2013年9月30日月曜日

9月書評の1

今週は、エアコンの必要はなかったが、まだうちわは必須アイテムである。バス停から帰りの坂道を登って汗ばむことが無くなったらやっと秋深まる、というところなんだろう。でも大体毎年、少し暑い、からいきなり寒くなるからなあ。さて、今月は11作品。行ってみましょう!


長友佑都「日本男児」

熱い、あまりにも熱い、ナガトモの本。2011年春の発行で、生い立ちと、北京オリンピック出場、南アフリカワールドカップ、チェゼーナ移籍、アジアカップ2011優勝、インテルへの電撃移籍、東日本大震災の時のこと、インテルでの日々等々が記されている。

彼がハングリーな理由、どのように物事を考え、困難に向かって行くか、が繰り返し本人の言葉で語られている。他のサッカー選手の本には、日本代表で仲の良い選手のことや、プライベートのことも出てくるものだが、そのような副産物はまったくない。ミーハーな読者としては、期待するところではある。ただ、ブログなどでは、必ずしも雄弁ではないナガトモがまっすぐに語りかけた書であることには疑いがない。楽しく読めた。

涙腺が緩いのか、震災の時の話を読んで、あの時のことを思い出し、涙してしまった。

高橋克彦「白妖鬼」

少し前に読んだ、同作者「鬼」の続編と言っていい。陰陽師である弓削是雄は赴任先の陸奥で、突如罷免される。その直後、烏天狗姿の暗殺者が!

時は坂上田村麻呂に制圧された蝦夷がまだ朝廷=内裏に対し怨みを抱いている頃の話。さまざまな術を使い、鬼を退治する陰陽師の活躍を描く。「鬼」は主人公の違う、連作短編集だったが、今回は「鬼」にも登場した、主人公の弓削是雄が、前作をベースに活躍する。

今回は、お色気あり、立ち回りありの時代活劇で、司馬遼太郎の「梟の城」を思い出した。オチも大きく、エンタメとして、面白かった。いやー鬼好きのミニな楽しみである。誰か分かってくれるだろうか(笑)。

高橋克彦「長人鬼」

陰陽師・弓削是雄とその仲間たちの冒険活劇第2弾。凶事相次ぐ都。是雄は関白太政大臣の命で淡路に踏査に出掛ける。一方、是雄不在の都では、人の背丈をはるかに越す大きさの鬼が現れた。

上の「白妖鬼」に続く陰陽師シリーズとしては3つめの作品。一気に読める。半日で読んでしまった。前回も最後は大物だったが、今回も意外な形で大物が登場する。もうシリーズ作は出てないのだろうかと調べてみると、まだ「空中鬼」、是雄ものではないが「紅蓮鬼」とあるらしい。楽しみにとっておこう。この時代の描写も、なかなか好きである。ああ、面白かった。

吉村昭「吉村昭の平家物語」

平家物語の訳出である。ところどころ削ったところもあるらしい。良くある事で、ブックオフでこの本を見つけた折り、呼ばれているような気がして買ってしまった。

なんというか、描写が、あまりにも詳しいので、伝承にプラスして創り話がそこかしこに入っている感じだ。平家、というよりは平清盛をひたすら悪役にしようとしていて、鎌倉時代の成立というのも分かる気がする。

那須与一の話や鵯越の話もありと、さすが800年も長らえて来た物語、読み出すと夢中になった。平家のプライドの高さ、源頼朝の、異常なほどの疑い深さも描かれ、全体に無常観が漂っている。

やはり名作である。

東野圭吾「夜明けの街で」

不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた、妻子持ちの渡部は、会社に来ていた派遣社員、仲西秋葉と深い仲になった。彼女には、15年前に起きた殺人事件の犯人では、との容疑がかかっていた。

不倫について、男の生々しい感情を、素敵な横浜デートとともに描きながら、サスペンスを絡めて行く。最後は、これでおしまいか、という軽さー。お手軽に楽しめる、東野圭吾の本懐の一つだと思う。

まあ特殊な状況だし、グダグダにならないのがまた現実離れしているが、楽しめた。男の本音が垣間見れる。なんか、「モンスター」に似てるかな。あんなにえぐくないけれど。

三崎亜紀「となり町戦争」

三崎亜紀のデビュー作にしてすばる文学新人賞受賞作、直木賞候補作。映画化もされたらしい。

「僕」は、住んでいる町の広報紙で、となり町と戦争状態に入る事を知る。しかし、日常はまったく変わらず、戦いの匂いすらしない。そのうちに、町役場のとなり町戦争推進係から、特別任務を依頼される。

最後までネタはバラされないが、この小説自体が現代社会への、大きな隠喩となっているところは誰もが気付くと思う。筆者は熊本市職員だったそうだが、その経験を土台に、見事にまとめている。

文章は純文学風。またも村上春樹チックというと「なんでもそう思うか?」と言われそうだが、似ているのだから仕方がない。表現を考え抜いて、効果まで計算しているのは素晴らしい。

難を言えば教科書的か。もちろん起きている事それ自体はコケティッシュなのだが、淡々とし過ぎずに、あえて踏み込むことも必要かも知れないな、と思った。直木賞候補時の審査員の評に負けず、これを超える作品を描けるか。楽しみである。

2013年9月24日火曜日

残暑

上での予報どおり、まだまだ暑い。日中は30度を越すし、夜も、エアコンの除湿が必要だ。一時期、朝夕はかなり涼しく、薄い上着でちょうどくらいだったが、ここ数日は朝から強い陽射しが照り付け、半袖で充分な感じだ。

この土日は、プチお出かけに終始。学校で流行っているという、アメジストや水晶を売っているアクセサリー屋さんに行ったり、おもちゃや本を見に行ったり。一応全部本人の希望なのだが、息子はつまんない、とおかんむりだった(笑)。月曜はパパ仕事で、ママと梅田に行ったとか。

やっぱり先週のように、早起きして、身体を動かす遠出をしないと、楽しくないよね、と息子に言う。さあ、どこ行こうか。季節柄も良くなるし、パパの腕の見せどころでもある。秋はまた土日大変多忙ではあるのだが。

きのう今日は地元のお祭りだった。お出かけの途中に、前に住んでいたところの近くを通った。息子が子供ながら、懐かしいような、ちょっと遠い目をして、久しぶりー、ここはこうだったっけー?などと言っていた。この坂を一緒に下って行く時、雪が降ったよねえ、駅に行くには近道があって・・、なんて話も出る。子供にとって何が思い出深いか、ということを聞くのは本当にいとおしい感覚だ。おそらくはそんな何気ない記憶が、一生頭の片隅にのこるからだ。

彼は、ゴールデンウィークに、いつも六本木ヒルズから見ていた東京タワーにヒルズから歩いて行って、階段で展望台まで昇った事を、よく覚えている。イベントでなくとも、すでに妻の料理はおふくろの味だし、何気ない会話も、風景の記憶も、これからどんどん増えていく。まだそれが信じられない。

暑くて、2人でペットボトルをガブガブ飲みながら長く歩いた。見上げた空は、秋らしく高かった。

2013年9月16日月曜日

台風襲来

16日午前3時。1時間ほど前に目覚め、台風情報を見つめている。yahoo!を開くと、自分が住んでいる自治体に「避難勧告」が出ていてびっくりする。だいぶ北の方で川の水位が上がったようだ。いまいる地域が対象ではないが、それにしてもひどい吹き降りだ。大型とはいえ、台風の中心部は潮岬の方だから、こんなに雨風が強まるとは正直思ってなかった。日中は外に出ていて、あまりひどくなる気配を感じなかったので、心理的に油断していた。

昨年実感したのだが、マンションは台風に強い。同じくらいの吹き降りで、向かいの家ではトタンの屋根がバリバリ音を立ててはがれていったりしてても、マンションはびくともしない。ベランダもさほど風は吹かなかった。

一軒家に移った今は心配事が多い。東京でテラスハウスに住んでいた時もそうだった。周囲に置いているものが飛ばないか、窓ガラスの周りに危険なものは無いか、大げさに言えば家族の命は安全か、など、すべて自分の責任だけに、現在の正直な心理は、怖い、だ。風はますます強くなった気がする。たまに家全体が震えるほどの強風が吹く。こうなると、出来ることはテレビで台風の情報を取りながら、少しでも早く過ぎ去ることを祈るだけだ。

京都に、史上初めての特別警報が出た。テレビをつけてソファに横になってうつらうつらしながらしばらく、夜が明けた頃に、雨風ともにようやく弱くなってきた。しかし「吹き返し」というのか、風はまだ時々強く吹く。いずれにしても、ヤマは過ぎたようだ。もうしばらく様子を見て、寝よう。

この3連休は、台風襲来か、とのたことで、まず天気が崩れる前の14日に、天保山に行った。仕事を含めても、17年ぶりくらいだろうか。

大道芸人の、背が高〜い方々がチラシを配ってて、イベント感が高まる。いつも家からは見ているが、やはり、海や船が間近にあるせいか、息子のテンションは上がっている。

チケット買って、いよいよ中へ。最初は、カワウソ。ちょうど餌を与えているところで、ポーンと放った魚を、カワウソが素早く泳いで取りに行く。メイン水槽までには、アシカやラッコやアザラシ、カピバラまでいて、なかなか楽しめる。人は多いが、小学校中学年の息子が、するすると1人で前へ行ける。それくらいの人出だった。

そしてエスカレーターを上がって、メイン水槽!だったが、ジンベイザメを見た時のコメントは「ちっちゃ!」だった。離れたところを泳いでいたこともあるが、息子は、もっともっとどでかい、ちゅら海水族館くらいの大きさを予想してたのだろう。ここから先は、大水槽を廻りながら降りて行く構造、ということもあり、テンション下がり気味。

出て、ショップで物色。ママのお土産はジンベイザメマグネットを買ったが、買った後でジンベイザメ鍋つかみを発見。ありゃ、こっちの方が面白そうだったなと思った。ジュニアはというと、水晶とか、めのうとか鉱石のコーナーでなにやら思案している。

小学校で綺麗な石が流行っているので、どれがいいか考えているのだ。結局透明の水晶、また名前は忘れたが、青の、やはり綺麗な石を買った。宝物袋もかって、しめて1000円。海遊館と観覧車には、設定価格の高さを感じさせるが、売店は安い。

観覧車に乗るには天保山マーケットプレイスの中を通るが、100円ショップがあるというのでのぞいてみた。パパは屋上テラスに置いてある灰皿が錆びて壊れたので、新しいのを買う。息子はというと、テレビでやってる消しカスくん、というアニメの消しゴムを発見して買ってほくほく。東京ではよく一緒に行ったなあ。

観覧車は、この界隈では最も大きなものだが、あまり感慨なし?降りて、マーケットプレイスの中を見物、と、忍者屋敷のアトラクション発見。ところどころ仕掛けがあって、槍が上から降って来たり、床を踏んだ感触をふわっとさせ、落とし穴の擬似体験をさせたり、障子戸を開けたら人形が切りかかって来たりと、息子大興奮。狭いし、まあ子供だましなのだが、子供だからね(笑)。

さらに不思議なトンネルと、海賊アトラクション。海賊の衣装を着た、胸元の甘いお姉さんが案内する。これも客引きか?要は隠し扉付きの迷路で、入る前に、お宝の入ったビニール袋を持ってみて、重さを覚える。迷路を突破してお宝の箱を見つけ、これと同じ重さだけ、ビニール袋に入れて帰って来てください、というゲーム。ちなみに目標の重さは77グラムだ。

かなり狭い迷路で、同じところをグルグル回っているようでさっぱり分からない。途中例のお姉さんが入って来てヒントをくれる。ついに隠し扉を発見して、お宝ゲット。ゴールして、息子が計る。90グラムオーバー。ありゃ。パパも自信ないな、でも76グラム。景品うまい棒2本。息子は悔しかったのかもう一度挑戦。1人で行かせてパパトイレ。帰った頃に、かのお姉さんに「めっちゃ重いやん!」とツッコミを入れられている息子を発見。2回めのミッションも失敗に終わったか。

お腹も減ったので、私はカレー、息子はパンケーキ食べて、出るとクロックスショップ発見。息子はクロックスのサンダルを履いてて、街で見かけたポケモンのワンポイントを買いたいという。なんかませた会話だな、とちょっと思う。ピカチュウ買ってさっそく付けて帰る。

帰りの道のりは暑い、後で見ると最高33度。そりゃ暑いわ。電車バスは時間がかかったけれど、夕方には帰り着き、よく遊んだ1日は終了。夏休みどこも連れてってやってなかったから、ちょっとホッとした。

こうして翌日は雨の中仕事へ出掛け、夜に台風襲来となるのだった。

結局、台風を見送った後、朝9時ごろに寝て、昼に起きて、午後はゴロゴロ。息子とipadでレゴの情報を探して遊ぶ。レゴの無料ゲームを発見して、息子が夢中になっている間にパパは自分の部屋でゴロゴロ。外はまだ風が強いが、いい天気だ。

毎年この時期の台風で空気が涼しく入れ替わるものだが、まだ晴れには最高30度の日もあるとか。ともかく、今年も猛暑超え、台風も超えた。もう来るなよー。

2013年9月8日日曜日

本の記憶

手に入れるだけで嬉しい本はあるものだ。最近で言えば「小さいおうち」とか「月と蟹」がそうだった。情報を仕入れた時の直感で、一刻も早く手に入れたいと思う。そんな心理現象がよくある。

そんな本がここ数日で出て来て、さっそく買って来た。私には珍しくハードカバーである。何かというと・・それは、来月1日の9月書評で書こうと思う。(笑)分かるように書きます。

私は子供の頃、よく本を読んでいたから近隣の口の悪い子らから「本読みきちがい」と言われたりした。父親は、私が良く読むのを見て、数冊の本を私に与えた。

よく覚えているのが「無人島の三少年」という、漂流ものである。無人島で工夫をして生き延びたり、隠れた洞窟を見つけたりするのが面白かった。

次に覚えているのは、「漫画 日本神話」である。古事記の、イザナギ、イザナミの話から、天の岩戸、ニニギノミコトの天孫降臨のあたりまでを、時にギャグを交えながら、描いてあった。難しい言葉もあったが、私には、すごく面白かった。手に入るなら、もう一度読みたい本だ。

そして、「ベッドタイムストーリーズ」これは、聖書のエピソードを子供向けに分かりやすく書いたものだった。

他にもマンガや、小学校で借りてくる「怪人二十面相」など、本は溢れていたが、上の3種類の本は、ことさら覚えている。特に後の2冊は、どちらも学校では教えないもので、今考えると父の意図を感じる。

とまあ、幼い頃の本の思い出はこんな感じだ。今に影響しているとは言わないが、これからも、忘れないだろう。

土曜は、お昼食べてから外出。息子が、ふもとのコンビニでゲームのカード買いたい、その後どこか遊びに行きたい、と言い出したので、とりあえず出る、と結構な雨が降り出した。

バスに乗って、コンビニ前のバス停で降りてカードゲーム買った後もまだまだ降り続いている。私は小さい折りたたみ傘しか持ってなくて、これではかなわん、と大きなビニール傘を買い、コンビニのポリ袋に濡れた折りたたみを入れて再出発。

駅前の本屋に立ち寄って、息子のポケモン漫画を購入、本屋から出ると雨は止んでいたが、まだ雲行きはあやしく、時間的にも遠出は出来ないと、西宮ガーデンズへ。Joshinでおもちゃ見て、イナズマイレブンのカード買って再び本屋へ。

駅前の本屋ではベストセラーのはずなのに無かった、目指す本が、こちらでは一冊だけあって即購入。あああ良かった、と帰路に就く。雨の西宮はいつもの事ながらまあ車が混んで、30分のバスが50分近くかかってようやく地元のバス停に帰り着く。家に入ったすぐ後にまた激しい雨が降り出し、ラッキーだった。

朝、息子が、「オリンピック、東京だって」と起こしに来た。「ええーっ、ほんと?」と返したが、そのまま寝ていた。オリンピック開催決定は誠に喜ばしいが、これでまた過度の東京一極集中が進むなあ、という気持ちもある。

午後はパスポートを受け取りに行った。息子はメモ用紙で紙飛行機を折っていた。私はまたブックオフ。合流してから息子のポケモントレッタに付き合った。この日はあまり強いポケモンは対戦相手に出なかった。さんちかでそば定食食べて、ゴディバでチョコレートの飲み物テイクアウトして帰る。雨がちの日、また夏休み疲れもあるのだろうか。都市高速はガラガラだった。

帰って、ママは男子バレー、パパはU-18の野球を観るが、負け負け。男子バレーは女子復活に比してまだまだ感がある。野球はどの年代でも、アメリカは永遠のライバルだ。

次週の3連休はどこかへ出掛けたいな。

2013年9月1日日曜日

小ビータ

またしばらく出張はないのだが、丹波の方へ出掛けて来た。

尼崎から丹波路快速で1時間。終点の篠山口から各駅停車に乗り換えて45分、福知山線の市島という駅近辺に用事があった。

近くの、モダンな蕎麦屋で昼食。ざるそばと蕎麦の実雑炊。美味かったが、正直腹は膨れなかった。

丹波は山深い。天気を調べると、朝方はもう18度。自宅近辺でもここのところ朝晩涼しいが、日中の陽射しの中でも、爽やかな感じがした。いいお出掛けだった。

我が家のカブトムシは、メスが土に潜ったまま出てこなくなった。貰った人によれば、エサ食べずに潜ってても生きてますよ、とのこと。オスは相変わらずガサガサ動いては、ひっくり返って、足をバタつかせている。ボールペンで起こしてやるのが帰って来てからの日課になった。

さらに別の人がオオクワガタをくれた。こいつは、居所を移すと、さっそく土に潜ったまま、やはり出てこない。カブトムシと違って冬を越して2〜3年は生きるという話である。

平日休で、パスポートを作りに三宮へ。申請はすぐ済み、中華の昼ごはん。その後パパはブックオフへ。息子ママはそごうへ。そごうにはポケモントレッタがあっらしく、息子は超レアのトレッタをゲットできほくほく。

パパは買いたかった本が無かった。今回は、高橋克彦「鬼」の続編、陰陽師もの。シリーズらしく、鬼好きの私はついついあった2冊とも買ってしまった。息子を寝かしつける時は、なんらかのお話をする。数日前は、「ダックスフントのワープ」の寓話。砂漠にワープしたダックスフントが、アンゴラうさぎと行動し、長い舌が鋭い刃となるよこしま鳥と戦い、動物を消滅させるという毒の息を持った蛇を操る「しゃべる樹」という難関を超えて元の街に戻る話。最近は、渡辺綱、金太郎、桃太郎が配下の動物たちとともに、いくしま童子、茨木童子などの鬼軍団と戦う、オリジナルの話が多かった。ヤマタノオロチの話もした。草薙の剣、髭切りの太刀、それに「南総里見八犬伝」から村雨丸も登場させる。ネタが無い時は、iphoneで昔話を探して話をする。

ママはハワイに行きたいという。息子もすでに盛り上がっている。「日本人ばっかだけど、絶対いいから、一生に一度は行っとけ」というハワイ。うーん、これまで興味も無かったので、これを機会に調べてみよう。一番行きたいのはすばる望遠鏡見学ツアーかな。

土曜は台風一過で、大風。時折突風が吹く。午後に息子とサッカーしに出るが、雨が降り出し、家に戻る。ここ数日、息子は腹痛が続いている。感じない時もあるらしいが、便通が無いらしい。夜大きなのが出た、と言っていたが、まだ不安があるらしく、おなかをさすりながら寝かしつける。

翌日も雨で一日中家に居る。息子は口に出さないが、退屈そうだ。雨がち、しかも時に激しく降る中で、腹痛の息子を連れ歩くことも出来ず、日がな1日本を読んで、晩ご飯は外でイタリアン。食欲が無かった息子もこどもピザをがっついていた。やれやれ。

夜、バレーボールを見るが、2日連続の、粘り負け。新チームが起ち上がってしばらくになるが、セッターも18歳に任せた時点で、この結果は仕方ない。ホームということを決して忘れてはならないが、中国、アメリカとの競った試合が大きな糧になる時期ではないのだろうか。面白いのは、野球、サッカーはあまりじっと観ない息子が、バレーボールは自ら観ていることだ。ふうん、と思う。バレー独特の試合のシステムを理解するのが面白いようだ。

さあ9月、2学期も始まり、パパも忙しくなる。涼しくなってきて、動きやすいな。

8月書評の2

とにかく暑く雨の予感も無かった盛夏。比較的忙しくしていた割には読めたな、という感じだ。では、ヒアウイゴーナウ、お待たっせしました♪2番。

高橋克彦「鬼」

時は平安時代、菅原道真公の怨霊が都に変事をもたらしているとされた頃、陰陽師たちは、鬼の仕業とされた事件の解決に挑む。

年代順に、賀茂家から安倍晴明まで幅広く陰陽師たちの活躍を描く創作ものである。蝦夷の乱や平将門の乱まで取り扱っていて興味深い。

私の好きな、渡辺綱や坂田金時、酒呑童子などに連なる話でもある。ただもちろん、角をはやした巨漢の鬼が金棒持って暴れ回る、という類のものでは無い。

とっつきにくいかな、と思ったがすらすら読んだ。同じパターンが多いが、好きな方ではある。鬼の本は、また探して読もうっと。

桜庭一樹「伏 贋作・里見八犬伝」

山から出て来た女子猟師の浜路は、兄の道節とともに、人と犬との間に生まれたという怪物、伏の退治に乗り出す。

「鬼」に続き、夏の怪奇ものシリーズ(笑)。里見八犬伝は、子供のころ、NHKの人形劇でやっていた。薬師丸ひろ子主演で映画にもなった。

これはまた、まったく違う物語である。伏は生臭く、ひどく人間臭い面もある。また、桜庭一樹独特の、各作品に共通したクセにより、悠久の物語となっている。

密度は濃いが、相変わらず名前が変わっているのを始め、ではどう思いを馳せればいいか、方向性がもひとつ見えない。それなりにワクワクしたが、どうももう一つ消化不良、かな、という感じだった。

薬丸岳「天使のナイフ」

記念すべき今年100冊目。数冊前から計画して、この、2005年江戸川乱歩賞受賞作を持ってきた。

主人公桧山は、妻を3人の中学生に殺された。事件から4年が経ったある日、桧山の勤め先近くで、加害者の少年が殺される。警察が桧山を疑い、4年前の事件も一気に動き出したー。

まったく予備知識は無く、これまで乱歩賞には楽しませてもらったので、という理由だけだったが、少年法と犯罪被害者というものに正面から取り組んでいる作品だ。

解決部分も、何やら暗示的なものがある。すべてを善悪に振り分けないのは好みで、それなりに濃厚な作品だと思う。ミステリとしても最後にちょっとした痛快さを味わう。よく練られていると思う。

が、ボトムに本当の重さが感じられないような気もしている。不思議なもので、作品一冊まるまる読んで、テクニック先行、という気がしたし、解決のきっかけもあいまいだし、文章を超えるパワーも伝わってこない。「13階段」や「テロリストのパラソル」や「放課後」のような。もちろんいわば新人賞の乱歩賞に多くを求めるのも酷かもしれないが、力作だけど、なんか足りない、という感じだった。

恩田陸「黄昏の百合の骨」

「三月は深き紅の淵を」の第四章と、それを拡大して物語にした「麦の海に沈む果実」の主人公、水野理瀬。学園から出て、イギリス留学の後、長崎の高校に帰って来た理瀬は、亡くなった祖母の、「魔女の館」と地元で噂されている洋館に住み、「ジュピター」を探す。しかし、次々と事件が起こって・・

久々に読んだ、恩田陸。不思議な謎があって、「こちら側の世界」なんぞがあって、青春があって、特別な館がある。相変わらずお姉ちゃん小説を地で行っているのが微笑ましい。この調子だとまた理瀬が活躍する長編が出る様子なので、楽しみに待とう。

藤原伊織「ダックスフントのワープ」

久しぶりに、藤原伊織が読みたくなって、借りた。これは純文学の中編集。ちなみにダックスフントは、原産のドイツ語ではダックスフント、英語読みではダックスフンド、とのことである。

表題作は1985年の発表なので、もう30年も昔、私が高校の頃というと何だが信じられない。さて、中身はと言うと、解説の藤沢周も書いているが、村上春樹である。哲学的で知性を感じさせる会話、孤独感の表し方、文中の喪失感、とそっくりだ。

「ダックスフントのワープ」は作品中で少女に語られるいわば童話で、この話を軸に、物語が展開する。この表題作はなかなか秀逸、後の藤原伊織イズムにつながる気楽さも伺える。他も、突飛な設定で、まあ面白い。

「ダックスフントのワープ」はすぐに、デフォルメして、息子の寝かしつけに使った。

8月書評の1

8月は11作品。スポーツもの、ホームズもの、また怪奇?シリーズなどバラエティに富んだ感じがする。年間トータルで100冊を突破した。では行くぜっ〜レッツゴー〜♪

ジュリアン・シモンズ
「知られざる名探偵物語」

イギリス推理小説の重鎮である筆者が、シャーロック・ホームズ、ネロ・ウルフ、ミス・マープル、エラリー・クイーン、メグレ警視、エルキュール・ポワロ、フィリップ・マーロウといった7人の名探偵についてのサイド・ストーリーを創作して集めた一冊。日本では昭和62年、1987年の発行である。

シャーロック・ホームズは、「冒険」の一編になぞらえてあり、他にもパスティーシュが書かれてあるものは比較的面白かったりしたが、全体には眠い本であった。この本を読んでいる時期はこの半年で最も体力を使って仕事をしていた頃だったのですぐ眠気が来たのかも知れないが。

ホームズはもちろん、エラリー・クイーンやポワロは若い頃よく読んだのである程度おなじみさんである。またメグレ警視は.、映画「仕立屋の恋」の原作だったので好感情があるが、他はほぼノータッチ。パスティーシュでなくて研究的な創作であれば眠くなるのも無理はないかと思う。

まあ、東京時代に神田神保町の推理小説専門の古本屋で買ったもので、まだ手をつけてないうちの一冊だったから、読了してちょっとほっとした。

日々野真理「凛と咲く なでしこジャパン30年目の歓喜と挑戦」

女子ワールドカップにリポーター・インタビュアーとして帯同した筆者が語るなでしこジャパン優勝の軌跡。

筆者は長年女子サッカーを取材していて、また女性同士、ということもあり、選手インタビューの答えは、真に迫っていると思う。

これだけ実績を残しても、女子サッカーの環境は、とてもいいとは言えない。だからこそ、好きでなければ、やる気が無ければ、続けられないとも言えるのだが。

女性らしさもあり、すごく綺麗な一冊だった。

奥田秀朗「サウスバウンド」

2004年、「空中ブランコ」で直木賞を受賞した奥田英朗が、その次に刊行した小説である。私も、本当にたくさんの読書仲間から、奥田英朗はいい、と聞かされ続け、ここに来て初めて読んだ。

東京に住む小学6年生、二郎は変人で偏屈な父に振り回される生活を送っている。嫌なことはあったが概ね良好だった日常に事件が起こり、父が引っ越し先に選んだのは、はるか南の島だったー。

久しぶりに日本の現代長編小説に戻った。まあこの作品が連載されていたのは10年前だが。正直な感想は、ホンマに面白かった、だ。

10年前というとロハスとかスローライフという言葉が流行っていた頃であろうか。この作品は、そんなニーズを批判もしているようで、逆に応えている、と思える。

二郎の父の生き方は、現代社会で鬱屈のたまった我々に、明らかに一石を投じているように見える。それにしても、次から次へと事が起こるので、最後まで飽きさせないし、訳の分からないハチャメチャの展開も微笑ましく、楽しめる。正直深さがあるとはもう一つ思えないが、次も読んでみよう、と思わせる。まだ作家的な特徴は分からないが、楽しみだ。

相場英雄「震える牛」

大ヒットした、社会派警察小説。警視庁刑事で迷宮入りしそうな強盗殺人事件の再捜査を指示された田川。調べを進めて行くうちに、日本を揺るがす真相に突き当たる。

ほぼ1日で読んでしまった。なるほど面白い。日本の食品全般に警鐘を鳴らす作品と言えるだろう。誰もがうっすら分かっていながら日常に流されている事実に目を向けている。そう、真相が分かって行く捜査の過程も面白いが、新聞などで取り上げられても社会的には意図的に目を背けられて来たことに、シンプルに斬りこんでいる感じがいいのではないか。

ストーリーはもちろん作った物語だが、中身は濃厚である。オチはあれれ、となったし、ではそうならないためには、という代案提起も無いが、充分に面白かった。

道尾秀介「月と蟹」

やっと出た、待っていた文庫化。2011年の直木賞作品である。それにしても、経歴紹介を読むと華々しい。ファンが多いという「カラスの親指」で日本推理作家協会賞を、「光媒の花」で山本周五郎賞を取っている。「このミス」ベストワンの「向日葵の咲かない夏」それから「ソロモンの犬」と、私的にはイマイチだったものの、特殊な筆致も感じ、また評判もいいので、期待が大きかった。

感想は、小手先ではなく真っ向勝負の作品、という感覚だ。ただし表現は抑えてなく、直接的だと思う。そして、やはり暗い。とっても。

小学生が抱く感情や行動は、納得できるものがある。もちろん全面的にでは無いが、そこには丁寧な、考え抜かれた表現を目指す姿勢がある。今回は、危うさを漂わせながらも、極端な壊れた行動は無かった。そう思わせて、読んだ後どこかホッとできる自分がいた。どこかで、こんなに小学生が考えた行動や言動ができるものかは、とも思うが、濃厚な作品だったことは間違いない。

長谷部誠「心を整える」

誠、は私の祖父と同じ名前である。息子を名付けてしまってから気がついたのだが、苗字に座りが良く、中身もあって、正直言って新撰組もイメージできて、いい名前だと思う。長谷部も誇りに思っているということで、嬉しくなった。

さて、こ存じ、日本代表キャプテン、長谷部誠選手が、テーマを持って書いた本。彼の真面目でクレバー、博識な部分が溢れんばかりの作品になっている。

これまで沢山の自伝を読んだし、選手が直接書いているものにこだわったりした。ドゥンガ、レオナルド、ストイチコフ、ベンゲル、トゥルシエ、中村俊輔、遠藤保仁。

今回ほどプロフェッショナリズムについて考えさせられる本は他に無い。ビジネスをしている人なら、仕事に際し、準備と人に対する接し方を考えると思うが、サッカーのプレーやゲン担ぎの部分だけでなく、こうまで具体的に準備したり考えているのか、と思わされたのは初めてだ。

思うに、どれほど突き詰めて思考しているか、がよく表れている、という事だろう。ただ最近の流行りなのかな、あまり特殊な立場で一般ビジネスの場を相対化しない方が良いかと思う。