水温む?だんだん暖かくなってはいるが、朝晩はまだ寒い。まあ夜が寒いのは5月くらいまで寒い。
この間はちと仕事が忙しかった。
◼️「源氏物語 九つの変奏」
スピンオフ、パロディーに、抄訳。源氏物語は、遊べる巨作。
9人の現代作家さんが、それぞれ源氏物語の一帖について小説化したもの。タイプはまじめに訳したのかな、と思えるもの、主人公のモノローグ、完全なパロディーと様々だ。
一覧です。
「帚木」松浦理英子
「夕顔」江國香織
「若紫」角田光代
「末摘花」町田康
「葵」金原ひとみ
「須磨」島田雅彦
「蛍」日和聡子
「柏木」桐野夏生
「浮舟」小池昌代
「帚木」は光源氏に猛アタックされるも、一度許しただけで後はお断りし続ける空蝉のモノローグ。スーパープレイボーイの光源氏が頑として拒まれる場面を現代文で読んだら、意外に新鮮な印象があった。
「夕顔」は、物語の見どころの1つ、六条御息所の怨霊にとり殺される夕顔、その経緯を3人称で柔らかめに書いたもの。なんか古文の訳だと、独特のおどろおどろしさが出るけども、リアルな描写は伝わらない。その点を突いたライトホラーっぽい作りである。
「若紫」
これは幼い若紫を、光源氏が誘拐同然にさらう、前後を紫のモノローグで描いたもの。期待した犬君が・・の部分はなかったが、紫の身の上を女性が相手をする店の住み込みで世間知を身につけ雑魚寝するというように創作してある。原典とはちょっと離れてて、ふーん、という感じ。
「末摘花」
末摘花は、ようやく顔を見れば、鼻の長い面相だった。町田康がパロらないわけがない(笑)。集中最もハメを外してある作品。本来少女マンガのような頭の中将とのさわやかな好い男同士の関係がなにやら怪しコミカルなものになっている。んー、もひとつ。
「葵」については、現代で葵と光の夫婦に子供が出来たという設定。女性の恋愛心情を綴ってある普通の小説風。どれくらい原典を反映しているのか分からないくらいのもの。ふうむ。若妻葵の語り。
「須磨」
光源氏は調子に乗りすぎて帝から寵愛を受けていた朧月夜に手を出し発覚、後見する東宮に累が及ばないよう、自ら都を遠く離れる。紫の上、当の朧月夜ら愛する多数の女たち、また東宮との、出立までの悲しい別れと、須磨での暮らし、光源氏の追い込まれた状況などなどが切々と続く。おそらくだが、原作プラス創作された裏エピソードという感じ。没落を描いたまじめな作品かなと。
「蛍」
住んでいた九州の強引な偉丈夫の求婚から逃れ、光源氏の世話で都に落ち着いた、夕顔の娘・玉鬘。しかし光源氏は娘世代の玉鬘に愛を告白し、しかも熱心に言い寄る兵部卿の宮に手紙の返事を書くように促したり、果ては部屋に仕掛けをして多くの蛍を放ち、宮に玉鬘の美しい姿を見せつける。困ったおっさんと化した光源氏に玉鬘が大いに戸惑う帖。ちなみに玉鬘の父親は頭の中将だ。
玉鬘にまつわる一連の物語のひとつの場面で、紫式部は映像的、色彩的な演出が上手いなやっぱり、とは思うが、ちとかわいそう感が先に立つ。脱線はない。
「柏木」
出世した頭の中将こと内大臣の息子、柏木。光源氏の兄、朱雀院の娘・女三宮と結婚したいと望むが、娘の行く末を案じた院は光源氏と結婚させる。
未練の強い柏木は、飛び出した猫のため御簾が上がったその奥に女三宮の姿を見て思いを募らせ、ついに密通し子を設ける。
光源氏が女三宮のあまりの子供っぽさに失望する、というところを捉えて、口うるさく注意される不満から同年代の柏木になびくさまを女三宮目線で創作している。柏木は畏怖する光源氏に真実を知られて激しく動揺しやがて死んでしまう。うーん、女から見たらちと情けないかも。そんな雰囲気が醸し出されている。
出口のない女たち。前の帝、朱雀院の娘は、光源氏の正妻という地位になり、紫の上は心にひびが入る。また、柏木と女三宮の子が、宇治十帖の主役の1人、薫なのでした。
「浮舟」
薫中将と匂宮の、浮舟を巡る争いは、匂宮が薫のふりをして浮舟の寝所に滑り込んで我がものとし、宇治川を舟で渡って、対岸の家に連れて行く。思い悩んだ浮舟は、宇治川に身を投げるー。
これもまた、出家した浮舟が過去を語る。匂宮に愛欲を感じたことなどは赤裸々で、これも原典では当然語られない部分だしゆるりとした語り口調も悪くなく楽しめる。
本筋を離れていたり、忠実なもの、ある部分を膨らませたもの、バラエティ豊かではある。
私は最近ようやく通読し、その深い魅力を知った気になっている。読了してからも、宇治川の重い流れが心にあり、宇治川を観に行った。藤原氏の栄華の象徴、平等院鳳凰堂と、源氏物語ミュージアムにも立ち寄った。京都のゆかりの地も巡った。
実際この本も読んでて面白かったし、書評を書いててもどこか心が浮き立っている。
しかしながら、読んでほんのちょっとの違和感がある。この企画で収録された短編たちはよく似ている。原典を愉しむ一助にはなるが、どうも発想がもひとつな気が・・。
源氏物語は川端康成曰く、日本最高の物語で、1000年を経ていまだ超えるものがない偉大な作品。どんなパロディーにも耐えうるし、さまざまなネタと楽しみ方があると思う。ただ、今回はかみくだき方が物足りないな、という思いがノイズのように心に残った。
◼️「大人の散歩 大阪・神戸(ちょっと京都・
奈良)の近代化遺産を訪ねて」
すべてを変える、史上最大の転換期、その熱に想いを馳せ、憧れる。
日本近代化へのエネルギー。外国から技術や学識、工法などをどんどん取り入れ、街の容貌が数年のうちに劇的に変わっていく、見たこともないようにスケールアップしていく時代。
我々が戦前、明治、大正、昭和初期のモダンに惹かれるのは、時代の変革を推進した、史上稀に見る情熱を構造物の向こうに感じるからかも知れない。
また、旧弊を捨て刷新していく時、その担い手は特別な高揚感を覚え、後ろを振り返らない。それは仕事の上でもあることだろう。人が感じる未来へのステップアップの延長線上に、とてつもなく巨大で精巧で芸術的な、成し遂げられた過去がある。
神戸女学院、神戸大学などの学舎、また大阪府立中之島図書館、大阪市立美術館、神戸の寺院や教会、さらに奈良ホテルから大阪市内の多くのモダンな建築を紹介する。それだけでなく梅小路蒸気機関車館、神戸港に尼崎運河、琵琶湖疏水に淀川治水、大阪市八百八橋など国の産業と市民生活にゆかりの深い壮大な工事を伴う施策にも触れている。
大規模施策にも感慨を覚えるが、やはりレトロしかして当時のモダンさ加減が完成を刺激するのは大阪市内、中之島を中心とした建築群だろう。
府立図書館に隣り合うネオ・ルネサンス式赤レンガ造りの大阪市中央公会堂、大阪証券取引所を中心とした北浜のレトロビル群はまたオシャレで、昼も夜も歩いてみたい土地柄。
さらに堂島川沿いに公会堂、府立図書館、大阪市役所の並びから御堂筋を渡って西側、シンメトリーと八角屋根が特徴の日本銀行大阪支店があるエリア、この本に取り上げられていない企業の佇まいも、散歩には適している。
機能重視に振れシンプルな大阪府庁、さらに独自の自由形式、大阪ガスビルの白亜の建物も、当時にタイムワープして見てみたい。
桜の通り抜けで有名な造幣局も取り上げられている。大阪にこのような国家にとっても大事な機関を置くのは、もちろん産業の力が際立っていたからであるが、新都東京に比べ治安が良かったのも理由だとか。明治維新のそうそうたるメンバーたちの間では大阪遷都論も語られていたという。
さて、特に惹かれたものを3つ。
1つめは旧甲子園ホテルと、先日訪問して大いに啓発され満足したヨドコウ迎賓館は、建築界の世界的巨匠、フランク・ロイド・ライトの設計で、他とはまるで違う。
関西で活躍した方には、関西学院大学などを設計したウィリアム・メレル・ヴォーリズが居るが、ヴォーリズがスパニッシュ・ミッション・スタイル、おおざっぱに言えば修道院のような形式が多いのに対して、ライトはクラシカルというよりは現代的で、屋根が平たく、最高がうまく、小窓や石の装飾に隅々まで細かく工夫を凝らしてありすごくオシャレである。
2つめはアサヒビール大山崎山荘美術館。京都の東、桂川、宇治川、木津川が流れる、かつては豊臣秀吉が明智光秀を破った合戦の地、その景色を英国ウィンザー城からみるテムズ川の光景になぞらえた若き実業家。オールドイングリッシュなチューダー・ゴシック様式を意識して造られた山荘はやや素朴な雰囲気も感じさせる。
建築と美術品を堪能し、歴史ある風光明媚な景色を眺めながら併設の喫茶店でケーキを食べたいっす。^_^
3つめは兵庫県公館。こちらは日本では珍しいというフランス・ルネサンス様式らしい。多くのモダン建築はイギリスやドイツの様式なんだそうな。
余談ですが、昔乗ったタクシーの年配の運転手さんとの会話を思い出す。
俺はさ、昔でっかいトラックで東海道新幹線建設の資材とかを運んでたのさー、阪神高速も運んだよ、万博も。
スケールでかいっすねー、歴史の証人じゃないですかー!
時代は違うが、明治維新という歴史上最大の変革、世の中が一気に変わった時代、戦後復興から現代へとさらに遠く跳躍しようとした時代、構造物を見ながらその土地の歴史の流れの中にいるような気分を味わうのは、現代人の、いわば特殊な感性で、共感覚とも言えるものかも知れない、だなんてわけわかんないことも想像する。
大阪市内に勤め、よく目にしたはずの大阪レトロ、また神戸の旧居留地のモダンも、詳しい事情を知ると全然違って見えてくる。東京駅を作った辰野金吾ら建築界の高名な方々も知り、行きたく、観たくなる、且つためになる本でした。

この間はちと仕事が忙しかった。
◼️「源氏物語 九つの変奏」
スピンオフ、パロディーに、抄訳。源氏物語は、遊べる巨作。
9人の現代作家さんが、それぞれ源氏物語の一帖について小説化したもの。タイプはまじめに訳したのかな、と思えるもの、主人公のモノローグ、完全なパロディーと様々だ。
一覧です。
「帚木」松浦理英子
「夕顔」江國香織
「若紫」角田光代
「末摘花」町田康
「葵」金原ひとみ
「須磨」島田雅彦
「蛍」日和聡子
「柏木」桐野夏生
「浮舟」小池昌代
「帚木」は光源氏に猛アタックされるも、一度許しただけで後はお断りし続ける空蝉のモノローグ。スーパープレイボーイの光源氏が頑として拒まれる場面を現代文で読んだら、意外に新鮮な印象があった。
「夕顔」は、物語の見どころの1つ、六条御息所の怨霊にとり殺される夕顔、その経緯を3人称で柔らかめに書いたもの。なんか古文の訳だと、独特のおどろおどろしさが出るけども、リアルな描写は伝わらない。その点を突いたライトホラーっぽい作りである。
「若紫」
これは幼い若紫を、光源氏が誘拐同然にさらう、前後を紫のモノローグで描いたもの。期待した犬君が・・の部分はなかったが、紫の身の上を女性が相手をする店の住み込みで世間知を身につけ雑魚寝するというように創作してある。原典とはちょっと離れてて、ふーん、という感じ。
「末摘花」
末摘花は、ようやく顔を見れば、鼻の長い面相だった。町田康がパロらないわけがない(笑)。集中最もハメを外してある作品。本来少女マンガのような頭の中将とのさわやかな好い男同士の関係がなにやら怪しコミカルなものになっている。んー、もひとつ。
「葵」については、現代で葵と光の夫婦に子供が出来たという設定。女性の恋愛心情を綴ってある普通の小説風。どれくらい原典を反映しているのか分からないくらいのもの。ふうむ。若妻葵の語り。
「須磨」
光源氏は調子に乗りすぎて帝から寵愛を受けていた朧月夜に手を出し発覚、後見する東宮に累が及ばないよう、自ら都を遠く離れる。紫の上、当の朧月夜ら愛する多数の女たち、また東宮との、出立までの悲しい別れと、須磨での暮らし、光源氏の追い込まれた状況などなどが切々と続く。おそらくだが、原作プラス創作された裏エピソードという感じ。没落を描いたまじめな作品かなと。
「蛍」
住んでいた九州の強引な偉丈夫の求婚から逃れ、光源氏の世話で都に落ち着いた、夕顔の娘・玉鬘。しかし光源氏は娘世代の玉鬘に愛を告白し、しかも熱心に言い寄る兵部卿の宮に手紙の返事を書くように促したり、果ては部屋に仕掛けをして多くの蛍を放ち、宮に玉鬘の美しい姿を見せつける。困ったおっさんと化した光源氏に玉鬘が大いに戸惑う帖。ちなみに玉鬘の父親は頭の中将だ。
玉鬘にまつわる一連の物語のひとつの場面で、紫式部は映像的、色彩的な演出が上手いなやっぱり、とは思うが、ちとかわいそう感が先に立つ。脱線はない。
「柏木」
出世した頭の中将こと内大臣の息子、柏木。光源氏の兄、朱雀院の娘・女三宮と結婚したいと望むが、娘の行く末を案じた院は光源氏と結婚させる。
未練の強い柏木は、飛び出した猫のため御簾が上がったその奥に女三宮の姿を見て思いを募らせ、ついに密通し子を設ける。
光源氏が女三宮のあまりの子供っぽさに失望する、というところを捉えて、口うるさく注意される不満から同年代の柏木になびくさまを女三宮目線で創作している。柏木は畏怖する光源氏に真実を知られて激しく動揺しやがて死んでしまう。うーん、女から見たらちと情けないかも。そんな雰囲気が醸し出されている。
出口のない女たち。前の帝、朱雀院の娘は、光源氏の正妻という地位になり、紫の上は心にひびが入る。また、柏木と女三宮の子が、宇治十帖の主役の1人、薫なのでした。
「浮舟」
薫中将と匂宮の、浮舟を巡る争いは、匂宮が薫のふりをして浮舟の寝所に滑り込んで我がものとし、宇治川を舟で渡って、対岸の家に連れて行く。思い悩んだ浮舟は、宇治川に身を投げるー。
これもまた、出家した浮舟が過去を語る。匂宮に愛欲を感じたことなどは赤裸々で、これも原典では当然語られない部分だしゆるりとした語り口調も悪くなく楽しめる。
本筋を離れていたり、忠実なもの、ある部分を膨らませたもの、バラエティ豊かではある。
私は最近ようやく通読し、その深い魅力を知った気になっている。読了してからも、宇治川の重い流れが心にあり、宇治川を観に行った。藤原氏の栄華の象徴、平等院鳳凰堂と、源氏物語ミュージアムにも立ち寄った。京都のゆかりの地も巡った。
実際この本も読んでて面白かったし、書評を書いててもどこか心が浮き立っている。
しかしながら、読んでほんのちょっとの違和感がある。この企画で収録された短編たちはよく似ている。原典を愉しむ一助にはなるが、どうも発想がもひとつな気が・・。
源氏物語は川端康成曰く、日本最高の物語で、1000年を経ていまだ超えるものがない偉大な作品。どんなパロディーにも耐えうるし、さまざまなネタと楽しみ方があると思う。ただ、今回はかみくだき方が物足りないな、という思いがノイズのように心に残った。
◼️「大人の散歩 大阪・神戸(ちょっと京都・
奈良)の近代化遺産を訪ねて」
すべてを変える、史上最大の転換期、その熱に想いを馳せ、憧れる。
日本近代化へのエネルギー。外国から技術や学識、工法などをどんどん取り入れ、街の容貌が数年のうちに劇的に変わっていく、見たこともないようにスケールアップしていく時代。
我々が戦前、明治、大正、昭和初期のモダンに惹かれるのは、時代の変革を推進した、史上稀に見る情熱を構造物の向こうに感じるからかも知れない。
また、旧弊を捨て刷新していく時、その担い手は特別な高揚感を覚え、後ろを振り返らない。それは仕事の上でもあることだろう。人が感じる未来へのステップアップの延長線上に、とてつもなく巨大で精巧で芸術的な、成し遂げられた過去がある。
神戸女学院、神戸大学などの学舎、また大阪府立中之島図書館、大阪市立美術館、神戸の寺院や教会、さらに奈良ホテルから大阪市内の多くのモダンな建築を紹介する。それだけでなく梅小路蒸気機関車館、神戸港に尼崎運河、琵琶湖疏水に淀川治水、大阪市八百八橋など国の産業と市民生活にゆかりの深い壮大な工事を伴う施策にも触れている。
大規模施策にも感慨を覚えるが、やはりレトロしかして当時のモダンさ加減が完成を刺激するのは大阪市内、中之島を中心とした建築群だろう。
府立図書館に隣り合うネオ・ルネサンス式赤レンガ造りの大阪市中央公会堂、大阪証券取引所を中心とした北浜のレトロビル群はまたオシャレで、昼も夜も歩いてみたい土地柄。
さらに堂島川沿いに公会堂、府立図書館、大阪市役所の並びから御堂筋を渡って西側、シンメトリーと八角屋根が特徴の日本銀行大阪支店があるエリア、この本に取り上げられていない企業の佇まいも、散歩には適している。
機能重視に振れシンプルな大阪府庁、さらに独自の自由形式、大阪ガスビルの白亜の建物も、当時にタイムワープして見てみたい。
桜の通り抜けで有名な造幣局も取り上げられている。大阪にこのような国家にとっても大事な機関を置くのは、もちろん産業の力が際立っていたからであるが、新都東京に比べ治安が良かったのも理由だとか。明治維新のそうそうたるメンバーたちの間では大阪遷都論も語られていたという。
さて、特に惹かれたものを3つ。
1つめは旧甲子園ホテルと、先日訪問して大いに啓発され満足したヨドコウ迎賓館は、建築界の世界的巨匠、フランク・ロイド・ライトの設計で、他とはまるで違う。
関西で活躍した方には、関西学院大学などを設計したウィリアム・メレル・ヴォーリズが居るが、ヴォーリズがスパニッシュ・ミッション・スタイル、おおざっぱに言えば修道院のような形式が多いのに対して、ライトはクラシカルというよりは現代的で、屋根が平たく、最高がうまく、小窓や石の装飾に隅々まで細かく工夫を凝らしてありすごくオシャレである。
2つめはアサヒビール大山崎山荘美術館。京都の東、桂川、宇治川、木津川が流れる、かつては豊臣秀吉が明智光秀を破った合戦の地、その景色を英国ウィンザー城からみるテムズ川の光景になぞらえた若き実業家。オールドイングリッシュなチューダー・ゴシック様式を意識して造られた山荘はやや素朴な雰囲気も感じさせる。
建築と美術品を堪能し、歴史ある風光明媚な景色を眺めながら併設の喫茶店でケーキを食べたいっす。^_^
3つめは兵庫県公館。こちらは日本では珍しいというフランス・ルネサンス様式らしい。多くのモダン建築はイギリスやドイツの様式なんだそうな。
余談ですが、昔乗ったタクシーの年配の運転手さんとの会話を思い出す。
俺はさ、昔でっかいトラックで東海道新幹線建設の資材とかを運んでたのさー、阪神高速も運んだよ、万博も。
スケールでかいっすねー、歴史の証人じゃないですかー!
時代は違うが、明治維新という歴史上最大の変革、世の中が一気に変わった時代、戦後復興から現代へとさらに遠く跳躍しようとした時代、構造物を見ながらその土地の歴史の流れの中にいるような気分を味わうのは、現代人の、いわば特殊な感性で、共感覚とも言えるものかも知れない、だなんてわけわかんないことも想像する。
大阪市内に勤め、よく目にしたはずの大阪レトロ、また神戸の旧居留地のモダンも、詳しい事情を知ると全然違って見えてくる。東京駅を作った辰野金吾ら建築界の高名な方々も知り、行きたく、観たくなる、且つためになる本でした。
0 件のコメント:
コメントを投稿