
「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」の上下巻を金曜行きの電車で読み終わった。続いて村上春樹「スプートニクの恋人」を読んでいる。「ミレニアム」は、面白くはあったが、まあ評判ほどは・・という感じである。好みの問題かな。最後は切なかった。
さて、1月は4作品と少ないので、ずるいことに読み聞かせ本も入れようと思う。(笑)
冲方丁「天地明察」、沢木耕太郎「チェーン・スモーキング」村上春樹「羊をめぐる冒険」伊吹有喜「風待ちの人」そして「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」である。
「天地明察」本屋大賞。映画化もされる。実在した天文暦学者、渋川春海の生涯を描いた作品だ。数学的、科学的で、謎の天才武士も出て、大変興味深く、スケールが壮大で、明るくなれる物語。天文学的なところが好きである。算学塾の部分も大変な苦労もするが、全体として、誰からも好かれ、成功と幸せを掴む主人公という流れになっていて、その点面白味が薄れる。月並みだが、文学というよりはエンターテインメント的だな、という感じだ。貰った方は途中で挫折したと言っていたが、先も読めるので、分かる気もする。
「チェーン・スモーキング」エッセイは苦手めなのだが、面白く読んだ。スポーツ、紀行ものと人を飽きさせない作者ならではで、この作品ではより人間臭い部分が出ていると思う。「ナックルボールを風に」好きだったなあ。
「風待ちのひと」家庭に問題を抱え、心身共に病んだ男が海辺の町で再生する物語。土地の描写や、亡くなった母親に大変な人望があったというところまでも含めて「四十九日のレシピ」によく似ている。またこの作家は昨今の風潮に反して男目線で描いていると思う。結果として幸せが、という流れなのだが、妻が全くの悪役であるところさらに娘の身の上に余り気を配してない部分には引っ掛かりを覚えた。まあ、角田光代なんか出て来る男は酷い描かれようなので、これくらいはいいかとも思ってしまったりするが。
さて、「羊」である。村上春樹初期の長編で上下巻。私にとって人生初ハルキだ。率直な感想は、「突飛で面白い物語だなあ」だった。たくさんのいわゆる隠喩を使う、ややキザな手法は、アメリカのハードボイルドの影響を受けているとすぐ分かる。全体のプロット自体も何を訴えたいのか考えさせるところがあってなかなか面白い。私的には発想が面白くてまずは可、かな?というところだ。
村上春樹については、webを見ると、文壇でも多くの議論が成されていて、なかなか興味深くもある。これも人気というものだろう。
「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」は「エルマーの冒険」の続きが読めたことにまずとても満足。現実世界の中のりゅう、という前提なので、エルマーとの関係はなかなか感動的かつ切ないものとなっている。まあたまには良かった。
当面は手持ちで読んでないのを読もうと思うが、角田光代「森に眠る魚」と東野圭吾「ガリレオの苦悩」は買いたいな。さらに中山七里「おやすみラフマニノフ」も読みたいな、の、他にまた、誰かのオススメの新たな刺激が無いかなあ、などと感じた1月の読書であった。