今週は土曜朝から、息子と梅田のアニメショップに出掛けた。バレーボール漫画「ハイキュー!」と「ダイヤのA」そして「MAJOR」が目的だが、メジャーはなし。ダイヤもだいぶコーナーが狭くなっていた。やっぱ新シリーズか映画やってないとね〜。
一番スペースの広かったのは、10月から3rdシーズン放送開始の「ハイキュー!」。ついに春高バレー出場権を懸けて、「ウシワカ」こと牛島若利率いる白鳥沢学園との、県大会決勝戦。ウシワカの人形キーホルダーが飾ってあったが、これはまだディスプレイ用だけとのこと。親子揃ってこれかっこいい、と思った。
息子が見つけたのが、漫画単行本でも触れられていた「バボカ!」というハイキュー!のカードゲーム。喜んで買って、近くのモスバーガーでじっくり見て、帰ってきてパパと対戦ざんまいで、やっぱ少ないから新しいカード欲しいね、と午後西宮のデカいエディオンに行ってみたが無い。隣のブックオフの古カードコーナーにも無い。こりゃ、とんだマイナー商品なんだ〜!と認識してしまった。
岡崎慎司「未到」
なんかサパッとしたものが読みたくなって、目に付いたのを購入。鬱屈した思いがストレートに書いてあっていいと思う。
2015−16シーズン、日本代表の岡崎慎司が所属する、イングランド・プレミアリーグのレスターは奇跡のプレミア初優勝を成し遂げる。その確率たるや、「ネス湖にネッシーがいる」可能性より低かった。岡崎は、ドイツから、1部に上がったばかりのレスターに移籍。念願のプレミア移籍を果たしたが、予想外の快進撃が続く中、自分の立ち位置、役割、やりたいプレーなどに悩み、考える。
岡崎が、リーグ戦大半の試合で先発したのはすごい事だと素直に思う。しかしそれは、ストライカーとして評価されたからではない。現実は厳しく、かつ見ている人の大半が納得できるものだ。岡崎はリーグ・カップ合わせて6得点だった。
この本は、プレミアリーグ開幕前から、リーグ戦の1節ごとに、時系列で岡崎が考えていた事を並べたもの。だから分かりやすいし、先発するものの点が奪えず途中交代が多かった岡崎の、ぐつぐつした胸の内が感じられる。
プロ選手の本といえば、最初に成し遂げた事の描写があって、選手のプレー人生を振り返り、テーマを分けて色々書いて、さらには「これはサラリーマン社会でも通じるはずだ」などとぶつのが一時の流行のようなものだった。
それはそれで、なのだが、今回は生い立ちも、家族も、ましてや他の日本代表選手のことや監督のこと、ワールドカップのことなども必要最小限。だから、プレミアの、最後までうまくいかなかった(と本人は強く思っている)岡崎の気持ちがストレートに伝わる。
最近は野球への指向性が強くて、サッカーはスルーしてがちだったが、プレミアも見てみようかな、という気になった。
冲方丁「はなとゆめ」
才気煥発なヒロイン、清少納言の物語。女子的な面が強くもあり、切なくもあり。ラストは定型的だったが、ちょっと感動した。
歌人清原元輔の娘、清少納言は、持ち前の機知により、一条帝の后である藤原定子の女房に召し出される。宮中で中宮(定子)や同僚の女房、殿上人の男たちとの毎日の暮らしは楽しいものだったが、やがて起きた権力争いにより、陰が忍び寄る。
伸び伸びと、その時代の慣習にも気をつけながら、清少納言を有能かつ、現実に翻弄される1人の女として描いていて好感が持てる。高名な歌やエピソードも引いてあり、興味深い。
女房たちの話とあって、かなり女子色が強い。また、中宮に忠誠を誓う気持ちと、のちに考察されたような考え方や現代的な思考がないまぜになっている感がある。
でも、総体として醸し出されるものは、後の悲劇にある程度しっくりとなじむし、まずまずか、と思う。勉強になった。
清少納言が仕えていた中宮に対し、新たな后を立てようとしたのが、この時期宮中の権力独占を目論んでいた藤原道長で、新たな后が娘の彰子。その彰子に仕えていたのが紫式部。いわば陣営的には正反対なわけで、「紫式部日記」には清少納言のことが悪し様に書いてあるとか。
随筆、という新しい形が、ある程度爽快に描かれている。反発もあっただろうな、と少々サラリーマン的な目線からも見てしまったりして。
村上春樹「螢・納屋を焼く・その他短編」
たまたま見かけて手に取った。ハルキは、たまに読みたくなる。
東京の大学に進学し寮に入った18歳の僕は、高校時代に自殺した友人の恋人だった彼女とデートを重ねる。最初はぎこちなかった2人の関係も、少しずつほぐれていっていたー。
タイトルの通り短編集だ。「螢」は、「ノルウェイの森」と、はっきり言って同じ設定。「納屋を焼く」はまあハルキらしい。あと2つはちっとグロい。さらにはドイツが舞台の超短編が入っている。
昭和59年の短編集で、「羊」と「ハードボイルド・ワンダーランド」の間の作品。後に続く発想が多少は見えるが、なんか、初期の作品だからか、短編だからか、グロさとか、民話風なとこだとか、残るものが少ない気もして、ハルキらしくないな、という感じもあった。
次のハルキは何を読もうかな。
上橋菜穂子「月の森に、カミよ眠れ」
児童文学コーナーでたまたま発見。でもちょっと深く難しい。日本の伝説に根ざした、カミのおはなしー。
都では隼人と呼ばれる人々のムラに、ナガタチという若者が招かれていた。ナガタチは、カミと人間の母の間に生まれた子で、尋常ではない力を持っている。人々は、稲というものを、神聖な「かなめの沼」付近に植えるため、この地のカミを封じてほしいと、ナガタチに依頼していた。ムラ長である巫女、キシメは、ナガタチに長い説明を始める。
この作品は、読みたくて探していたが、「狐笛のかなた」と同じように一般用の文庫で、たまたま見つからないだけ、と思っていた。別の著書を探して、児童書コーナーをウロウロしていて、顔を上げた瞬間に目の前にあった。
中学生にも理解できる内容、らしいが、ベースとなる構図は単純なものの、表現やその意味するところはけっこう難しいと思う。漢字へのルビがけっこう新鮮だった。
さて、九州の祖母山に伝わるという、大蛇、おろち伝説をもとに、縄文的な時代の巫女、カミとカミの言葉を伝えるもの、畏れと、その変化を極めて人間的時代的に描いている。
物語中、ムラは重大で歴史的な転換点を迎えている。その中で古い信仰を廃しようとしている。隼人の山深いムラにもついに律令が強制される。悩み深い巫女と、当のカミ、出生にコンプレックスを持つナガタチがぶつかり合うところがクライマックスだ。
手塚治虫の漫画「火の鳥」に上中下巻の乱世編、という作品があり、そこでは、日本古来の神々の地に、外国の宗教である仏教が入ってきて争いが起きる、という設定があった。時の権力者も仏教を広めようとするのだが、そこはかとなく似た雰囲気を感じる。こういうの、好きである。
上橋菜穂子初期の作品。どこか整理されてなくてスマートでない印象を受けたが、学者としての視点をふんだんに取り入れた、珍しい、和ものの古代ファンタジーとして、楽しめた。
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