週末は関東に2泊3日の出張。浦和の居酒屋でまた百合根と巡り合ったのは幸せだった。
それにしても、凶悪な陽射しだった。一緒に行った後輩からは、暑さが苦手なはずなのに、意外と元気、という評をもらったが。
ガブガブ水分とって持たせた感じである。帰りの新幹線に乗ったら豪雨が降って来た。関西に帰るとほの涼しい。日曜の夜は久しぶりにエアコンつけずに寝ることが出来た。
猛烈な暑さは一時収まる見込みだそうだ。先週末をピークにして、もう夏がこのまま終わればいいのに。
映画にもなった「百瀬、こっちを向いて」読み終わった。使い古されたような、でも新鮮な、高校生のラブストーリー。目立たない男女がキーワードである。ちょっと恥ずかしかったが、瑞々しかった。
さてもうすぐ8月だー。
2014年7月28日月曜日
2014年7月20日日曜日
REST&START
先週は仕事で長崎。16年振りの訪問だった。暑くて、ホンマに疲れた。次の週末はまた関東だ。体力回復・維持が大切である。ここから先は休めない。3連休は完全休養のはずだったが、当たり前のように、息子はポケモンセンターに行こうとパパを連れ出すのであった。(笑)
さて、7/14の早朝、ブラジルワールドカップはドイツの優勝で幕を閉じた。決勝は緊迫したいい試合だったが、アルゼンチンがチャンスを生かせなかったのも事実で、ドラマもまた少なかった。
今回は、日本が早々に敗退したこともあったし、早朝の試合が多かったしで、あまり数も見なかった。コロンビアのハメス・ロドリゲスは新鮮な驚きだったが、他は正直あまり興味深くはなかった。
思うに、祭典があるからもちろん楽しめるのだが、そこへ至る過程にこそ、いわゆる充実感は有るものだと思う。嬉しかったり、心配したり、世間を不自然に盛り上がっている、という目でみたり、本当に必要な選手や布陣は誰か、何か、と考えたり、不安だったり、祈ったり・・。すべて含めてサッカーを観る楽しみなんだと思う。
ちょっと休んで、リスタート。日本サッカーの未来について考えるのは楽しいのだが、その前にハードな仕事をクリアせねばな・・。
さて、7/14の早朝、ブラジルワールドカップはドイツの優勝で幕を閉じた。決勝は緊迫したいい試合だったが、アルゼンチンがチャンスを生かせなかったのも事実で、ドラマもまた少なかった。
今回は、日本が早々に敗退したこともあったし、早朝の試合が多かったしで、あまり数も見なかった。コロンビアのハメス・ロドリゲスは新鮮な驚きだったが、他は正直あまり興味深くはなかった。
思うに、祭典があるからもちろん楽しめるのだが、そこへ至る過程にこそ、いわゆる充実感は有るものだと思う。嬉しかったり、心配したり、世間を不自然に盛り上がっている、という目でみたり、本当に必要な選手や布陣は誰か、何か、と考えたり、不安だったり、祈ったり・・。すべて含めてサッカーを観る楽しみなんだと思う。
ちょっと休んで、リスタート。日本サッカーの未来について考えるのは楽しいのだが、その前にハードな仕事をクリアせねばな・・。
2014年7月13日日曜日
蒸暑
台風はかなり心配したが、拍子抜けなくらい大過なかった。駐車スペースから自転車3台を持って上がり玄関に入れたが何もなし。妻は育てた薔薇と紫陽花を、散ると可哀想だからと切って大量に飾った。こちらは屋内に華やかさが生まれた。まあ無事なのは良いことだ。
それにしても蒸し暑い。我が家も寝る時はエアコンドライ。日中、なんか腹が冷える感じがするから、とポロシャツの下にTシャツ着ていたのもやめてしまった。
もうすぐ夏休みで息子が図画の作品を持ち帰って来た。参観日でも見たが、
「かえるは満月の日に、かにと口から火が吹き出る鳥と出会って旅に出る。」
という解説の切り絵だった。ちなみにもっとひらがなが多く、読みにくいので漢字私が充てました。ふーむ。物語の先が知りたいな(笑)。
土曜はお仕事。8月までは忙しい。ここのところ夜も多く、1週間で焼肉4回。スタミナだけは持ちそうだ。
日曜は髪を切りに行く。やはり、イベント、大きな仕事の時には身なりもスッキリしたいので、大体それから逆算して髪は切る。
午後は、以前録画しておいた「コクリコ坂から」を観た。昭和30年代の横浜。高校生のラブストーリー。パンチは弱いが、ジブリらしく仰々しく騒がしくて熱がある。最後はホロリとしてしまった。
日本映画は、アニメも含めて、リアルな生活の音にこだわるのが大きな特徴なのかな。
ちょっと冷たい飲み物を知らず飲み過ぎたようで、お腹が痛くなった。この季節よくあるが、お腹が痛い、というと、息子がさすってくれる。息子も一時よくお腹痛い、となったのでよくベッドでやってあげた。人は痛いところに手を当てる。だから「手当て」って言うんだよ、とか言いながら。
夜は、かえるとかにと火吹き鳥の話をパパが創作。かえるのゲオルグ、メスの蟹、カニーシャは、満月の夜、カニーシャの生まれ故郷へ旅立とうとして、蛇に襲われる。しかし、口から火を吹く鳥のシュバインシュタイガーに救われ、その背に乗って、冒険に出ることになる。
最初は恥ずかしいのか、かえるとかにと火吹き鳥で話を作るのはやめろーと言っていたが、最後は釘付けで聞いていた。
さあ早く風呂入って寝よう。明朝は早く起きて、ワールドカップの、いよいよ決勝戦だ。
それにしても蒸し暑い。我が家も寝る時はエアコンドライ。日中、なんか腹が冷える感じがするから、とポロシャツの下にTシャツ着ていたのもやめてしまった。
もうすぐ夏休みで息子が図画の作品を持ち帰って来た。参観日でも見たが、
「かえるは満月の日に、かにと口から火が吹き出る鳥と出会って旅に出る。」
という解説の切り絵だった。ちなみにもっとひらがなが多く、読みにくいので漢字私が充てました。ふーむ。物語の先が知りたいな(笑)。
土曜はお仕事。8月までは忙しい。ここのところ夜も多く、1週間で焼肉4回。スタミナだけは持ちそうだ。
日曜は髪を切りに行く。やはり、イベント、大きな仕事の時には身なりもスッキリしたいので、大体それから逆算して髪は切る。
午後は、以前録画しておいた「コクリコ坂から」を観た。昭和30年代の横浜。高校生のラブストーリー。パンチは弱いが、ジブリらしく仰々しく騒がしくて熱がある。最後はホロリとしてしまった。
日本映画は、アニメも含めて、リアルな生活の音にこだわるのが大きな特徴なのかな。
ちょっと冷たい飲み物を知らず飲み過ぎたようで、お腹が痛くなった。この季節よくあるが、お腹が痛い、というと、息子がさすってくれる。息子も一時よくお腹痛い、となったのでよくベッドでやってあげた。人は痛いところに手を当てる。だから「手当て」って言うんだよ、とか言いながら。
夜は、かえるとかにと火吹き鳥の話をパパが創作。かえるのゲオルグ、メスの蟹、カニーシャは、満月の夜、カニーシャの生まれ故郷へ旅立とうとして、蛇に襲われる。しかし、口から火を吹く鳥のシュバインシュタイガーに救われ、その背に乗って、冒険に出ることになる。
最初は恥ずかしいのか、かえるとかにと火吹き鳥で話を作るのはやめろーと言っていたが、最後は釘付けで聞いていた。
さあ早く風呂入って寝よう。明朝は早く起きて、ワールドカップの、いよいよ決勝戦だ。
2014年7月6日日曜日
6月書評の2
ワールドカップは佳境、あとたった4試合。金曜はドイツーフランスを見て、寝て、土曜はお客さんがいらして食事会、日曜仕事で岡山、帰ってきていまウインブルドン男子決勝を見ている。
では後半!
荻原浩「コールドゲーム」
最後に意外かつ王道の犯人が・・
荻原浩を読むのは2作目。前回は4年くらい前に「四度目の氷河期」を読んだ。相変わらず筆が滑らかで泣き笑いで面白い。
野球部を引退した光也に、中学の同級生が襲われた、との知らせが入る。女子の同級生もいやがらせのビラを巻かれた。光也の幼なじみ亮太は、クラスでひどいいじめを受けていた「トロ吉」を疑う。2人は調べ始めるが、次々と異常な出来事が起きる。
青春ものサイコ・サスペンス。次々と事件が起き、主人公たちの動きも活発で、引き込まれてどんどん読んでしまう。ミステリーベスト10とかのなどの情報ページに挙げられていたので買ってみた。
いじめは、この小説のように理屈も感情も持って行きようがなく、結論めいたものは付けられない。面白いサスペンスではあったがどこかに割り切れないものが残る。物語的にも、そこの折り合いに難しいものを感じた。
ちなみに、「四度目の氷河期」はちょっと変わっていて、傑作だった。オススメです。
乙一「箱庭図書館」
名作「暗いところで待ち合わせ」以来だから、乙一かなり久しぶり。
同じ町を舞台にしていて、ストーリー同士に薄いつながりのある短編集。そしてこれは、ストーリーを一般公募し、そのネタを乙一がリメイクした作品ばかりである。乙一らしいというのだろうか、細かいところまで気を配っていて、なおかつ原案の発想の元気さ、まで感じる。
先般の出張の時、帰りの新幹線で読む本が無くなってしまい、品川駅で購入したもの。こんな時、選ぶ本には「呼ばれている」感じがして買うのを迷わないから不思議だ。
バラエティに富んだ作品がよくまとまっていて、乙一らしく?暗さもあり(笑)、「青春絶縁体」「ホワイト・ステップ」はほわっとする。なかなか楽しめる一冊だった。
村上春樹「女のいない男たち」
貸してくれた会社の同期(♀)が、
「すごいエロかった〜。ねえ、ハルキってこんなにエロかったっけ?」
などと言っていたので、大変楽しみに(笑)読んだのだが、その、これのどこがエロいのだろう?それとも、行間に技巧的なメタファーでも感じとったのだろうか。女子にはエロく思えるのかな。私にはコレッジョの「イオ」の方が絵1枚でよほどエロく思えるのだが。
まあともかく、ハルキ氏久しぶりの短編集ということだ。タイトルのごとく、女のいない、女を失った男たちの物語群である。
中身はともかく(この言い方自体どうかとも思うが・笑)相変わらずたんたんとした描写で、心に迫るような、特徴的な作品だ。「イエスタデイ」は得意のノルウェイ風、「シェエラザード」「木野」はファンタジー風で、短編ならではの面白みがある。
単的で読みやすいので、もしハルキ入門をしたいな、という方なんかいいかも。女性の喪失は村上春樹の特徴で、やはり独特のキレを感じた。
乾ルカ「君の波が聞こえる」
少年の友情。乾ルカはどこか好きなんだな。
ファンタジーである。北海道、知床の近くにあるという巨大な城・四龍海城。ひょんなことから迷い込んでしまった中学1年の健太郎は、さらわれたり、迷って入って来た人々のコミュニティで、ひとつ年上の貴希と出会う。「出城料」を払えば城から出られるらしいのだが・・?
面白い仮定のストーリー。これまでのホラーがかった作品からちょっと踏み出した感じがする。壮大な景色のベースがあって、音楽性があって、今回は、三崎亜記のように、どこか社会の問題点を衝いているような感じもする。ミステリの種も、まずまずか。
先が読める部分があるし、もう少し深く出来るような気もするが、独特の「ツンツンする」感じは相変わらずだ。まだまだ出来る、もっと面白くなる、と勝手に思っている。次も読んじゃいそうだな。
石田衣良「シューカツ!」
400ページ超だが、スラスラ進む。東京往復の新幹線で完読してしまった。
おっさんくさいことを述べるが、自分たちのときも、短縮言葉は横行していたが、「就職活動」を「シューカツ」と呼ぶ者はいなかった。どこか神聖な気がしていたのは確かだ。
会社に入ってしばらく、神戸の大学に通うバイトちゃんが、「メリケンパーク」を「メリパ」、阪急のマクドナルドを「ハンマク」と言ってる、というのを聞いてたおっさん一同驚愕したことがある。確かに枚方パークはひらパーというが、それにしてもメリパとは。その世代のバイトちゃん、私が就職して7、8年後の大学生の子たちは確かに「シューカツ」と言っていた。正直、好きではない。
さて、私立の名門、鷲田大学3年生の千晴は、仲間たち7人で「シューカツプロジェクトチーム」を結成する。狙うは出版社、新聞、テレビ局など大手マスコミの全員合格。不安な気持ちと向き合いながら、千晴は就職試験に臨み悪戦苦闘する。
書類、筆記、面接、グループディスカッション・・大手マスコミの面接の様子が綿密に描かれ、様々な要素が散りばめられている。企業側の人間からすると、いいとこ衝いてるなあ、と思うこともある。
私も就職試験はだいぶ受けたほうだが、こんなに深くは考えなかったし、あまり時事ネタや筆記の勉強もしなかった。面接は受けるごとに経験値が増したのでそこは手応えがあったが、後はまあ、運任せというか・・(笑)。
ラノベ的でもあり、題材が面白く特殊で、読みやすい。例えば東京六大学だけでこういった業種を、何人が受けるのだろうか。そういった意味では、確かに一つの雰囲気を描き切っているとも思う。ただまあ、日本を代表するマスコミに落ちたからといって、社会に居場所が無い、と思うのは少々首を傾げる部分でもあるが。でも楽しくすすむストーリーなのでよし、でしょう。
和田竜「村上海賊の娘」(2)
ご存知、本屋大賞受賞作品。「のぼうの城」とは対照的とでもいうか・・
瀬戸内海を荒らし回った最強の海賊、村上海賊のもとへ、織田信長と敵対している大阪本願寺へ兵糧を届けて欲しい、と毛利家から願いが来る。醜女、悍婦と言われていた能島村上家の長女、景(きょう)は海賊働きの途中で偶然本願寺の門徒たちと出会い、懇願されて本願寺の木津砦へ海路を赴く。
織田方と毛利方の戦いである、「木津川の戦い」をベースに描いた物語。この戦は、織田方は大阪・泉州の海賊、毛利方は村上海賊が中心となって激突した海戦である。
下巻は、船での戦ならではの戦略や武器、知識が出てくるし、スケールが大きくて迫力がある。猛将・眞鍋七五三兵衛をはじめとする泉州侍の味わい深い性格付けが、GOODである。
「のぼうの城」と同じで、戦いの迫力と、登場人物の胆力を損なわずに、いい感じでエンターテインメント化させている。が、「のぼう」がコンパクトで、キャラクターもはっきりしていたのに比べ、こちらは特に主役の景が揺れることに特徴がある。最初のキャラ、明るく自由奔放で残忍さも併せ持つ、というのが変わって行くのだが、ちょっとつかみどころがなくなるような気がする。また、上巻は陸戦、下巻は海戦だが、冗長、長過ぎると思う。
興味深い部分だし、海戦や他のキャラは工夫して、なかなかの味を出していたから、惜しい、という感じだった。
では後半!
荻原浩「コールドゲーム」
最後に意外かつ王道の犯人が・・
荻原浩を読むのは2作目。前回は4年くらい前に「四度目の氷河期」を読んだ。相変わらず筆が滑らかで泣き笑いで面白い。
野球部を引退した光也に、中学の同級生が襲われた、との知らせが入る。女子の同級生もいやがらせのビラを巻かれた。光也の幼なじみ亮太は、クラスでひどいいじめを受けていた「トロ吉」を疑う。2人は調べ始めるが、次々と異常な出来事が起きる。
青春ものサイコ・サスペンス。次々と事件が起き、主人公たちの動きも活発で、引き込まれてどんどん読んでしまう。ミステリーベスト10とかのなどの情報ページに挙げられていたので買ってみた。
いじめは、この小説のように理屈も感情も持って行きようがなく、結論めいたものは付けられない。面白いサスペンスではあったがどこかに割り切れないものが残る。物語的にも、そこの折り合いに難しいものを感じた。
ちなみに、「四度目の氷河期」はちょっと変わっていて、傑作だった。オススメです。
乙一「箱庭図書館」
名作「暗いところで待ち合わせ」以来だから、乙一かなり久しぶり。
同じ町を舞台にしていて、ストーリー同士に薄いつながりのある短編集。そしてこれは、ストーリーを一般公募し、そのネタを乙一がリメイクした作品ばかりである。乙一らしいというのだろうか、細かいところまで気を配っていて、なおかつ原案の発想の元気さ、まで感じる。
先般の出張の時、帰りの新幹線で読む本が無くなってしまい、品川駅で購入したもの。こんな時、選ぶ本には「呼ばれている」感じがして買うのを迷わないから不思議だ。
バラエティに富んだ作品がよくまとまっていて、乙一らしく?暗さもあり(笑)、「青春絶縁体」「ホワイト・ステップ」はほわっとする。なかなか楽しめる一冊だった。
村上春樹「女のいない男たち」
貸してくれた会社の同期(♀)が、
「すごいエロかった〜。ねえ、ハルキってこんなにエロかったっけ?」
などと言っていたので、大変楽しみに(笑)読んだのだが、その、これのどこがエロいのだろう?それとも、行間に技巧的なメタファーでも感じとったのだろうか。女子にはエロく思えるのかな。私にはコレッジョの「イオ」の方が絵1枚でよほどエロく思えるのだが。
まあともかく、ハルキ氏久しぶりの短編集ということだ。タイトルのごとく、女のいない、女を失った男たちの物語群である。
中身はともかく(この言い方自体どうかとも思うが・笑)相変わらずたんたんとした描写で、心に迫るような、特徴的な作品だ。「イエスタデイ」は得意のノルウェイ風、「シェエラザード」「木野」はファンタジー風で、短編ならではの面白みがある。
単的で読みやすいので、もしハルキ入門をしたいな、という方なんかいいかも。女性の喪失は村上春樹の特徴で、やはり独特のキレを感じた。
乾ルカ「君の波が聞こえる」
少年の友情。乾ルカはどこか好きなんだな。
ファンタジーである。北海道、知床の近くにあるという巨大な城・四龍海城。ひょんなことから迷い込んでしまった中学1年の健太郎は、さらわれたり、迷って入って来た人々のコミュニティで、ひとつ年上の貴希と出会う。「出城料」を払えば城から出られるらしいのだが・・?
面白い仮定のストーリー。これまでのホラーがかった作品からちょっと踏み出した感じがする。壮大な景色のベースがあって、音楽性があって、今回は、三崎亜記のように、どこか社会の問題点を衝いているような感じもする。ミステリの種も、まずまずか。
先が読める部分があるし、もう少し深く出来るような気もするが、独特の「ツンツンする」感じは相変わらずだ。まだまだ出来る、もっと面白くなる、と勝手に思っている。次も読んじゃいそうだな。
石田衣良「シューカツ!」
400ページ超だが、スラスラ進む。東京往復の新幹線で完読してしまった。
おっさんくさいことを述べるが、自分たちのときも、短縮言葉は横行していたが、「就職活動」を「シューカツ」と呼ぶ者はいなかった。どこか神聖な気がしていたのは確かだ。
会社に入ってしばらく、神戸の大学に通うバイトちゃんが、「メリケンパーク」を「メリパ」、阪急のマクドナルドを「ハンマク」と言ってる、というのを聞いてたおっさん一同驚愕したことがある。確かに枚方パークはひらパーというが、それにしてもメリパとは。その世代のバイトちゃん、私が就職して7、8年後の大学生の子たちは確かに「シューカツ」と言っていた。正直、好きではない。
さて、私立の名門、鷲田大学3年生の千晴は、仲間たち7人で「シューカツプロジェクトチーム」を結成する。狙うは出版社、新聞、テレビ局など大手マスコミの全員合格。不安な気持ちと向き合いながら、千晴は就職試験に臨み悪戦苦闘する。
書類、筆記、面接、グループディスカッション・・大手マスコミの面接の様子が綿密に描かれ、様々な要素が散りばめられている。企業側の人間からすると、いいとこ衝いてるなあ、と思うこともある。
私も就職試験はだいぶ受けたほうだが、こんなに深くは考えなかったし、あまり時事ネタや筆記の勉強もしなかった。面接は受けるごとに経験値が増したのでそこは手応えがあったが、後はまあ、運任せというか・・(笑)。
ラノベ的でもあり、題材が面白く特殊で、読みやすい。例えば東京六大学だけでこういった業種を、何人が受けるのだろうか。そういった意味では、確かに一つの雰囲気を描き切っているとも思う。ただまあ、日本を代表するマスコミに落ちたからといって、社会に居場所が無い、と思うのは少々首を傾げる部分でもあるが。でも楽しくすすむストーリーなのでよし、でしょう。
和田竜「村上海賊の娘」(2)
ご存知、本屋大賞受賞作品。「のぼうの城」とは対照的とでもいうか・・
瀬戸内海を荒らし回った最強の海賊、村上海賊のもとへ、織田信長と敵対している大阪本願寺へ兵糧を届けて欲しい、と毛利家から願いが来る。醜女、悍婦と言われていた能島村上家の長女、景(きょう)は海賊働きの途中で偶然本願寺の門徒たちと出会い、懇願されて本願寺の木津砦へ海路を赴く。
織田方と毛利方の戦いである、「木津川の戦い」をベースに描いた物語。この戦は、織田方は大阪・泉州の海賊、毛利方は村上海賊が中心となって激突した海戦である。
下巻は、船での戦ならではの戦略や武器、知識が出てくるし、スケールが大きくて迫力がある。猛将・眞鍋七五三兵衛をはじめとする泉州侍の味わい深い性格付けが、GOODである。
「のぼうの城」と同じで、戦いの迫力と、登場人物の胆力を損なわずに、いい感じでエンターテインメント化させている。が、「のぼう」がコンパクトで、キャラクターもはっきりしていたのに比べ、こちらは特に主役の景が揺れることに特徴がある。最初のキャラ、明るく自由奔放で残忍さも併せ持つ、というのが変わって行くのだが、ちょっとつかみどころがなくなるような気がする。また、上巻は陸戦、下巻は海戦だが、冗長、長過ぎると思う。
興味深い部分だし、海戦や他のキャラは工夫して、なかなかの味を出していたから、惜しい、という感じだった。
6月書評の1
私としたことが、上半期ランキングにかまけて、6月書評を忘れていた。6月は12作品13冊。行ってみましょ〜。
ジョン・クラカワー「荒野へ」
全米ベストセラーのノンフィクション。
1992年8月、アラスカ北部、スタンピード・トレイルに打ち捨てられたバスの中で、1人の若者の死体が見つかった。餓死したクリス・マッカンドレスは遠く離れたアトランタの、裕福な家を出て、長い間放浪生活をしていた。
私は、日本人写真家の、故星野道夫氏の著作に影響されたアラスカ好きである。オーロラ、ムース、カリブー、アラスカ独特の気候風土に人々の生活、また人跡未踏の地で生まれた、数々の物語にかつて圧倒された。星野氏が熊に襲われて亡くなり、日本では追悼映画が作られるなど、当時注目度も高かった。
マッカンドレスの件は、アメリカでセンセーションを巻き起こしたらしい。彼の父親がNASA関連の会社を立ち上げて成功し、裕福な家の出であったことがひとつ。また、しがらみを捨て、あるものは大自然のロマンに憧れて、1人でアラスカの厳しい大地に移り住む者が多く、警鐘を鳴らしたい時期にあったのではと推察される。実際マッカンドレスの行動に関して、幾多の非難が飛び交い、著者の記事にも多くの意見があったという。
この作品は、マッカンドレスの生い立ちから、彼が放浪していたときに出会った多くの人の証言を掘り起こし、彼の人となりと、死までのその行動を綿密に記している。著者がそれまでにベストセラーを出していた有名な登山家、というのも影響しているだろう。
感想としては、おそらく時期のもので、正直なかなか訴えるものは少ない。ただまた星野氏の本を読み返そうかな、という気になった。
夏目漱石「こころ」
だいぶ前、当時の私からすれば、常軌を逸するほどの読書量と見えた友人に
「いままでで最も面白かった小説は何か」
と訊いたら、彼は間髪入れず、
「こころ」だ、と言った。
折しも「こころ」が世に出てから100年、という節目の年らしい。中学だか高校だかの教科書に出て来て、前後が読みたかったから読んで、それ以来の再読。
書生として東京に出ている「私」は「先生」と知り合い、懇意となる。やがて父親の病気で郷里に帰っている「私」に、「先生」から驚くべき内容の、分厚い手紙が届く。
もちろん結末は知っているのだが、改めて読むと、明治時代とその終焉の雰囲気に触れることが出来て興味深い。そしてやはり下宿先での、Kとの最後の会見の描写は凄い、と思う。
こころは行きつ戻りつ、最終章はもうくどいくらいその様がひたすら描写される。それがまた、高尚なものではなく、誰しもそう考えるよな、という、生のこころのうち、だから共感を呼ぶのかも知れない。そして、取り戻せない後悔だけが残る。
この小説のプロットは、見事なものだと思う。漱石は、また読もう。
近藤史恵「サブァイヴ」
書店で見かけてパッと買って、予想通りあっという間に読んでしまった。
自転車ロードレースの世界を描き、話題となった「サクリファイス」「エデン」のスピンオフ作品。両作の主人公である白石誓(ちかう)、チカの話が2編、「サクリファイス」に出てくる日本のチームで同期入団だった伊庭が1つ、そのチームのエースだった石尾を同僚・ 赤城の主観で語ったものが3つの短編集。
特に、誰しもが一度は夢を見て破れ、エースのアシストにつく、つまり自分がゴールテープを切るために走るわけではない、という部分が強調されている。また、ドロドロした部分も相変わらず多分に入っている。
自転車ロードレースをもっと描いて欲しい、という読者側の期待に応え、さらに作者側には、「サクリファイス」で出て来たチカ以外の人物と国内の現状を掘り下げてみたい、という欲求があったのではないだろうか。よくは知らないが。
もちろん馴染んだシリーズで、面白かったが、「エデン」でツール・ド・フランスまで行ったチカの物語を、本場であるヨーロッパの話をじっくりと読みたいなと思った。
朝井まかて「恋歌」
先の直木賞受賞作品。伸びやかな力がある。物語を超える新鮮なパワーを、久々に感じた。
明治の歌人、中島歌子、本名登世は、幕末に水戸天狗党の志士・林忠左衛門茂徳に恋をし、ついに嫁ぐ。しかし時代の波は若い夫婦を押し流し、登世は夫と引き離され、お家は取りつぶしとなってしまう。
幕末の話は好きで、藤田東湖、水戸天狗党と言葉は知っているが、内情は、薩長とか京都での出来事に比べるとメジャーではないのではないだろうか。しかし、学問の地、尊皇攘夷思想の地と認められていたことがあり、この物語の水戸には決してマイナスではない色と匂いを感じてしまう。イメージで言えば「蒼」という感じか。
お家騒動は時代ものの常だが、先進的な思想だったはずの藩で、血で血を洗う抗争が繰り広げられる。その時代の熱と虚しさ、悲惨さを女性の視点で語っているのが新鮮だ。
瀬をはやみ岩にせかるる滝川の
われても末に逢わむとぞ思ふ
折々に出てくる歌も実にいい。切なくて、たまんないですね。
発見した手紙で過去を知る、という形に関して議論があったらしいが、こないだ「こころ」を読んだし、ふだんホームズものでワトスンの未発表原稿、とかいうのに慣れている私には気にならない。むしろ物語を盛り上げる、良き要素と取った。
GOODな作品でした。
ルイス・キャロル
「不思議の国のアリス」
息子を寝かしつける時に、アリスの話が出て来て、そう言えば全部読んだことない、と買ってみた。
ピューリタン的なの教えに即したものしかなかった子供の物語に新風を吹き込み、世界で聖書の次に翻訳された本、とどこかで読んだ。うーん、そこまでえらいもんだったのか。
内容は、理屈や訓話が有るものでは、全くない。だから、その場の雰囲気はハチャメチャで面白く、出てくるキャラも妙に覚えてしまうものの、結局よくは分からない。まさに「ワンダーランド」、子供のころよく見た夢にも似ている気がする。
チェシャネコとグリフォンには出会えたが、ハンプティダンプティは出てこなかった。「鏡の国」も読むしかないな。ちょっと楽しみ。
柳広司「ダブル・ジョーカー」
やっぱり、スパイものって、好奇心に訴えかけるよね。
「ジョーカー・ゲーム」の続編。日本陸軍のスパイ組織「D機関」。ごく限られた関係者しか存在を知らず、軍にあって「死ぬな、殺すな」がモットーの異能集団。設立者である結城中佐はかつてその世界で「魔術師」と呼ばれていた。
今回は対立組織が出て来たり、結城中佐の若き日の活躍あり、またついに真珠湾攻撃に至ったりと、ストーリーに変化がつけてある。最後の短編はよく分からなかった。
ちょっと今回は理屈っぽいような気もするが、やはり興味。サクサク読んでしまった。次は「パラダイス・ロスト」だな。
ジョン・クラカワー「荒野へ」
全米ベストセラーのノンフィクション。
1992年8月、アラスカ北部、スタンピード・トレイルに打ち捨てられたバスの中で、1人の若者の死体が見つかった。餓死したクリス・マッカンドレスは遠く離れたアトランタの、裕福な家を出て、長い間放浪生活をしていた。
私は、日本人写真家の、故星野道夫氏の著作に影響されたアラスカ好きである。オーロラ、ムース、カリブー、アラスカ独特の気候風土に人々の生活、また人跡未踏の地で生まれた、数々の物語にかつて圧倒された。星野氏が熊に襲われて亡くなり、日本では追悼映画が作られるなど、当時注目度も高かった。
マッカンドレスの件は、アメリカでセンセーションを巻き起こしたらしい。彼の父親がNASA関連の会社を立ち上げて成功し、裕福な家の出であったことがひとつ。また、しがらみを捨て、あるものは大自然のロマンに憧れて、1人でアラスカの厳しい大地に移り住む者が多く、警鐘を鳴らしたい時期にあったのではと推察される。実際マッカンドレスの行動に関して、幾多の非難が飛び交い、著者の記事にも多くの意見があったという。
この作品は、マッカンドレスの生い立ちから、彼が放浪していたときに出会った多くの人の証言を掘り起こし、彼の人となりと、死までのその行動を綿密に記している。著者がそれまでにベストセラーを出していた有名な登山家、というのも影響しているだろう。
感想としては、おそらく時期のもので、正直なかなか訴えるものは少ない。ただまた星野氏の本を読み返そうかな、という気になった。
夏目漱石「こころ」
だいぶ前、当時の私からすれば、常軌を逸するほどの読書量と見えた友人に
「いままでで最も面白かった小説は何か」
と訊いたら、彼は間髪入れず、
「こころ」だ、と言った。
折しも「こころ」が世に出てから100年、という節目の年らしい。中学だか高校だかの教科書に出て来て、前後が読みたかったから読んで、それ以来の再読。
書生として東京に出ている「私」は「先生」と知り合い、懇意となる。やがて父親の病気で郷里に帰っている「私」に、「先生」から驚くべき内容の、分厚い手紙が届く。
もちろん結末は知っているのだが、改めて読むと、明治時代とその終焉の雰囲気に触れることが出来て興味深い。そしてやはり下宿先での、Kとの最後の会見の描写は凄い、と思う。
こころは行きつ戻りつ、最終章はもうくどいくらいその様がひたすら描写される。それがまた、高尚なものではなく、誰しもそう考えるよな、という、生のこころのうち、だから共感を呼ぶのかも知れない。そして、取り戻せない後悔だけが残る。
この小説のプロットは、見事なものだと思う。漱石は、また読もう。
近藤史恵「サブァイヴ」
書店で見かけてパッと買って、予想通りあっという間に読んでしまった。
自転車ロードレースの世界を描き、話題となった「サクリファイス」「エデン」のスピンオフ作品。両作の主人公である白石誓(ちかう)、チカの話が2編、「サクリファイス」に出てくる日本のチームで同期入団だった伊庭が1つ、そのチームのエースだった石尾を同僚・ 赤城の主観で語ったものが3つの短編集。
特に、誰しもが一度は夢を見て破れ、エースのアシストにつく、つまり自分がゴールテープを切るために走るわけではない、という部分が強調されている。また、ドロドロした部分も相変わらず多分に入っている。
自転車ロードレースをもっと描いて欲しい、という読者側の期待に応え、さらに作者側には、「サクリファイス」で出て来たチカ以外の人物と国内の現状を掘り下げてみたい、という欲求があったのではないだろうか。よくは知らないが。
もちろん馴染んだシリーズで、面白かったが、「エデン」でツール・ド・フランスまで行ったチカの物語を、本場であるヨーロッパの話をじっくりと読みたいなと思った。
朝井まかて「恋歌」
先の直木賞受賞作品。伸びやかな力がある。物語を超える新鮮なパワーを、久々に感じた。
明治の歌人、中島歌子、本名登世は、幕末に水戸天狗党の志士・林忠左衛門茂徳に恋をし、ついに嫁ぐ。しかし時代の波は若い夫婦を押し流し、登世は夫と引き離され、お家は取りつぶしとなってしまう。
幕末の話は好きで、藤田東湖、水戸天狗党と言葉は知っているが、内情は、薩長とか京都での出来事に比べるとメジャーではないのではないだろうか。しかし、学問の地、尊皇攘夷思想の地と認められていたことがあり、この物語の水戸には決してマイナスではない色と匂いを感じてしまう。イメージで言えば「蒼」という感じか。
お家騒動は時代ものの常だが、先進的な思想だったはずの藩で、血で血を洗う抗争が繰り広げられる。その時代の熱と虚しさ、悲惨さを女性の視点で語っているのが新鮮だ。
瀬をはやみ岩にせかるる滝川の
われても末に逢わむとぞ思ふ
折々に出てくる歌も実にいい。切なくて、たまんないですね。
発見した手紙で過去を知る、という形に関して議論があったらしいが、こないだ「こころ」を読んだし、ふだんホームズものでワトスンの未発表原稿、とかいうのに慣れている私には気にならない。むしろ物語を盛り上げる、良き要素と取った。
GOODな作品でした。
ルイス・キャロル
「不思議の国のアリス」
息子を寝かしつける時に、アリスの話が出て来て、そう言えば全部読んだことない、と買ってみた。
ピューリタン的なの教えに即したものしかなかった子供の物語に新風を吹き込み、世界で聖書の次に翻訳された本、とどこかで読んだ。うーん、そこまでえらいもんだったのか。
内容は、理屈や訓話が有るものでは、全くない。だから、その場の雰囲気はハチャメチャで面白く、出てくるキャラも妙に覚えてしまうものの、結局よくは分からない。まさに「ワンダーランド」、子供のころよく見た夢にも似ている気がする。
チェシャネコとグリフォンには出会えたが、ハンプティダンプティは出てこなかった。「鏡の国」も読むしかないな。ちょっと楽しみ。
柳広司「ダブル・ジョーカー」
やっぱり、スパイものって、好奇心に訴えかけるよね。
「ジョーカー・ゲーム」の続編。日本陸軍のスパイ組織「D機関」。ごく限られた関係者しか存在を知らず、軍にあって「死ぬな、殺すな」がモットーの異能集団。設立者である結城中佐はかつてその世界で「魔術師」と呼ばれていた。
今回は対立組織が出て来たり、結城中佐の若き日の活躍あり、またついに真珠湾攻撃に至ったりと、ストーリーに変化がつけてある。最後の短編はよく分からなかった。
ちょっと今回は理屈っぽいような気もするが、やはり興味。サクサク読んでしまった。次は「パラダイス・ロスト」だな。
2014年7月2日水曜日
2014上半期ランキング発表!
写真は、「アーサー王ロマンス」。イメージ良かったので。
さて、いよいよランキング。上半期は昨年はなかなか充実していたが、今年は例年に比べて今ひとつ。これだぁー!という作品がひとつふたつあるのが通例だったりするけど、うーん、正直寂しい。ただ、つぶは揃っているかな。ま、行ってみましょう!
先回も触れたが、6か月で72作品80冊。
では上半期ランキングベスト20!
1位 朝井まかて「恋歌」
2位 白石一文
「ほかならぬ人へ」
3位 朝井リョウ
「もういちど生まれる」
4位 夏川草介
「神様のカルテ3」
5位 宮部みゆき
「小暮写真館」
6位 和田竜
「村上海賊の娘」
7位 浅田次郎
「鉄道員(ぽっぼや)」
8位 奥田英朗
「空中ブランコ」
9位 柳広司
「ジョーカー・ゲーム」
10位 北森鴻・浅野里沙子
「邪馬台 蓮丈那智フィールドファイル�」
11位 北村薫
「ひとがた流し」
12位 朱川湊人「花まんま」
13位 桜木紫乃「氷平線」
14位 木内昇「茗荷谷の猫」
15位 高村薫
「レディ・ジョーカー」
16位 カーレド・ホッセイニ
「君のためなら千回でも」
17位 松井今朝子
「吉原手引草」
18位 佐藤賢一
「王妃の離婚」
19位 ロバート・A・ハインライン
「夏への扉」
20位 乾ルカ
「君の波が聞こえる」
と、なりました!
1位 朝井まかて「恋歌」
最も完成度が高い感じで、文章を超えるオーラが出ていた。興味深い題材に切なさがにじむ幕末小説。
2位 白石一文「ほかならぬ人へ」
エピソードとしては、さして衝撃を与える話ではないが、しつこくない、大人の恋愛譚。印象変わったことが高ポイント。
3位 朝井リョウ「もういちど生まれる」
今回「桐島」の二番煎じのような感もあるが、やはり独特のワールドに引き込まれる。渾身のタイトル。
「神様のカルテ3」は好きで4位。今回はクライマックス、充実の回。
「小暮写真館」は宮部みゆきの意外な一面を見た感じ。この路線のものを、また描いて欲しい。
「村上海賊」はスケールが壮大で、「鉄道員」は泣かされたから、「空中ブランコ」は不思議かつ計算された面白さ、「ジョーカー・ゲーム」は渋い面白さ、「邪馬台」は大好きなテーマだから。
11位以下には、だいぶ触発された短編集が入っている。苦手だったが、少し我ながら受け取り方が変わってきたような・・。
飛び抜けたものは無かったが、こうして見ると、なかなか充実している。下半期は忙しい時期で、通常ペースが落ちるが、またいい本に巡り会えたらいいな、と思っている。
お読みいただき感謝です。
さて、いよいよランキング。上半期は昨年はなかなか充実していたが、今年は例年に比べて今ひとつ。これだぁー!という作品がひとつふたつあるのが通例だったりするけど、うーん、正直寂しい。ただ、つぶは揃っているかな。ま、行ってみましょう!
先回も触れたが、6か月で72作品80冊。
では上半期ランキングベスト20!
1位 朝井まかて「恋歌」
2位 白石一文
「ほかならぬ人へ」
3位 朝井リョウ
「もういちど生まれる」
4位 夏川草介
「神様のカルテ3」
5位 宮部みゆき
「小暮写真館」
6位 和田竜
「村上海賊の娘」
7位 浅田次郎
「鉄道員(ぽっぼや)」
8位 奥田英朗
「空中ブランコ」
9位 柳広司
「ジョーカー・ゲーム」
10位 北森鴻・浅野里沙子
「邪馬台 蓮丈那智フィールドファイル�」
11位 北村薫
「ひとがた流し」
12位 朱川湊人「花まんま」
13位 桜木紫乃「氷平線」
14位 木内昇「茗荷谷の猫」
15位 高村薫
「レディ・ジョーカー」
16位 カーレド・ホッセイニ
「君のためなら千回でも」
17位 松井今朝子
「吉原手引草」
18位 佐藤賢一
「王妃の離婚」
19位 ロバート・A・ハインライン
「夏への扉」
20位 乾ルカ
「君の波が聞こえる」
と、なりました!
1位 朝井まかて「恋歌」
最も完成度が高い感じで、文章を超えるオーラが出ていた。興味深い題材に切なさがにじむ幕末小説。
2位 白石一文「ほかならぬ人へ」
エピソードとしては、さして衝撃を与える話ではないが、しつこくない、大人の恋愛譚。印象変わったことが高ポイント。
3位 朝井リョウ「もういちど生まれる」
今回「桐島」の二番煎じのような感もあるが、やはり独特のワールドに引き込まれる。渾身のタイトル。
「神様のカルテ3」は好きで4位。今回はクライマックス、充実の回。
「小暮写真館」は宮部みゆきの意外な一面を見た感じ。この路線のものを、また描いて欲しい。
「村上海賊」はスケールが壮大で、「鉄道員」は泣かされたから、「空中ブランコ」は不思議かつ計算された面白さ、「ジョーカー・ゲーム」は渋い面白さ、「邪馬台」は大好きなテーマだから。
11位以下には、だいぶ触発された短編集が入っている。苦手だったが、少し我ながら受け取り方が変わってきたような・・。
飛び抜けたものは無かったが、こうして見ると、なかなか充実している。下半期は忙しい時期で、通常ペースが落ちるが、またいい本に巡り会えたらいいな、と思っている。
お読みいただき感謝です。
2014年7月1日火曜日
2014上半期ランキング・各賞発表!
さて、今年も6月読書まですでに終了。半年間も早いもんだ。半期のランキング、やりますよ今年も!
まず今回は、読んだ本の紹介と各賞から。6ヶ月で72作品80冊でした。今年はテーマを決めて本を探したり読んだりする遊びも欲しいな、と思い、例えば1月はシャーロッキアン特集にしてみました。次はミステリー特集でもしようかなと思ってます。また、世界の名作、日本の名作に手を付けていこうと、いくつか読みました。この路線は愉しみも多く、続けたいと思っとります。
では読んだ本の一覧から!
M・J・トロー
「レストレード警部と3人のホームズ」
ロバート・L・フィッシュ
「シュロック・ホームズの冒険」
ローリー・キング「シャーロックホームズの愛弟子 女たちの闇」
エラリー・クイーン「恐怖の研究」
ピーター・ローランド
「エドウィン・ドルードの失踪」
ダニエル・スタシャワー
「ロンドンの超能力男」
スティーブン・バクスター他
「シャーロック・ホームズの大冒険」(2)
エドワード・B・ハナ
「ホワイトチャペルの恐怖」(2)
キース・オートリー
「ホームズ対フロイト」
テッド・リカーディ
「シャーロック・ホームズ 東洋の冒険」
中山七里「いつまでもショパン」
桜木紫乃「氷平線」
朱川湊人「花まんま」直1
カーレド・ホッセイニ
「君のためなら千回でも」(2)
三上延「ビブリア古書堂の事件手帖5〜栞子さんと繋がりの時〜」
1月 15作品18冊
京極夏彦「後巷説百物語」直2
木内昇「茗荷谷の猫」
白石一文「ほかならぬ人へ」直3
石田衣良「REVERSE」
三谷幸喜「清須会議」
浦山明俊
「鬼が哭く 陰陽師 石田千尋の事件簿」
佐藤賢一「王妃の離婚」直4
夏川草介「神様のカルテ3」
沼田まほかる「ユリゴコロ」
高田郁
「美雪晴れ みをつくし料理帖 」
2月 10作品10冊/25作品28冊
高村薫「レディ・ジョーカー」(3)
高橋克彦「空中鬼・妄執鬼」
モーリス・ルブラン「七つの秘密」
浅田次郎「鉄道員」直5
ロバート・A・ハインライン
「夏への扉」
奥田英朗「空中ブランコ」直6
小関順二 「2014年版 プロ野球 問題だらけの12球団」
モーリス・ルブラン
「8・1・3の謎」
北森鴻・浅野里沙子
「邪馬台 蓮丈那智フィールドファイル�」
青山潤「アフリカにょろり旅」
井村君江「アーサー王ロマンス」
3月 11作品13冊/36作品41冊
柳広司「ジョーカー・ゲーム」
山本一力「あかね空」直7
マイケル・ハードウィック
「シャーロック・ホームズ わが人生と犯罪」
天野篤「熱く生きる」
ウィリアム・サマセット・モーム
「月と六ペンス」
朝井リョウ「もういちど生まれる」
松井今朝子「吉原手引草」直8
北村薫「ひとがた流し」
詠坂雄二「電氣人間の虞(おそれ)」
夏目漱石「草枕」
宮内悠介「盤上の夜」
福澤徹三「東京難民」(2)
4月 12作品13冊/48作品54冊
藤田宜永「愛の領分」直9
柚木麻子「あまからカルテット」
有川浩「レインツリーの国」
掛布雅之「若虎よ!」
NHK「ポスト恐竜」プロジェクト編著
「恐竜絶滅 ほ乳類の戦い」
奥田英朗「イン・ザ・プール」
城平京「名探偵に薔薇を」
近藤史恵「タルト・タタンの夢」
アサヒグラフ特別取材班
「ドキュメント 横浜vsPL学園」
宮部みゆき「小暮写真館」(2)
三崎亜記「失われた町」
はらだみずき「スパイクを買いに」
5月 12作品13冊/60作品67冊
ジョン・クラカワー「荒野へ」
夏目漱石「こころ」
近藤史恵「サブァイヴ」
朝井まかて「恋歌」直10
ルイス・キャロル
「不思議の国のアリス」
柳広司「ダブル・ジョーカー」
荻原浩「コールドゲーム」
乙一「箱庭図書館」
村上春樹「女のいない男たち」
乾ルカ「君の波が聞こえる」
石田衣良「シューカツ!」
和田竜「村上海賊の娘」(2)
6月 12作品13冊/72作品80冊
では、まず、各賞発表から!
特別賞
ウィリアム・サマセット・モーム「月と六ペンス」
印象度はベスト3にも劣らなかった。身勝手なストリックランドの人生。過去の名作はランキングに入れないわけではないが、今回は逆に殊更取り上げたく特別賞。
夏目漱石「こころ」
人のこころは行きつ戻りつ、芸術作品というよりは泥臭い。プロットは見事かと言える。現代ではまた捉え方が違うとは思うが。
表紙賞
宮部みゆき「小暮写真館」
木内昇「茗荷谷の猫」
上の2枚。「小暮写真館」はちょうど仕事で千葉の内房線あたりをウロウロしたので、思い入れもこめて。小説の中から何を持ってくるかのセンスが抜群。
「茗荷谷の猫」はよくある挿絵風だけど、この不思議な短編集を表しているような気もする。
FBで書評を上げるようになってから写真も撮るので、賞を新設してみました。
ベストパロディオブシャーロッキアン賞
M・J・トロー
「レストレード警部と3人のホームズ」
いやー20年ぶりの再読となったが、こんなに面白いとは思わなかった。原作ではいつもホームズと皮肉の応酬をして、結局出し抜かれてしまうレストレード警部の、格好いいハードボイルド活劇です。まあシャーロッキアン向けだね。
グッドインパクト賞
青山潤「アフリカにょろり旅」
賞の名称通り。もう、ホントに、絶対無理な世界。
井村君江「アーサー王ロマンス」
表紙から惹かれる、お勉強の本。この路線、次は何にしようかなあ。ギリシャ神話とか面白そう。
次回はいよいよランキング発表!
まず今回は、読んだ本の紹介と各賞から。6ヶ月で72作品80冊でした。今年はテーマを決めて本を探したり読んだりする遊びも欲しいな、と思い、例えば1月はシャーロッキアン特集にしてみました。次はミステリー特集でもしようかなと思ってます。また、世界の名作、日本の名作に手を付けていこうと、いくつか読みました。この路線は愉しみも多く、続けたいと思っとります。
では読んだ本の一覧から!
M・J・トロー
「レストレード警部と3人のホームズ」
ロバート・L・フィッシュ
「シュロック・ホームズの冒険」
ローリー・キング「シャーロックホームズの愛弟子 女たちの闇」
エラリー・クイーン「恐怖の研究」
ピーター・ローランド
「エドウィン・ドルードの失踪」
ダニエル・スタシャワー
「ロンドンの超能力男」
スティーブン・バクスター他
「シャーロック・ホームズの大冒険」(2)
エドワード・B・ハナ
「ホワイトチャペルの恐怖」(2)
キース・オートリー
「ホームズ対フロイト」
テッド・リカーディ
「シャーロック・ホームズ 東洋の冒険」
中山七里「いつまでもショパン」
桜木紫乃「氷平線」
朱川湊人「花まんま」直1
カーレド・ホッセイニ
「君のためなら千回でも」(2)
三上延「ビブリア古書堂の事件手帖5〜栞子さんと繋がりの時〜」
1月 15作品18冊
京極夏彦「後巷説百物語」直2
木内昇「茗荷谷の猫」
白石一文「ほかならぬ人へ」直3
石田衣良「REVERSE」
三谷幸喜「清須会議」
浦山明俊
「鬼が哭く 陰陽師 石田千尋の事件簿」
佐藤賢一「王妃の離婚」直4
夏川草介「神様のカルテ3」
沼田まほかる「ユリゴコロ」
高田郁
「美雪晴れ みをつくし料理帖 」
2月 10作品10冊/25作品28冊
高村薫「レディ・ジョーカー」(3)
高橋克彦「空中鬼・妄執鬼」
モーリス・ルブラン「七つの秘密」
浅田次郎「鉄道員」直5
ロバート・A・ハインライン
「夏への扉」
奥田英朗「空中ブランコ」直6
小関順二 「2014年版 プロ野球 問題だらけの12球団」
モーリス・ルブラン
「8・1・3の謎」
北森鴻・浅野里沙子
「邪馬台 蓮丈那智フィールドファイル�」
青山潤「アフリカにょろり旅」
井村君江「アーサー王ロマンス」
3月 11作品13冊/36作品41冊
柳広司「ジョーカー・ゲーム」
山本一力「あかね空」直7
マイケル・ハードウィック
「シャーロック・ホームズ わが人生と犯罪」
天野篤「熱く生きる」
ウィリアム・サマセット・モーム
「月と六ペンス」
朝井リョウ「もういちど生まれる」
松井今朝子「吉原手引草」直8
北村薫「ひとがた流し」
詠坂雄二「電氣人間の虞(おそれ)」
夏目漱石「草枕」
宮内悠介「盤上の夜」
福澤徹三「東京難民」(2)
4月 12作品13冊/48作品54冊
藤田宜永「愛の領分」直9
柚木麻子「あまからカルテット」
有川浩「レインツリーの国」
掛布雅之「若虎よ!」
NHK「ポスト恐竜」プロジェクト編著
「恐竜絶滅 ほ乳類の戦い」
奥田英朗「イン・ザ・プール」
城平京「名探偵に薔薇を」
近藤史恵「タルト・タタンの夢」
アサヒグラフ特別取材班
「ドキュメント 横浜vsPL学園」
宮部みゆき「小暮写真館」(2)
三崎亜記「失われた町」
はらだみずき「スパイクを買いに」
5月 12作品13冊/60作品67冊
ジョン・クラカワー「荒野へ」
夏目漱石「こころ」
近藤史恵「サブァイヴ」
朝井まかて「恋歌」直10
ルイス・キャロル
「不思議の国のアリス」
柳広司「ダブル・ジョーカー」
荻原浩「コールドゲーム」
乙一「箱庭図書館」
村上春樹「女のいない男たち」
乾ルカ「君の波が聞こえる」
石田衣良「シューカツ!」
和田竜「村上海賊の娘」(2)
6月 12作品13冊/72作品80冊
では、まず、各賞発表から!
特別賞
ウィリアム・サマセット・モーム「月と六ペンス」
印象度はベスト3にも劣らなかった。身勝手なストリックランドの人生。過去の名作はランキングに入れないわけではないが、今回は逆に殊更取り上げたく特別賞。
夏目漱石「こころ」
人のこころは行きつ戻りつ、芸術作品というよりは泥臭い。プロットは見事かと言える。現代ではまた捉え方が違うとは思うが。
表紙賞
宮部みゆき「小暮写真館」
木内昇「茗荷谷の猫」
上の2枚。「小暮写真館」はちょうど仕事で千葉の内房線あたりをウロウロしたので、思い入れもこめて。小説の中から何を持ってくるかのセンスが抜群。
「茗荷谷の猫」はよくある挿絵風だけど、この不思議な短編集を表しているような気もする。
FBで書評を上げるようになってから写真も撮るので、賞を新設してみました。
ベストパロディオブシャーロッキアン賞
M・J・トロー
「レストレード警部と3人のホームズ」
いやー20年ぶりの再読となったが、こんなに面白いとは思わなかった。原作ではいつもホームズと皮肉の応酬をして、結局出し抜かれてしまうレストレード警部の、格好いいハードボイルド活劇です。まあシャーロッキアン向けだね。
グッドインパクト賞
青山潤「アフリカにょろり旅」
賞の名称通り。もう、ホントに、絶対無理な世界。
井村君江「アーサー王ロマンス」
表紙から惹かれる、お勉強の本。この路線、次は何にしようかなあ。ギリシャ神話とか面白そう。
次回はいよいよランキング発表!
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