2023年4月20日木曜日

4月書評の10

外出をしないこともあり、がっつりスイーツしばらく食べてなかったところがひさびさの苺🍓ケーキ。刺さっているものに練乳が入ってた。あまうま〜()イイね♡*˚


◼️ こまつあやこ「リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ」


「吟行」に興じる中学生たち。マレーシアと日本と。ハートフルに、おもしろい。講談社児童文学新人賞。


児童文学、ジュブナイル小説は好きでよく読む。森絵都「宇宙のみなしご」、関口尚「プリズムの夏」などはなかなかの佳作だった。子どもにマッチする伸びやかな発想と、幼くじゅくっとした悩みとの共存。家族もまた距離が近いだけに、大人の生活とはまた違った重要な意味を持つ。


花岡沙弥は回転寿司の職人の父がマレーシアでの出店に派遣されることになり家族4人で移住、2年半を過ごして中学2年の2学期に帰ってきた。帰国子女ぶっていじめられないようにと気を遣って過ごす毎日。出国前に時計を買った店の息子で、絵を描いて励ましてくれた同じクラスの藤枝港(こう)がひそかに気になっていた。でも港は昼休みになるといなくなりなぜか教室で給食を食べない。そんな折、「督促女王」として有名な図書委員の3年生、美人の佐藤莉々子から図書室に呼び出される。ビクビクしていると、莉々子からギンコウに行こう、と誘い出されるー。


吟行とは、和歌を詠むお出かけのこと。莉々子は沙弥にパートナーになって欲しいと告げる。どうやらこれまでもパートナーはいたようだ。変わり者の督促女王とつるんだりしたら、何を言われるか分からない。渋っていた沙弥だったが、莉々子の歌を読み、自分も詠んでみると、心地よさを感じて、パートナーを引き受ける。


日常に目にすることや感じることを詠んでいく。その新鮮さがイイ。私も三十一文字、みそひともじは好きで、とはいえ見慣れているのはいつも万葉集、伊勢物語といった名歌が多いので、川柳に七七をくっつけたような、でもどこか詠んだ心のうちが見えるような作品には逆にみずみずしさを覚える。


おまけに、マレー語がふんだんに取り入れられ、歌にももちろん使われる。その微妙なマッチングと語感の効果が楽しくもある。


ストーリーはあまりダイナミックなものではないが家族の疑惑あり、意外な切ない関係ありで少しずつ各キャラが立っていく。クリスマスの演出でおっもしろいなあーと確信した。児童小説の幼い明るさ、楽しさの中の、意外な行動に切ない気持ち。


アジア、イスラムに和歌という取り合わせ。絵本とは違う。また児童小説にも向けた年代の違いがある。痛みを含むものもある。今回は明るくおもしろく、アジアンで和風、ちょっと知的。自然で素直でまっすぐだ。


良い読書でした。


作中に出てくるランガナタン「図書館学の五法則」って興味そそるー早く調べなければっ^_^






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4月書評の9

◼️ 小池真理子「怪談」

バリエーション豊かなホラー短編集。怖いは読書の基本の1つ?笑

ここ1〜2年はホラー系、怖い話の小説をなぜかよく読んでいる。「怖い」異世界、異形、常識を異にする事物との遭遇を読みたい、と思うのは本読みの本能の1つかも、と思えるほど人気があるジャンルだというのが伝わってくる。まあ興味を惹かれているせいかも、だし、コワい話は苦手、という人もいますよね。

小池真理子は確か読んだことがあるけども、直木賞を取った「恋」というタイトルの印象が強いからか読んだ作品が恋愛ものだったからか、あまりホラーを書く人、というイメージはなかった。書評を見ていると、怖い話の評価が高く、しかも短編の名手だという。時々上がっているこの本を読んでみた。

「岬」
「座敷」
「幸福の家」
「同居人」
「カーディガン」
「ぬばたまの」
「還る」

40ページほどの物語が7つ。現代ものだが、昭和の匂い、平成の遊びというテイストがある。

「岬」は若い日の恋愛の追想からヒヤリ、「座敷」はなにやら古典的な広い屋敷で襖を開け放つ和風迷路空間的な怖さ。
そして「幸福の家」では違和感がラストに突然逆転するような感覚を抱く仕掛けもの。

「同居人」は設定も成り行きも嫌いではない明るめのもの。「カーディガン」いつのまにか人が増える〜ストーリーの作り方に面白みあり。夫婦愛、誰にも有り得るような「ぬばたまの」。姉弟愛と悔恨の「還る」。

ホラーはやはり、次に何が来るのか、どういう異界のものが出てくるのか、最後にどうなるのかを読みたくて次へと急いでしまう。推理小説と違い、キパッと解決編がなくてもOK。なんつったってこの世ならぬもの、常ならぬできごと。

それぞれ上手に異質な世界を描いていて、粒揃い、まとまっていると思う。現実社会の恋愛や社会生活といった現実感の出し方もふむふむと思う。

小池真理子のこっち系の作品、もう少し読んでみようかと思う。

4月書評の8

4月の週末は目立った外出なし月間になってます今のところ。先週末の土曜日は一日中雨で久々にずっと家、日曜も昼から天気急変して荒れるかもとのことで買い物してパッと帰る。結局日中は何もなく、暗くなってからようやくというか、すごい雷鳴が響いて大粒の雨が激しく降っていた。

宵の明星・金星はいま東方最大離角に向かってて5月中旬まで高度が上がり続けるとか。帰りにちょうどバス停から山を登る方向に見える。やや遅くなった時、山の端に沈みそうな明るい光が見えていて、突然同じ光が山の下に横切ったと思ったら土手の上を走る自転車のライトだった。

で、プロ野球⚾️は土日にデーゲーム、そして🏀Wリーグが大詰め。この土日は2戦先勝方式のファイナル。女王トヨタvsトヨタの前の絶対女王ENEOSの、宿命の対決は1勝1敗であす月曜日の第3戦へ。競った展開が続くので死闘の様相を呈している。勝つのはどっちだ?🫣

夜はフィギュアスケート⛸シーズン最終の国際大会ともいえる国別対抗戦を観る。日本はケガ人が多い印象。優勝したアメリカは男子は新星、4回転半アクセルの18才マリニンや16才の全米女王レビトなど新世代が充実している。2位に入った韓国も男女とも北京冬季オリンピック後の選手の層が厚いイメージ。来シーズンはケガを万全に治した日本人選手たちとの戦いが楽しみ。

バスケもフィギュアもちょい沼。楽しい!実は来週末は🏐Vリーグが男女ファイナルなのです😆

ソワレ、は京都のオシャレなレトロ喫茶でゼリーポンチが有名。思い出し掲載。ひさびさに京都で美味しいスイーツ楽しみたくもあるけれど、いまはめっちゃ人多いだろうなと。

NHKアニメ「青のオーケストラ」でヴァイオリンの演奏、ヒラリー・ハーンやマリア・ドゥエニャスなど世界的奏者が弾いていると知りびーっくり。毎週見ることにします。

GWの予定でも考えようかな╭( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ

◼️樋口一葉「闇桜」

おむつましいこと、との無遠慮な声で乙女心が動き、所詮癒るまい、という病を得るー

古語で書いてあるのでとても完全には理解できていないのだが、つのる儚さ、切なさは伝わってくる気がする。樋口一葉が文壇に出た処女作だとのこと。1892年、明治25年のこと。

垣で隔てられてはいるものの、隣同士の両家、園田家の跡継ぎ、良之助22歳と、中村家の16歳の一人娘で美人と近所に噂される千代。2人は兄妹のように仲良く育った。摩利支天の縁日に出かけ、喧嘩にも見えるやり取りをしながら歩く2人。そこへ束髪の千代の学友たちが通りがかり、「おむつましいこと」という言葉が花の唇から放たれ笑い声を夜風に残して走り去った。

この言葉で千代は初めて良之助を男性として意識して病の床に就く。想いが募り夜もろくに眠れぬ千代。見舞いに来た良之助は1日も早く良くなってくれるがいい、と言う良之助に、千代は所詮治るまいと思います、良くなる筈がありませんもの、と返す。そして・・

先に触れたようにすべて理解はできていない。しかし文中に散らされた修飾の表現はいかにも儚げに美しく、過ぎ去って、終わるもの、という感慨を読み手に起こさせる。

本当に仲良く言い合いをする2人の姿は若く、まぶしいほど光って、幸福感に縁取られている。そこへ投げかけられたたった一言のからかいで千代は恋の物想いに沈む。

ぬば玉の闇色、仮初の返答(いらへ)、きぬぎぬの空、幾筋の黒髪緑、といった心に沁み入る言葉を織り交ぜながら乙女の心持ちを流れるように綴る。そして終盤、見舞いにやってきた良之助はいつものようにずけずけと物を言う。言葉を返す千代は変わってしまっているが、会話そのものは楽しかった頃を反芻するような形に見える。それがまた切ない。

泉鏡花の初期の作にも見られるけれども、当時は短編の中で命にかかわる極端な成り行き、というのも小説の流れの一つとされていたのか、など思う。

物語のパターンはあれ、その瑞々しくもろくそして美しい装飾、感覚は樋口一葉の素晴らしさだと思う。古典を踏まえていることも日本語的知的さ、とでもいうものを深めている。

うーん。樋口一葉は上手で独特の立ったものを持っているなと実感した。

4月書評の7

◼️ 西條奈加「千年鬼」

過去を見せる子どもの鬼。選ばれた者には弾けると恐ろしい鬼の芽がー。興味深く読み応えある作品。鬼好き👹

西條奈加に興味はあったが確か初読み。節分の鬼もの特集棚から買ってしばらく積んでいた。終盤でつながる連作短編。黒鬼に、赤い色に緑の髪の鬼・・この世界にゾクゾクする。

幸介は幼いながら小売酒屋の通い奉公の身で、何かと周囲に意地悪をされている。店の末娘・糸にもらった炒り豆を、いつのまにか自分の前にいた3人の子どもに食べさせてやる。自分より小さく、額が広く前に突き出し、それぞれ耳、目、口が大きいという特徴があった。豆を食べた後3人は、自分たちは過去見の鬼で見たい過去を見せてやると言い、幸介は、侍の馬が暴れて、母が死に父が大怪我をした、その場面が見たいと願う。そしてー。

過去を見せるー、幸介、武家の娘、長屋に独居のお婆さん、若く勇壮な農民と過去を見せる相手は次々と変わっていく。やがて時は戻り、過去見の鬼の宿命が明かされる。

この話では、人間の中に生まれた鬼の芽がポイントになっている。前半では人が踏みとどまるが、ストーリーの形が少しずつ変わり、何かが崩壊する感じを受ける。そして鬼の芽が弾けてしまう姿も描かれる。

鬼といえば、人間が激しい怨念から鬼となったり、人間界と天界のはざまで生まれたものであったりして、人々に災いをなすものと恐れられている受け取り方が一般的かも知れない。一方で中央政権に従わない者たちがそう呼ばれることもある。さらには、魔を追い払う存在として英雄的な扱いを受ける、という実例も地域により少なからず見られる事象だそうだ。

今作の短編には出現を切望されている鬼、という設定もあり、奥深さを感じさせる。また、罪というのは人間が作ったもの、という理論も考えさせられた。

民話、鬼のアニメのようなテイストを取りつつ、思考力に訴える流れをも作り、ややアダルト風味も混ぜている。輪廻転生も手塚治虫のようにダイレクトに取り入れられて、さまざまな場面が現れる。鬼の死、という部分は想像力だろうか。

2023年4月14日金曜日

4月書評の6

◼️ ウィリアム・シェイクスピア「尺には尺を」

大団円のように見えて「ん?でもなあ」と不可解な部分を残すシェイクスピアの「問題劇」。

シェイクスピアは1595年に「ジュリアス・シーザー」を発表してからのち、重苦しい作風の四大悲劇の時期に入る。同じころ書かれたのが、人間の我欲や権力者の不可解な心理や采配を描き、結末に割り切れないものを感じさせる「問題劇」というジャンルらしい。たしかに前読んだ「終わりよければすべてよし」も、んー、でもなあと思わせるものだった。

舞台はウィーン。公爵ヴィンセンショーはお堅く真面目な性格のアンジェロに代理を託して、旅に出るふりをして修道士に身をやつす。公爵は尊敬されていたが、厳格な法令や苛烈な法律があるにも拘らず施行されていないという風潮を気にしており、アンジェロに厳格な適用をさせて圧政の誹謗中傷までを引き受けてもらおうという目論見があった。

折しもクローディオという若者が恋人のジュリエットを妊娠させたとして捕縛され、死刑を宣告される。側近たちはクローディオに同情的だったが、アンジェロはガンとして判決を変えようとしない。クローディオの妹イザベラは美しく弁が立つ修道女で、周囲の画策によりクローイザベラはアンジェロへ直接、兄の助命嘆願をする。

アンジェロはイザベラの魅力に邪心が芽生え、兄の命を救う見返りに自分のものになれ、と告げる。一方修道士となって出入りし事情を探っていたヴィンセンショーはこのことを知り、イザベラに策を与えるー。

シェイクスピアらしく、間の抜けた巡査やしゃべり過ぎのクローディオの友人、売春宿のポン引きなどが場をにぎやかにしている。性的な意味合いを含むセリフがとても多い。

ストーリーの仕込みとしては万事うまくいくように流れそうではあるものの、それぞれの登場人物はその通りの行動、言動はせず、思惑が入り乱れる。最後に正体を現すヴィンセンショーが何を考えているのか、オチでは4組もの結婚カップルが誕生するのだが、それぞれに黒い面があり、うーんと納得し難いものが残って終わる。これが問題劇。うーん。

四大悲劇では、心理的なものをえぐったり、ハムレットのように過剰な言動が見られた。大がかりでダイナミックな四大悲劇に対して問題劇は、喜劇的な様相を見せながら、人の心の奥底を、小技を駆使してまざまざと見せつけている感覚だ。この納得的なさが現実感を増す、というものなのだろうか。

ただの喜劇ではなく、捻っていて露悪的。それもまた、シェイクスピアの深みを表していると言えばそうかとも思える。

尺には尺を、というタイトル、原題は

「Measure for Measure」

目には目を、歯には歯を、類には類を、ものさしにはものさしを、という意味らしい。劇中でヴィンセンショーは、クローディオにはアンジェロを、と口にしている。その図式は分かるのだけども、自分の利を取りすぎでしょ、という気にもなる。

ふむまあこれもシェイクスピア。なるほど。

4月書評の5

◼️ Authur  Conan  Doyle

The Man with the Twisted Lip(唇の捩れた男)


この作品の挿絵は印象に強く残っている。どこか人生を考えさせられちゃったりする一篇。


ホームズ短編原文読み31作め。今回は第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険」より。ストランド・マガジンで連載を始め人気爆発して間もない頃の作品です。


後で出てきますが、私はこの話のある挿絵が全シリーズ中でもかなり好きな方です。ページ数としては多めなので飛ばしていきます。


"He has not been home for two days. I am so frightened about him!"

(ウチのダンナが)2日も家に帰ってこないのお!心配で心配で!」


1889619日の夜更け、ワトスンが仕事で疲れ切っているワトスン夫人のメアリに友人が泣きついてきます。行き先はアヘン窟と分かっていました。


飛ばして行こうと思ったのですが1つだけ。メアリは友人をなだめ、何があったか話してみて、というのですが、そこで


"Or should you rather that I sent James off to bed?"


「それともジェイムズには寝室に外していてもらいましょうか?」


と話すのです。言うまでもなくワトスンのファーストネームはジョンです。なぜジェイムズと呼んだのか?実はこの問題はシャーロッキアンの間でカンカンガクガクの議論の的となっています。シャーロッキアンは平和ですね^_^


私が読んだシャーロッキアン漫画では、実は J.H.ワトスンのHは「ヘイミッシュ」であり、ふつうの英語読みがジェイムズだったのではないか、という説が披露されていました。ジェイムズはスコットランドではヘイミッシュと読まれるんだとか。どうやらミステリ作家ドロシー・セイヤーズの説のようです。


さてワトスンは単身テムズ川沿い、アッパー・スワンダム・レインの波止場に面したエリア、のアヘン窟に入り、支払いまで全部済ませて連れ帰ろうとしたところ、なんと潜入していたホームズに出会います。


"Holmeswhat on earth are you doing in this den?"

「ホームズ!こんなアヘン窟でいったいぜんたい何をしてるんだ?」


ホームズは事件の捜査にワトスンを付き合わせたいようでした。ワトスンは手紙を書き、手のかかるダンナを馬車に乗せて帰します。ここまで2ページに渡る序章でした。ここからです。


ホームズは二輪馬車、いわゆるdog cartの手綱を取り、ワトスンを乗せてケント州リーの方向へと向かいます。事件の詳細はすぐに話そう、という約束のはずが、ホームズはしばらく黙り込みます。ワトスンも思考の邪魔になるからと黙っていました。


"You have a grand gift of silence, Watson," "It makes you quite invaluable as a companion."

「君は沈黙という、本当に素晴らしい才能を持っている。だから僕にとってなくてはならない捜査仲間なんだよ」


ふだんワトスンにさえ冷淡で皮肉屋のホームズにしてはかなり和む言葉。しかし続けてあの夫人に何て言ったらいいか・・なんてよく分からないことを言い始めます。


"You forget that I know nothing about it."

「キミ僕がなんも知らされてないこと、忘れてるやろ」


ワトスンの的確なツッコミにようやくホームズは説明を始めます。


数年前、ネビル・セントクレアという男がリーに現れ、大きな屋敷を買い、おおむねいい暮らしをしていた。やがて地域との付き合いも広がり、2年前に地元の醸造業者の娘と結婚して2人の子供を設けた。定職はないようだったが、いくつかの会社に利害関係を持ち、毎朝ロンドンへ出かけ、毎夕514分発の列車でキャノン街から帰ってくる。いま37歳で穏やかな人柄、良き夫でよい父親。彼を知る人から人気を得ている。


負債は88ポンドちょっとなのに対して預金残高は220ポンドあるから、金銭トラブルの可能性は低い。webで調べたところ、ちなみに当時1ポンドは約2万円だったらしいです。


この月曜日、つまり4日前、ネヴィルはいつもより早く家を出て、2つ大事な仕事がある、帰りには幼い息子に積み木を買って帰るよと言い残し家を出た。偶然にも同じ日に妻宛てに、彼女がずっと待っていた荷物が届いたので船会社に取りに来て欲しい、という電報が届き、妻はアッパー・スワンダム・レインに近い船会社に出かけて行った。そして荷物を受け取り435分ごろスワンダム・レインを通りかかった。するとー


she suddenly heard an ejaculation or cry, and was struck cold to see her husband looking down at her 


「突然絶叫か、何かに驚いた声のようなものを聞いた。そして自分の夫が見下ろしているのを目にしてゾッとした」


動揺した夫は腕を振った。それは手招きするようにも見えた。そして次の瞬間窓からいなくなった。後ろからグイッと引っ張られたようにも感じた。ちゃんと服を着て行ったはずなのにカラーもネクタイもしていなかった。


夫人は建物に入り階段を駆け上がろうとしたがアヘン窟の店主、悪党のインド人がその行手を塞いだ。押し出された彼女は近くで幸運にも警察の一団と遭遇、即座に事情を話し、警部と巡査2人とともにアヘン窟へと戻った。しつこい抵抗を押し退け、一行は部屋へと入った。足の悪くひどく汚らしい男がいただけで、夫はいなかった。どうやらこの男、ヒュー・ブーンはこの部屋を根城にしているらしかった。


水夫とブーンがきょうの午後ここには誰もいなかった!とあまりにも強く言うので、警部がこのご婦人の見間違いかも、と思い始めたところ、セントクレア夫人はテーブルの上の小箱に飛びついた。すると、夫が買って帰ると言っていた積み木がこぼれ出た。ブーンがあからさまに当惑したこともあり、事の深刻さを悟った警部は部屋を入念に調べた。


この部屋は寝室につながっていて、寝室の窓と波止場の間に細長い土地があり、満潮の時は水面下になる。そして寝室の窓に血の跡が見つかった。血は辺りに飛び散っていた。元の部屋のカーテンの裏には、ネビル・セントクレアの服一式があった。時計も靴も、靴下さえも。しかし服にバイオレンスの痕跡はなく、手がかりはそこで途切れた。他に出口がない以上寝室の窓から出たに違いない。しかし窓枠の血の跡から、満潮のテムズ川に飛び込んでも泳ぎきれないだろうと思われた。


悪党のインド人はとにかく何も知らないの一点張り。セントクレア夫人を止めたのは彼女が夫を見かけて数秒後、つまりその時には下の階にいた。部屋は3階だった。ブーンはネヴィルの服については何も説明できなかった。


ブーンはいつも決まったところに陣取っていて脂じみた皮帽子に施しを受けている、professional begger職業乞食、だ。


A shock of orange hair, a pale face disfigured by a horrible scar, which, by its contraction, has turned up the outer edge of his upper lip, a bulldog chin, and a pair of very penetrating dark eyes

「ボサボサのオレンジ色の髪、不気味な傷あとが残る青白い顔、傷あとが引きつって上唇の端がめくれあがっている。ブルドッグのようなあご、そして鋭い目つきの黒い両眼」


目立つ風貌に加えどんなからかいにもすぐに気の利いた答えを返す知恵。短い時間でたくさんの小銭を稼ぐのがブーンという男。彼こそがネヴィルを最後に見た者だった。


セントクレア夫人は窓枠の血を見て気を失い、警察により家へ送り届けられた。ブーンは逮捕、薬指の爪の近くに切り傷があって窓枠などの血はそこから出たものだと言い、ネヴィル・セントクレアなんて人は知らないし、服がなんでここにあったかもあんたたちと同じように自分にも謎、セントクレア夫人は夢でも見たんじゃないかと言っている。


警察はブーンを引っ立てたあと、干潮になるまで待った。果たして泥の上に見つかったのはネヴィルの死体、ではなくて、彼のコートだけだった。


Every pocket stuffed with pennies and half-pennies –421 pennies and 270 half-pennies. 


「すべてのポケットに1ペニー銅貨と半ペニー銅貨がぎっしり詰め込まれていた。1ペニーが421枚、半ペニーが270枚あった」


ブーンがネヴィルを突き落とし、コートや衣類を始末しようとした時、浮かんでこないように硬貨を詰めたとも考えられました。衣類が残ったのは時間がなかったから、というわけです。


the questions which have to be solved – what Neville St. Clair was doing in the opium den, what happened to him when there, where is he now, and what Hugh Boone had to do with his disappearance – are all as far from a solution as ever. 

「解決せねばならない問題は、ネヴィル・セントクレアはアヘン窟で何をしていたのか、そこで彼に何が起きたのか、いまどこにいるのか、ヒュー・ブーンはどう関わっているのかーすべてが糸口すらつかめていない」


アヘン窟はロンドン近くではありますがミドルセックス州にあり、ドッグカートはそこからサリー州からケント州に入り、グリニッジ王立天文台を横に見て、リーの外れまで7マイルつまり約11kmあまりを駆けてセントクレア邸の"The Cedars"「杉屋敷」まで帰ってきました。セントクレア夫人に2部屋を借りているとのこと。


"But why are you not conducting the case from Baker Street?"


「なんで今回はベイカー街で仕事せえへんの?」


ミドルセックス州とはいえロンドン近く。当然の疑問ではあります。


"Because there are many inquiries which must be made out here."


「こっちでたくさんの調査をしなきゃいけないからだ」


さっき出たネヴィルの人となりの調査等々ですね。近況は地元の人に聞くのがいちばんです、ことに田舎は。ロンドンからはるばるこちらまで出てくるのを嫌ったのでしょう。


ちなみに私も見ながら書きましたが、この道程については地図解説のページがありますね。なかなか楽しそうですよ。



家に着くとセントクレア夫人が飛び出して来ました。小柄なブロンドの女性、薄い絹モスリンの服にピンクのシフォンのついた服。


She stood with her figure outlined against the flood of light


「彼女は溢れ出る光を背に身体の輪郭を浮かび上がらせていた」


ワトスンの、いやドイルのこういうところ上手だと思いますね。現状光は身体の正面ではなくて背に集まる。しかしいずれにしろ彼女は光に溢れている。ホームズとワトスンへのオープンで優しい態度、夫のピンチに動く勇敢さと活動力、知恵の回る聡明さ。ドイルはいくつもの作品でワトスンを代理として印象的な女性を描写しています。物語の構成上も効いていますね。


セントクレア夫人はワトスンも歓迎の意向で、しかし率直にホームズに訊きます。


"In your heart of hearts, do you think that Neville is alive?"


「あなたは心の底から、ネヴィルがまだ生きているとお思いでしょうか」


"Frankly, then, madam, I do not."

「では率直に申しましょう。そうは思いません」


"And on what day did he meet his death?"

"On Monday."

"Then perhaps, Mr. Holmes, you will be good enough to explain how it is that I have received a letter from him to-day."


夫人「では死んだとしたらいつでしょう」

ホ「月曜日ですな」


夫人「ではそうだとして、ホームズさん、きょう彼から届いた手紙はどういうことなんでしょうか」


これを聞いてホームズはびっくりします。

「な、なんてぇ?」


夫人は笑顔で手紙を手に持っていました。


脱線が多いのは承知、いつも冷静なホームズがこんなにびっくりしたのは「第二の汚点」で外国の君主からの重要な手紙を盗んだとホームズが踏んだmaybe国際スパイの1人が昨夜殺されたよ、とワトスンに聞かされた時くらいしか記憶にありません。


手紙をひったくったホームズ。封筒の住所は調べる必要があったのか、宛名とは別のタイミングでネヴィルとは別の者が書いていました。そして中の手紙の字を夫人はネヴィルのものだと断言します。文面はー


Dearest do not be frightened. All will come well. There is a huge error which it may take some little time to rectify. Wait in patience.

NEVILLE.


「愛するきみ、どうか心配しないでほしい。いずれ全てうまくいくだろう。大きな間違いがあって、修正に時間がかかる。がまんして待っててくれ。ネヴィル」


手紙にはネヴィルの指輪が入っていました。しかし何の証明にもならない、と冷徹に言うホームズ。たしかに手紙は死ぬ前に書いたかもしれない、指輪も抜き取られた可能性があります。


しかしセントクレア夫人はこう主張します。


彼は無事でいます、私には分かります。だってシンパシーがあるんですもの。あの日ネヴィルが寝室でけがをした時も何か良くないことが起きたとわかって階段を駆け上がったんです。


ここには重大なヒントがあります。ともかくもホームズは女性特有のカンを認めながらもではなぜ出てこないのか、という点を問い詰めますがそこまでは分からない、と夫人は返します。


これまでネヴィルがスワンダム・レインのことを口にしたことはない、アヘンを吸ったこともないー、ほか当日の目撃したことについて確かめたホームズは話を打ち切り、寝室に引き取ります。


He took off his coat and waistcoat, put on a large blue dressing-gown, and then wandered about the room collecting pillows from his bed and cushions from the sofa and armchairs. With these he constructed a sort of Eastern divan, upon which he perched himself cross-legged, with an ounce of shag tobacco and a box of matches laid out in front of him.


「上着とチョッキを脱ぎ、青いドレッシングガウンに着替えた。そして部屋を歩き回ってベッドから枕を、ソファや肘掛け椅子からクッションを集めて東洋風の長椅子ように並べ、その上に脚を組んで座った。1オンスのシャグタバコとマッチの箱を前に置いた」


徹夜でその高邁な頭脳を働かせる体制です。薄暗い部屋で、ワトスンは寝に入りつつ、ホームズが青く渦巻く煙に包まれながら、ぼんやりと天井を見つめているのを見ます。


ここの挿絵と光景が好きですね〜。ワトスンしか知らない、沈思黙考の姿。青い煙を上げる、軸のまっすぐなブライアーパイプ。現代ではホームズとのアイコンともなっている曲がった大きなパイプは、後にホームズを演じた役者が舞台上で目立つように使った物で、この時代にはなかったとか。私的にホームズの絵と言えばここが浮かびます。「ボスコム谷の惨劇」のコンパートメントでワトスンと会話する場面、バスカヴィル家の犬」で月をバックに荒地の岩上に立つホームズとともに印象深いひとコマです。


そしてワトスンが目を覚ました時もホームズの姿勢はそのまま、ただシャグタバコの山はきれいになくなり、室内はもうもうとした煙につつまれていました。


ワトスンが起きたのを見たホームズは、モーニングドライブしよう、と連れ出します。朝415分でした。


ちょっとした理論の証明をしたいのさ、というホームズ。


"I think, Watson, that you are now standing in the presence of one of the most absolute fools in Europe. I deserve to be kicked from here to Charing Cross. But I think I have the key of the affair now."


「ワトスン、君の前にいるのはヨーロッパでも有数の馬鹿の1人だよ。ここからチャリング・クロスまで蹴っ飛ばされるにふさわしい。でも、僕はいま、この事件の鍵を握っている」


ホームズは確信を得た時、なんで考えつかなかったのか、行動しなかったのか、という思いで自虐的なことを言うことがありますが、これはまた最大級ですね笑。この後にもさらに


"I confess that I have been as blind as a mole, but it is better to learn wisdom late than never to learn it at all."


「僕はモグラのように目が見えなかった。でも後から学ぶのはなにも知らないよりいい」


と話しています。


やってきたのはブーンが留置されている警察署。宿直はブラッドストリート警部でした。この短編集に収録されている「青いガーネット」や「技師の親指」にも名前の見える、ホームズシリーズおなじみ警部さんです。


警部に頼んで独房の窓からブーンの様子を見ます。顔は真っ黒で不潔、ぐっすり眠っています。ボロボロの衣服に赤毛の髪、顔には大きな傷跡があり、そのひきつりで唇が捲れ上がっています。


"He certainly needs a wash," 

"I had an idea that he might, and I took the liberty of bringing the tools with me."


「洗ってやる必要があるな、こんなことではないかと思ってた。勝手ながら道具を持ってきたよ」


take the liberty ofingには「失礼ながら、無礼にも、厚かましくも〜する、勝手に〜する」という意味がありました。調べるのに骨が折れた。ともかくホームズは鞄からなんと入浴用のデカいスポンジを取り出します。


ブラッドストリートも乗り、そーっと独房に入ったホームズは、水を含ませたスポンジで、ブーンの顔を縦と横に勢いよくこすりました。


"Let me introduce you," 

 "to Mr. Neville St. Clair, of Lee, in the county of Kent."


「みなさん、ケント州リーのネヴィル・セントクレアさんをご紹介します!」


男の顔の皮が剥がれ、傷跡も、捩れた唇もなくなり、赤毛のかつらが外れます。そこには黒髪でつるんと上品な顔をした男がいました。


寝ぼけていた男は、突然何が起きたか悟り、叫び声を上げて枕に突っ伏します。


Great Heavens!こいつぁ驚いた!


ブラッドストリートが声を上げます。


ネヴィル氏はヤケクソ気味に


what am I charged with?

「僕はなんの罪で捕まってるんですかね?」


"With making away with Mr. Neville St. – – Oh, come, you can't be charged with that unless they make a case of attempted suicide of it," 


「そりゃネヴィル・セントクレア氏殺害の・・いや!それは無理か。自殺未遂罪なんてものを作れば別だが」

27年警察にいるがこんなとんでもないことは初めてやで、とブラッドストリート。


ホームズはたしかに犯罪はない、しかし大きな過ちを犯した、と告げます。奥さんをもっと信用しておけば良かったのに、と。んーそれもムリがあるかも。


妻ではなく子供たちです!ネヴィルはうめきます。


"God help me, I would not have them ashamed of their father. My God! What an exposure! What can I do?"


「神様お許しください!子供たちに父親が恥ずかしいと思われたくなかった。ああ!まさかバレるだなんて!どうしたらいいんだ?」


ホームズは隣に座り、肩をたたきながらやさしくなだめます。


まあまあ、法廷に持ち込まれれば報道される。でも犯罪がなかったと警察に納得させれば、新聞ざたになることはないよ。ブラッドストリート警部が君の言うことをちゃんと記録して提出してくれる。裁判にはならないさ。


セントクレア氏は感謝し、語り始めます。


チェスターフィールドで教師をしていた父親のもと良い教育を受けたネヴィルは、学生時代旅行と演劇を好んだ。そして夕刊紙の記者になった。


夕刊紙の特集で乞食を体験してみて記事にするという企画に志願した。舞台に上がっていた時メーキャップのコツを学び、楽屋で有名になるほど上達した。自分を可能な限り哀れに見せようと、大きな傷跡を作り唇を捩れたように固定した。赤毛のウィッグとボロボロの衣服を身につけて7時間座り、家で数えてみたらたった1日で26s.4d.つまり26シリング4ペンスも稼いでいた。(1シリングが約1000円、1ペニーが約83円とwebにありました。26300円くらいですね)記事を書いてしまい、その時はそれでお終いだった。


しかし少し後、友人の手形の保証人になったことで25ポンドの支払い命令を受け困り果てた際、そうだと閃き、乞食をしたところ10日間で集まった。


さて、週2£(ポンド)で厳しい仕事をする、同じ額が乞食をすれば1日で稼げてしまうこという事実にセントクレア氏は直面します。


"It was a long fight between my pride and the money, but the dollars won at last, and I threw up reporting and sat day after day in the corner which I had first chosen, "


「プライドとお金の間で長く葛藤しました。ついにはお金が勝ちました。そして私は記者の職を放り捨て、来る日も来る日も最初に選んだ町角に座り続けたのです」


1人だけ秘密を知っている者がいた。アヘン窟のインド人だった。ネヴィルはあの部屋で乞食になり、夕方には上品な身なりに戻っていた。支払いをたっぷりとしていたから、秘密が漏れる心配はないと考えていた。


かなりの大金が貯まっていった。年700£を超えていた。自分には変装と軽妙な受け応えという強みがあった。いつしかシティで有名になっていった。


なら年間52週フルに働いても年収100£ちょっと。乞食なら年収1400万円もの額になっていたのです。当時の物価やお金の価値は現代とは違いますから大変に裕福だと言えますね。ちなみにドイルはホームズ短編の連載を始めるや人気が爆発し、この第一短編集後半の6編の執筆料は150£、つまり100万円だったという話です。


家を買い、結婚して家庭を設け、誰にも本当の職業を疑われることなく過ごしていた。しかし月曜日ー。


1日の仕事を終えてふと窓の下を見ると妻がこちらを見上げていた。思わず叫び声を上げてしまった。思わず腕を上げて顔を隠した。インド人に妻が上がってくるのを止めるように言い、階下に妻の声を聞きつつ乞食の衣装に着替え、メーキャップを施した。服を隠さなくてはとコートに小銭を詰めた。乱暴に動いたため、朝ケガをした傷口が開き血が飛び散った。その時窓から投げたところで警官に踏み込まれたため他の衣服と積み木は残った。


"I found, rather, I confess, to my relief, that instead of being identified as Mr. Neville St. Clair, I was arrested as his murderer."


「正直に言ってどちらかと言えば救いになりました。ネヴィル・セントクレアとして特定される代わりに、殺人容疑で逮捕されたのですから」


妻が心配するのは分かっていたから、巡査が見ていないスキに指輪を抜き取り急いで手紙を書いてインド人に託した。


その手紙は昨日届いたばかりだと知らされるとネヴィルは愕然とします。


「警察はインド人水夫を見張っていました」ブラッドストリートが言います。おそらくは投函ができないためにやむなく客の誰かに託して、(なにせ店のお客はアヘンでラリってますから)忘れられていたんだろう、と警部。


何回も捕まったけれど、罰金なんて知れてる、とネヴィルがうそぶいたのに対して、しかし今回の件を警察がもみ消しておくということなら、二度とヒュー・ブーンが現れてはいかん、と警部は釘を刺します。


人間が取り得る最も厳粛な宣誓で誓います、というヒュー・ブーンことネヴィル・セントクレア。


"I am sure, Mr. Holmes, that we are very much indebted to you for having cleared the matter up. I wish I knew how you reach your results."

「この事件が解決したのはひとえにあなたのおかげです。どうやって真相にたどり着いたのか知りたいところですな」


"I reached this one,by sitting upon five pillows and consuming an ounce of shag. I think, Watson, that if we drive to Baker Street we shall just be in time for breakfast."


5つの枕の上に座って1オンスのシャグタバコを煙に変えてだよ。ワトスン、ベイカー街まで馬車で走ればちょうど朝ごはんに間に合うぞ」


平和的解決でした。セントクレア夫人が彼があの朝、ケガをしたのが分かったのよ、と言ったことはブーンの指に傷があったことの伏線だったのですね。


冷静に考えれば、なぜ誰もネヴィル・セントクレアの収入源や生い立ちをまったく知らなかったのか?とも思います。ホームズもあまり深くは捜査してませんし。それを言っては、かもですが。外形から、凶悪事件に見えますしね。


when all other contingencies fail, whatever remains, however improbable, must be the truth.

(ブルース・パーティントン型設計書)

「他の起こり得ることがすべて排除されれば、何が残ろうとも、いかにありそうになくても、それが真実に違いない」


ホームズの名言の1つです。今回この定理を使ったかどうかは分かりません。ブーンを見かけたことがあるのに変装の名人のホームズがブーン変装を見抜けなかったのかな、なんて事も考えますがまあ、まあ、ですね。


この作品は、ネタが割れれば単純で、人も死なないし盗みもありません。しかしホームズシリーズを構成する中でいくつかの光を放つ作品のうちに入っていると思います。


ベイカー街を離れての、いわば出張、ホームズに意見するなど頭が切れる上に純粋で魅惑的なセントクレア夫人、長い脚を折りたたみ、枕やクッションで東洋風味の長椅子を作りパイプで紫煙をくゆらせながら座り込むホームズ、そしてブーンという堂に入ったユーモラスなキャラと上品な男との対比、赤毛と黒い髪の毛、あくせく働くことと乞食という職業のもっともらしい比較と、様々な要素が物語の巧さを構築していると思います。「ぶな屋敷」にもそんな感覚を覚えます。


それにしても、ネヴィルはこの後どうするんでしょう。妻にはなんと話すのでしょう。意外に、ヒュー・ブーンでなければいいよな、と地域を変えて同じことをやりそうな気がするのは私だけでしょうか。




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2023年4月9日日曜日

4月書評の4

自家製お好み焼きと、ツルニチニチソウ蔓日々草、なじみの古書店のスタンプでカバー&しおり、会話の中で出てきてつい読み返した絵本。

活動期とおやすみ期が比較的はっきりしてまして、今週末は生活必需品の買い物をしたりしつつ、午後はプロ野球とバスケ🏀を観て時折うたた寝するという生活。気持ちいいっす。

朝時計をはめる時に落としてしまい、デジタルウォッチが再起不能に。ごめんよー。で、新しいものを買ったり、ベッドシーツ買い足したり、袖がダメになった春秋用上着ビミョーにぬくめのものを買ったり。日和がいいからベッド関係を洗濯したりしてました。

バスケ🏀女子Wリーグはセミファイナル。監督以下多くの選手がシーズン中に退団するという騒動に見舞われたシャンソンはウィンターカップのヒロイン、京都精華学園出身のウチェらが奮闘したものの、女王トヨタに敗れた。

いま、トヨタに敗れる前の絶対女王ENEOSと東京オリンピック銀メダルチームキャプテンの高田、赤穂ひまわりのいるデンソーが接戦を演じている。やはり銀メダリストの宮崎、長岡、林に193cmの渡嘉敷擁するENEOSが勝てばファイナルに進む。デンソーが勝てば1勝1敗のタイで第3戦となる。

男子Bリーグ横浜ビー・コルセアーズは後半戦佳境の時期になんとエース河村勇輝が全治4週間のケガで離脱。ミッドウィークの試合は勝ったが週末は首位を争う川崎に連敗。3位との成績が離れていて、2位までが自動進出のプレーオフは固いと思っているけども、勝てるとこを取りこぼさないようにしないと苦しい。

次週は女子ファイナル。こりゃー同じ生活かなーいまどこも人多いし、なんて。

さきほどわき腹ピキッときてしまい、ちょっと痛い・・

◼️ 髙田郁「あきない世傳 金と銀13 大海篇」

ついに大団円。髙田郁2シリーズ完走。次は、なにかな。。

「みをつくし料理帖」11巻+番外編に続き、「あきない世傳」は13巻でフィニッシュ。どちらも畿内、大阪市中から江戸へと移るヒロインの話。片や市井で料理を作る者、片やあきないをする者。「みをつくし」は一途な恋も絡むが「あきない」は題材にマッチしてかややアダルトで主人公は都合3人の夫を持つ。

女店主・幸の五鈴屋は呉服商いを復活することができ、簪や笄の商いをする菊栄とともに新店を構える。しかし二重売買が発覚、名主から五鈴屋の所有権を認めない裁定が下るー。正統な買主は五鈴屋五代目徳兵衛で幸のもと夫、いまは両替商井筒屋店主の惣次だった。新店で商いを続けたいとの願いに対して剣もほろろの対応をする惣次だったが、これまで何度も助言をくれたのにと、幸たちはいぶかしむー。

好事魔多し。これまでたびたびピンチに陥り、その都度切り抜けてきた五鈴屋。この巻でも江戸本店の近くの火災で地域の商人たちがダメージを受ける中、どうしたら客に喜んでもらい、人の流れを向けられるか、幸は知恵を絞る。

このシリーズを貫いている観念は「時の流れ」ではないかと思っている。小さい頃、武庫川界隈で親兄弟と過ごし、やがて父・兄と死に別れて困窮し、幸は五鈴屋の女衆にやがて商才を認められて店主の妻となり3人の兄弟と夫婦となるが、実質的に店を切り盛りし、江戸に新店を持つ。さまざまな困難そして妹・結の裏切り。最終巻でも2人は邂逅せず、袂を分かち二度と仲の良い姉妹には戻らない。

最終巻だから、振り返りも多いのだろうけども、連続して途切れない、決して退行しない時間の積み重ね、到達した場所、を意識し続けた13巻だった。

高田郁のシリーズの特徴は、様々な登場人物、主人公の仲間たちを活き活きと描いていること。親和性と好感度の高いこのグループが主人公の分厚いサポートとなり、人情の連なりを織り成していく。「あきない世傳」で言えば五鈴屋が扱う浴衣のデザインを作り、今巻では役者吉次の色・王子茶をついに編み出した型付け師の力造、お才の夫婦などはその代表だろう。

次から次へと編み出されるあきないの知恵、新作も見ていて楽しかった。芝居の役者に着てもらったのと同じ桑の実色の装いで幸が「謎の女」を演じる場面が印象に残っている。

新シリーズはさて、何が出てくるのだろう^_^ 番外編が2つ出るそうで、それも楽しみだ。

2023年4月6日木曜日

4月書評の3

ブックカバーもこれからの楽しみ。栞は🔖美術展、寺社仏閣のチケットほかほか。いいものを常に探して。だから電子チケットは使う気にならないんだな。

息子が進んだのはバレー関西では強い大学で、推薦で少人数しかとらない。どうなるかな・・と思ったら「入れたー」と喜びのLINEが。きょうは初練習。キャプテンだったとはいえ弱小チーム。全国大会に出たのが普通のメンバーの中で大丈夫やろか・・と密かに心配する親バカな父なのでした。

◼️ 真藤順丈「地図男」

地図帳に物語を書き込む地図男。想像の飛躍、バイオレンス。ダ・ヴィンチ文学賞大賞のデビュー作。

「宝島」で直木賞を受賞した真藤順丈の別作品を古書店で見かけ、なんかおもしろそうとあまり何も考えずに入手。コンパクトでまずまず楽しかった。

ロケハンで出会った地図男、路上生活者のようだが、清潔感もある。分厚い地図帳には多くのふせんが貼り付けてあり、びっしりと物語が書きつけてある。そして、こういう条件の場所はないかと問うとすぐさま10カ所くらい挙げてみせる。自分の素性はいっさい話さない。彼が書いた物語は、たいへん魅力的だったー。

地図、土地をもとに紡がれた話は、いい意味でハチャメチャ風味が強く興味深い。千葉を放浪した音楽の天才赤ちゃん、房総半島の端から浦賀水道を泳いで神奈川へと渡ったもとサラリーマン、そして前半の核となる、東京23区の句章と誇りをかけて夜の場末、様々な種目で対戦する区のプレイヤーたちのバトル。「宝島」に溢れていたエネルギーの放出、その片鱗を感じてしまう。

やがて地図男は自ら語り出し、語り手は彼の地図帳に必死に書き留めるー。

後半の核となる話はメロドラマ風味が強く正直やや食傷気味になったけれどもその頃スッと読み終わり、巻頭の地図解説ページを見ながらナラティブを追う。パズルにも似たようなプラスアルファの読書作業感の楽しさが読後に残った。それぞれの話には小気味良さがあり、謎とスピード感が心地よい面もある。見てるだけで楽しい地図帳に、想像力豊かでダーティーさを交えた話を絡ませる発想には新鮮味も広がる。

謎の地図男。全国版にしても、長編にしてもおもしろそう。続編出ないかな。

2023年4月4日火曜日

4月書評の2

薄暮の月は、うさぎさんがくっきり見える。写んないけどね^_^

◼️ 凪良ゆう「流浪の月」

相容れない、受け入れられない、絶対隔絶の中のふれ合い、という感じがする。

本屋大賞、書店でも大変人気があるのが分かる作品。ドラマになりやすいストーリーと思える。宮本輝の著作に関して、状況を絶望的に塗りつぶし、そこに見える光を描く、という評を昔読んだことがある。ひとつの構成の形だろうなと。

奔放な家庭で育てられた更紗は9歳で父が亡くなり母は更紗を置いて恋人といなくなり、伯母の家に引き取られる。常識的すぎる伯母に加え同居のいとこから身体を触られる生活に耐えきれない思いを抱いていた更紗は公園でロリコンとウワサされていた男子学生の文(ふみ)に声をかけられ、文の部屋へついていく。文は怪しい行動もなく更紗を受け入れ、更紗は部屋に留まりのびのびと暮らす。しかし誘拐事件として警察が動いていた。外出した折、通報により文は逮捕された。

そして、15年後、彼氏と同棲しファミレスでバイトをしていた更紗はある日、忘れられない面影を見るー。

サクサクと読め、文との邂逅、そして事件と興味を持続させる。特殊な状況に置かれた更紗の弱さと口に出せない繊細な心の動きが描写され、切なさが高まる。理解されない暗闇の中の、自分にしか分からないやすらぎ。その点読む人の心の琴線にうまく触れてくるような感覚を抱く。因果の巡りも濃厚でさらに外濠が埋まるイメージが湧く。

一方で伏線により先の展開が見えてしまうかな、というのが正直なところである。最後の方は少し読み疲れた。文の、ちょっと過ぎた弱さが気にかかる。

根底には楽天家の雰囲気があり、好ましいと思う。状況とのコントラストが鮮やかだ。

非現実的な面で縋るもの。その細い線が浮き立ち、印象に残る作品ではあった。

2023年4月2日日曜日

4月書評の1

朝いちばんで映画「メグレと若い女の死」。パトリス・ルコント監督も主演のジェラール・ドパルデューも70代後半。感慨が深かった。独特の形状、ツインタワーを持つ新梅田シティにはアジアやおそらくヨーロッパからの外国人観光客の姿が目立つ。、

もうTシャツにごく薄い上着だけ。朝寒く、昼は汗をかく。午後はめっちゃ強い風の音を聴きながら自宅でBリーグとプロ野球。新監督、新体制のライオンズがやっと今季初勝利。

バス停の親子になにか白いものが降ってると思ったら散る桜。いつか生まれかわるときを信じ舞い落ちる。写真以外にも紫のツルニチニチソウなどいま花盛り。も少ししたらツツジが一斉に咲く。

私はどれかというと寒い季節が好きなのではあるけれど、春秋はやはりいろいろ動きたくなるね。テレビでお好みスポットの大徳寺特集を観てまた訪ねたくなったけれど、まあいまの季節、土日の京都には近づかない方が吉というものかな🤗

◼️喜瀬雅則
「オリックスはなぜ優勝できたのか」

弱かったオリックスは、若手の戦力が伸びてきてついに優勝。それは偶然ではなかったー

オリックスの強さは、Lionsファンとして嫌というほど知っている。山本由伸は打てないし、宗佑磨の思い切りのいいバッティングにはたびたび痛い目に合わされたし、吉田正尚の勝負強さには閉口するし。

タイミングを合わせて読んだ開幕カードは西武vsオリックス。新体制のライオンズは連敗して3戦めにようやく今季初勝利。ヨシノブとまさたかはいないが宗や杉本に一発を浴びて今季も苦労させられそうなカード。

さて、スポーツ紙記者さんの著書のこの本は、すぐに強くなった原因を示すのではなく、イチロー発掘、さらに阪神大震災の年に仰木監督で優勝、近鉄とオリックスの合併など、だいぶ遠回りしてじっくりとベースを敷いてから決定的な動きを解き明かしていく。

もともと西宮球場があった阪急の駅はまさに地元。そこから神戸へと行って大阪に移った。振り返ればホント色々あったと感慨が湧く。

オリックスはイチロー田口らで優勝した後も弱くはなかった覚えがある。しかしそれからクライマックスシリーズファイナルステージに進出したことがなく、最も優勝から遠ざかっているチームとなってしまった。

ドラフトでも競合する一番人気には決して行かず、単独指名を狙ってまとめるイメージ。吉田正尚を1位で単独指名したときにもそうかと思っていた。しかし内実は明らかに変わっていた。小さくて振り回す系の打者を取るのはかなりの反対があったようだ。宗を上位で指名する際も育成で取れるのでは、という声さえあったらしい。実際にはオリックスが2位で指名した際、会場はかなりザワついた。オリックス以外も、ほとんどの球団がリストアップしていたのだった。

そこには幾人かのキーマンがいて、ブレイクスルーを果たした。球団上層部と、ポイントとなる選手についてそれぞれ取り上げてある。

幹部の方はすぐに結果が出なかったこともあり、球界と球団の力学で現在チームにはいないが、狙い通り東京オリンピックの年に、狙った年齢層の選手が花を咲かせている。やっぱ優れた人はいるんだなとつくづく感心する。

しかし、と私は思う。一時は北海道日本ハムやソフトバンクが育成上手と言われ、パ・リーグの方がセ・リーグよりも強いと盛んに言われた。しかし、日ハムはいまや低迷し、ソフトバンクは世代交代に難を抱えているかもと思う時がある。セ・リーグの方が高校生からホームランバッターを育てている。

プロ野球界にも波があるということだ。きっとまた・・わがライオンズの黄金時代も来るのではとひたすらに願っているのです。

3月書評の14

桜は満開ちょっと過ぎ、といったところ。この土日にお花見しとかな、という時期と日和、桜百選に入っている地元の小さな駅は人があふれている。

息子は大学の入学式で朝からバタバタ。

病院行って買い物、さっさと帰って午後はライオンズ戦とBリーグ観て、ルービンシュタインコンクールに弱冠18歳で優勝したケビン・チェンのチャイコフスキーピアノ協奏曲🎹やカミーユ・トマさんのチェロを聴いたりしつつ読書と気持ちいいうたた寝。春やねえ。

演劇チラシでパパッとブックカバー作り、100円ショップで見て食べたくなったごませんべい。のんびりでした。

輝ける君の未来を 願う本当の言葉。

◼️ アジェイ・チョウドゥリー
「謎解きはビリヤニとともに」

インドとイギリスの2つの殺人事件。数々のインド料理に男女スターと盛りだくさん。家族のあり方にも考えさせられる。

インド系のミステリーが元気だという。書評にもポツポツ上がっているようだ。さて、その1つー。

インドのコルカタの敏腕刑事・カミルは芸能界のスターの殺人事件の捜査が原因で免職となり、父の友人のサイバルがロンドンで経営しているレストランに身を寄せ、ウェイターをしていた。サイバルとその妻マヤ、娘のアンジョリと暮らしていた。

サイバルの友人で、アンジョリの親友マハと結婚している大富豪のマケシュの60歳を祝うパーティーにサイバルらは招待され、カミルはウェイターをすることになる。深夜パーティーがお開きとなった頃、マケシュの死体が見つかる。マハは警察に逮捕され、アンジョリとカミルはマハを救うため独自の捜査を開始するー。

カミルがロンドンへ移る原因となったコルカタの殺人事件、そしてロンドンの殺し、交互にストーリーが綴られていく。さらに両方に姿を現す人物がスリルを盛り上げる。大臣の息子、マケシュのボンボン息子、妖しく美しい女優、正義感あふれるカミルの元恋人マリハ、そしていつも元気なアンジョリなどキャストも彩豊かでそれぞれキャラが立っている。

ストーリーを眺めながら、どこで繋がるのか、コルカタの事件の真相は、そしてラスト、あれ、これって解決されてないよね、という謎にはもちろん光が当てられ、暗い姿が浮かび上がる。

ビリヤニ、とはインド風のまぜごはん。多く出てくるインド料理のみならずたくさんの食べ物が出てきて魅力的、また闇と光、色彩にもさりげなく配慮されているのが分かる。

序盤は特になかなか進まない感覚があったが壁の向こうの真相が薄紙がはがれていくように分かり始めると読み進めるスピードが上がる。特にすでに日本では少なくなったかもしれない友人家族同士の関係、家族の親密さにはどこか憧憬を感じてしまった。だからよけいにつらさが募る。

原題はシンプルで「THE WAITER」カミルの父は警察の元トップ。その息子の俊英がレストランのウェイターに身を落としたことが強調されている。後悔もあり、喪失もある。そしてすべてはおそらく思う通りになり、カミルはロンドンに残る。続編は「THE COOK」というそうだ。出世魚的?笑。

次の邦訳が楽しみだ。

3月書評の13

ドラマのリバーサル・オーケストラ観てたらフルオケが聴きたくなって行ってきました。大好きな原点の曲、いわゆるドヴォコン、ドヴォルザークのチェロコンチェルト。

フランスの新星カミーユ・トマさんはスラリと背が高く、ダイナミックに「歌う」チェリストでした。これが聴きたかった。何回も聴いたドヴォコン、次に弾くパートに目が行き期待する。指が動く。第2楽章のフルートとの掛け合いには涙が出ました。第3楽章、センセーショナルな出だし、豊かで強い波のような響きが寄せる中盤。そしてカッコ良すぎるラスト。解放される感じ。癒されました、溶けました。

好きなドヴォコン、と多少入れ込んでたものの別に精神的にはフツーで悩みもない。でもトマさんの演奏は、大人が社会生活で無意識に造っている堅いバリケードを取り外し、中の柔らかく温かい部分を優しく撫でてくる。初めての感覚で、これからも追いかけようと思いました。

トマさんは演奏中から終始にこやか。アンコールは自分の声で伝える。

"SONG OF BIRDS"

カザルスの鳥の歌嬉しかった。

聴衆もたぶん、好きなドヴォコン聴きたかったと思う。いいステージで、トマさんは熱のこもった拍手喝采を浴びていました。

土曜は日展に行って帰って家でBリーグ。🏀横浜ビー・コルセアーズの勝利をバスケ沼部さんたちと見届けて、世界フィギュア選手権男子フリー。

昔でいえばスペインのキャンデロロ、日本では織田信成のように愛される選手、友野一希は「こうもり」でノリのいい演技。6位に食い込んだ。そして、最終グループはノーミスの選手が続き、首位が次々と入れ替わる熱い激戦🔥🔥マリニンがものすごく高い4A、4回転半アクセルを飛ぶ。結果宇野昌磨が日本人史上初の連覇。観る方も熱くなったフリーだった。教えてもらったジェイソン・ブラウンのアーティスティックなスケーティングは発見だった。

友人に貸してもらった「その本は」がやや幅広のサイズで通常のブックカバーが入らないので、去年のヨシタケシンスケ展のチラシでブックカバー作り。

日本の桜百選の地元の桜は満開直前にきょう雨☔️が降って、どうなるんだろという感じ。

3月最後の週末の夜はカラオケ☆バトルU18歌うま選手権と楽しんだ週末でした。。

◼️ ヨシタケシンスケ・又吉直樹「その本は」

想像力、ネタ、哀しい話・・色とりどりです。

本屋に行けば今も平積みしてあるベストセラー。ジャンルは違えど人気作家の共演。装丁も立派で外見から存在感あり。タイトルやカバーで強く興味を惹かれる本はあるものですが、この本は、まさに、実物を見たら欲しい、読みたい!という衝動が湧きますね。

さて王様が諸国を回りたくさんの本の話を集めてくるのじゃ、と2人の者に申しつけます。2人はそれぞれ1年間の旅に出て集めた話を王様に聞かせます。

又吉パートは文章で、ヨシタケシンスケパートはいつものように絵と素朴な言葉で、交互に章を織りなしていきます。片や笑いを呼ぶ短いネタの連発あり、長めの切ない話あり。片やいつものように想像力を広げたものあり、どこか心に潜む本読みの感性を突くようなものあり。

ちゃんとオチをつけている、つけてないようなとこがまたおもしろいかも。

旅先の話だけに民話や不思議な童話、また最近のカズオ・イシグロのようなファンタジックな話があるのかな、なんて軽く考えてましたがちょっと違ってたかなと。

ヨシタケシンスケは「あるかしら書店」を読み、本というものに本読みならではの愛着を持っている人だとは感じてました。又吉直樹についてはこの点説明不要かと思います。

ページそのものも味があるような演出感。楽しめました。読みたい!という本を読了すると、祭りの後の寂しさ、を感じて反芻しちゃいますね。