東京4泊滞在。夜中に品川のラーメン街で黒胡麻ラーメンを食べた。お酢を入れるとより美味しい。お陰で朝胃が持たれ気味だったのだが、昼は牛タン定食、麦とろろご飯をきっちりおかわりした(笑)。滞在中に、桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」読了。
東京での仕事が終了次第、高松へ移動。もう睡眠時間が短くて、飛行機で、座席に座って、ヘッドホンをしたところまでは覚えているが、離陸も着陸も記憶が無い、という爆睡ぶり。何とか仕事を負えて久しぶりの我が家へ帰還。不在の間に息子が風邪を引き、帰って来て見ると妻にうつっていた。
1日だけ居て、翌日からはまた首都圏へ。行きの機内で、乾ルカ「蜜姫村」読了。朝は寒く、日中はかなり暖かい。埼玉だったのだが、関東平野の広さを久々に実感。夜は美味しい店を探して、晩御飯。にごり酒に酔っ払う。全部美味しかったが、この百合根が最高だった。
忙中美食あり。旅の醍醐味のひとつですな。
2013年3月22日金曜日
2013年3月16日土曜日
2年経ち
東日本大震災からこのかたの、「地震酔い」がようやく抜けたようだ。関西に帰って1年半でようやく抜けた。交差点でも、映画館でも、じっとしていると揺れているように感じていた。顔を洗おうと下を向くと、最近までぐらんぐらん足元が揺れていた。これホント。
妻子を送り出し、単身赴任となって余震が頻発し物も無い東京に残ったのが2年前の今ごろ。どちらかというと、未だ原発が危険な状態で、朝昼晩問わず揺れてたころだったから、殺伐とした雰囲気の世相から家族を送り出した側としてホッとしたのを覚えている。
この1週は、多忙週。土曜日の東京移動、大阪空港はガラガラだ。いつも夕食に食べるのが、中之島カレー。安くて量があって辛美味い。本屋で、欲しかった乾ルカの新刊をつい買ってしまった。
座席の隣に人は来ない。のんびりと本を読んで、軽く寝て、ですぐ着いた。すでに今月3度目の東京。おそらく今年最長クラスの時間がかかっている桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」読んで、早く寝よう。
妻子を送り出し、単身赴任となって余震が頻発し物も無い東京に残ったのが2年前の今ごろ。どちらかというと、未だ原発が危険な状態で、朝昼晩問わず揺れてたころだったから、殺伐とした雰囲気の世相から家族を送り出した側としてホッとしたのを覚えている。
この1週は、多忙週。土曜日の東京移動、大阪空港はガラガラだ。いつも夕食に食べるのが、中之島カレー。安くて量があって辛美味い。本屋で、欲しかった乾ルカの新刊をつい買ってしまった。
座席の隣に人は来ない。のんびりと本を読んで、軽く寝て、ですぐ着いた。すでに今月3度目の東京。おそらく今年最長クラスの時間がかかっている桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」読んで、早く寝よう。
2013年3月10日日曜日
有る時無い時
少し前、ブックオフに行った。その前に行った際は欲しい本がひとつも無かったが、この日は未曾有の当たりで、欲しいのが全部あった。しかしそう冊数を買うわけにもいかないので、泣く泣く4冊に絞った。
天童荒太「悼む人」上下
高田郁「みおつくし料理帖シリーズ 小夜しぐれ」
北村薫「朝霧」
・・もう全部読んでしまった。
借りるのも買うのも限界があり、そろそろ手持ち本の再読を考えなければならないかもな〜。
ま、長い間読んでないものは楽しみでもある。貸していた「幻の女」が最近返って来たが、もう筋なんてまるっきり忘却の彼方だし。20年振りにウィリアム・アイリッシュに浸るのも悪くなかろう。そう考えると、クイーンも読みたくなってきた。推理もの研究は、定期的に入れて行こう。
出張が多い3月に突入、ってもう中旬だな(笑)。なんか、一気に暖かくなった。レオンクッキーは発情期を迎え、ママは寝不足だ。Jリーグも開幕。セレッソの新8番、柿谷が2試合連続得点というのは喜ばしい。セレッソの、狭いところでの早く正確なパス回しには唸らされた。若い才能に、渋い外国人が絡み、いい効果が出ている。
WBCはオランダ戦の大勝を観た。オランダはメジャーの選手、またジョーンズやバレンティンといった、日本球界の選手がいて、油断ならないイメージではあったが、投手力も、内外野の守備も詰め切れてなく、穴があると感じた。
コストコ行って、大量買い。写真のトイレットペーパーは国産より確実にデカいロールが30個入り。やっぱなにもかにも、どでかい。息子は隣のイオンでイナズマイレブンバトルスタジアムが出来てほくほく。晩ご飯はコストコちらし寿司。
外は、春嵐。風が異常に強くって、また寒くなった。春本番への、短い序奏に入った。
天童荒太「悼む人」上下
高田郁「みおつくし料理帖シリーズ 小夜しぐれ」
北村薫「朝霧」
・・もう全部読んでしまった。
借りるのも買うのも限界があり、そろそろ手持ち本の再読を考えなければならないかもな〜。
ま、長い間読んでないものは楽しみでもある。貸していた「幻の女」が最近返って来たが、もう筋なんてまるっきり忘却の彼方だし。20年振りにウィリアム・アイリッシュに浸るのも悪くなかろう。そう考えると、クイーンも読みたくなってきた。推理もの研究は、定期的に入れて行こう。
出張が多い3月に突入、ってもう中旬だな(笑)。なんか、一気に暖かくなった。レオンクッキーは発情期を迎え、ママは寝不足だ。Jリーグも開幕。セレッソの新8番、柿谷が2試合連続得点というのは喜ばしい。セレッソの、狭いところでの早く正確なパス回しには唸らされた。若い才能に、渋い外国人が絡み、いい効果が出ている。
WBCはオランダ戦の大勝を観た。オランダはメジャーの選手、またジョーンズやバレンティンといった、日本球界の選手がいて、油断ならないイメージではあったが、投手力も、内外野の守備も詰め切れてなく、穴があると感じた。
コストコ行って、大量買い。写真のトイレットペーパーは国産より確実にデカいロールが30個入り。やっぱなにもかにも、どでかい。息子は隣のイオンでイナズマイレブンバトルスタジアムが出来てほくほく。晩ご飯はコストコちらし寿司。
外は、春嵐。風が異常に強くって、また寒くなった。春本番への、短い序奏に入った。
2013年3月1日金曜日
2月書評の2
もう3月弥生である。三寒四温で、春はこれから。浮き立つ季節でもある。
さて、書評の2。
船戸与一「虹の谷の五月」(2)
直木賞受賞作品。フィリピンの辺境、丸い形の虹が出るという虹の谷には、反体制ゲリラが1人で暮らしていた。麓の村に住む、日比混血の少年、トシオだけがそこへ行く道を知っていた。フィリピンの現状、腐敗、汚職、近親相姦、聖職者の男色、売春、風俗などを織り交ぜ、事件ごとに成長していくトシオの姿を描く。
相変わらず、一部ルポルタージュ風に、国家的社会的問題を物語に織り成す作風である。「砂のクロニクル」は、最後に皆死ぬ話だったが、今回は少年の成長が軸に据えられていて、ハードボイルド大河ドラマとして読みやすい。虹の谷、という場所も象徴的で、山中の川の描写が抜群だ。
作者曰く、「世界の矛盾はなかんずく、辺境に集約される」らしい。辛口を言えば、上に挙げたものをぎゅう詰めに詰めるためにエピソードを作っていることに、過剰感も感じられる。
京極夏彦「姑獲鳥の夏」
620ページの大作。数日で一気に読み切った。京極夏彦のデビュー作。本格派である。
昭和20年代の東京。医院の婿養子が突然失踪し、妻は20ヶ月産まれぬ子を身籠っていた。おどろおどろしいベースに、小難しい理屈。いくつもの不思議があり、しかして理詰めの解決は、見事さを醸し出す一方、論争の種をも撒いた。
ミステリ好きには名作だったと思うが、私には初京極夏彦だ。最初はついていけず眠気まで催したが途中から夢中で読んだ。雰囲気、キャラクターの魅力、劇的な要素、組み立ての理詰めさ、最後にホッとすることといい、やはり名作であろう。この作品が受け入れられた当時の雰囲気も、ミステリ好きの端くれには分かる。が、端々に納得できない部分もあり、ちと難解さも正直あり、肝心の部分の問題性もあり、すっきりとは行かなかった。
正直なんでも分かりすぎる探偵さんは、ミステリ界隈には結構多いな、という感慨を、また持った。
和田竜「のぼうの城」(2)
沖縄滞在中、「姑獲鳥の夏」を読み切れれば・・と思っていたらあっさり読了してしまい、小さな名護の町にある、アダルトな本ばかりの本屋で、わずかにある普通の文庫本の中から買った本。
秀吉の大軍に迫られた北条方の小さな大名成田家が、忍(おし)城に立て籠もり、意地の戦を繰り広げる。でくのぼう、の略でのぼう、である。
物語は、短くして痛快、映画の脚本のようで後味もいい。軽めの時代小説で、まあまずだったかな、という感じだ。
山田悠介「ニホンブンレツ」
中高生が好きな作家ナンバーワンと言われる山田悠介。上の「のぼうの城」をあっという間に読めそうだったので、那覇空港で買った。
作風をこれで理解したわけではないが、うーん、やはり学生向けかな、と・・。設定は面白いが、明確過ぎる敵や悪意を作るし、恋愛に傾倒するし、どうにもキャラクターの消化が悪いし、で肌には合わない。
ナンシー・スプリンガー
「エノーラ・ホームズの事件簿
〜消えた公爵家の子息〜」
東京駒沢大学駅前の書店で買ってから長らく読んでなかったホームズ・パロディ。実はコレクションにはまだ未読のものもある。マイクロフト、シャーロックの年の離れた妹、エノーラの大冒険。
「シャーロック・ホームズの弟子」によく似た、ホームズに挑戦する女性の視点から描いている。プラトンよろしく、ホームズも、女性は信用しない。そこへの反発と、ホームズ物語には女性側からの視点が欠けていることに乗じた話作りで、「弟子」同様あまり面白くないのだが、重い「弟子」に比べ、こちらは軽快だ。ライトノベルで、成人向けでは無いからか、ちょっと冒険に重きを置きすぎているきらいがある。
ま、しかし、この手のパロディ、しかもライトノベルにあれこれ言うのも無粋というものだろう。
三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ
「栞子さんと二つの顔 」
発売されるや大人気となり、すぐに月9でドラマ化されてしまったビブリアシリーズ。その第4巻である。
ついに、失踪中だった、栞子さん姉妹の母、智恵子が出現。江戸川乱歩を題材に古書ミステリーに挑む、といった内容。
謎そのものは今回マニアックだったが、人となりから紐解いていく姿勢には好感が持てるし、無理が無くなる。乱歩だし、好きな内容だった。次作が楽しみだ。
さて、書評の2。
船戸与一「虹の谷の五月」(2)
直木賞受賞作品。フィリピンの辺境、丸い形の虹が出るという虹の谷には、反体制ゲリラが1人で暮らしていた。麓の村に住む、日比混血の少年、トシオだけがそこへ行く道を知っていた。フィリピンの現状、腐敗、汚職、近親相姦、聖職者の男色、売春、風俗などを織り交ぜ、事件ごとに成長していくトシオの姿を描く。
相変わらず、一部ルポルタージュ風に、国家的社会的問題を物語に織り成す作風である。「砂のクロニクル」は、最後に皆死ぬ話だったが、今回は少年の成長が軸に据えられていて、ハードボイルド大河ドラマとして読みやすい。虹の谷、という場所も象徴的で、山中の川の描写が抜群だ。
作者曰く、「世界の矛盾はなかんずく、辺境に集約される」らしい。辛口を言えば、上に挙げたものをぎゅう詰めに詰めるためにエピソードを作っていることに、過剰感も感じられる。
京極夏彦「姑獲鳥の夏」
620ページの大作。数日で一気に読み切った。京極夏彦のデビュー作。本格派である。
昭和20年代の東京。医院の婿養子が突然失踪し、妻は20ヶ月産まれぬ子を身籠っていた。おどろおどろしいベースに、小難しい理屈。いくつもの不思議があり、しかして理詰めの解決は、見事さを醸し出す一方、論争の種をも撒いた。
ミステリ好きには名作だったと思うが、私には初京極夏彦だ。最初はついていけず眠気まで催したが途中から夢中で読んだ。雰囲気、キャラクターの魅力、劇的な要素、組み立ての理詰めさ、最後にホッとすることといい、やはり名作であろう。この作品が受け入れられた当時の雰囲気も、ミステリ好きの端くれには分かる。が、端々に納得できない部分もあり、ちと難解さも正直あり、肝心の部分の問題性もあり、すっきりとは行かなかった。
正直なんでも分かりすぎる探偵さんは、ミステリ界隈には結構多いな、という感慨を、また持った。
和田竜「のぼうの城」(2)
沖縄滞在中、「姑獲鳥の夏」を読み切れれば・・と思っていたらあっさり読了してしまい、小さな名護の町にある、アダルトな本ばかりの本屋で、わずかにある普通の文庫本の中から買った本。
秀吉の大軍に迫られた北条方の小さな大名成田家が、忍(おし)城に立て籠もり、意地の戦を繰り広げる。でくのぼう、の略でのぼう、である。
物語は、短くして痛快、映画の脚本のようで後味もいい。軽めの時代小説で、まあまずだったかな、という感じだ。
山田悠介「ニホンブンレツ」
中高生が好きな作家ナンバーワンと言われる山田悠介。上の「のぼうの城」をあっという間に読めそうだったので、那覇空港で買った。
作風をこれで理解したわけではないが、うーん、やはり学生向けかな、と・・。設定は面白いが、明確過ぎる敵や悪意を作るし、恋愛に傾倒するし、どうにもキャラクターの消化が悪いし、で肌には合わない。
ナンシー・スプリンガー
「エノーラ・ホームズの事件簿
〜消えた公爵家の子息〜」
東京駒沢大学駅前の書店で買ってから長らく読んでなかったホームズ・パロディ。実はコレクションにはまだ未読のものもある。マイクロフト、シャーロックの年の離れた妹、エノーラの大冒険。
「シャーロック・ホームズの弟子」によく似た、ホームズに挑戦する女性の視点から描いている。プラトンよろしく、ホームズも、女性は信用しない。そこへの反発と、ホームズ物語には女性側からの視点が欠けていることに乗じた話作りで、「弟子」同様あまり面白くないのだが、重い「弟子」に比べ、こちらは軽快だ。ライトノベルで、成人向けでは無いからか、ちょっと冒険に重きを置きすぎているきらいがある。
ま、しかし、この手のパロディ、しかもライトノベルにあれこれ言うのも無粋というものだろう。
三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ
「栞子さんと二つの顔 」
発売されるや大人気となり、すぐに月9でドラマ化されてしまったビブリアシリーズ。その第4巻である。
ついに、失踪中だった、栞子さん姉妹の母、智恵子が出現。江戸川乱歩を題材に古書ミステリーに挑む、といった内容。
謎そのものは今回マニアックだったが、人となりから紐解いていく姿勢には好感が持てるし、無理が無くなる。乱歩だし、好きな内容だった。次作が楽しみだ。
2月書評の1
先日雨の日にまたひときわ濃い霧発生。もう驚かないが、山暮らしをまた実感。
さて、2月は12作品14冊。これまた2回に分けまする。ちょと数が多くなって、本の方が足りない状態だ。
藤沢周平「蝉しぐれ」
昭和63年に単行本になった作品。初藤沢周平である。おなじみの海坂藩、御家騒動の物語。剣の達人、牧文四郎がさわやかに活躍する。
もっと派手な切った張ったかと思いきや、青春、友情、初恋、道場といった要素を丁寧に描いていて、それらが作品としてのまとまりを成している。のっぴきならない状況もあるが、それは一部の話だ。ただ、どうも敵役の墓穴の掘り方が単純なような気もする。
まあ初作品としては満足、といったところだろうか。と思ったら、NHKでドラマをいまやっていた。2004年制作ものの再放送だそうだ。
石田衣良「波のうえの魔術師」
大卒無職の男が、謎の老人に見込まれ、株式投資を仕込まれた。男と老人は、巨大銀行に罠を仕掛ける。
久しぶりの、というか「池袋ウエストゲートパークしか読んでないが、ともかく久しぶりの石田衣良。男っぽく荒い文体、悪に挑んで行く直情的な姿勢などは私の知る石田衣良らしい。
少々経済向きなので実感の無い部分もあったが、スラスラ読めた。適度に、映画的。大きく深くはないがまあ面白かった。
石田衣良「4TEEN」
2003年上半期直木賞作品。14才、中学2年生の4人組、ウェルナー症候群で早老症のナオト、大食いでデカいダイ、秀才で小柄なジュン、そして普通の家庭の、普通の子、テツローが様々な体験をするストーリーだ。
4人は基本的にずっと仲がいい。自転車に乗ってどこまでも行く少年たち。やんちゃだった楽しさを思い出さずにはいられないと同時に、いずれは別れ離れてしまう切なさに想いを馳せずにはいられない。
しかしながら、出くわす日常の事件(中には本当の刑事事件もある)は、中学生にしては進みすぎてて、もうひとつシンパシーを持てないのが正直。また肝心なところで、少年たちの友情や言葉が美しすぎるので、なにか違和感を覚えてしまう。さらさらと読みやすく、少年たちの物語が溌剌と描かれて面白くはあるのだが・・という作品だった。
奥泉光「シューマンの指」
2011年本屋大賞第5位。読みたいと思っていたところ、友人が読んだー、と話が出たタイミングと文庫化された時期が一緒だったので、思わず購入した一冊。講談社創業100周年記念の小説だそうである。
耽美派、という言葉が最も当てはまるだろうか。クラシックピアノものの小説は枚挙にいとまが無いが、それにしても言葉を重ねる重ねる。表現に次ぐ表現。クラシック好きとしては、シューマンに詳しくなれて良かった。「幻想曲」や「クライスレリアーナ」が欲しくなった。
ミステリーとしては、特に目新しいものではないし、極上の演奏の持って行きどころが消化されてないような気もする。
しかし、充分に面白かったし、はまり込むことが出来た。芸術に耽溺する感覚にチャレンジしていたと思う。幻想を抱ける時点で、主人公の中に、音楽は、あったのだ。
神永学「神霊探偵八雲」シリーズ
「3.闇の先にある光」
「4.守るべき想い」
アニメにもなった神霊探偵シリーズ。正直、設定がアダルトではない気がするが、まあ微笑ましく読んでいる。
3はレイプ魔の話、4は虐待を受ける、家庭環境が複雑な子供の物語。シリーズが進んで行くに従って、本格推理ものっぽくなっていくのが面白い。神霊が先に来るイメージだが、中身は探偵ものだ、と思う。まあなんか、特に4は少々人間関係を複雑にさせすぎているような気がする。
さて、2月は12作品14冊。これまた2回に分けまする。ちょと数が多くなって、本の方が足りない状態だ。
藤沢周平「蝉しぐれ」
昭和63年に単行本になった作品。初藤沢周平である。おなじみの海坂藩、御家騒動の物語。剣の達人、牧文四郎がさわやかに活躍する。
もっと派手な切った張ったかと思いきや、青春、友情、初恋、道場といった要素を丁寧に描いていて、それらが作品としてのまとまりを成している。のっぴきならない状況もあるが、それは一部の話だ。ただ、どうも敵役の墓穴の掘り方が単純なような気もする。
まあ初作品としては満足、といったところだろうか。と思ったら、NHKでドラマをいまやっていた。2004年制作ものの再放送だそうだ。
石田衣良「波のうえの魔術師」
大卒無職の男が、謎の老人に見込まれ、株式投資を仕込まれた。男と老人は、巨大銀行に罠を仕掛ける。
久しぶりの、というか「池袋ウエストゲートパークしか読んでないが、ともかく久しぶりの石田衣良。男っぽく荒い文体、悪に挑んで行く直情的な姿勢などは私の知る石田衣良らしい。
少々経済向きなので実感の無い部分もあったが、スラスラ読めた。適度に、映画的。大きく深くはないがまあ面白かった。
石田衣良「4TEEN」
2003年上半期直木賞作品。14才、中学2年生の4人組、ウェルナー症候群で早老症のナオト、大食いでデカいダイ、秀才で小柄なジュン、そして普通の家庭の、普通の子、テツローが様々な体験をするストーリーだ。
4人は基本的にずっと仲がいい。自転車に乗ってどこまでも行く少年たち。やんちゃだった楽しさを思い出さずにはいられないと同時に、いずれは別れ離れてしまう切なさに想いを馳せずにはいられない。
しかしながら、出くわす日常の事件(中には本当の刑事事件もある)は、中学生にしては進みすぎてて、もうひとつシンパシーを持てないのが正直。また肝心なところで、少年たちの友情や言葉が美しすぎるので、なにか違和感を覚えてしまう。さらさらと読みやすく、少年たちの物語が溌剌と描かれて面白くはあるのだが・・という作品だった。
奥泉光「シューマンの指」
2011年本屋大賞第5位。読みたいと思っていたところ、友人が読んだー、と話が出たタイミングと文庫化された時期が一緒だったので、思わず購入した一冊。講談社創業100周年記念の小説だそうである。
耽美派、という言葉が最も当てはまるだろうか。クラシックピアノものの小説は枚挙にいとまが無いが、それにしても言葉を重ねる重ねる。表現に次ぐ表現。クラシック好きとしては、シューマンに詳しくなれて良かった。「幻想曲」や「クライスレリアーナ」が欲しくなった。
ミステリーとしては、特に目新しいものではないし、極上の演奏の持って行きどころが消化されてないような気もする。
しかし、充分に面白かったし、はまり込むことが出来た。芸術に耽溺する感覚にチャレンジしていたと思う。幻想を抱ける時点で、主人公の中に、音楽は、あったのだ。
神永学「神霊探偵八雲」シリーズ
「3.闇の先にある光」
「4.守るべき想い」
アニメにもなった神霊探偵シリーズ。正直、設定がアダルトではない気がするが、まあ微笑ましく読んでいる。
3はレイプ魔の話、4は虐待を受ける、家庭環境が複雑な子供の物語。シリーズが進んで行くに従って、本格推理ものっぽくなっていくのが面白い。神霊が先に来るイメージだが、中身は探偵ものだ、と思う。まあなんか、特に4は少々人間関係を複雑にさせすぎているような気がする。
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