとつにも、覆面作家のネタがある。これは名前からも、かつての北村薫を意識してると分かって、ちょっとニヤリとしてしまう。
映画にもなった「百瀬、こっちを向いて」は、福岡、久留米が舞台で、よく遊びに行った筑後川が出てくることもあり、親近感をもって読んだミニなラブストーリー。
クラスでも目立たないノボルは、幼なじみでバスケ部の宮崎先輩から、百瀬陽という同学年の女子を紹介され、つき合うことになる。しかしそれは、モテる先輩の偽装工作だった。
短編それぞれに、ミステリー風味を加えてある。「百瀬、こっちを向いて」も良かったが、「なみうちぎわ」も微妙なところに突っ込んでいる。どれかというと少女マンガ風味が強いが、「小梅が通る」も捨てがたい。さわやかで、ほろ酸っぱい作品集だ。
7月書評の1
梅雨明けから10日過ぎたがさすがに暑い。しかし夏の甲子園が終わったら朝晩涼しくなる・・はずだ。暑さの終わりを夢見て。ではスタート!
恩田陸「蛇行する川のほとり」
女子高生の毬子が、苦手だという、一般的な男の子のイメージを語るぶぶんがある。
「なんだかごつごつして、おっかなくて、いきなり変な方向からゴツンとぶつかってくる、みたいな」
うーん、恩田陸得意の少女小説。こんなところにいかにも恩田っぽいワールドを感じたりしてしまう。
高校1年生の蓮見毬子は、美術部の憧れの先輩、九瀬香澄と斎藤芳野から、文化祭の背景を香澄の家で、泊まりがけで描かないか、と誘われる。喜ぶ毬子だったが、ぶっきらぼうな男の子、貴島月彦に「九瀬に近づくのはよせ」と警告される。
読書を始めたころに、文芸仲間が恩田陸の作品を多く読んでいたのに影響を受け、恩田陸制覇計画を立ててからはや4年、まだ3分の1くらいで進んでいない。まあこうやってのんびりと読んで行こうと思っている。
この小説は、ある意味特異な環境と事件を描きながら、冗長に少女たちのひと夏を描いている。色彩、心象豊かだが、相変わらずというか、ちょっとだらだらしている。
まあ、誰かが言っていたが、恩田陸は、書きたいジャンルを、好きなように描いている作家さんかも知れない。それで、いいのだ。
原田マハ「楽園のカンヴァス」
なるほど、確かに興味深くて、面白い。
原田マハ、という名前を知った作品。文庫発売即購入。ピカソに影響を与えたと言われる、アンリ・ルソーの、幻の名作を巡り、日米の若き男女の研究者が講評の勝負をすることになる。
「総理の夫」を読んで原田マハはマンガドラマ仕立ての人かも、と思ったが、この作品を読んでもその感想は変わらない。謎の裏コレクター、美術品に囲まれた屋敷での謎解きゲーム、陰謀、脅迫、価値が計り知れないブルー・ピカソの噂、劇的で出来過ぎの謎解きと、舞台装置は整い過ぎている。
まずは、作者の専門分野である、着眼点が、すごく興味深い。パブロ・ピカソに影響を与えたルソー、その幻の作品、というだけで惹きつけられるものがある。
劇中劇を感じさせるルソーの物語が挿入されるが、事情がここで簡潔に説明され、さらに真っ直ぐで情緒的。この作品の背骨を貫く純粋性を、うまく支えていて、気分を高揚させてくれる。最後までピュアさが芯となっており、その仕掛けはなかなか粋で絶妙だ。
ルソーもそうだが、パリのピカソ美術館にもう一度行きたくなった。
出来過ぎだなと思うものの、二重三重、また様々な積み重ねと貫く軸が、たまらなく読後感の良さを出す。良き面白き作品かと思う。
アラン・ムーアヘッド
「恐るべき空白」
読んでて、暑く、苦しくなる。
主に1860年に出発した、オーストラリア縦断探検隊、バーク隊の記録を元に書き上げられたノンフィクション。1979年発行の作品。どこかの書評で必ず感動できる本、として紹介されていたが、感動というか、凄まじかった。
当時のオーストラリアは、まだイギリスの植民地。現在の大都市には町が出来ていて、先に探検した者は居たが、依然として内陸部の情報は乏しかった。
バーク隊は、ヴィクトリア州の支援のもと、多くのラクダや馬を引き連れ、生活物資も充分に準備していた。しかし、やはり予想外の苦難にも見舞われ、途中隊の人数を割り、バーク隊長ら4人は、縦断に成功するものの、 悲劇的な運命にさらされる。
悲劇的な運命を辿ったバーク隊は大フィーバーを巻き起こし、オーストラリア中大騒ぎとなる。当時の探検熱、オーストラリアの厳しい自然環境、というものがよく伝わってくる。また、やはり探検するのも人間なんだ、との思いも抱く作品だ。
朝井リョウ「星やどりの声」
しみじみな話。昔、高校生の頃田んぼ沿いの道で、駅から帰りの姉と会い、後ろに乗っけて行った。そんなことを思い出す。
私にとっては、「桐島、部活やめるってよ」「もういちど生まれる」に次ぎ朝井リョウ3作め。なんてこたない話なのだが、やはり独特の、心を引っ掻かれるような、清冽な筆致は健在だ。
早坂家は26歳の長女琴美、大学4年の光彦、高3の双子小春とるり、高1の凌馬、小6の真歩の6人兄弟姉妹と、母の7人家族。母は、純喫茶「星やどり」を経営し、琴美には警察官の夫が、小春には大学生の彼氏が居る。兄弟姉妹は、それぞれ、亡き父への想いが募っていた。
相変わらず細かい表現に特徴があり、また今回は、解説にもあるように3人称と1人称の間で「揺れて」いるような感じである。また、やや大きめの仕掛けも相変わらずである。ただよく思うのだが、小学生の心情って、作り過ぎのような気がする。今回も同じような感想を持った。
兄弟姉妹それぞれの目線からの連作短編で、最後に薄い謎が解けるような感じ。こぢんまりと、ほっこりと、しみじみとした作品だった。
長岡弘樹「傍聞き」
いい感じの短編ミステリ。
救急車の隊員、警察官など、人のために奉仕する職業の者を主人公の、いわば緊急事態に謎を発生させ、鮮やかにそれを解くスタイルをとっている。
ネタも成り行きも面白い。4つの短編にまったく繋がりはなく、それぞれの登場人物の設定に面白く変化をつけている。上手い、という感じだ。
佐々木譲や横山秀夫と似たテイストか。私は、本格ミステリー派なので、謎があって、トリックがあって、名探偵がそれを解く、というのに慣れているが、こういうのもまた面白いと思った。
恩田陸「蛇行する川のほとり」
女子高生の毬子が、苦手だという、一般的な男の子のイメージを語るぶぶんがある。
「なんだかごつごつして、おっかなくて、いきなり変な方向からゴツンとぶつかってくる、みたいな」
うーん、恩田陸得意の少女小説。こんなところにいかにも恩田っぽいワールドを感じたりしてしまう。
高校1年生の蓮見毬子は、美術部の憧れの先輩、九瀬香澄と斎藤芳野から、文化祭の背景を香澄の家で、泊まりがけで描かないか、と誘われる。喜ぶ毬子だったが、ぶっきらぼうな男の子、貴島月彦に「九瀬に近づくのはよせ」と警告される。
読書を始めたころに、文芸仲間が恩田陸の作品を多く読んでいたのに影響を受け、恩田陸制覇計画を立ててからはや4年、まだ3分の1くらいで進んでいない。まあこうやってのんびりと読んで行こうと思っている。
この小説は、ある意味特異な環境と事件を描きながら、冗長に少女たちのひと夏を描いている。色彩、心象豊かだが、相変わらずというか、ちょっとだらだらしている。
まあ、誰かが言っていたが、恩田陸は、書きたいジャンルを、好きなように描いている作家さんかも知れない。それで、いいのだ。
原田マハ「楽園のカンヴァス」
なるほど、確かに興味深くて、面白い。
原田マハ、という名前を知った作品。文庫発売即購入。ピカソに影響を与えたと言われる、アンリ・ルソーの、幻の名作を巡り、日米の若き男女の研究者が講評の勝負をすることになる。
「総理の夫」を読んで原田マハはマンガドラマ仕立ての人かも、と思ったが、この作品を読んでもその感想は変わらない。謎の裏コレクター、美術品に囲まれた屋敷での謎解きゲーム、陰謀、脅迫、価値が計り知れないブルー・ピカソの噂、劇的で出来過ぎの謎解きと、舞台装置は整い過ぎている。
まずは、作者の専門分野である、着眼点が、すごく興味深い。パブロ・ピカソに影響を与えたルソー、その幻の作品、というだけで惹きつけられるものがある。
劇中劇を感じさせるルソーの物語が挿入されるが、事情がここで簡潔に説明され、さらに真っ直ぐで情緒的。この作品の背骨を貫く純粋性を、うまく支えていて、気分を高揚させてくれる。最後までピュアさが芯となっており、その仕掛けはなかなか粋で絶妙だ。
ルソーもそうだが、パリのピカソ美術館にもう一度行きたくなった。
出来過ぎだなと思うものの、二重三重、また様々な積み重ねと貫く軸が、たまらなく読後感の良さを出す。良き面白き作品かと思う。
アラン・ムーアヘッド
「恐るべき空白」
読んでて、暑く、苦しくなる。
主に1860年に出発した、オーストラリア縦断探検隊、バーク隊の記録を元に書き上げられたノンフィクション。1979年発行の作品。どこかの書評で必ず感動できる本、として紹介されていたが、感動というか、凄まじかった。
当時のオーストラリアは、まだイギリスの植民地。現在の大都市には町が出来ていて、先に探検した者は居たが、依然として内陸部の情報は乏しかった。
バーク隊は、ヴィクトリア州の支援のもと、多くのラクダや馬を引き連れ、生活物資も充分に準備していた。しかし、やはり予想外の苦難にも見舞われ、途中隊の人数を割り、バーク隊長ら4人は、縦断に成功するものの、 悲劇的な運命にさらされる。
悲劇的な運命を辿ったバーク隊は大フィーバーを巻き起こし、オーストラリア中大騒ぎとなる。当時の探検熱、オーストラリアの厳しい自然環境、というものがよく伝わってくる。また、やはり探検するのも人間なんだ、との思いも抱く作品だ。
朝井リョウ「星やどりの声」
しみじみな話。昔、高校生の頃田んぼ沿いの道で、駅から帰りの姉と会い、後ろに乗っけて行った。そんなことを思い出す。
私にとっては、「桐島、部活やめるってよ」「もういちど生まれる」に次ぎ朝井リョウ3作め。なんてこたない話なのだが、やはり独特の、心を引っ掻かれるような、清冽な筆致は健在だ。
早坂家は26歳の長女琴美、大学4年の光彦、高3の双子小春とるり、高1の凌馬、小6の真歩の6人兄弟姉妹と、母の7人家族。母は、純喫茶「星やどり」を経営し、琴美には警察官の夫が、小春には大学生の彼氏が居る。兄弟姉妹は、それぞれ、亡き父への想いが募っていた。
相変わらず細かい表現に特徴があり、また今回は、解説にもあるように3人称と1人称の間で「揺れて」いるような感じである。また、やや大きめの仕掛けも相変わらずである。ただよく思うのだが、小学生の心情って、作り過ぎのような気がする。今回も同じような感想を持った。
兄弟姉妹それぞれの目線からの連作短編で、最後に薄い謎が解けるような感じ。こぢんまりと、ほっこりと、しみじみとした作品だった。
長岡弘樹「傍聞き」
いい感じの短編ミステリ。
救急車の隊員、警察官など、人のために奉仕する職業の者を主人公の、いわば緊急事態に謎を発生させ、鮮やかにそれを解くスタイルをとっている。
ネタも成り行きも面白い。4つの短編にまったく繋がりはなく、それぞれの登場人物の設定に面白く変化をつけている。上手い、という感じだ。
佐々木譲や横山秀夫と似たテイストか。私は、本格ミステリー派なので、謎があって、トリックがあって、名探偵がそれを解く、というのに慣れているが、こういうのもまた面白いと思った。
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