この週、というか昨日までの週は、「無人島に生きる十六人」須川邦彦、「告白」湊かなえを読んでしまう。前者は昭和初期に書かれた、明治の漂流話。朴訥とした感じが良かった。「告白」は、本屋大賞にしては・・が正直なところ。
さらに、金曜夜遅くまで起きて、「流れ星が消えないうちに」橋本紡を読了。恋人を亡くした女は、その親友と付き合っている。どちらにとっても亡くなった彼は大きな存在だった。そこから立ち直るまでの、ちょっとコミカルな部分もある人間讃歌的恋愛小説で、高校がベースになっている、青春ものでもある。やたらと書店でもブックオフでもいまお薦め本として取り挙げてある。
私も全く知らなかったが、同僚の机の上にあったのを、いらないならくれない?と持って来ただけのものだ。その同僚には響かなかったようだが、正直これでは、大人の心には、物足りないだろう。「夜のピクニック」と同じく、10代から20代前半の間に読むものかと思う。読後感はいい。
土曜は暑いというのにその中正午までノークーラーで寝ていた。もともとこの土日は外出するつもりはさらさらなく、ひたすら家で読書三昧、と決めていた。昼はお弁当買って食べ、高校野球つけっ放しで「大橋巨泉の美術鑑賞ノート」を読む。主にルネサンス期を中心に扱ったものだ。
私の西洋美術的関心と言えば、やはり印象派以降に限られていたということもあり、かなり面白く読めた。リッピ、ボッティチェリ、ラファエロ、ティツィアーノにブリューゲル。ラファエロとティツィアーノは本当に上手い。印象派の、いわばぼかした色彩と対象的な、絵画の本質を見るようだ。陰影と遠近法、やわらかな光の中創作と写実・・逆にだからこそ、印象派は革命的だったのだろう。もっと西洋絵画は体系的に理解したいし、また勉強の機会を持ちたい。
ヤン・ファン・エイク「ロランの聖母」、フラ・フィリッポ・リッピの「聖母子と二天使」、サンドロ・ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」「春(プリマヴェーラ)」、ラファエロの「小椅子の聖母」、コレッジョの「イオ」、ティツィアーノ・ヴェチェリオの「ウルビーノのヴィーナス」「聖母被昇天」、ヤコボ・ティントレットの「スザンナと老人達」、ヒエロニムス・ボス(ボッシュ)の「最後の審判」、ピーテル・ブリューゲルの「雪中の狩人」、エル・グレコの「オルガス伯の埋葬」「胸に手を置く騎士の肖像」などなど。
彼らの筆致は、精密で、生き生きとして動き出しそうだ。また、ボッティチェリの2作は余りに有名だし、コレッジョの「イオ」は抜群にエロく強い印象である。いつか生で見たいものだ。これ以降のオランダ絵画なども興味がある。とにかく、中世のものはとかく暗く宗教的過ぎる、という呪縛からは完全に逃れた。
夕方に完読し、パスタ茹でる。インスタントのカルボナーラに買って来たサラダにギョーザ。食べ終わってブックオフへ。本当は恩田陸を買うつもりだったが無く、なぜか辻仁成の芥川賞受賞作「海峡の光」に宮部みゆきの直木賞受賞作「理由」を買う。インバルのマーラー1番「巨人」DVD見て、寝る。
日曜は朝8時に起きるが、ずーっと家に居た。ちょっと活字にも食傷気味になり、高校野球見て、昨日のルネサンス絵画を見返していた。面白い本だった。これで8月は6冊読了。
金曜に、ブックオフで探していた本を見つけて買った。「高い城の男」第二次大戦は、枢軸国が勝っていた、という設定で展開される物語だ。そういえば、この手の話は無かった。1963年のヒューゴー賞、まだ戦後が消えて居なかった頃書かれた話、だからこそ期待しないし、逆に興味深い。先に読んだ「ユダヤ警官同盟」はイスラエル建国が失敗した、という架空の設定となっていたが、そんな作品の例として解説で触れられていて、興味を覚えていた。
これと、「理由」と「海峡の光」今月ここまで読み終えられたら上出来ってところか。晩ご飯の買い物に出たら、なぜかエンジンがかかる感覚がして、夜家を整理しようか、という気になる。遅いっつーの。まあ、読書三昧の、いい週末でした。はい。
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