忙しくなって来て、先日は名古屋方面へ、写真は夜の長島スパーランド。その後しばらく沖縄にいた。
大雨の神戸から沖縄に降り立ってみれば、どピーカンで気温も高い。これまでの経験から、ダウンの下にはこれくらいかな〜という格好をして行ったのだが、めっちゃ身体の温度が上がって、季節外れのバテ状態に。
頭痛までしてくるわで、コンディションを整えるまでに1日かかった。だいたい本州が寒い時は沖縄も寒いものだが、この日は違った。行っていた期間中、東京関西でも雨や雪が降ってて寒かったらしいが、沖縄は別だった。次の日からは、涼しめの気候が続いて、帰る日にまた晴れて、来る時と逆状態。でも4℃と機内で聞かされた神戸は、意外に寒くなかった。
夜の宿で京極夏彦「姑獲鳥の夏」を読み込んだ。若い頃、静物のスケッチに凝ったときから思っているが、やはり仕事以外のことで意識を集中させる、没頭する時間を作った方が、心身によろしいようである。だいぶ良い作用が出ている。
は、いいのだが、本来帰りの飛行機くらいで読み切るはずだった620Pの難解な大作を思ったより早く読了しちゃったために、逗留先の小さな町の本屋へ。ここがアダルトな本ばかりで、普通の文庫本スペースはほんのわずか。そこにあった「のぼうの城」上下を購入。
「のぼうの城」はエンタメ作品かつ上下足しても400Pでさらさら読み終わり、帰りの那覇空港にて山田悠介「ニホンブンレツ」を買い足していま読んでいる。明日には終わりそうな気がする。
忙しいほどに進む読書。睡眠時間を削らないようにしなければ。
前回の答えは「ほうき」でした。
外は舞う雪。今世紀最強の寒波だそうだ。朝寒そうだなあ。
2013年2月25日月曜日
2013年2月16日土曜日
イカとなぞなぞと転落
1月に話題になった高視聴率番組
「世界初撮影!深海の巨大イカ」
を観た。再放送を録画しておいたのだ。その昔、ナショナル・ジオグラフィックで特集を組んでいて、大きなイカは、サメを捕まえて食べてしまうこともあるようだ、という話を読んで、正直興奮した。調査がされた場所が、ニュージーランドのカイコウラ、新婚旅行でホエールウォッチングをしたところ、というのも記憶に残った要因にはなったが、当時から、生きた姿は確認されたことが無い、ということが興味をそそった。
なのでニュースを聞いてほおぉ、とぜひ観たいモードになってたのだ。
感想は・・見事の一言。仕掛けも興味深かったが、大きなイカは美しかった。ドキュメンタリーとしても、回りくどいところが無くストレートだったと思う。
いま寝る前のお話で息子が指定して来てるのが、「怪傑ゾロリとイシシノシシ 洞窟でなぞなぞ仮面の挑戦を受ける!」である。最初webでなぞなぞを探したが、あまりいいサイトがなく、本を2冊買って来た。久しぶりにたくさんなぞなぞをするのは、頭のトレーニングになる。まじめに考えちゃだめだ。
ここで問題。
はくことはできるけど、脱ぐことはできないもの何だ?
答えは次回。なぞなぞとしてはポピュラーな問題です。
今週はイベント週。毎年のことながら、バレンタインはチョコフォンデュ。
翌々日は息子の誕生日。最近は、息子の部屋に広いベッドが入ったから、一緒に快適に寝ているが、朝起きた瞬間に、きょう誕生日〜、と張り切ってた。
さて、そのスペシャルデーに事件が起こった。我が家は暮れに全自動掃除機、ルンバではなくココロボくんを購入したのだが、これがなんと、何を儚んだのか(笑)階段から転落、壊れてしまい、取り換えに行った。本来落ちることなどないはずなのだが・・。その同じエディオンで、息子はレゴのニンジャ号を買って貰ってきた。
もう誕生日はほくほく。息子大好物のギョウザを大量に作り、今回はケーキでなくアップルパイ、も美味しく、雪もチラつく寒い夜は更けたのでした。
「世界初撮影!深海の巨大イカ」
を観た。再放送を録画しておいたのだ。その昔、ナショナル・ジオグラフィックで特集を組んでいて、大きなイカは、サメを捕まえて食べてしまうこともあるようだ、という話を読んで、正直興奮した。調査がされた場所が、ニュージーランドのカイコウラ、新婚旅行でホエールウォッチングをしたところ、というのも記憶に残った要因にはなったが、当時から、生きた姿は確認されたことが無い、ということが興味をそそった。
なのでニュースを聞いてほおぉ、とぜひ観たいモードになってたのだ。
感想は・・見事の一言。仕掛けも興味深かったが、大きなイカは美しかった。ドキュメンタリーとしても、回りくどいところが無くストレートだったと思う。
いま寝る前のお話で息子が指定して来てるのが、「怪傑ゾロリとイシシノシシ 洞窟でなぞなぞ仮面の挑戦を受ける!」である。最初webでなぞなぞを探したが、あまりいいサイトがなく、本を2冊買って来た。久しぶりにたくさんなぞなぞをするのは、頭のトレーニングになる。まじめに考えちゃだめだ。
ここで問題。
はくことはできるけど、脱ぐことはできないもの何だ?
答えは次回。なぞなぞとしてはポピュラーな問題です。
今週はイベント週。毎年のことながら、バレンタインはチョコフォンデュ。
翌々日は息子の誕生日。最近は、息子の部屋に広いベッドが入ったから、一緒に快適に寝ているが、朝起きた瞬間に、きょう誕生日〜、と張り切ってた。
さて、そのスペシャルデーに事件が起こった。我が家は暮れに全自動掃除機、ルンバではなくココロボくんを購入したのだが、これがなんと、何を儚んだのか(笑)階段から転落、壊れてしまい、取り換えに行った。本来落ちることなどないはずなのだが・・。その同じエディオンで、息子はレゴのニンジャ号を買って貰ってきた。
もう誕生日はほくほく。息子大好物のギョウザを大量に作り、今回はケーキでなくアップルパイ、も美味しく、雪もチラつく寒い夜は更けたのでした。
2013年2月11日月曜日
如月寒
金曜日、寝て起きたら雪が積もっていてびっくり。就寝時には降ってなかったのに。玄関前が、トレッキング用の靴でもツルツル。アスファルトですら一部滑ってちょっと怖かった。帰りも山はとっても寒かった。
土曜朝、息子に寒くなかったか、と訊くと「温かさに、包まれてたー」と親泣かせの答え。この日は留守番で、昼はポケモンカップラーメンに、パパ手製のおにぎり。パパは普通のインスタントラーメンだったが、1/3は息子に奪われる。
翌日は有馬温泉の別の外湯へ行ったが人が多く、露天の金泉に親子で入れたのは良かったが、それ以外の風呂は入れず。また脱衣所含め狭かった。息子湯上がりにサイダーごくごく飲んだ。昼ごはんはいつもの回転寿司で卵焼きと中トロばかりばくばく食べた。
夜は久々にフィギュアスケート。真央ちゃんの「白鳥の湖」を見届ける。村上佳菜子も気合いが入っていたが、総合力で、真央ちゃんは段違いのレベルにいると言っていい。来年はキムヨナとの、おそらく最後の、真剣勝負が待っている。
2月は寒いが、早春だ。寒暖を繰り返しながら、春が来る。梅待ちの期待感。好きな時期である。
土曜朝、息子に寒くなかったか、と訊くと「温かさに、包まれてたー」と親泣かせの答え。この日は留守番で、昼はポケモンカップラーメンに、パパ手製のおにぎり。パパは普通のインスタントラーメンだったが、1/3は息子に奪われる。
翌日は有馬温泉の別の外湯へ行ったが人が多く、露天の金泉に親子で入れたのは良かったが、それ以外の風呂は入れず。また脱衣所含め狭かった。息子湯上がりにサイダーごくごく飲んだ。昼ごはんはいつもの回転寿司で卵焼きと中トロばかりばくばく食べた。
夜は久々にフィギュアスケート。真央ちゃんの「白鳥の湖」を見届ける。村上佳菜子も気合いが入っていたが、総合力で、真央ちゃんは段違いのレベルにいると言っていい。来年はキムヨナとの、おそらく最後の、真剣勝負が待っている。
2月は寒いが、早春だ。寒暖を繰り返しながら、春が来る。梅待ちの期待感。好きな時期である。
2013年2月3日日曜日
如月暖
ここ数日、日中は暖かい。外に出ると風は冷たいから、そうそう薄着はしていないが、早春の時期に入って来たかなと思わせる。
土曜は夕方から有馬温泉へお出掛け。山から山、20分で到着する。外湯の「金の湯」へ。
息子は温泉が初めてなのでワクワク「お風呂入って豪華な晩ご飯〜」などとのたまっている。温泉宿に泊まるわけではないっちゅうに。
靴ロッカー、服タオルロッカー。手首にロッカーのキーを着けておくのも新鮮らしい。身体洗って、いきなり赤銅色のお湯に入ろうとしたが熱くて、別の無色の湯に入る。泳ごうとする息子を制しつつ、身体も慣れた頃に、再び赤銅色金の湯にチャレンジ。今度は入れた。
顔洗うと、ちょっとピリピリする感じだ。誤って口に入るとしょっぱかった。2つのお湯に2度ずつ入って上がる。ちょうどママも上がったので3人でフルーツ牛乳を一気飲みする。なんて気持ちいいんだろう(笑)。
ウキウキワクワクの息子の希望で夜の有馬温泉街を散策し、お好み焼き食べて帰った。
翌日はIKEAで息子のベッド買う。晩ご飯の時に、南南東向いて恵方巻きにかぶりつき、豆まきをした。恵方巻きって、関西に来るまで知らなかった。息子はまた楽しそうに南南東を向いて食べていた。次はお風呂入って、お昼ご飯付きの宿に行こうかな、という話をすると、また嬉しそうな顔をする。ううむ、温泉がこんなに小2の気を引くとは。
異変と言えば、レオンが、悪くなっている歯を抜いたのだが、クッキーがレオンに近づこうとしなくなったことだ。先日クッキーは耳の腫瘍を手術で取り除いたから、病院の匂いに敏感なのかも知れない。
てなてな感じの週末でした。
土曜は夕方から有馬温泉へお出掛け。山から山、20分で到着する。外湯の「金の湯」へ。
息子は温泉が初めてなのでワクワク「お風呂入って豪華な晩ご飯〜」などとのたまっている。温泉宿に泊まるわけではないっちゅうに。
靴ロッカー、服タオルロッカー。手首にロッカーのキーを着けておくのも新鮮らしい。身体洗って、いきなり赤銅色のお湯に入ろうとしたが熱くて、別の無色の湯に入る。泳ごうとする息子を制しつつ、身体も慣れた頃に、再び赤銅色金の湯にチャレンジ。今度は入れた。
顔洗うと、ちょっとピリピリする感じだ。誤って口に入るとしょっぱかった。2つのお湯に2度ずつ入って上がる。ちょうどママも上がったので3人でフルーツ牛乳を一気飲みする。なんて気持ちいいんだろう(笑)。
ウキウキワクワクの息子の希望で夜の有馬温泉街を散策し、お好み焼き食べて帰った。
翌日はIKEAで息子のベッド買う。晩ご飯の時に、南南東向いて恵方巻きにかぶりつき、豆まきをした。恵方巻きって、関西に来るまで知らなかった。息子はまた楽しそうに南南東を向いて食べていた。次はお風呂入って、お昼ご飯付きの宿に行こうかな、という話をすると、また嬉しそうな顔をする。ううむ、温泉がこんなに小2の気を引くとは。
異変と言えば、レオンが、悪くなっている歯を抜いたのだが、クッキーがレオンに近づこうとしなくなったことだ。先日クッキーは耳の腫瘍を手術で取り除いたから、病院の匂いに敏感なのかも知れない。
てなてな感じの週末でした。
2013年2月1日金曜日
1月書評の2
北村薫「六の宮の姫君」
円紫さんシリーズ第4弾。主人公の「私」が大学4年になり、将来への漠然とした不安と期待を感じるベースの作品である。
今回は、芥川龍之介が「六の宮の姫君」を書いた時に洩らした言葉の謎を解き明かす、文学的、人間的探究だ。ここまで来ると、難解である。正直。
相変わらず、文学的知識は半端ではなく、色彩的、文章も綺麗で品の良い北村ワールド。今回あまり俗っぽくない。大正昭和の文壇は興味深かったが、正直ここまでいったか、という感じで笑えてしまった。
船戸与一「砂のクロニクル」(2)
平成6年、19年前の作品で山本周五郎賞受賞。興味はあったが、手を出していなかった船戸与一。好きな人から借りた。
文体はハードボイルドそのもの。芯はホメイニのイスラム革命後のイラン。クルド人問題を取り扱っている。武器商人、グルジア・マフィア、反革命勢力、革命防衛隊、アゼルバイジャン独立を夢見るアザリ人、クルド人の大規模な蜂起と、スケールが大きな大河ハードボイルドだ。著者は現地取材を敢行していて、細かい描写に、それが生きていると思う。
男っぽく無駄のない台詞回しや組織の腐敗、金による価値観、殺人、そこかしこに出てくるセックス描写など、おそらくは発行当時にも世界的問題となっていた中東の民族紛争を題材に、見事に描き切っている。
ラストに向かって、強引なところもあり、引っかかりも出て来るし、最後に何もなくなってしまうところに、救いを求めたくもなるが、なかなか楽しませてもらった。MVPは、並外れた女好きのマフィア、ゴラカシビリに決定(笑)。
浅田次郎「珍妃の井戸」
ベストセラーとなった「蒼穹の昴」の続編だそうだ。清朝末期が舞台である。最初に妖しい令夫人が出て来て、その独り語りから始まり、複数人の独白形式で、物語は進んで行く。どこかファンタジーチックだ。
その時代、その国の雰囲気とか、知識などは面白かったが、ちょっと芝居がかりが過ぎたかな、という感じだった。
藤原伊織「テロリストのパラソル」
1995年下半期、第114回直木賞受賞作。小池真理子「恋」と同時受賞で、候補には北村薫「スキップ」も入っている。前年には江戸川乱歩賞も受賞している。乱歩賞、直木賞のダブル受賞は史上初だそうだ。
ひとことで言えば、大変面白かった。昨年なぞはなかなかヒット作が無かったものだが、久々にスコーンと来た!という感じだ。序盤から無駄無くテンポ良く、次々と物事が起こるために飽きさせず、ぐいぐい引き込まれる。中盤ややだれる感じもするが、間断なく真実が明らかになって行くのも心地良い。
全共闘時代からの話である。よく考えると、不自然なところも、ご都合主義に見えるところもあり、また最終的な犯罪動機は、やや弱いな、とも思うが、しかし人間関係や会話も心地良く、行間に漂うのん気さやシニカルな雰囲気が物語のテンポとマッチし、最後まで読み切らせてしまう。
いや拍手ものの出来だと思います。はい。
川村元気
「世界から猫が消えたなら」
「モテキ」ほかの映画を手がけた映画プロデューサーの処女作。脳腫瘍を患った男が、延命と引き換えに悪魔と取り引きをする。
死を目前にした若者の姿を家族や友人の愛情とともに、ときにコミカルに描く。母の手紙には、ウルウルと来てしまった。ライトノベルで、貸してくれた人の「1日で読めますよ〜」という言葉に反せず数時間で200ページあまり読み切った。
しみじみと来る物語は、短いほうがいい。手法等々問わずふうむ、たまにはいいな、と思わせる作品だった。
横山秀夫「第三の時効」
F県警捜査一課強行班をめぐる連作短編集。環境は同じだが、主人公はその都度変わる。ちなみにFは実際にある県のイニシャルではなく、記号の様である。隣がG県、V県というのも出てくる。逆にバラバラだと気になるものだが。
法的な穴や、犯人の小さなミスから真実をあぶり出す、というテイストである。
強行3班のそれぞれの班長は只者では無く、超人的。面白く読ませる。しかし、「ルパンの消息」でも同じ感想を抱いたが、きれい過ぎて、肌が合わない感じがする。
円紫さんシリーズ第4弾。主人公の「私」が大学4年になり、将来への漠然とした不安と期待を感じるベースの作品である。
今回は、芥川龍之介が「六の宮の姫君」を書いた時に洩らした言葉の謎を解き明かす、文学的、人間的探究だ。ここまで来ると、難解である。正直。
相変わらず、文学的知識は半端ではなく、色彩的、文章も綺麗で品の良い北村ワールド。今回あまり俗っぽくない。大正昭和の文壇は興味深かったが、正直ここまでいったか、という感じで笑えてしまった。
船戸与一「砂のクロニクル」(2)
平成6年、19年前の作品で山本周五郎賞受賞。興味はあったが、手を出していなかった船戸与一。好きな人から借りた。
文体はハードボイルドそのもの。芯はホメイニのイスラム革命後のイラン。クルド人問題を取り扱っている。武器商人、グルジア・マフィア、反革命勢力、革命防衛隊、アゼルバイジャン独立を夢見るアザリ人、クルド人の大規模な蜂起と、スケールが大きな大河ハードボイルドだ。著者は現地取材を敢行していて、細かい描写に、それが生きていると思う。
男っぽく無駄のない台詞回しや組織の腐敗、金による価値観、殺人、そこかしこに出てくるセックス描写など、おそらくは発行当時にも世界的問題となっていた中東の民族紛争を題材に、見事に描き切っている。
ラストに向かって、強引なところもあり、引っかかりも出て来るし、最後に何もなくなってしまうところに、救いを求めたくもなるが、なかなか楽しませてもらった。MVPは、並外れた女好きのマフィア、ゴラカシビリに決定(笑)。
浅田次郎「珍妃の井戸」
ベストセラーとなった「蒼穹の昴」の続編だそうだ。清朝末期が舞台である。最初に妖しい令夫人が出て来て、その独り語りから始まり、複数人の独白形式で、物語は進んで行く。どこかファンタジーチックだ。
その時代、その国の雰囲気とか、知識などは面白かったが、ちょっと芝居がかりが過ぎたかな、という感じだった。
藤原伊織「テロリストのパラソル」
1995年下半期、第114回直木賞受賞作。小池真理子「恋」と同時受賞で、候補には北村薫「スキップ」も入っている。前年には江戸川乱歩賞も受賞している。乱歩賞、直木賞のダブル受賞は史上初だそうだ。
ひとことで言えば、大変面白かった。昨年なぞはなかなかヒット作が無かったものだが、久々にスコーンと来た!という感じだ。序盤から無駄無くテンポ良く、次々と物事が起こるために飽きさせず、ぐいぐい引き込まれる。中盤ややだれる感じもするが、間断なく真実が明らかになって行くのも心地良い。
全共闘時代からの話である。よく考えると、不自然なところも、ご都合主義に見えるところもあり、また最終的な犯罪動機は、やや弱いな、とも思うが、しかし人間関係や会話も心地良く、行間に漂うのん気さやシニカルな雰囲気が物語のテンポとマッチし、最後まで読み切らせてしまう。
いや拍手ものの出来だと思います。はい。
川村元気
「世界から猫が消えたなら」
「モテキ」ほかの映画を手がけた映画プロデューサーの処女作。脳腫瘍を患った男が、延命と引き換えに悪魔と取り引きをする。
死を目前にした若者の姿を家族や友人の愛情とともに、ときにコミカルに描く。母の手紙には、ウルウルと来てしまった。ライトノベルで、貸してくれた人の「1日で読めますよ〜」という言葉に反せず数時間で200ページあまり読み切った。
しみじみと来る物語は、短いほうがいい。手法等々問わずふうむ、たまにはいいな、と思わせる作品だった。
横山秀夫「第三の時効」
F県警捜査一課強行班をめぐる連作短編集。環境は同じだが、主人公はその都度変わる。ちなみにFは実際にある県のイニシャルではなく、記号の様である。隣がG県、V県というのも出てくる。逆にバラバラだと気になるものだが。
法的な穴や、犯人の小さなミスから真実をあぶり出す、というテイストである。
強行3班のそれぞれの班長は只者では無く、超人的。面白く読ませる。しかし、「ルパンの消息」でも同じ感想を抱いたが、きれい過ぎて、肌が合わない感じがする。
1月書評の1
1月はちょっと飛ばし過ぎたので、2回に分けて。13作品19冊。では行ってみましょう!
村上春樹「1Q84」(6)
村上春樹5年ぶりの長編小説ということで予約が殺到し、社会現象を巻き起こした話題作。すでに日本のみならず世界的ベストセラーとなっている。
鍛え上げられた女殺し屋、巨乳女子高生天才作家、そのゴーストライターと、ハルキにしては俗っぽい設定だったりする。1984年と1Q84年、という異世界、新興巨大宗教、空気さなぎやリトルピーブル、マザとドウタ、パシヴァとレシヴァといったファンタジックな要素、また資産家の老女に自衛隊上がりのプロフェッショナルなボディーガードといった魅力的な人物を登場させながら、物語は取り敢えずの1点に向かって進んで行く。
基本的には、ハルキの構造は変わっていないと思える。人生の孤独をシチュエーションとして大きく設定しつつ、孤独を支える唯一無二の愛を描き出す。その構造だけ見れば少々あざとく、今回は、大掛かりでかなりまっすぐ、大河恋愛小説のようにも見える。
登場人物が、謎に包まれて魅力的で、途中から1点に向かって進むため、次は次はと読んでしまう。そういった意味では面白い本ではあったし、二つの月、猫の町、NHK集金人謎の来訪など、神秘的かつ象徴的な描写も多く、挿入される音楽や文芸、エピソードなどもさすがというか、洗練されている。やはりハルキは、他とは違う。
Book3までで、一応ハッピーエンドとして終わっているし、このままでも芸術作品として終われるのかも知れないが、ただやはり説明していない物事が多くて、不完全燃焼である。Book4は微妙そうだが、やっぱり読んでみたい。ふかえりにも、もう一度会いたい。
総体的に、感性は刺激されるけれど、舞台装置が大袈裟過ぎて、消化不良である。俗っぽくまっすぐな筋立ても、どうも大河過ぎるなあ。大きく一部芸術的で、何でもセックス的な部分も含め、ワンパターン。評価が難しい作品だ。
村上春樹「遠い太鼓」
村上春樹が、初めて海外で長期間過ごした滞在記・旅行記エッセイ。都合3年間の、主にギリシャ、イタリアの滞在記である。この期間中に「ノルウェイの森」「ダンス・ダンス・ダンス」といった作品を上梓している。
一般に、読書家は学生時代に強く影響を受けた作家がいると思われる。ハルキは与えた方として、特に強力なようだ。この作品は、最大のヒット作品を書いたベースの生活とその時の心持ちが紐解かれていて、ハルキストには鮮烈な印象を残したようだ。熱心に薦められたのだが、私はどうも村上春樹のエッセイは好きになれないままである。
後半のローマあたりは書きたいことがわーっと書いてあって、率直で面白かったが、前半は退屈で、なかなか進まなかった。
神永学「心霊探偵 八雲」シリーズ
「1.赤い瞳は知っている」
「2.魂をつなぐもの」
NHKでアニメ化もされた人気シリーズ。左眼の赤い瞳で霊を見ることが出来る八雲が、難事件を次々と解決する。
私の知っている推理・探偵小説とは対極を行くものである。死者の魂から辿る、というのは本来反則だ(笑)。
その台詞回しからシャーロック・ホームズの影響を受けている部分があること、また貫井徳郎「慟哭」も意識しているかもしれないこと、などを感じる。間違ってたらごめんなさいだが。
ライトノベルとしてすらすら読める。登場人物設定はまずまず面白い。また、真反対のアプローチも、なかなか新鮮だ。8巻まであるそうなのでまた読もう。「1Q84」の後なんかはこういった感じのものが読みたくなるんだよなあ。
中島京子「小さいおうち」
2010年上半期、第143回直木賞受賞作。昨年の暮れに文庫が発売されたばかりである。戦前戦中、山形から東京に出た女中・タキは、奉公先の、赤い屋根の洋館での暮らしをとても気に入っていた。しかし時代の波が忍び寄り・・というお話。
とかく暗いものと捉えられがちな戦前の暮らしや、女中奉公というものを、綿密な取材により、伸びやかに、明るく描いている。タキと奉公先の家族との日常が微笑ましい。戦前には、今あるものはすでに全てあった、とも言われ、和風モダンが花開いてしばらく経ったころでもあった。日米開戦で、世の中がぱっと明るくなった、という描写は、読む人にとってはびっくりするかも知れない。
北村薫の「ベッキーさん3部作」でも戦前の雰囲気が描かれているが、やはり戦前モダンは華やかで、そしてどこか物哀しさが漂う。今の感覚で当時の世相を見てはならない。先入観のない表現が成された作品。興味深く愛せるが、淡々とし過ぎている感もあった。まあ戦争ものは、無理に盛り上げると鼻白んでしまうのだが。
蒼井上鷹「ホームズのいない町 13のまだらな推理」
ある日、三宮に新規オープンしたブックオフに足を運んだ、が、いつも品揃えがいいはずの店に、探している本は、まるで無かった。そんなとき、本棚から私に買って欲しそう〜にしていたのがこの本である。あおい・うえたかという作家のことはまるで知らなかったが、相変わらず、私が買わなきゃ誰が買うーと購入した。この日はこれ一冊だけだった。
中身はまあ、シャロッキアンはそれなりに楽しめるようになってはいるが、結局煮えきらず。オムニバスの事件が絡み合い、最後に結末がつくようになっている。でも面白くは無かったし、話があちこちに飛び過ぎである。
高田郁「今朝の春 みおつくし料理帖 」
みおつくし料理帖シリーズ第4弾。女料理人・澪を中心に人情豊かなつる屋ファミリーが織り成す物語。今回は、やはり「寒鰆の昆布締め」が、メインであり面白い。季節も冬で、いまとマッチしている。いや美味しそう。相変わらず楽しませてくれるし、あっという間に読み切った。
村上春樹「1Q84」(6)
村上春樹5年ぶりの長編小説ということで予約が殺到し、社会現象を巻き起こした話題作。すでに日本のみならず世界的ベストセラーとなっている。
鍛え上げられた女殺し屋、巨乳女子高生天才作家、そのゴーストライターと、ハルキにしては俗っぽい設定だったりする。1984年と1Q84年、という異世界、新興巨大宗教、空気さなぎやリトルピーブル、マザとドウタ、パシヴァとレシヴァといったファンタジックな要素、また資産家の老女に自衛隊上がりのプロフェッショナルなボディーガードといった魅力的な人物を登場させながら、物語は取り敢えずの1点に向かって進んで行く。
基本的には、ハルキの構造は変わっていないと思える。人生の孤独をシチュエーションとして大きく設定しつつ、孤独を支える唯一無二の愛を描き出す。その構造だけ見れば少々あざとく、今回は、大掛かりでかなりまっすぐ、大河恋愛小説のようにも見える。
登場人物が、謎に包まれて魅力的で、途中から1点に向かって進むため、次は次はと読んでしまう。そういった意味では面白い本ではあったし、二つの月、猫の町、NHK集金人謎の来訪など、神秘的かつ象徴的な描写も多く、挿入される音楽や文芸、エピソードなどもさすがというか、洗練されている。やはりハルキは、他とは違う。
Book3までで、一応ハッピーエンドとして終わっているし、このままでも芸術作品として終われるのかも知れないが、ただやはり説明していない物事が多くて、不完全燃焼である。Book4は微妙そうだが、やっぱり読んでみたい。ふかえりにも、もう一度会いたい。
総体的に、感性は刺激されるけれど、舞台装置が大袈裟過ぎて、消化不良である。俗っぽくまっすぐな筋立ても、どうも大河過ぎるなあ。大きく一部芸術的で、何でもセックス的な部分も含め、ワンパターン。評価が難しい作品だ。
村上春樹「遠い太鼓」
村上春樹が、初めて海外で長期間過ごした滞在記・旅行記エッセイ。都合3年間の、主にギリシャ、イタリアの滞在記である。この期間中に「ノルウェイの森」「ダンス・ダンス・ダンス」といった作品を上梓している。
一般に、読書家は学生時代に強く影響を受けた作家がいると思われる。ハルキは与えた方として、特に強力なようだ。この作品は、最大のヒット作品を書いたベースの生活とその時の心持ちが紐解かれていて、ハルキストには鮮烈な印象を残したようだ。熱心に薦められたのだが、私はどうも村上春樹のエッセイは好きになれないままである。
後半のローマあたりは書きたいことがわーっと書いてあって、率直で面白かったが、前半は退屈で、なかなか進まなかった。
神永学「心霊探偵 八雲」シリーズ
「1.赤い瞳は知っている」
「2.魂をつなぐもの」
NHKでアニメ化もされた人気シリーズ。左眼の赤い瞳で霊を見ることが出来る八雲が、難事件を次々と解決する。
私の知っている推理・探偵小説とは対極を行くものである。死者の魂から辿る、というのは本来反則だ(笑)。
その台詞回しからシャーロック・ホームズの影響を受けている部分があること、また貫井徳郎「慟哭」も意識しているかもしれないこと、などを感じる。間違ってたらごめんなさいだが。
ライトノベルとしてすらすら読める。登場人物設定はまずまず面白い。また、真反対のアプローチも、なかなか新鮮だ。8巻まであるそうなのでまた読もう。「1Q84」の後なんかはこういった感じのものが読みたくなるんだよなあ。
中島京子「小さいおうち」
2010年上半期、第143回直木賞受賞作。昨年の暮れに文庫が発売されたばかりである。戦前戦中、山形から東京に出た女中・タキは、奉公先の、赤い屋根の洋館での暮らしをとても気に入っていた。しかし時代の波が忍び寄り・・というお話。
とかく暗いものと捉えられがちな戦前の暮らしや、女中奉公というものを、綿密な取材により、伸びやかに、明るく描いている。タキと奉公先の家族との日常が微笑ましい。戦前には、今あるものはすでに全てあった、とも言われ、和風モダンが花開いてしばらく経ったころでもあった。日米開戦で、世の中がぱっと明るくなった、という描写は、読む人にとってはびっくりするかも知れない。
北村薫の「ベッキーさん3部作」でも戦前の雰囲気が描かれているが、やはり戦前モダンは華やかで、そしてどこか物哀しさが漂う。今の感覚で当時の世相を見てはならない。先入観のない表現が成された作品。興味深く愛せるが、淡々とし過ぎている感もあった。まあ戦争ものは、無理に盛り上げると鼻白んでしまうのだが。
蒼井上鷹「ホームズのいない町 13のまだらな推理」
ある日、三宮に新規オープンしたブックオフに足を運んだ、が、いつも品揃えがいいはずの店に、探している本は、まるで無かった。そんなとき、本棚から私に買って欲しそう〜にしていたのがこの本である。あおい・うえたかという作家のことはまるで知らなかったが、相変わらず、私が買わなきゃ誰が買うーと購入した。この日はこれ一冊だけだった。
中身はまあ、シャロッキアンはそれなりに楽しめるようになってはいるが、結局煮えきらず。オムニバスの事件が絡み合い、最後に結末がつくようになっている。でも面白くは無かったし、話があちこちに飛び過ぎである。
高田郁「今朝の春 みおつくし料理帖 」
みおつくし料理帖シリーズ第4弾。女料理人・澪を中心に人情豊かなつる屋ファミリーが織り成す物語。今回は、やはり「寒鰆の昆布締め」が、メインであり面白い。季節も冬で、いまとマッチしている。いや美味しそう。相変わらず楽しませてくれるし、あっという間に読み切った。
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