2015年3月21日土曜日

飛鳥行




日中かなり暖かくなり、コートの類はいらないかな、という日もあった。ただちょっと寒い風が吹いたりするので、街にはダウンの人もいる。わかる。次週また寒の戻りがあるそうだ。その時に出張。まあこんなものか。

ある日、ちょっと気分転換、心の洗濯、と日がな一日外出。

まず朝一で映画「くちびるに歌を」を観に行った。初の大阪ステーションシネマ。

原作で端折っている部分をただ匂わす程度にしてたり、ガッキーに焦点を当てすぎてたり、といのはあったが、泣いた泣いた。泣きすぎて涙が無くなったな、という実感があったくらい。

昔30人31脚というテレビ番組があって、親世代としては、小学生がただ頑張る姿だけを見ていても涙腺が潤んでしまったものだけれど、今回も歌という要素が絡んで、泣きに泣いたな。やっぱり歌は素晴らしい。アンジェラ・アキの「手紙〜拝啓 十五の君へ」を何度もYoutubeで聴いてしまった。

そのまま環状線に乗って天王寺、近鉄阿部野橋から飛鳥駅まで45分くらい。降り立ったところから、飛鳥〜という感じがした。なんというか、平坦で、落ち着いてて、低い山々に囲まれている。倭建命が国のまほろば、と行った、大和し麗し。

駅前のラーメン屋で塩ラーメンにライス食べて、外に出ると雨。うわせっかく来たのにと思いつつ、煙草を吸ってるとやんだ。駅前のレンタサイクル借りていざ周遊。レンタサイクル屋のおばあちゃんたち、あまり観光案内してくれないし、レンタサイクルちょっと高いし、ママチャリ。

走り出してけっこうすぐ高松塚古墳。歩いてしばらくの壁画館に行く。レプリカだが、色彩に目を奪われる。四神の青龍、白虎、玄武を見る。飛鳥時代にも芸術家はいたんだな、歴史的価値ばかりでなく漂ってくる強さにも感心。

本道に戻って走り出すと、標識も何もなく、すぐ天武天皇・持統天皇陵。おお!はや!こないだ読んだ、「朱鳥の陵」の主要人物2人。壬申の乱、また乱後の当事者たち。確かに入り口までしか行けないけれど、誰もいない。ちょっとびっくり。まあ、独占したと思わば、得した気分。陵の横の田んぼでは梅がきれいに咲いていた。

目標の甘樫の丘まで自転車でちょっと走る。途中登り坂もあったが、思ったほど遠くなかった。展望台への最も近い駐輪場が分からずちょっとウロウロしたが無事丘を登る。まむし注意の立て看板、怖いが登り切って丘からは綺麗に、大和の平野が見下ろせる。風景が開けて、気持ちいい。

畝傍山、耳成山、香具山。いずれも山というよりは丘の様な山を見下ろす。写真は甘樫の丘からで、左の盛り上がりが耳成山、右の森のようなところが、百人一首にもある香具山。蘇我馬子、入鹿もここから見下ろしていたのだろうか。甘樫丘、あまかし、という名前の響きがいいよなあ。

飛鳥川を横目に、信号を渡って飛鳥寺へ。この辺も大和を実感できる、落ち着いた、平坦な地形。飛鳥寺は、駐車料金の看板に驚いたが(よく見ると普通車30分以内無料)小ぢんまりした境内は喫煙可、料金を払って本堂に入ると、日本最古の大仏、推古天皇時、つまり聖徳太子摂政時、609年開眼という本尊に圧倒される。補修を重ねているらしいが、正に蘇我馬子の時代から同じ場所に今でもある大仏に壮大な歴史を感じる。写真もOK。

本堂から外に出て、鐘を撞くのも問題なし。こんなに歴史・文化的価値あるものを抱きながら、飛鳥寺はすごくオープンだ。寺の外に出てみると、蘇我入鹿の首塚をはさんですぐそこに甘樫丘。大化の改新時は、飛鳥寺には中大兄皇子軍、甘樫丘には蘇我氏軍の兵が集まり、睨み合っていたそうで、ここでも飛鳥時代のスケールを感じる。飛鳥寺は、都が移った後は衰え、江戸時代まで本尊がなんと露天だったり、かりそめの本堂程度だったらしい。

これで目的地訪問終了。のんびり自転車こいで帰る。ここまで2時間。暑くなく寒くなく気持ちいい。これが夏だったら体力をかなり消耗してただろう。急行までおよそ20分くらいあり、温かいごま団子食べてしばし休憩。帰りの電車で藤沢周「武曲」を読みこむ。充実した1日だった。久々の自転車でおしりが痛くなった。

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