休暇中残りの日。ご神体三輪山登山のダメージは深く、ふくらはぎカチンカチン、すごく痛い。ちょっと用が立て込み水曜日走り一日家、木曜日は午前中本屋で、誕生日当日なので自分へのささやかなご褒美にやっぱり本を買った。
山根一眞
「スーパー望遠鏡アルマの創造者たち」
いやー興味あるテーマで新しい本だから。どうも日本の技術力っぽい感じだな〜。
で、家。天気良く気持ち良く、ふくらはぎの治癒期間。思い立って、家にある映画のパンフレットのリストを作っていた。
118冊だった。観たはずのものがだいぶないのは、確か東京から戻る時に整理したような覚えが。1991年近辺、2000年近辺の作品が多い。
前の方は会社に入った頃で、修行のために年間100本映画を観ていた。単館系、アメリカ以外の映画ばかり観ていた時代。ほとんどが一人で観たもんだ。「グランブルー」「ベティブルー」、パトリス・ルコントの一連の作品群などのフランスもの、まだ中国に居た時代のチャン・イーモウ初期の作品たち。
次は、仕事が事務系になり、時間の余裕が出来たこと、また結婚して妻とよく一緒に観に行った時期である。それぞれに思い出深い。アニメ映画の「美女と野獣」のパンフレットがなぜか2つある。この時期はイギリス映画をよく観たな、という感じ。「リトル・ダンサー」「シーズンチケット」などなど。天六にチャン・イーモウの「あの子を探して」「はつ恋のきた道」の2本立て観に行って、帰りに美味い小籠包食べたなあ。
思い出深いパンフたちである。
金曜日はその余勢をかって?三宮に映画を観に行った。ジム・ジャームッシュ4年ぶりの新作「パターソン」である。
ジャームッシュといえば、アメリカにありつつインディーズ系の秀作をいくつも発表している。
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」
「ダウン・バイ・ロー」
「ナイト・オン・ザ・プラネット」
などなど。私は、むかし大毎地下で「ナイト・オン・ザ・プラネット」を観た。あまり覚えてないが、ロードムービーのような話で、フレームアウトが好きな監督さんだな、と思ったことを覚えている。それから「ゴースト・ドッグ」という、葉隠を愛読する都会の黒人を描いた作品を観たが、こちらは駄作だった。欧米人的には意味があるのかもだが。
さて「パターソン」。
パターソンはパターソン市に住んでいる、背が高くてハンサムなバスの運転手。美人で家具や服まで自分でペインティングしちゃうアーティスティックな奥さん、ローラと、飼い犬とともにつましい家に暮らしている。毎朝早くに起きて、シリアルの朝食を食べ、歩いて出勤、バスを運行し、帰る。夜は犬と散歩。その途中にあるなじみのバーで一杯だけビールを飲み、ローラとともに眠る。飼い犬はローラが好きで、ちょっとパターソンにはヤキモチを焼いているようだ。
パターソンが没頭しているのは詩作だ。身の回りのこと、毎日の風景や乗客の会話にもインスピレーションを受ける。親を待っていた詩が好きな少女が作った詩を聴かせてもらったり、バーで恋愛がらみの揉め事が起きたりしながら、毎日は過ぎていく。
ローラはパターソンにとって詩作がとても大事なことを理解しており、彼のノートを読みたがるが、パターソンは見せない。ローラの頼みでノートのコピーを取ることを了承した週末、臨時収入があり、仲の良い夫婦は映画を観て食事をして帰宅するがー。
という物語。
求めているものを観た感じで、期待以上に良かった。淡々とした毎日を違う角度から追っていて、平面的なカットやフレームアウトが好き、かと思うと大胆に視点を変えたカットも繰り出す。単調なだけに、観ている人もみな、何か起きるだろな、と思いつつ観る。おおむね当たり、少し外れる、観客側のこの感じも計算されているんだろか。
パターソンはローラの無理も聞くし、あまり表現もしないから、いつかストレス爆発するんじゃないかと思ったが、それほど底は浅くなかった。ローラ可愛くてちょいセクシーで良かった。
起きた「事件」に観客は集中する。1人になったパターソンのもとに、永瀬正敏が現れてー。
妖精みたいだな、永瀬正敏。こんなに細かく平凡を積み上げて、最後に都合の良い妖精、でいいんだろか、と思うが、なぜかハマっているから良し、だ。全体として、カンヌで好評価だったのも分かる気がする、GOODな映画だった。良かったー。
土曜日、日曜日は同じパターンで午前外出し午後家に居た。これで9連休が終了。もう少し出ても良かったけどまあしゃあないやね。
でも、インスピレーションのあった休みだった。秋中にまた奈良に行くぞっと。もう山には登らないけどっ。^_^