2016年3月29日火曜日

変わった楽しみ





これまでも書いてきたかもしれないが、私は書くことそれ自体が好きである。自分の文章が、上手い、という手応えは全くない。でも書いて残しておくのは、こうしたプライベートでも、仕事でも同じである。創作、小説、となると躓いてばかりだが・・(笑)。

今は「続・プレイボール」というのを書いている。なかなか楽しい。

これは、ちばてつやさんの実弟、故ちばあきお氏が書いたマンガで、子供の頃愛読していた中学野球ものの「キャプテン」とそれに連なる高校野球もの「プレイボール」の続編を文章で書く、というのをやってみている。元の物語のあらすじを。

「キャプテン」の初代主人公は谷口タカオという野球少年。中学2年の時、東京・下町の墨谷二中に転向してきた谷口。野球部に入り手持ちのユニフォームに着替えた彼を見て、周囲の部員は驚く。野球の超名門、青葉学院のユニだったからである。これは大変な実力者が入ってきたと、さっそく打たされるが、顔のところに来たボールを場外ホームランしてしまった谷口はさらに尊敬され、しかし落ち込んでしまう。そう、彼は青葉学院でも2軍の補欠で、まるで下手くそだったのである。場外ホームランも、危険な投球を避けようとデタラメに振ったバットにボールが偶然当たったものだった。

クヨクヨする姿を見た大工の父が、それなら本当に上手くなれ!と谷口を叱り、そのための練習器具も手作りする。谷口は練習後の夜、神社の境内で猛特訓を積み、やがて3年生が卒業する時、4番でサード、キャプテンに指名される。

谷口はびっくりして、自分は青葉学院でも2軍の補欠だった、とナインの前で告白するが、3年生のキャプテンは、「そんなことは最初から分かっていた。お前は陰の努力で実力をつけたじゃないか。」と告げる。

と、ここまでが最初の読み切りものだったらしい。好評を博したからだろう、「キャプテン」として話は続く。

谷口をキャプテンに迎えた墨谷二中は、 1年生エースで剛腕サウスポー井口を擁する江田川中やデータを駆使する金星中といった相手に苦戦しながらも勝ち抜き、東京地区大会決勝に初進出。相手は青葉学院だ。青葉を知る谷口が課した猛特訓を耐え抜いたナインは、2軍を出してきた青葉をリードする。業を煮やした黒メガネの青葉の部長は、全員を1軍に入れ替えるが、1軍を念頭に置いた練習をしてきた墨谷二中は、青葉のエース佐野をも打ち込む。逆転を許した9回ウラ、2点差まで迫り、ツーアウト満塁で打席に谷口。谷口は佐野の失投をレフトフェンス直撃の打球。2塁から同点のランナー、1年生のイガラシがホームへ突っ込むがアウト、1点差で敗れる。

この健闘が認められ、春の選抜大会に特別に出場が決まった墨谷二中。しかし取材に来た新聞記者が、決勝戦で青葉が14人以上の選手を起用したのを知り、連盟に問題を持ち込む。決勝戦でも墨谷二中は抗議し、審判も一旦は抗議を認めたのだが、ルールブックに記載されていないことを青葉の部長が指摘し、審判が受け入れたのだった。双方に事情聴取した連盟会長は、「中学野球は高校野球のルールに則している。試合に出る人数に関しては常識としてルールブックに謳っていないのは分かっていたはずだ。」と青葉の部長を責め、墨谷二中と青葉学院の再試合を命じる。 

と、物語はさらなる展開を見せるわけだが、ルールブックに明記しろよ、と言いたくなるのはちょっとガマン。連盟会長や役員がお膝元の決勝戦見てなかったんか、とも思うのだが、まあ劇的な展開ということで。むしろ、この件や、墨谷二中のエースが、地区大会決勝で肩に打球を受けて投球不能に陥ったことなど、先々への計算が見て取れる。谷口を信奉する2年生の丸井、跳ねっ返りの名選手、1年生のイガラシと、後々のキャプテンが登場しているのも注目点。

すでに全国大会で優勝していた青葉学院との、異例の再戦は、「事実上の全国大会決勝戦」と注目を集めた。大観衆の中での試合、墨谷二中は緊張のため、序盤に9点ものリードを許してしまう。終盤に追い上げるも、先発して強力打線の相手をしてきたマウンドの1年生イガラシには限界が迫っていた。この日のためにピッチャーの特訓をして来た谷口は、ブルペンで投じた豪速球で周囲を驚かせるが、ファールフライを捕ろうと青葉ベンチに突っ込んだ時、人差し指の爪をはがしてしまう(後に骨折していたことが明らかになる)。

ファール打ちで、イガラシに球数を投げさせる青葉。限界と見て取った谷口は9回、マウンドに上がり、なんとか青葉打線を抑える。最終イニング、墨谷二中のチャンスに、青葉の部長は、3番イガラシ、4番谷口の敬遠を命じるが、すでにファール打ちの時に、味方の応援団にさえ「それが名門青葉の野球か、そんなことまでして勝ちたいのか」と激しく野次られていた青葉ナインは動揺する。

選手を呼んだ青葉の部長は、いったんは敬遠を再度強く指示するが、ナインが落胆する様子を見て、選手の力を信じようと考え直し、勝負を命じる。気合いを入れ直し、これまで見た事のない力のあるボールで谷口を抑え込みにかかる佐野。しかし谷口も、バットを折りながらレフト前に運び、イガラシがホームイン、逆転サヨナラ勝ちを飾った。

と、ここまでが谷口キャプテン時代の話。キャプテンは丸井、イガラシへと受け継がれ、「キャプテン」は長く続くのだが、並行する形で、「プレイボール」の連載が開始される。

墨谷高校に進学した谷口。骨折した右の人差し指は曲がったまま固まってしまった。野球部の練習をフェンス越しに見る姿は、誰もの同情を誘ったが、ある日、サッカー部のキャプテンが勧誘する。最初は苦戦するが、猛練習と運動能力でサッカー部の戦力になっていく谷口。しかし、少年野球チームの指導をしているのをキャプテンに見つかってしまい「野球に魂が行ってしまっている奴を置いといても仕方がない。」とキャプテンの取りなしで野球部に入部する。

代打として期待される谷口は、バッティング練習でナインの度肝を抜く。墨谷高校野球部は初戦負け常連の弱小校だった。谷口は1回戦の相手を偵察し、試合中的確な指示を出して、自身の代打2点タイムリースリーベースで試合をリードする。ライトに入った谷口だったが、故障を抱えているのを見抜かれ、最終回のピンチにライトフライを打たれてしまう。捕球した谷口が投げられないと、相手が気を抜いた瞬間、谷口は威力あるバウンドの球でバックホーム、アウトにして1回戦勝ちを収める。

谷口の研究と指示で、2回戦はコールド勝ちを飾った墨谷高校は、3回戦で野球名門校の東都実業と当たる。すでにノーバウンドで投げられるようになっていた谷口だが、曲がった指に挟んで投げているため、送球がナチュラルのフォークになっている事が分かる。迎えた東都実業戦、墨谷は5点を奪われ、谷口がマウンドに上がる。フォークボールで東実を0点に抑える谷口だったが、スタミナが切れ、終盤ついにつかまった。キャッチャーの田所がリリーフするが、猛攻に遭い、10点をリードされてしまう。墨谷最後の攻撃、8点を奪うが、ついに力尽きる。

この日の熱投で肩に炎症を起こした谷口は、病院に行くが、医師に、その指は治せる、と告げられ、手術する。新チームのキャプテンになった谷口のもとに、中学時代に谷口と戦った名捕手、倉橋が入部してくる。実質的に2人の2年生が中心となった墨谷は、翌夏の東東京大会も勝ち進み、5回戦では、快速球投手・百瀬と強力打線を擁する専修館を破ってベスト8に進出する。この年は準々決勝で敗退、3年生が引退する。

OB会も発足、その後援で広い練習場を得た墨谷。入試では落ちた丸井が編入して来る。久しぶりに出場した秋季東京大会ではブロック予選で、もと青葉のエース佐野を擁した東実を破って、本大会のベスト8まで勝ち進み、シード校となる。春、井口やイガラシら新1年生を加えた墨谷は、選抜ベスト8の第1シード校、谷原高校から練習試合を申し込まれるが、全く力が通用せず大差で敗れてしまう。そして、帰りに練習場へ走って向かうシーンで物語は終わっている。あー長かった。

これだけのものを含んでの続編で、マニアックなことこの上ない。「プレイボール」の最終巻で、ちばあきお氏は、大学生、そしてプロに進んだ谷口くんを描いてみたい、と書いていた。

それを何十年も経ったいま私なぞがやろうとしている。天国のちば氏は許してくれるだろうか。多少下手でも、子供の頃、家族で何度もなんども繰り返し読んだことで免じてくれれば幸いだ。

2016年3月22日火曜日

休みに働き・・







3連休は中日に働いてあとは休み。先週も土曜に出たし、次週は週末仕事で、土日に働くこの2、3月。

先週は代休で、映画を観に行ってきた。ハンガリー映画「サウルの息子」。

たまたまサービスデーでラッキー。多いかなと思ったけど、そこは神戸の単館系映画館にマイナー映画。さして混む事もなく、出口に近い席で観ることが出来た。

カンヌグランプリ、最高賞パルム・ドールの次点の賞の作品。ヨーロッパでは、ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺が絶対悪で、とても作品が多い。

今回は死体の処理やガス室の掃除などの雑用をするユダヤ人の話。主人公サウルのワンショット押しの手法なので、当然サウルの表情やしぐさに目が行きがち。しかし背景は、男も女も老いも若きも裸にされ一緒くたにガス室で殺されたり、累々と裸の死体が積まれていたりと悲惨を極める。

ワンショットというのは、ある程度融通がきくもので、サイズを広げれば人と話すときはツーショットやもっと広い絵に出来たりするので、バリエーションはあるが、それでも特徴的だ。あまり映らない背景のアクションが計算し尽くされてたりとか、長回しが多かったりして、技術的にかなり難しい事をやっていた。

ストーリーは、この類によくあるように、断片的で、人もたくさん出てくるから分かりにくかったりする。サウルに一つのこだわりがあって、極限状況がその実行の難しさに拍車をかけ、悲惨で終わる。

話の内容に虚しさを感じたり、というよりは、台本も含めて技術的なところに目が行ったな、やはり。

昼ごはん、私は映画館の近くの喫茶店で出すなすベーコンピラフに愛着があったが、久しぶりに行ってみると、2階にあった店が移転して地下になっていた。なすベーコンピラフはまだあってホッとした。分煙で、タバコは3本以内でお願いします、と言われたのには少々笑った。

しばし旧居留地をぶらつく。次は伝統ある洋食屋の十字屋にしよう。ブックオフで40分くらいかなと思い、ゆっくり見ていたら1時間半も経っていた。

帰って本を読む。先月の沖縄はなかなか読書が進まなかったが、今月は快調だ。ぶ厚い作品の合間に、早めに読める本をはさむのがコツみたいなもので、2月はこの点失敗した。じっくり読む、ばかりでページが進まないと、しまいに嫌気が差してくる。

この日曜日に会社の女子が、1人は披露宴、1人は入籍と幸せいっぱい。2次会参加を打診されたが、仕事なのでお断りする。

土曜日は家、日曜仕事、月曜は息子とともにゆっくり寝て、夕方から少し外出。よく晴れたがちょっと寒い。ラガーシャツにライトダウンで。クリーニング屋と本屋に寄って、帰りは散策。

久しぶりに川沿いを歩いて登って、前住んでいたマンションの近くの神社に行ってのんびりする。なんか、家を移って、歩くといえばバス停行き帰りの7〜8分、職場も駅から5分だし、最近歩くことがあまりなかったから、身体が運動を求めているような感じだった。

寒の戻りがまたあるそうだけど、世はもうすぐ春。身体をうまく休めつつ頑張ろうかな。

2016年3月14日月曜日

そこまで






 寒々の先週。一日中外仕事が2日もあり、凍えた。沖縄から帰ってきてほわーとしていたのがようやく抜けつつある。読書も進むようになってきたし、少しずつ復活。

この寒さを抜けると、春の陽気が来るようだ。GWにはもう暑くなるから、活動しとかないと損するかな。

あとは痩せねばな・・。

2016年3月3日木曜日

2月書評






沖縄に行く前は、数も読めるさ、と思っていたが、終わってみたら3冊。たぶん持っていく本のチョイスを間違えたと思う。来年あるとすれば糧としよう。

しかしこんなに読まなかったのは何年ぶりかな。


村上春樹「風の歌を聴け」

村上春樹のデビュー作。1979年の作品だが、ハルキ色の片鱗が見えて面白い。周りに好きな人が多かったので読んでみた。

1970年、夏休みで故郷に戻ってきている、生物学科の学生「僕」はなじみのバーで、金持ちの息子「鼠」と飲むことが多い。バーで鼠と出会えなかったある夜、僕は洗面所に倒れている女の子を部屋まで送って行き、そのまま夜を共にする。

なんというか、哲学的な会話があって、主人公はドライで、音楽と酒の趣味がよく、ノスタルジーに浸り、人生とは、孤独とは、と考えさせる。やはりハルキは肌合いが違うな、と思わせる作品だ。

文芸の友人にはハルキにハマっている人がけっこういて(特に男子)、私も読み始めてだいぶ経つが、読むジャンルの一つとして面白いと思っている。最近進めた友人はあっという間に読むのやめた、とか。(笑)まあそんなもんだが。

読むのに慣れると、ふふふ、またハルキらしい、と微笑んでさえしまうし、読んでる最中には、ノスタルジックに同化したりしてしまうのだが、まあ今回も同じ感じだった。

増山実「勇者たちへの伝言 いつの日か来た道」

阪急ブレーブス、西宮球場をめぐるドラマ。

五十路を迎えた放送作家の正秋は、かつて父親に連れて行ってもらった西宮球場に近い西宮北口の駅で「いつのひかきたみち」というささやき声を聞く。そして今はない西宮球場のジオラマを見た帰り道、あの日の西宮球場へとタイムスリップする。

出て来た人が過去と現在とで絡み合い、周到に用意されたストーリーを展開する。何よりも当時のブレーブス、西宮球場に対する愛情、そして時代への愛着に溢れている。

私もお客さんの入らない平和台球場で、弱いライオンズを応援していたが、関西の野球少年には、昔のブレーブスを好きだった者も意外と多い。強くても客が入らんと言われた割には、昔の阪急にはすごい選手が多かった。私の時代だと山田久志、足立光宏の両アンダースロー、福本、大熊、高井、ウィリアムス、マルカーノ、ショート大橋。

この本の時代はもう少し前だが、哀愁はどこか共感できる。

テーマは興味があるが、仕掛けはとても凝られていて、きれいすぎるような気がする物語だった、でも嫌いではない。ストーリーや登場人物が持つ力は弱くなかった。

姫野カオルコ「昭和の犬」

ふうむ。不思議なテイストを持つ、直木賞受賞作。戦後と呼ばれる時代から現代までの実感。世代的に共感。

シベリア抑留帰りで、動物好きだが感情の起伏が激しい父と、意味のわからない笑い方をする変わり者の母と、イクは5才の時、事務所のような家で一緒に暮らすことになる。家には、よく吠える犬、トンと、イクと仲良しの猫、シャアがいた。

イクが幼児から49歳までの物語、連作短編である。すべての話に犬が出てくる。また、昔はよくやっていた、洋物テレビドラマのタイトルが各章に冠してある。

なんというか、少々変わり者に育ったイクの成長と平凡な生活を通して時代を描き、犬はスパイスとして表現されている。たんたんとしたストーリーなので、刺さるようなものは無いが、寸分も漏らしてない、計算されたものを感じる。この回の直木賞は、私の2014年の年間ナンバーワン、朝井まかて「恋歌」と同時受賞である。

しみじみと、そうだったよなあ、と思いつつ、どこかに爽やかさをも醸し出す。小説を読んだ、という気になるから不思議でもあった。ダイナミックさはないが、秀作であるのは間違いないだろう。

2016年3月2日水曜日

帰還






最後は那覇に泊まった。那覇は都会だな〜やっぱり。あまり一緒に飲まないメンツとメシに行く。でも私も会社で長くなったしどこかで一緒に仕事した者たちでたまたま入った時の直上の先輩もいて、大いに盛り上がり、大いに笑った。ちょっと最近ないくらい笑って満足。身体はボーッとして、疲労がたまっているのがよくわかる。

翌日は早々に空港へ。沖縄最後の食事はざるそばとカツ丼のセットだった。待合いでなかなか出来なかった読書。神戸行きの便はガラガラ。行きもそうだったけど、沖縄便ってあまり混んでるイメージがない。半分読書、半分は爆睡。

ちょうど冷え込んだ時に帰ってきて、空気が底冷えしている。沖縄は風が吹くとまた違った寒さでダウンも必要だが、こちらは冷たい感じだ。

息子迎えの車に同乗。なんでもiPadが壊れたらしく、パワプロが出来ずにパパが帰ってくるのを心待ちにしてたとか。

着替えて鍋の晩ごはん。家メシとても美味い。

ねむねむで、ワンコを可愛がりつつ、息子と久しぶりの同衾。ふざけ合う日常が戻ってきた。

とりあえず寝よう。