サッカー日本代表は生き残りを賭けたサウジアラビアとのホーム戦に2-0の完勝。これで勝ち点と得失点差は
1位サウジアラビア 19 +5
2位日本 18 +6
3位オーストラリア 15 +9
となった。残り2試合、サウジは中国とオーストラリア、日本はアウェーでオーストラリア、ホームでベトナム、オーストラリアはホームで日本、アウェイでサウジアラビア。
日本は5連勝、オーストラリアは直近の試合オマーンに引き分けてしまった。それでも次の直接対決に日本が負ければ、得失点差で順位は逆転される。しかも、少なくとも得失点差は4点の差がつく。
どうひいき目にみてもサウジは次の中国戦で予選通過を決めるだろう。となると最終オーストラリア戦は消化試合。最終戦ではいろんなドラマが生まれるけれど、フツーに見てオーストラリア有利。日本は最終戦で6点以上取らなければならないハメになる。
次はアウェーで勝ったことのない(なかったっけ?)オーストラリア。調子は日本は↑、オーストラリアは↓。でもサッカーはどう転ぶか分からない。日本はぜひとも勝って本大会出場を決めてしまいたい。
がんばれよー、3月期待してるぞ。
◼️ 桑原水菜「遺跡発掘師は笑わない
ほうらいの海翡翠」
盛りモリ。天才遺跡発掘師サイバラ・ムリョウ登場!古代への憧れからジェットコースターのような展開へ。奈良はいいなやっぱり。
桑原水菜は、以前アニメーションの歴史をまとめた本で初めて知って興味を持っていた。「炎の蜃気楼(ミラージュ)という歴史ものの大ヒット作があり、女子中心にファンが多く彼女らは「ミラネーゼ」と呼ばれたとか。
ラノベも好きだし、人の勧めもあってこの作品を満を持して読んでみた。遺跡発掘や鉱物の専門的な知識の説明がなかなか知的好奇心をくすぐる。鉱石が大好きだった石ッコ賢さんこと宮澤賢治が読んだらめっちゃ喜びそう。
ともかく、古墳の集中している奈良で遺跡発掘、知識の宝庫。独特の悠久な雰囲気を思い出し浸ったあとはジェットコースターのように速い展開へとつながる。動きは激しいし、壮大だしですっかり一気読み態勢だった。
アメリカで恐竜発掘をしていたところを奈良・上秦古墳の現場へと派遣されることになった若き発掘作業人、西原無量。21才の彼こそは「鬼の手(オーガ・ハンド)」を持つと言われる「宝物発掘師(トレジャー・デイガー)」だった。派遣元事務所から来たマネージャー役の永田萌絵とともに向かった現場で、無量は幼なじみの相良忍と再会する。文化庁の職員として来ていた忍と無量は幼少の頃仲が良く、悲しい出来事があって別れたままだった。
発掘が始まるとすぐに無量は緑色琥珀を掘り当てた。西原を指名して依頼した三村教授は「蓬莱の海翡翠だ!」と異常なくらいの悦びようを示す。しかしその夜、三村教授は研究室で何者かに刺殺される。萌絵が目にした研究室から出て来た人影、それは相良に似ていたー。
前半だけでも充分濃厚なミステリー、考古学的な説明と理論の組み立て。さらに後半ははるか南の島に飛ぶ。そして冒険、発見、逃避、解決、謎の説明へ。壮大で、盛り過ぎってなくらい盛り盛りだ。途中で何が最も大事なのか見失ったし。
読者を代表して物語に働きかけていく業界新人の萌絵もタダ者ではないし、萌絵の事務所は遺跡発掘全般に関する代理業のようなところで、その所長もひとクセあり、さらにスタイリッシュな女性ジャーナリストもおそらく今後の常連で出演するであろうことが匂う。
なんというか、ラノベと本格的な学問と現場のディテール、そこに大企業の思惑が絡んだ国際的な陰謀と、活劇、学問への憧れと南の島のロマンをぎゅーっと詰め込んで休ませない剛腕にはもはや敬意を感じてしまう。
まあその、やはりラノベなのでそこ簡単について行きますかーとか強引すぎる設定とか怒涛のような専門知識、設定と陰謀入り組みすぎ、とかには思うところもあるけれど、そこはそれ、流れに任せて楽しむべきでしょう。
タイトルに比してけっこうウエットなところもミソかなと。
私的には好きな奈良の風景を思い出し、古代ロマンに浸っていたりしたのでした。紹介されている大神神社は日本で最も古い神社とされていて、鳥居も大きさは確か日本一と書いてあったような。御神体は拝殿のすぐ後ろにある三輪山。登って降りて2時間くらい。ただし御神体なので、写真撮影不可、喉の渇きを癒すため以外の水分補給のみOKでほかは飲食不可。木々はこんもりとして、山頂付近は下生えも長いため外の景色がほとんど見えない状態だった神の山。
大神神社を訪れて、御神体にも登り、山の辺の道を少しだが歩いたのが懐かしい。高松塚古墳や天武天皇・持統天皇陵ほかほかの飛鳥も独特な雰囲気を思い出す。大阪府だけども聖徳太子のお墓も推古天皇陵も行ってきた。おそらくこの物語の前半の舞台であり、卑弥呼の墓とも言われる箸墓古墳は実はまだ行ってないし橿原考古学研究所、かしこうけんも訪れてみたいかな。
すでに多くのシリーズが現在に至るまで続いている。第2作の舞台は出雲。全部図書館にあるみたいだし、楽しみだ。
◼️ ジャン・ジャンジェ
「ル・コルビュジエ 終わりなき挑戦の日々」
「住宅とは住むための機械である」
モダニズム建築の巨匠。前時代へのアンチテーゼがほの見える。
よく話す友人に一級建築士さんがいて、ここ2年くらい関西に多いヴォーリズ設計の建築の話をしたり、近くにあるフランク・ロイド・ライト設計の邸宅を一緒に観に行ったりしている。ライトの建築は折よく全国ネット番組で取り上げられたりして、ちょうど訪ねた頃気分が盛り上がった。
大阪、神戸はモダン建築が多いところ。興味が出てきて、ライト、ミース・ファン・デル・ローエとともに近代建築の3大巨匠の一角とされるル・コルビュジエの本を読んでみようと借りてきた。
この本の表紙、フランスはロンシャンの礼拝堂、一見してデザイン的、前衛的、オシャレに見えてめっちゃ惹かれるものがある。しかし、読む限り、コルビュジエはある意味チョー機能重視の人でもあったー。
1887年スイスで生まれフランス国籍を取り1965年に没した方である。
画家でもあり、多くの絵を残した。シロウトには分類の理解が難しいが、キュビズムから一歩進めたと主張するピュリスム(純粋主義)を標榜していた。この本にも多く掲載されている。色使いにしても対象物にしてもなるほど近代と現代のはざまのような感じだ。
さて、メインの建築では、四角い箱のようなシンプルでなおかつさまざまな工夫がなされた建物を造っている。これは表紙のロンシャンの礼拝堂のようなものとは別のトンガリ方をしている。
コンクリート打ちっぱなし、構造ではピロティを多用し、同じユニットの同型住宅からなる大規模住宅、例えば23の異なるタイプからなる337戸が入った「ユニテ・ダビタシオン」などを造った。全体は四角いが、ブリーズ・ソレイユ、屋根付きバルコニーのような日除け設備を取り付けるなど光と熱に対する多くの工夫をしている。1戸にはなんと3階まである形をとっている。
コルビュジエが唱えた「近代建築の5原則」は
ピロティ、屋上庭園、自由な平面構成、水平連続窓、フリーファサードで自由と実用性とを重視している。
両親のため故郷に造ったジャンヌレ邸はまだオシャレな感じ。しかし代表作とされるサヴォワ邸などは脚で持ち上げた長方形の立方体型。屋上テラス、サンルーム、室内スロープなど内部は機能的でやっぱり洒脱。観に行きたくなる。
ル・コルビュジエの有名な言葉に
「住宅とは住むための機械である」
というものがある。これは自宅、自分の家というものは、住む人が要求する肉体的快楽であったり利便性であったり、人間に必要不可欠な静けさを提供するものであるべき、という思想のようだ。ふむふむ。
一方で特に目を引いたのは、家具に関して、シンプル化を強烈に主張していること。
「装飾は雑多な色を塗りたくったもので、未開人の快い気晴らしである」
「民衆が教養を高めれば、装飾は姿を消す」
まあここまで言わんでもと正直思ったりする。ライトやヴォーリズの著書でも、古い造り方を廃し、機能的、実用的、現代的に造るべき、という思想は伺える。これら近代の建築家はほんの前時代のエコール・ド・パリ、アール・ヌーヴォーや伝統的な建て方、ごてごてした装飾をつけた家具や設備などを一気に刷新する意欲に、やや過剰なくらい突き動かされているようだ。
日本では、国立西洋美術館がコルビュジエの建築作品で、世界遺産でもある。4月上旬まで休館とのことで、先の楽しみが増えた。
コルビュジェは都市計画もたくさん立案したが、あまりに前衛的で当時の政府には認められなかったものが多い。情熱はまことに激しく自分の思想を伝えるために旺盛に執筆、多くの著作物を遺してもいる。
この本、厚くはなく、ライトやヴォーリズの著作もすらすら読めたし写真も多いし、今回も早く読めるかなと思ったら意外に難しく時間がかかった。本人が書いたライトらに比べ、伝記的な本書は観念的なことが多いのかスッスッと頭に入ってこなかった。
岩波文庫の「伽藍が白かったとき」や「建築をめざして」あたりはそれでも読んでみたいかな。ちょっと難しそうだな。
建築いいね。少しずつ、観に行って、読もうかな。
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